現地ロケ編全文テキスト

■日出優良商店会


【段木さん】関東大震災ですか、あの時にやっぱ震災を受けてこっちに来たということですね。それからこの町が徐々にこう……。
【會田さん】うちは戦争から帰ってきてからだ。戦争から帰ってきてここに来た。最初は配給だからね。自由販売じゃないから。
【段木さん】だいぶみなさんね、引揚者が多くて。それで街が形成されていったという感じらしいですね。
 
(商店会を歩きながら)
【段木さん】郵便局があって……ここは薬屋さんだ。
【會田さん】そうだそうだ、スヤ薬局。本屋さんがあって、魚屋さんがあって、もうびっちり。びっちり店。
【段木さん】ここだけでも何軒くらいあったかな。15、16軒のお店が、大小合わせてあったね。
 
(踏切の横の住宅街にて)
【段木さん】ここは都電の停留所で、ここらいっぱいずーっと全部、家。長屋とかアパートがたくさん、ずーっとあったわけ。
【會田さん】全部家だったのにみんなどかされちゃったから。この辺の裏に住んでた人もみんないなくなっちゃった。死んじゃった人もいるよ。引っ越しのショックで。それでみんな、建て替えになっちゃったわけよ。
【段木さん】アパートはたくさんあったし、子どもさんもここで、都電のここで結構、遊んでいる子どもさんが多かったですからね。
【會田さん】なにしろあれだよね。うちの長男が21年生まれで、次男が24年生まれでしょ。私が28年生まれでしょ。もうすごいよ、子どもの数が。うじゃうじゃいたよ。
 
 

■辻広場


【會田さん】これが辻広場。
【段木さん】こういう辻広場が、何か所か街の中に整備されて。夏場とか、子どもさんとかお年寄りの方が結構そこにかけたりして。きれいになってるんだけど、指定日以外(ゴミを)出さないでって書いてあっても、やっぱりああいうふうにね。
 
(次の辻広場を探して歩きながら)
【會田さん】こう行って左に下がって行こうか。わかりづらいよねぇ。あの奥にあった、変な三角の公園みたいなとこ?
【段木さん】富士山があるのはもう1つ……。
【會田さん】ああ、向こう? えぇ? (辻広場の細い小川を指しながら)ここからどういう風に繋がってんだろ。
【段木さん】これは下水管に繋がってる。
【會田さん】違う違う違う、川が。こういう風に行ったのかな。
【段木さん】大神側の(方に繋がってる)。今、通ってきた。
【會田さん】ああ、あんな方まで。
【段木さん】向こうの方まで流れていった。
【會田さん】これがずっと川の流れになってるんだ。(川の案内板を見ながら)あ、ほんとだ。「水窪川 小さな川が流れていた 後世に伝える」 これが1986年。
【段木さん】まちづくりが始まって、それでほら、転居しなくちゃいけない、そういう人の代替地っていう感じで確保したんじゃないかと思いますね。空けておいてもあれだからっていうんで、こういう辻広場のようなものが整備されていったとか。
【會田さん】草ぼうぼうのねぇ、ただの公園だかなんだかわかんないけど。
【段木さん】そのままにしとくとやっぱり、子どもさんが危なかったり、無断で入ったりするからってことで。60年半ば頃かな、この辻広場ができたのは。ここが一番最後だったかなと思う。これか、もう1つ先の辻広場だか。
 

■東池袋4・5丁目まちづくりセンター


【會田さん】(東池袋4・5丁目まちづくりセンターに向かう路地で)あ、ここ綺麗にしてる。
【段木さん】これは改装したからね。昔はもっと綺麗に、お花とか植木とか盆栽とか……。ここも防災道路の用地として、これ(豊島区まちづくり事業用地)と繋がるように。ここやったとき、まだここまで話がつかなかったんでしょう。ここにもアパートがあって。5軒くらいあったかな。道路が広がると建物も建て替えはできるんだろうけどね。今の状態じゃ狭いから、なかなかね。
 
