昭和四五年(一九七〇)以降の「農林業センサス」が示す販売金額一位部門別農家数は、旧東条村で果樹が一位の農家は、昭和四五年に七六%、昭和五五年に六五%、平成二年(一九九〇)に五〇%へと低下した。このミカンの衰退に代わって、施設園芸、露地野菜が増加し、部分的に野菜生産へと転換したのであるが、地形による制約に加えて、保有労働力の問題もあって、転換は必ずしも容易ではない(図62)。
大阪府下最大のミカン産地である旧横山村(現和泉市)と比較すると(表135)、旧東条村が昭和四五年に栽培面積を三倍以上に、栽培農家を四一%拡大する形で、横山村を急追して、ミカン園経営を拡大したこと、平成二年には横山村よりも栽培農家数を多く残存させながら、早く規模を縮小したことがわかる。そのことは、旧東条村において果樹以外の稲作と特に施設園芸部門を販売額一位とする農家が平成二年に急増していることと平行した現象であり、果樹専作の度が大であった横山村に比べて、東条村が不振のミカン園経営から脱却しようという動きが早かったと理解できる。他のミカン地域についても同様で、赤阪村では果樹類が一位の農家数は、それぞれの年次に七九%、六五%、五〇%へと低下した。
栽培農家数(戸) | 栽培面積(a) | 平均規模(a) | 1ha以上農家 | 作物類別販売額1位 | |||||||
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戸数(戸) | 比率(%) | 販売農家数(戸) | 構成比(%) | ||||||||
稲作 | 施設園芸 | 野菜類 | 果樹類 | ||||||||
昭和25年 | 旧東条村 | 160 | 3010 | 18.8 | |||||||
旧横山村 | 616 | 12230 | 19.8 | ||||||||
昭和45年 | 旧東条村 | 225 | 10000 | 44.4 | 21 | 9.3 | 263 | 13 | 0 | 8 | 76 |
旧横山村 | 646 | 29200 | 45.2 | 60 | 9.3 | 658 | 1 | 0 | 1 | 97 | |
平成2年 | 旧東条村 | 110 | 4156 | 37.8 | 5 | 4.5 | 146 | 28 | 12 | 8 | 50 |
旧横山村 | 262 | 11665 | 44.5 | 23 | 8.8 | 269 | 5 | 3 | 10 | 81 |
注1)各年次『世界農林業センサス』より作成。
2)平成2年は販売農家データ。