施設園芸の展開

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昭和三五年(一九六〇)の「農林業センサス」では、温室・温床栽培として、旧富田林町では一四戸が六反の野菜類を栽培して、大阪府下の過半を占めて先駆的であったが、規模は小さかった。

 昭和四五年には旧富田林町では、二一三戸が一戸平均九・〇アールのハウスを経営し、施設園芸は確立していた。富田林町域のハウスはいくつかの旧集落に集中する傾向があったのにたいし、現河南町の石川村と白木村ではともに約二三%の農家がハウスで野菜類を栽培し、ハウス栽培の普及がもっとも進んでいた。

 昭和五五年には、府下の施設園芸が縮小するが、南河内地方では施設園芸農家は総農家数の八・一%に増加した。この段階で南河内地方が府下のハウス面積に占める割合も四〇%から五〇%に増大した。

 旧富田林町では昭和五五年、大阪府の三・三%であった農家数が、施設園芸農家では九・七%、面積では九・三%を占めた。駒ヶ谷村などでのブドウ栽培のハウス化によって、富田林町の大阪府全体にたいする比率は伸びなかったが、一〇年間に、農家数も耕地面積も急減する中で、富田林町の施設園芸農家は二一三戸から一九四戸へと微減にとどまり、ハウスの面積は三六%増加し、この地域の農業経営はハウスでの野菜栽培が突出するにいたった(表124)。

表124 南河内地方のハウス農業
昭和45年 農家数(戸) 施設のある農家数(戸) 面積(a) 施設農家率(%) 1戸当たり面積(a)
大阪府 65578 2216 16641 3.4 7.509
南河内地方 11010 711 6592 6.5 9.271
富田林町 1818 213 1909 11.7 8.962
東条村 314 1 4 0.3 4.000
駒ケ谷村 408 76 869 18.6 11.434
石川村 227 52 584 22.9 11.231
白木村 288 66 664 22.9 10.061
昭和55年 農家数(戸) ハウス農家数(戸) 面積(a) ハウス農家率(%) 1戸当たり面積(a)
大阪府 52551 2009 28085 3.8 13.980
南河内地方 9719 785 13955 8.1 17.777
富田林町 1735 194 2598 11.2 13.392
東条村 292 35 294 12.0 8.400
駒ケ谷村 378 212 7185 56.1 33.892
石川村 209 37 448 17.7 12.108
白木村 259 36 469 13.9 13.028
平成2年 農家数(戸) ハウス農家数(戸) 面積(a) ハウス農家率(%) 1戸当たり面積(a)
大阪府 38982 2014 45747 5.2 22.714
南河内地方 7817 829 25949 10.6 31.302
富田林町 1425 152 2966 10.7 19.513
東条村 247 21 424 8.5 20.190
駒ケ谷村 338 249 13502 73.7 54.225
石川村 188 43 665 22.9 15.465
白木村 235 42 697 17.9 16.595

注1)各年次『世界農林業センサス』より作成。
 2)昭和45年の面積はハウスのみでガラス温室を含まない。

 平成二年(一九九〇)の旧町村別ハウス面積は、旧駒ヶ谷村、磯長村のブドウ栽培と旧富田林町と現河南町の野菜に中心があり、南部の山地と北部の都市化地域には少ない(図43)。旧東条村での野菜ハウスと駒ヶ谷村、磯長村でのブドウのハウスが二倍以上の急増を示している(図44)。

図43 ハウスの面積 平成2年
図44 ハウス面積指数 平成2年(昭和45年=100)