(住宅街を歩きながら)
【會田さん】これなに作るの?
【段木さん】これ、だから道路ができて……。
【會田さん】道路だけ?
【段木さん】32年(2020年)頃の完成を目指してるのかな。
【會田さん】(住宅街を指して)ここから全部。あの奥までね。全部、長屋。
【段木さん】これ(住宅)もなかったから、ここで盆踊りやったり。あの建物もなかったから。もうちょっと奥まで長屋があったのかな。全部、長屋は縦、横、通り抜けができて。長屋を撤去したときに、豊島区のまちづくり用地として。
【會田さん】残してもらわないと、センターは。住民が困っちゃうのよ。お祭りやったり(する場所や)、集会所がないから。
【段木さん】この道ももっと狭かったからね。
 

■巣鴨プリズン跡地


【段木さん】(工事中の囲いを見ながら)ここは全部、造幣局。官舎が……ここから向こう(囲いの方面)が官舎で。それの向こう側が、そうだな、向こうが工場になってたかな。こっちが官舎で、向こうが。
【會田さん】こっちはコインとか売ってたね。この辺ね。
【段木さん】こっちの方だったよね。
【會田さん】一応、警備員がいたからね。1円と5円(のコイン)だけど。
【段木さん】僕もお店でやってたから。納めが多少あったものだから。申請すると、自由に入れて。隣が、あそこは拘置所でしょ、昔の。サンシャインが。
【會田さん】巣鴨プリズン。
【段木さん】そこにA級戦犯、C級やらね、いらしたでしょ。差し入れしてくれって頼まれて。で、僕行ったんですよ。頼まれたのは果物とね、それから、生ものだったと思いますね。引き渡しかなと思ったら、どうぞ中へ入ってくださいって案内されて。それでノックして入ったら本人がいらして。そのときはまだ18、19か、20歳前後だったと思いますね。もう60年も前の話だからね。
【會田さん】サンシャインの60階なんて、この辺で一番高いビルだから、みんなびっくりしちゃったよ。なんでこんなでっかいビルが建ったんだって。(当時は)2階建て、3階建てばかりだからね。あと平屋。西友の向こう側からが、差し入れ屋さん。
【段木さん】そうだよな。あの辺にあったんだよな。1軒、2軒、3軒。3軒くらいあったかな。もうちょっと向こうまであったのかな。子どもさんの遊び場がなかったんです。ただ、結構広かったから、周りで遊んだりしてたんじゃないですかね。
【會田さん】なんにも怖くないよね。たいして面白くない場所だよね。塀ばっかりだから。
 

■美久仁小路


(「人世横丁」の記念碑を見ながら)
【段木さん】俺は飲まないからなぁ。ここはあんまり……。
【會田さん】そうだよねぇ。
【段木さん】叔父の友だちはね、昔、人世横丁に「ごうとく」ってお店があったのよ。2、3回連れてきてもらったことがあるんだけど、「幸ちゃん」もここに入ってたかな。
【會田さん】「幸ちゃん寿司」も人世横丁だったんだよね。
【段木さん】そうだ。
【會田さん】トンカツ屋もあったんだよ。(記念碑を指しながら)ああ、氷屋さんね。
【段木さん】これだけのお店があったんだ。
【會田さん】ずいぶん入ってたね、こんな狭いところに。(別の石碑を見つけて)あっちも書いてあるの? ああ、ほんとだ。「あなたの心に横丁がありますか 人世横丁」 昔はよかったんだよ。横丁がいっぱいあって。
【段木さん】この辺にあったんだ。
【會田さん】あったんだよ。
【段木さん】(石碑のまわりを歩きながら)この辺だったかな。そうだ、この辺にお店があったんだな。そこからこう入って……。家の数にしたら、30、40軒くらいあったんじゃないでしょうかね。路地も、2本か3本くらいの路地があったわけですからね。だから、こんなになるとはね、思わなかったですよね。立派になって。昔のあれ(街並)がわかんなくなっちゃってね。
 
