平成元年第1回区議会定例会招集あいさつ・所信表明(平成元年2月23日)

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 本日、平成元年第一回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位には何かとご多忙の中にもかかわりませずご出席を賜りまして、深く感謝を申し上げる次第でございます。


 まず冒頭、昭和天皇の崩御に、謹んで哀悼の意を表します。


 平成元年度の予算、その他の案件をご提案申し上げるに当たりまして、所信の一端を申し述べたいと存じます。


 激動の昭和史が幕を閉じまして、世は新しい平成の時代へと移りました。そして日本経済は、内需主導の大型景気が持続的な拡大基調にあります一方、貿易摩擦、市場開放等、先行き不透明な懸念材料も軽視できない情勢にあると思うのでございます。


 さらに、内政最大の課題でありました、シャウプ税制以来四十年ぶりの税制改革が断行され、本年四月より所得税、住民税等の大幅減税と並行して、懸案の消費税が導入されることになったわけでございます。


 平成元年度は、この新税制がスタートする初年度であります。この新税制が国民生活に、そして地域経済にどのような影響を及ぼすのか、的確な予測は極めて困難であります。また一方、国と地方との財源配分のあり方についても、将来に重い課題を残したといわなければなりません。


 景気の回復を反映して、法人関係を中心とする好調な税収増に支えられ、国の予算案も東京都の予算案も、それぞれ高い伸び率を示しております。


 このような中で、本区の平成元年度予算を編成いたしたのでございますが、予算の概要についてご説明申し上げます前に、今回新たに策定した中期計画について、その骨格をご説明申し上げたいと存じます。


 昭和五十六年三月に議決された「豊島区基本構想」を受け、昭和五十八年度を初年度とする「豊島区基本計画」を策定して、以後毎年度「実施計画」によりローリングしてまいったところでございます。


 基本計画策定後六年を経過し、社会経済情勢の急激な変化とこれに対応して区民の生活要求も質量ともに、大幅に拡大してまいったのであります。


 従いまして、公共施設の整備につきましても、特別養護老人ホームをはじめ、基本計画策定時には予想もしていなかった事業を既に数年前より実施計画に織り込み、実施してまいったところでございます。


 深刻な課題となっている高齢者住宅、取得を強く要望してまいりました旧国鉄用地五カ所の取得とその利用計画、さらには新庁舎等の建設など、多くの懸案も立ちはだかっており、これらを既定の基本計画計上事業と合わせて実施していかなければなりません。


 このため、新たな視点に立って、基本計画を補完する計画として、平成元年度を初年度とする五カ年の「公共施設整備中期計画」を策定した次第でございます。


 ご提案申し上げます平成元年度一般会計予算は、各行政分野のバランスに配意しつつも、特に街づくりと高齢社会対策を重点施策に据え、文化振興と国際化施策の拡充にも力点を置いて編成したものでございます。


 消費税につきましては、予算編成の段階でまだ内容に不確定な部分もございましたが、予算の執行に支障を来すことのないよう、所要の経費を各事業ごとに算入いたしておりますが、今後の経過を見て適切かつ機動的な財政運営に努めてまいりたいと考えております。


 一般会計予算の総額は七百三十五億五千四百万円でございまして、前年度当初予算と比較いたしますと六十七億九千百万円、十・二%の増となり、昨年に引き続き十%を超える伸び率となっております。


 今回の税制改革により、本区の特別区税は、特別区民税において五億二千八百万円、たばこ、電気及びガス税において十四億七千四百万円、合わせて二十億三百万円が減収となります。


 それに代って創設される消費譲与税として十三億三千万円の収入が見込まれますので、区税の減収分とのトータルでは、差し引き六億七千万円が税制改革に伴う本区の減収と相なるのでございます。


 このような地方独立税源の縮小、国への依存度増幅につながる今回の税制改革は、国庫負担金削減措置の継続とあいまって、地方自治を守る立場から、誠に遺憾と言わなければなりません。


 さて、一般会計予算に計上しました新規、拡充事業につきまして、重点施策を中心に概略ご説明申し上げます。


 まず、街づくりについて申し上げます。


 本区の街づくりは、区民一人一人の生活を尊重することを基本に、ふれあいと潤いに満ち、住むことに誇りを持てる都市の創造をめざして、広範な区民の主体的な参加のもとで、積極的に取り組んでまいりました。


