このような高齢化の進展は、部分的にすでに開発の古い団地地区では見られる。図26は平成七年(一九九五)の富田林市の町丁字別の高齢化率を示している。南部の農村部で一五~二〇%と高い地区が広がるが、もっとも高いランクの地区は、寺内町地区や富田林駅前の旧市街に加えて、金剛団地の一部など古い住宅団地にも散見される。開発が新しい向陽台など金剛東地区の高齢化率の低さとのコントラストが顕著である。
こうした人口構成の様子を、特徴的な地区の人口ピラミッド(図27)でながめると次のようになる。開発の古い高辺台では六〇歳代中心の年齢構成で子供世代も独立・転出により減少して高齢化率を高めている。開発の新しい向陽台と比べるとこの様子がよくわかる。開発初期の約三〇年前には高辺台も向陽台のような人口ピラミッドの形であったのが、変容してきたのであろう。逆に向陽台のように現在は高齢化の心配のまったくないように見える地区も、ピラミッドが示すように世代が偏っているため、一気に高齢化が進行する。これが郊外の高齢化のもっとも問題となる点である。
ニュータウン以外では、寺内町の富田林町が高齢者の多い人口ピラミッドを示す。しかし、団地型とは違い、世代は偏らず厚みがある。七〇歳代の女性の多さも特徴である。錦織では女子大の存在により若年女性の人口が多く、その要素が高齢化を見えにくくしている。同様の傾向はこの周辺部でも見られる。市域南部の甘南備(かんなび)は、四〇歳代の世代がもっとも多く、現在の高齢化率はそれほど高くはないが、この世代の加齢とともに団地同様、一気に高齢化が進むと思われる。
このように、人口構成から高齢化のパターンを地区別に検討することにより、現在は高齢化していない地区や市域全体の将来像を推定する大きな手がかりが得られるのである。