現地ロケ編全文テキスト

■池袋駅東口


【鈴木文雄さん(以下、文雄さん)】(ご自身が所有するFLCビル前にて)南池袋というのは、駅を出て正面に大きなグリーン大通りがありますけれども、それを境に右側が南池袋の街になります。カメラ屋さんとお蕎麦屋さんと喫茶店が2件。一緒に建てました。いまから20年程前になりますかね。その後、残されたこういう小さなビルは、その後そのまんまという形で残っております。今はほとんどの方がもう地元を離れてしまっていますので、残っているのが本当に私と、角のアサヒ薬局さんの泠子ちゃんぐらいのもんですね。
【北村泠子さん】(アサヒ薬局前にて)祖父の代からやっておりまして、ここら辺ではいちばん古いんじゃないかと思います。おばあちゃんがお産婆さんをやっていました。ですので、ここら辺(南池袋)でとりあげた方がみんなまだ元気でいらっしゃって、昔の話をよく聞かされます。こんなところもすごい田舎でね、そこらへんに畑がいっぱいあって。山林、とまではいかないけども…。
【文雄さん】(店の前を指しながら)この辺でよく、泠子ちゃんと遊んだんだ。
【北村さん】(アサヒ薬局の横を指しながら)ここら辺の横っちょ。
【文雄さん】そうそうそう。よく遊んだのはこの歩道だとか道路(明治通り)。それから西武(百貨店)の中で鬼ごっこをやったりもしました。
【北村さん】やりました(笑)。
【文雄さん】これは明治通りで、昔トロリーバスが通ってました。渋谷まで。
【鈴木幸代さん(以下、幸代さん)】レールがなくて架線でこう、角みたいに。私それで学校通いましたよ。渋谷まで。
【文雄さん】昔、空き地だったところはやっぱり早くからビルになりましたよね。だから逆に言うと、駅前よりもちょっと奥まったところの方が大きなビルが建ち始めて、逆に駅前の方がこちょこちょと小さな…なかなか大きなビルが建たないって感じですね。
池袋で有名なびっくりガードっていうのがそこです。その昔、肥料を運ぶ馬が、あの上を西武鉄道が通るときにびっくりするということで、びっくりガードってよく言われてたんですけど。いまでもその名残でびっくりガードと言ってます。
 
 
 

■小学校の統合


 
【幸代さん】(「オリナスふくろうの杜」の前で)雑司谷小学校の跡地ですね。幼稚園も一緒に、ですから…。
【北村さん】(幼稚園ではなく)保育園、保育園。
【幸代さん】うん、まあちっちゃい子から老人まで、ここに。
【北村さん】面倒見てます。
【幸代さん】校門からこの並びの真ん中あたり(建物の真ん中あたり)に正門がありましたので。そこの横に大きな桜の木と、あの二宮金次郎がありました。
【北村さん】(二宮金次郎の像を見て)囲われちゃった。
【幸代さん】牢屋に入ってるのね。
【北村さん】いつこんなの(雑司谷小学校の写真パネル)できたの? 前はなかった。
【幸代さん】あるあるある、これ(「オリナスふくろうの杜」)ができたときから。
われわれの年代はすぐ見学に行ったりしました。こういう都心にこういう施設がっていうのがとても珍しいことだったので。遠くの介護施設へ行くのはみんな忍びなくて、ずいぶん見学に来させてもらいました。子どもたちの声も聞こえるので、入院(入所)していらっしゃる方もとても励みになるみたいです。この辺から寺町っぽく、あの法明寺さんっていう本山の、関係のお寺が何か所かに分散してあります。この道(寺を通り抜けた先の小路)はね、東京音大(東京音楽大学)の生徒さんが通る通学路なんです。
【北村さん】子どもの頃、けっこう遊んだ。ここら辺までもう、みんなでわぁっと走って来て。
【幸代さん】皆さんほら、お店やってたでしょ?
【北村さん】そう、みんなお店の子だから。
【幸代さん】お店の子だから、ほら、(家にいると)邪魔とか言われるの。遊ばざるを得なかったね。
(南池袋小学校の前で、正門の奥を指しながら)ここの突き当りからずっと低くなっていて。本当に、雑木林とかこの右(正門の先の右側)に行ったところも本当に林の中で、生徒さんたちものびのびとしてました。中学のときは目白小学校と同じように近代的に建て替えてしまったので、ちょっとイメージが変わりましたけども、名残がありましたね。緑が多くて。(正門前の道を指しながら)この先が都電の雑司ヶ谷(駅)になるんで。
【北村さん】突き当りますね、都電に。
【幸代さん】そうするとまた風景が変わるけれども。やっぱりみんな、古くなるとこの辺は木造じゃダメなので、どうしてもマンションとか事務棟の建物が増えましたね。
 
 
 