 しかしながら、近年の国際化、情報化、高齢化の一層の進展を含む社会経済情勢の変化は、世界都市東京における豊島区の重要性を一段と高めるとともに、区民の生活様式や価値観にも大きな影響を与えております。


 こうした状況の中で、福祉の街づくり、あるいは、国際化に対応した街づくりをはじめ、ゆとりある都市空間や美しい街並みの形成、さらには地域に固有の伝統や文化に支えられた、いわゆる豊島区らしさの創造という課題への処方せんが求められておりまして、街づくりは、新たな時代を迎えようとしております。


 二十一世紀に向けて、真の豊かさと潤いのある街を築くためには、総合的且つ長期的な視野のもとに、街づくりの一層の進展を図り、街づくりの一方の担い手である区民に対する支援をこれまで以上に充実強化する必要があります。これらの認識に立って、家づくり、街づくりについての普及啓発をはじめ、調査・研究、さらには具体的な相談・助言・援助などを行い、また、区や土地開発公社では取得が困難な用地の取得・処分及び区から受託する街づくりに必要な施設の管理運営を行うなど、区が進める街づくりを補完するとともに、住民主体の街づくりを支援する、公平で信頼性の高い新たな組織として、財団法人「豊島区街づくり公社」を設立いたしたいと考えております。


 次に、みどりと広場の拡充でございますが、このたび、昭和六十二年度より不燃化促進事業を展開しております立教大学周辺地区におきまして、池袋第三小学校を地域における「みどりの核」とするよう、地区の街づくり協議会より提言を受けたところでございます。


 この地区は、不燃化促進とともに、安全でうるおいのある街づくりを目指しております。地区内にある学校は、災害時の一時避難場所や連絡の拠点として、また、平常時のコミュニティ形成の場として、非常に重要な役割を持っております。


 このような観点から、池袋第三小学校を「みどりのモデル校」としまして、その周辺を生垣化し、地域に開放された施設づくりを実現しようとするものであります。


 このことは、さまざまな課題を抱えながらも、地域における住民、学校関係者と行政が一体となって取り組みました大きな成果でございます。


 この「みどりのモデル校」は、周辺緑化とともに、四つ角をまちかど広場、まちかどギャラリーなどのように、「住民の憩いの場」となるように、特に「まちかど広場」や「校門」は、学校の児童を含む地域のアイデアを生かした配置計画になっております。


 この実現が、この地区の事業目的の一つでもありますうるおいのある環境づくリに貢献するとともに、街の緑化のモデルとなるよう整備を進めてまいりたいと考えております。


 先に公園用地として買収いたしました、目白三丁目の公立学校共済組合のうずら荘跡地につきましては、本格的な日本庭園を造成し、これに調和した木造の建物を築造したいと考えております。


 著名な専門家に委嘱し、設計等を進めるなかで、具体化を図ってまいりますが、この建物は茶室など、広くわが国古来の文化的催しのできる施設として、ご利用いただきたいと考えております。また、国際化という時代の潮流が、今、豊島区の地域社会に押しよせております時、優雅なたたずまいと閑静な風情を持った伝統的な日本庭園が、国際的な親善交流の場としても寄与し得るものと考えております。


 次に、都内で只一つ残りました都電荒川線でございますが、その沿線で両側に区道のある大塚駅から向原駅間約二百十五メートルの軌道の両側は、本区としては、数少ない植栽可能地でございます。現在、東京都交通局と具体的な協議を進めておりますが、ここにバラなどつる性植物やつつじなどの株物で四季感あふれる緑化を推進して、快適な都市景観を創造したいと考えております。


 また、暗渠になっている谷端川の緑道化につきましては、昭和五十八年度より十カ年計画で、「みどり豊かなみち空間」として環境改善を図るべく整備を進めております。全体計画約二千二百メートルのうち、昭和六十三年度末までに約半分を完了しており、平成元年度では残りのうち東橋以北の約二百七十メートルを整備するものでございます。


