野菜類の近郊産地と市場適応性

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南河内地方の作物類別構成比の経年的変化を見ると、果樹類が一貫して比率を増大させて、平成二年(一九九〇)には二八%に達しているのにたいし、野菜類は昭和二五年(一九五〇)に果樹類の二倍の比率を示し昭和三五年には最大に達したが、以後次第に減少し、昭和四五年に果樹類に首位の座を明け渡している。

 これは南河内地方の果樹類が全国的な競争力と市場を持つ旧駒ヶ谷村などのブドウ栽培を有するのにたいし、野菜類の場合、西板持のナスでさえ量的に少なく、強い販売力を持った全国的な作物ではないことが一因である。

 逆に、野菜類の年変異が大きいことは、果樹類のような硬直性を示さず、時々の市場適応性に富んでいることを示す。このことは、作物によってはダイコンのように比較的鮮度を問題としないような作物が遠隔の大規模産地の輸送園芸に圧倒されて衰微するのにたいし、大規模産地が全国市場を支配しているとしても、なお大都市への近接性を有利に生かした、葉菜を主とした近郊農業的な経営がある程度定着していると理解できる。西板持のナスについては、近郊の有利さを条件にするが、協同性が強い点で従来の個人主義的な近郊農業とはやや異なる性格を有している。