六〇歳未満(生産年齢人口)の男子農業専従者がいる農家は、平成二年(一九九〇)段階で、旧富田林町九・九%、旧東条村で一七%であり、六〇歳未満の専従者がいる農家が二〇%を超えるのは西板持=五〇%(農家九〇戸中四五戸)、中佐備=四八%(農家二九戸中一四戸)以外に木戸山、北大伴、北甲田、龍泉、中山、下佐備の六集落にすぎない。大深や中野などかつて市域北部の農業中心であった集落でも、六〇歳未満の農業専従者は激減し、労働力の高齢化は極端に進行している。全農業集落中、六〇歳未満の男子農業専従人口がいない集落は、平、宮、若松町一丁目、加太、川西新家、芝、須賀、錦織、錦織北、滝谷、蒲の一一を数える(図55)。
ナス栽培の西板持とミカン栽培が盛んであった時代に参入した労働力が兼業化せずに農業内部に滞留した中佐備でそれぞれ半ばの農家が生産年齢労働力を保有している。昭和四五年(一九七〇)についてはこの数字は得られない。
男子農業専従者が二人以上いる労働力保有量の大きい農家は昭和四五年にはまだ相当数存在したが、平成二年には激減している。ほとんどの集落で、昭和四五年に数戸あったものが平成二年には一戸か〇になっている中で、西板持だけが平成二年にも、次項の後継ぎの場合と同様、突出した数の労働力を保有している(表129)。
旧富田林町 | 昭和45年 | 平成2年 | 旧東条村 | 昭和45年 | 平成2年 | ||||
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2人以上いる 農家数 |
全農家数 | 2人以上いる 農家数 |
全農家数 | 2人以上いる 農家数 |
全農家数 | 2人以上いる 農家数 |
全農家数 | ||
中野 | 12 | 111 | 0 | 88 | 甘南備 | 7 | 80 | 0 | 63 |
五軒家 | 8 | 96 | 1 | 88 | 龍泉 | 16 | 52 | 3 | 44 |
北甲田 | 5 | 25 | 2 | 24 | 上佐備 | 6 | 31 | 2 | 26 |
北大伴 | 1 | 58 | 5 | 44 | 中山 | 3 | 14 | 0 | 12 |
南別井 | 1 | 40 | 2 | 35 | |||||
東板持 | 8 | 51 | 1 | 40 | |||||
西板持 | 27 | 118 | 21 | 90 |
注1)『1995年農業センサス農業集落カード』より作成。
2)平成2年は農家総数データ。
これは単にナスという有利な作物の存在だけでなく、昭和二〇年代の愛農会以来、結束して産地の形成に努力し、その後も園芸組合などを通じて、多くの努力を重ねた地域の連帯が生み出すものとも考えられる。