(美久仁小路の飲食店「ずぼら」前で)
【小野博さん】横丁もみんななくなっちゃったしね。ひかり町も人世横丁もなくなっちゃったから。
【會田さん】焼き肉屋ある?
【小野さん】そんなのもう40年くらい前にないよ。
【段木さん】人世横丁に「ごうとく」っていうのあったよな?
【小野さん】「ごうとく」は栄町。
【會田さん】栄町ってどこ?
【小野さん】こっちの向こう側。
【段木さん】向こうだっけ。ああ、そうか。
【會田さん】ここの道路、広くなったでしょ。
【小野さん】広くなってない。同じ。
【會田さん】そう? あそこのちっちゃい土塀のね、ずーっと通り道だったよね。
【段木さん】今あそこ(通り道)、使える?
【會田さん】塞いじゃってるね。
【小野さん】あそこは使えない。
【段木さん】今もう使えないの?
【小野さん】使えなくはないけど、ゴミ置き場やなんかにしちゃってる。
【會田さん】火事、何回かあったもんねぇ、美久仁小路って。
【小野さん】空き家だったときは火事になっちゃって。あとはもう、全部変わっちゃったよね。ほんと、全部。みんなビルになっちゃったし。とにかく、やっぱりサンシャインができてからだよね。
【會田さん】変わってきたね。
【小野さん】全然変わったのはね。
【會田さん】開発されちゃったんだよね。
【小野さん】そうだよね。
【會田さん】でもこういうところなくなっちゃたら、やんなっちゃうね。つまんなくて。こういう路地ね。
【小野さん】どうなんだろうね。うん、どうなんだろうね、やっぱ人の数が全然多いしね。そういうのはあるけど。
 
(繁華街を歩きながら)
【段木さん】でもね、ここも変わっちゃったから。こっちの方は1年、年々で変わっていっちゃうから。ビルがああして建っちゃうから。
【會田さん】わかんない。何があったか全然わかんない。
【段木さん】面影がわかんなくなっちゃうよね。ああいう家がたくさんあったわけだからね。
【會田さん】そうだよ。そうそう。
 
 

■旧庁舎跡地


【段木さん】こっちの通りはあんまり来たことがないから。
【會田さん】あれ、公園ってどこにあったの?
【段木さん】公園はこのうしろ。
【會田さん】公園はあれか。公園がなかったらわかんないよ、もう。
【段木さん】(これが旧)区役所でしょ。これが(豊島)公会堂になるわけだからね、昔のね。立派になったわ。オープンのときは来て、入ってみないと。
【會田さん】ほんとだね。
 
(喫茶店にて)
【段木さん】公会堂は昔……。
【會田さん】成人式だ、私。
【段木さん】成人式もそうだし、芸能人かなんか呼んでショーやなんかも。
【會田さん】やったんだろうね、一応ね。
【段木さん】昔、浪曲だの……。
【會田さん】ほかになかったからね。今、西口とかにいっぱいできてきたけど、昔は公会堂しかなかったから。ここでみんなやってたね、催しものをね。
【スタッフ】池袋は文化の街ですよね。
【段木さん】今はね。そうですね。
【會田さん】笑っちゃうね。
【段木さん】今は若い人の仮装行列か。
【スタッフ】コスプレの……。
【段木さん】今、仮装なんて言わないでしょうけど。土曜日、日曜日なんて歩けないでしょ。アニメの聖地でしょ、豊島は。
【會田さん】そうそう、そうだよね。
【段木さん】池袋も、有名な、芸術の街だからね。
【會田さん】うん。
 
(店を出て通りを歩きながら)
【段木さん】(通りを指して)ここに、アニメのパレード。ここでやるんだよ。
【會田さん】あ、そうなの。
【段木さん】この通りで。
【會田さん】(段木さんも)やってんの?
【段木さん】俺もやってる(笑)。やってみたいけどね。
【會田さん】やればいいじゃん。被り物すれば大丈夫。
 
(旧庁舎前で写真撮影)
【写真撮影スタッフ】ありがとうございます。
【會田さん】段木さん、こんな役頼んじゃってごめんね。
【段木さん】いやいや。ちょうどあいにくの雨になっちゃって……。