 本区が取得を要望しております旧国鉄用地のうち、池袋電車区につきましては、図書館用地に千平方メートルを割愛し、残り五千平方メートルを公園にするため、図書館と併せて、基本設計に着手するもので、用地の買収予定は平成二年度に計画しております。


 公園・児童遊園用地として新たに五千平方メートル分の買収経費を土地開発公社の予算に計上してまいりますともに、老朽化した既設の公園・児童遊園について、景観等新たな視点に立って改修いたしたいと考えておりますが、平成元年度は、日之出公園ほか三カ所を予定いたしております。


 次に、重点施策の二点目の高齢社会対策について申し上げます。


 まず、高齢社会に対応した総合計画の策定についてであります。


 急速な人口の高齢化、長寿化に対応し、区民それぞれの多様な生活設計に適切に応え得る施策を、効果的に推進していくためには、高齢社会の問題を単に高齢者の問題としてのみではなく、すべての世代にかかわる複合的な事象として幅広くとらえ、その対応を早くから進めておくことが重要であります。


 このような考え方のもとに、昨年四月に福祉部内に高齢化対策室を設置し、さまざまな施策を福祉的視点から総合的・体系的に推進していくための「高齢社会対策総合計画」の策定に向けて、目下、準備を進めているところでございます。


 高齢社会対策総合計画は、豊島区基本構想の基本理念のもとに、二十一世紀初頭の本格的な高齢社会を展望した、総合的な福祉基本計画として位置づけ、平成三年度を初年度とする十カ年計画として策定してまいりたいと考えております。


 策定に当たりましては、別途、ご提案を申し上げております、「高齢社会対策審議会」を設置し、学識経験者・区議会議員・区民各層の代表による構成のもとに、高い識見と幅広い視野に立って、ご審議をお願いするものでございます。


 次に高齢社会対策の主要な課題の一つであり、また、緊急性の高い高齢者の住宅の確保についてでございますが、高齢者が住みなれた地域の中で、安心して生活を営むための多様な住宅施策を計画的に推進するため、「地域高齢者住宅計画」を策定いたす所存でございます。


 この計画は、高齢者の居住形態、心身機能の低下への配慮、社会参加の観点からの住宅供給と、それに対応する福祉・保健サービスのあり方等を内容とするものでありまして、策定にあたりましては、高齢者の住まい方等について、専門的な識見を有する学識経験者を中心とした策定委員会を設置し、検討するものでございます。


 なおその結果につきましては、高齢社会に対応した長期的・総合的な住宅施策を推進するための指針として、高齢社会対策総合計画の中に位置づけてまいりたいと考えております。


 次に、平成元年度に開始される事務事業につきまして申し上げます。


 高齢者福祉対策につきましては、特別養護老人ホームなどの施設入所サービスと、地域の中で生活する高齢者にとって必要とする介護等の在宅サービスとが、あたかも車の両輪のごとく総合的に実施されることが望まれているのでございます。


 この四月に開設されます特別養護老人ホーム「山吹の里」は、区立で初めての入所施設であり、施設サービスの要として期待されているところでございます。また、併設する高齢者在宅サービスセンター「山吹の里」は、特養ホームの専門的・技術的機能を活用しながら、ショートステイ事業、痴呆性高齢者デイホーム事業、機能回復訓練事業、さらには、ひとり暮らしの高齢者への配食サービス事業などを行うものであり、在宅福祉サービスの拠点となるものでございます。


 なお、今後の入所施設につきましては、中期計画に特養ホームの建設を計画いたしておりますが、寝たきり高齢者を抱えた区民の方々の切実なご要望にお応えすべく、区立施設の建設に加えて、社会福祉法人東京援護協会が町田市内に平成二年六月に開設予定の特養ホームに対しまして、建設費を補助し、十床分を確保することといたした次第でございます。


 また、在宅の寝たきり高齢者に対する入浴サービス・おむつ支給などのサービス事業につきましては、寝たきり期間の要件を撤廃し、よりきめ細かな対応を図ったところでございます。


