昭和四五年と昭和六〇年

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「農林業センサス」は、昭和四五年(一九七〇)と昭和六〇年について、各農業集落内で、果樹、露地野菜、施設園芸、コメの四部門ごとに販売額一位の農家数を示すので、ここでは農業集落ごとに一位の農家数がもっとも多い部門を地図に示して、この間の変化と地域構造を検討する。コメについては、販売農家比率が一位であるものを五〇%の上下で区分して示した。一位と二位の産物の間の差が小さくても、一位のみを示した。

 昭和四五年では、細部の差異を無視すれば、旧富田林町域はコメが卓越し、これを東西に横断して富田林市街地以南に露地野菜地域、市街地の北方・中野に唯一施設園芸地域があって、市内における施設園芸の一つの中心であった。南部の旧東条村では、下佐備を除いて、果樹部門の販売農家が圧倒的である(図58)。

図58 農業集落の主要販売農産物 昭和45年

 これにたいし、昭和六〇年には、北部をはじめ、全体としてコメ販売額が一位である農家がもっとも多い集落が増加した。昭和四五年には果樹地域であった滝谷と甘南備でも、コメ販売が果樹のそれを上まわることになる。一方、市域中部の野菜地帯でもコメに侵食されながら、露地野菜から施設園芸化が進んだ(図59)。

図59 農業集落の主要販売農産物 昭和60年