もっとも後発の組合の一つであった西板持園芸組合の昭和五六年(一九八一)の作付栽培協定書は、大型ビニールハウスによって、農作業の合理化とあわせて、水田転作の定着化を図るとうたっている。
この協定は「作付するものとして、半促成栽培のナスを表作とし、抑制栽培のキュウリを裏作とする」と定め、半促成ナスは二月の定植、三~七月の収穫、抑制キュウリは七月の播種、八月の定植、九~一一月の収穫を見込み、品種もナスは千両系、キュウリは白イボ抑制系と定めている。その上で、「栽培、管理、出荷等の関係により、上記品種を原則とする」としてナスとキュウリの連続作付を定めている。
この協定の内容は組合の強い統制を示し、本来このような作型まで強く規定することは、遠隔の大規模産地の組合に見られることが多く、農民個々の経営感覚に依存する近郊農業とは性格を異にするところである。