 さらに、歯科訪問診療につきましては、安全で効果的な事業として実施いたすべく、各種の調査を行うものであります。


 次に平成元年度に着手予定の計画事業について申し上げます。


 長崎地区複合施設は、第六出張所の改築とあわせ、地域に適合した施設として平成元年度に建築工事に着手し、三年度には開設いたす予定でございます。


 併設する施設は、老人いこい室、高齢者在宅サービスセンター、区民集会室、歯科休日応急診療所のほか、長崎保健所の休日診療所を移設するものでございます。


 さらに、施設整備の一環として、千川施設の跡地に、平成四年度の開設を目途に、福祉ホーム、高齢者集合住宅、高齢者在宅サービスセンター及び区民集会室の四施設を建設するため、基本設計に着手いたします。


 福祉ホームは、一時保護機能も合わせ持った心身障害者の入所施設でございまして、就職先や福祉作業所等へ、自宅から通勤、通所を行っている心身障害者が、保護者の高齢化や、いわゆる「親なき後」をも含め、家庭の状況から、その通勤・通所ができなくなった場合に、入所させて、通勤・通所を継続させる等、地域での自立した生活を、可能な限り保障するものでありまして、公立施設としては、都内でも最初の施設でございます。


 また、高齢者集合住宅は、住居に困窮する一人暮らし高齢者に住宅を提供すると共に、安心した生活を確保するため、高齢者在宅サービスセンターを併設し、いわゆるケア型の高齢者集合住宅二十戸を建設しようとするものであります。


 次に、高齢者及び障害者の方々の生活圏の拡大を図る福祉のまちづくりについて申し上げます。


 ご案内のように昨年十月に、「東京都における福祉のまちづくり整備指針」と整合性を図りつつ「豊島区福祉のまちづくり整備要綱」を制定し、福祉環境の整備に努めているところであります。


 平成元年度においても今年度に引き続き福祉環境整備事業推進に関する啓発に努めますとともに、駒込地区福祉作業所アプローチ通り及び東京都芸術文化会館周辺道路の整備をはじめとして、公園・児童遊園内にある公衆便所の改修等二十二施設に及ぶ区有の諸施設の整備に重点的な配慮をいたした次第でございます。


 また、福祉のまちづくりの総合的かつ計画的な整備を図るため、東京都との密接な連携のもとにモデル地区を選定し、実態調査に基づき整備計画を策定して、福祉のまちづくりを積極的に推進していく所存でございます。


 なお、国民年金、厚生年金等の公的年金受給者が毎年一回提出する現況届等に係わる住民票記載事項証明等につきまして、手数料二百円を聴取しておりましたが、福祉の観点から、これら四万二千五百人にのぼる方々の負担を軽減するため、平成元年度よりこれらを全額免除の取り扱いにいたしたいと存じます。


 この手数料免除措置による歳入減は、年間八百五十万円と見込んでおります。


 次に文化振興と国際化施策につきましては、前年度に引き続き、拡充してまいりたいと考えております。


 まず、本区は、昭和五十七年七月二日、二十三区に先がけて「非核都市宣言」をした自治体として、歴史に残る名誉ある記録を持っており、爾来、非核平和展など、この宣言に基づく種々の事業を毎年継続実施してまいったところでございます。


 宣言から六年余りが経過いたしましたが、国の内外、天地あまねく平和が達成されることを願って制定された、新しい年号の平成元年にちなんで、改めてこの宣言の尊さと重要性を再認識し、アッピールするために、区民が誇り得る平和のシンボルとして、「平和の像」を建立しようとするものでございます。


 建立する場所や像の形状等につきましては、区議会と十分ご相談申し上げ、元年度には製作費を計上いたし、平成二年度に建設いたしたいと考えております。


 次に婦人行動計画関係の施策について申し上げます。昨年十一月に策定しました婦人行動計画は、豊島区婦人問題懇話会の提言を十分に生かした内容で構築し、平成元年度をスタートに今後十カ年の中で、男女共同社会の実現を目指す百五十のプランとして推進していくものでございます。


 二十一世紀の本区の将来像を展望する時、男女両性が等しく持てる能力を発揮し、社会の発展を支えていくような新たな社会システムの確立は不可欠であります。婦人行動計画ではこれを男女共同社会の実現と位置づけ、女性の自立の推進、女性の社会参加の促進、そしてその上に立った平和な社会における男女の共生を基本理念とし、広範にわたる諸施策を全庁的取り組みのもとに整備していくこととしております。


