嶽山・金胎寺山の西側は石川本流が幅の狭い河谷平野を形成し、段丘上に嬉、横山、伏見堂の集落が立地するが、東側には、佐備川が佐備、龍泉(りゅうせん)から甘南備(かんなび)、千早赤阪村域まで入りこんでいる。この谷の東側には羽曳野丘陵などと同じ丘陵があるが、標高は高く、随所で二〇〇メートルを超える。丘陵を南北方向に開析(かいせき)した樹枝状の谷には谷地田も延びている。この佐備川谷のやや開けた中位段丘面には、水田が開け、佐備、龍泉、甘南備地区はミカン栽培によって、市域の他の地域とは異なる農業景観を示す(図8)。
佐備川や東条川の谷は昔から現河南町や千早赤阪村などの金剛・葛城山麓地域と富田林を結ぶ交通路として重要であった。