重要文化財旧杉山家住宅
杉山家は富田林寺内町の建設に協力した八人衆のひとつで、江戸時代半ばより酒造業で栄えました。明治時代の初めごろに酒造を行わなくなりますが、周辺の村々に広大な土地を保有する大地主として地域に重きをなしました。明治時代の明星派歌人・石上露子(杉山タカ)を輩出するなど、文化面でも優れた足跡を残しました。杉山家の居宅であった旧杉山家は、17 世紀半ばに建設された富田林寺内町に残る最古級の町家建築です。酒蔵など酒造にかかわる施設は残っていませんが、かつての繁栄を物語る重厚華美な主屋などは富田林市の所有になっており、昭和58年に重要文化財に指定されています。
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旧杉山家住宅修理工事記録映像
旧杉山家住宅半解体修理工事
旧杉山家住宅は、昭和30年代に実施された大阪府の民家緊急調査によって、その重要性が学術的に評価されるようになります。富田林市は旧杉山家住宅の保存のため昭和58年(1983)に杉山家より土地を買い建物を譲り受け、同年12月に重要文化財に指定されました。
半解体修理工事は昭和60年(1985)1月に着工し、昭和62年(1987)9月に完了しました。この工事によって、建物の傷んでいる部分を補修するとともに、主要な建物が整った18世紀前半の姿へと復原されました。ただし、江戸時代後期の茶室や明治時代のらせん階段は残されました。
幻の明星派歌人 石上露子
石上露子
明治15年(1882)、明星派歌人石上露子(杉山タカ)は、富田林寺内町きっての名家杉山家の長女として生まれました。母の離縁、父の再婚など複雑な家庭環境で育ち、婿をとり家を継ぐ運命にありました。やがて文筆活動を盛んに行うようになり、明治36年(1903)には与謝野鉄幹が主宰する新詩社の社友となります。絶唱として世に知られる詩「小板橋」は、明治40年(1907)12月、新詩社の雑誌『明星』に掲載されたものです。同じ月に露子は結婚し、結婚後は子育てが一段落するまで、23年の間、文筆活動を行うことはありませんでした。