 また、本行動計画の達成を確実なものにするため、区民と一体となった推進体制であります「婦人行動計画会議」を設置し、新たに設けます庁内組織と並行して円滑な推進と実効ある解決を図ってまいりたいと考えております。


 さらに、婦人行動計画元年にあたり、女性の一層の自立促進を図ることを目途に、従来の「婦人福祉資金」を「女性自立援助資金」として抜本的に改正を図るほか、男女共同参加の拠点としての「女性センター」の早期開設に向けて、区民参加による「開設準備委員会」を発足させるなど、活力ある婦人問題解決に向けての施策を展開してまいる所存でございます。


 次に、文化に係わる事業についてでございますが、まず、文化財に関する事業といたしまして、本年一月一般公開いたしました「雑司が谷旧宣教師館」の運営がございます。


 雑司が谷旧宣教師館は、開館以来、連日区民をはじめ多くの方々に、ことに日曜日には百名を超える方々に、ご来館いただいているところでございますが、今後とも、多くの皆様にご覧いただくため、展示内容の充実はもとより、わかりやすい案内表示の整備やいろいろな機会を捉えてのご紹介を行ってまいりたいと考えております。


 関係者のご努力とお力添えにより、見事に復元なった旧宣教師館を区民共有の貴重な財産として、大切に保存してまいりますとともに、文化に親しむ場、学習の場としての活用に努めてまいりたいと考えております。


 次に、長崎獅子舞の学術調査につきましては、昭和六十三年度の予備調査に引き続き、三カ年計画の本調査に着手したいと考えております。都内に現存する数少ない獅子舞の一つであり、区内唯一の無形民俗文化財と考えられる長崎獅子舞について、民俗学的調査とあわせて舞の影像記録、舞に関する音曲の採譜を民俗学の専門的研究機関に委託して実施いたしたいと考えております。


 また「路上美術館」につきましては、昨年プレイベントとして二週間にわたり開催したところでございますが、開催期間の延長、展示作品数の増等さらに充実を図ってまいりたいと考えております。


 また、金融機関のご理解とご協力を得られましたショーウィンドーにつきましても、改装工事等を施し、作品の常設展示を行ない、他に例を見ないユニークな発想の路上美術館事業の前進に努めてまいりたいと考えております。


 次に、コミュニティ振興公社への事業助成として実施する事業が二つございます。


 一つは、「としま薪能」の上演でございますが、昨年八月、池袋を中心に開催されました「東京国際演劇祭'88池袋」に区主催として参加したものでございますが、大変好評を得ましたので、引き続き区民の皆様に優れた日本の伝統芸術に接する機会の提供として、東池袋中央公園で上演する予定でございます。


 もう一つは、区内在住、在勤の皆様三百名を公募した合唱団を編成し、アマチュア楽団として高い評価をいただいております豊島区管弦楽団との合同演奏会として「区民でつくる第九演奏会」を、学習院創立百周年記念会館を会場として実施したいと考えております。


 次に、現在東京都が建設中の芸術文化会館でございますが、工事は順調に進捗し、明年秋には開設できる見通しが立っていると伺っております。したがいまして、これに隣接する区の公園と道路を芸術文化会館にふさわしい環境に整備するものでございます。


 まず、西口公園につきましては、芸文会館の前庭と一体化し、各種イベントにも活用できるオープンスペースを含め、噴水・植栽のほか、斬新なデザインの公衆トイレも計画してまいりたいと考えております。


 また、芸文会館前の駅街路五号を四十メートルに拡幅し、分散している西口のバスストップを集約する工事もあわせて実施する予定でございますが、これらの整備は二カ年計画事業で実施し、芸文オープン時には文化の香り高い環境へと装いを一新するものでございます。


 次に、国際化施策につきましては、昭和六十三年度を国際化対策元年と位置づけ、基礎的な対応を図ってきたところでございますが、本区の外国人登録人口は昨年一年間で実に約四千五百人も増加し、今や区民十八人に一人が外国人となっている現状であります。このことは、区民が生活している地域社会を真に国際的に開かれた社会にし、地域の中で、外国の人々と日常的な感覚と態度でおつき合いができるようにならなければならないと思うのでございます。


