富田林市域には個性のある地場産業が盛んであった。グラスボール製造と竹すだれ製造である。高度経済成長はこれらの産業の衰退を代償として浸透したともいえる。二一世紀に入った段階で、グラスボールは消滅し、竹すだれも富田林市内で若松町二丁目に一軒と不定期にこれに協力する三~四軒の兼業者を残すのみとなっている。
これらについては、盛んに行われた時期から衰退期に入ったころの記録が残されているが、一つは昭和三〇年(一九五五)発行の『富田林市誌』であり、そのほかに、大阪府立商工経済研究所がこれらについて、調査研究を行っているので、これらによって、盛期から衰退期にかけての状況を記すこととする。