図21は平成一二年(二〇〇〇)作成の用途地域図であり、今後の富田林市域において土地をどのような用途に利用するかという計画を示している。凡例に示した用途指定が行われているのが市街化区域で、今後都市化を図っていくべき地域である。その広がりは富田林駅前の商業地域とその周辺の住居地域から西の金剛団地の住居専用地域まで市域の中央部を東西に延び、石川に沿っては中小企業団地が工業専用地域に指定され、その西から北に住居地域の指定が続く。北部では羽曳野丘陵に梅の里ほかの住居専用地域も見られる。これら以外は、市街化調整区域であり、基本的には今後の都市化を規制する地域である。北部では羽曳野丘陵の東麓が、また市域南部の大半がこの区域に当たる。ただし、南部でも南海高野線滝谷駅や近鉄の滝谷不動駅前には近隣商業地域と住居地域があり(図21の左下)、大谷女子大周辺の中高層住居専用地域を挟んで連続する市街化区域を構成する。その他、集落や住宅団地などの住居地域も分散して見られる。
もう少し詳細にこれらの用途地域を検討しよう。伝統的建造物群保存地区の指定が見られるのが富田林の歴史的な核である富田林寺内町に当たる。住環境を守るためより強い規制がかかる第一種低層住居専用地域は、市の西部の金剛団地など、主に丘陵部の一戸建てが連続する住宅開発地域に見られる。南海高野線の金剛駅前から東に延びる金剛中央線の街路などに沿った集合住宅の団地群の地域は中高層住居専用地域である。
近鉄長野線の西に平行する大阪外環状線に沿っては、商業施設など用途のもう少し混在する準住居地域が帯状に延びている。近隣商業地域を含む商業地域は、前述の主な駅前と金剛団地・金剛東団地内の商業地区である。このうち中心となる商業地域の指定は近鉄富田林駅前のみであり、実際の大型商業店舗は後述のように金剛東団地の方が規模は大きいけれども(本章第四節二)、駅前以外の商業地域は都市計画上、より商圏の狭い近隣商業地域の指定となっている。