 昨年十二月、庁内の国際化対策委員会から、新年度予算に反映させるべく第二次中間報告を受け、これらの中から十五事業を予算化したものでございます。


 その主なものを申し上げますと、今年度外国人を含む編集委員会を設置し、検討してまいりました、外国語版情報紙誌の発行でございますが、英語及び中国語による広報の発行、施設案内を含めた「豊島全図」、「生活情報誌」及び相談用リーフレット、さらに「国保のしおり」、「保健所事業案内」の発行も予定しております。


 また、区内在住外国人との信頼関係の形成と地域住民の国際感覚を養うための青年国際交流セミナーを猪苗代青少年センターで外国人の地域社会への適応を促進するため、日本語広場を年間二期に分けて開催いたします。


 さらに区内日本語学校などの留学生、就学生を対象とした結核健康診断及び防災パンフレットの発行を前年度に引き続き実施してまいりたいと考えております。


 次に、駒込四丁目に建設中の第二の福祉作業所及び生活実習所でございますが、順調に工事が進捗しておりますので、二年次分の建設費を計上しますとともに、平成二年四月開設に向けて所要の経費を計上をいたしてございます。


 また、国有地買収の遅れから着工が大幅に遅れ、繰越明許をいただきました区民葬祭場の建設につきましては、用地買収もこのほど決まり、新年度早々に着工できる見通しがつきましたので、平成二年二月開設の予定で、特別外構工事費と開設運営経費を計上いたしてございます。


 次に、在宅精神障害者に対します「精神保健デイケア事業」についてご説明申し上げます。この事業は、回復途上にある精神障害者が、地域社会の中で通常の生活を営めるよう、集団生活を通じて日常生活の指導訓練を行うことにより長期的に安定した状態を保ち、ひいては社会復帰につなげる施策でございます。四月から、まず池袋保健所において、精神科医の参加を得て、精神衛生相談専門職員、デイケア担当保健婦、地区担当保健婦との連携のもとに、当初は週1回よりスタートし、最終的には週三回のプログラムを組むものでございます。


 なお、平成二年度より長崎保健所においても同様の事業を実施するため、本年度は同保健所の増築を行う経費もあわせて計上いたしております。


 また、竹岡健康学園生活棟の改築及び体育館の新築につきましては、学園入り口部分の借地買収も済みましたので、二カ年計画で工事を予定いたし、所要の経費を計上いたしております。


 次に、新庁舎及び公会堂等の建設でございますが、二十一世紀へ向けてますます多様化する行政需用に適切に対応するとともに、さらに区政参加、区民交流、文化創造、地域の活性化などの諸機能が求められております。


 このような区民の新しい時代の要請にお応えした庁舎等のあるべき姿、建設敷地及び規模等重要な事項を審議していただくために「新庁舎等建設審議会」を設置いたし、学識経験者、区議会議員、区民各界の代表による構成のもとにご審議をお願いするものでございます。


 以上をもちまして、平成元年度一般会計予算の概略につきましての説明を終わらせていただきます。


 この一般会計に国民健康保険事業及び老人保健事業の二特別会計を加えますと、本区の平成元年度の予算総額は、当初予算で初めて千億円の大台を超えまして、対前年度比八・三%増の千十七億六千五百万円となったのでございます。


 最後に、今回、同時に追加提案申し上げます、昭和六十三年度の最終補正予算でございますが、先般、決定しました昭和六十三年度都区財政調整の再調整において、都市整備用地の取得経費七百五十八億円が算入され、このうち、本区の措置額が約三十二億円と見込まれるのでございます。


 そのほか、財調交付金増を除く特別区税等一般財源の収入増も見込まれますので、公共施設整備中期計画の財源を担保するために、用地取得基金四十五億円、庁舎等建設基金三十億円を積み増し計上してまいりたいと考えております。


 本日ご提案申し上げます案件は、追加案件を含め、条例二十八件、予算六件、その他六件の合わせて四十件でございますが、各案件につきましては、後刻助役に説明いたさせますので、よろしくご審議の上、ご協賛を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。


 これをもちまして私の招集あいさつ並びに所信の表明を終わらせていただきます。