■シアターグリーン


 
【朝比奈安成さん】シアターグリーンの方はですね、当時、六本木劇場…小劇場ってありましてね、それから新宿に三島由紀夫がやってた、何ていったかな、蠍座って言ったかな。そんなのに、いろんなのに行きましたよ。それで、これなら出来んじゃないのということで。それで、クーラーもなければ暖房もないんですよ。でも、好きな人が来る…。
【幸代さん】でもいいところでしたよ、昔の(リニューアルする前の)あそこ(池袋アートシアター)も。
【朝比奈さん】そうですか、ありがとうございます。
【幸代さん】有名な方がずいぶんあの…。
【朝比奈さん】ただ、私も素人遊びで、なんか魅力ないと使ってくれないだろうということで、電気の配線だけはきちっとしたの。それはそんなにお金がかからないから。もう、なんでもあり。すごいハードな…芝居も。そのうち触れ合った男がね、「住職こんなんじゃ…」、まあその、1回とん挫したんですけどね、私もやめちゃおうかなあと思ったんだけど、住職おやりよ、せっかく作ったんだし、もっとアベックでも誰でも安心してくれるようなね、支援した方がいいよってことで。それでシアターグリーンていう名前に。前、池袋アートシアターて言ってましたから。それから始めてね、ちょうど40年になりますけどね。(劇場の前の)道路の名前(「シアターグリーン通り」)をつけてくれた。これは公道ですよ。これはねえ…ありがたいと思ってますよ。末代まで、お寺は潰しても、劇場は潰せないなと思ってね(笑)。
 
 
 

■南池袋公園


 
(敷地内に建つカフェにて)
【幸代さん】子どもたちの声が本当に気持ちいいですね。みなさん、あっちが西武で駅の方なので、お姉ちゃまやお兄ちゃまの子はリュック背負って、ここでお弁当食べて。(芝生で遊ぶ子どもたちを見ながら)ああやって。嘘みたいですね、この都心にね。だから池袋のこの辺りもすごくいい地域になりましたね。さっきのオリナス(ふくろうの杜)もそうだし、保育園もそうだし。
 
(公園内に建つ豊島区の空襲犠牲者に関する説明版を見ながら)
【幸代さん】これが豊島区の全体でしょう。で、(空襲の被害を示す地図を見ながら)赤いところが…。
【文雄さん】焼失。
【幸代さん】焼失したところ? 立教大学は? この辺?
【文雄さん】立教大学はこの辺じゃないの。あんまり燃えてなかったから。
【幸代さん】この辺は全部燃えてしまった。
【文雄さん】これ見ると、人口の7割が亡くなってる感じ。
【幸代さん】そうだね…うん…。そんなのつゆ知らずですね、私たちね。だから逆に言えばさ、ここで亡くなられた方たちが来たんだろうけど。いいあれだわね、荒れ野原じゃなくて、きれいな公園が出来て。
【文雄さん】みんな自転車に乗って来てるんだよね。
【幸代さん】そう。それと、幼稚園とか塊じゃなくて、みんな個人的に。日曜日になると、入口のところにきれいにバギーが駐車されます。そういうマナーは若い方たちは素晴らしくて、指示がなくてもあそこ(入口)とかにこうやって。これからもっとお昼になると、あそこの椅子は、あっちも全部みなさん、全部埋まります。そこの角でお弁当売ってるんで、それを持ってファミマでお水を買って。すごい人になります、もうちょっと経つと。お昼休みはあの、銀行が多いのでね。
 
(グリーン大通りにて)
【文雄さん】この辺はね、日出町って言ってまして、日出通りって最初、言ってたんですけども。
【北村さん】いつも間にかグリーン大通り。
【文雄さん】(並木を指しながら)こういうグリーンのものがたくさんたつようになってから、グリーン大通りって名前にしてね。都電が通ってましたね、昔ね。
【北村さん】そうだ、そうだ。
【文雄さん】日出小学校ができて、子どもが少なくなって、そこ(日出小学校の場所)をやめて、今の区役所ができたんですね。
 
 
 

■豊島区新庁舎と「豊島の森」


 
【幸代さん】ずいぶん最初の頃から茂りましたね、樹木がね。ああ、ずいぶん大きくなったって感じ。最初しょぼしょぼだったんですよね、ここね。あら、よくなりましたね、すごく。へえ~、そう。
【北村さん】あらほんと、すごいわね。
【幸代さん】すばらしいよ、ほら、京都に行かなくてもすみそうよ。
【北村さん】本当ですよ。
【幸代さん】植木がずいぶん、本当によくなって。(景色を眺めながら)東京を一望。新宿。
【文雄さん】本当だね。スカイツリーが。
【幸代さん】スカイツリーが見えるはずよ。
【文雄さん】(スカイツリーの方角を指しながら)あそこに見えてる。ちょっと霞んでるけど。
この辺は…そうね、住宅街で。真ん中に日出小学校っていう学校があって、人が、子どもが少なくなったんで閉校になった後に、この区役所が駅前からこちらに引っ越して来たってことですね。
【幸代さん】だから南池袋の人たちは、ちょっと(東池袋にあった)区役所まで不便だったんですね、前の区役所は。だけどすごく便利にはなったわね。で、土曜日も日曜日もやっているってことで、住民にとってはとってもありがたいと思いますね。今、びっくりしてます、すごく。本当に憩いの空間。それから空気感がずっと、上がるたびに空気が違うし。よかったね、うん。
【北村さん】よかったと思う。