農産物の販売額中、コメが一位である農家が全農家に占める比率を見ると、コメの作付比率が低下した昭和五五年(一九八〇)においても南部の山間部と北西部の都市化地域で六〇%を超えるが、駒ヶ谷村、磯長村のブドウ地域と東条村、赤阪村(現千早赤阪村)などのミカン地域においてはこの比率が小さい(図42)。
もっとも経営耕地面積が小さい地域で、販売額に占めるコメの地位が高く、コメ以外の商品作物がないと同時に、コメも農家の経済にとって大きな意味を持ち得ない。
このようなコメの生産と販売は、経営規模が零細なことに加え、労働力の流出、高齢化などから、現在では機械化などにより、もっとも労働粗放的になったコメ栽培を消極的に営むにすぎないといえよう。すなわち、地域の違いを超えて、第二種兼業農家による飯米自給が浸透し水稲作付率が上昇すると考えられる。