本日、平成二年第三回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位には、何かとご多忙の中にもかかわらず、ご出席を賜りまして、深く感謝を申し上げる次第でございます。
本年八月初め、「持続的拡大への道」を副題とする経済白書が公表されましたが、同月二日のイラク侵攻にはじまる中東湾岸情勢の緊迫化により、残念ながら白書の示す長期大型景気の拡大基調にも、先行き一抹の影を落としつつあると思うのでございます。
このような中で、特別区の将来にとって最大の懸案でありました特別区制度の改革につきましては、ご案内のとおり、今月二十一日第二十二次地方制度調査会より内閣総理大臣に答申されましたが、その内容は、慨ね昭和六十一年二月の都区合意の線に沿ったものでございまして、なかんずく特別区の存する区域における基礎的な地方公共団体と位置づけられましたことは、かって区長公選を実現した昭和五十年四月一日の改革後における、自治権拡充運動史上、画期的な成果でありまして、区議会ともども運動を進めて参りました者にとりまして誠にご同慶に堪えない次第でございます。
然しながら、財政制度の改革が不十分のまま、財源配分のあり方も今後における都区間の協議にゆだねられたこと、さらには清掃事業の移管受入れ問題など、非常に厳しい課題も残されておりますので、引き続き、答申の法制化に向けての努力と合わせ、区議会のご指導をいただきながら、積極的に対処してまいりたいと考えております。
さて、今回ご提案申し上げます案件のうち、一般会計補正予算第一号につきまして、その概略をご説明申し上げます。
この補正予算は、去る七月十三日都区協議会において決定した、平成二年度都区財政調整区別算定結果並びに平成元年度一般会計決算状況を踏まえまして、緊急に対処すべき事務事業に要する経費その他合わせて百十九億二千四百万円を計上いたしたものでございます。
歳出の経費別内訳を申し上げますと、人件費及び事業費として三十億五千七百万円、投資的経費として八十八億六千七百万円となっております。
人件費及び事業費の主なものを申し上げます。
まず、去る七月二十三日特別職報酬等審議会の答申に基づく区議会議員の報酬及び区長等特別職の給料の改定並びに行政委員会委員、その他の非常勤職員の報酬の改定に伴う経費の追加額を計上いたしました。
次に、かねて利用者の方々から強いご要望のあります、老人福祉センター及びことぶきの家の日曜開館につきましては、今回、「おとなりさん事業」として、高齢者福祉に理解と熱意のある近隣の方々に、ネイバーワーカーとしてご協力いただき、十一月より態勢の整った施設より順次実施いたしますとともに、これらの施設が、区民の方々と共働して、日常的な高齢者福祉活動を行う地域の核となりますよう、努めてまいりたいと考えております。
次に、「おばあちゃんの原宿」ともいわれ、高齢者の方々のご利用が非常に多い「JR巣鴨駅」でございますが、本年四月に駒込福祉作業所等の開設により、障害者の利用も増えましたので、これらの方々の負担の軽減を図る対応策を東日本旅客鉄道株式会社に要請してまいりましたところ、今回、本区が進めております福祉の街づくり事業の一環として、補助金を交付することにより、巣鴨駅構内駒込駅寄りの階段に高齢者及び障害者対応のエスカレーターが設置されることになりましたので、その設計にかかわる補助金を計上したのであります。
次に、先の日米構造協議の結果、出店調整処理期間の大幅短縮等七項目に及ぶ大店法の規制緩和の運用方針が出され、地元商店街の経営に深刻な影響が生ずるおそれがありますので、地域商店街の活性化を図り、魅力ある商店街づくりを支援するため「商店街活性化事業助成制度」を新設するとともに、中小商工業融資の利率改定に伴う本人負担の軽減及び利用件数の増加に伴う所要経費を追加計上いたしました。
また、ここ数年来、地球環境問題がにわかにクローズアップされてまいりましたが、このたび、昨年四月発足いたしました豊島区消費者団体連絡会の真剣な発意と行動により、森林資源の保護を目的とし、ゴミ問題の解決の一助ともなる「牛乳パック回収運動」が全区的に展開される運びとなりましたので、区といたしましてはその有意義な献身的活動を全面的にバックアップするため、それらの集積所確保と保管庫等備品の購入費を計上したのであります。
次に、かねて検討を進めてまいりました全盲の視覚障害者の方々の職員採用につきまして、今回、当面の方策として、非常勤職員一名を採用いたし、点字図書館のサービス向上と視覚障害者の職域拡大に対処してまいりたいと考えております。
また、庁舎等建設基金への積立金として二十億円を計上いたしましたが、これにより利子を含めますと、累計百五十一億九千九百万円とあいなります。
次に、投資的経費の主なものを申し上げます。
公園及び図書館の建設用地として、旧国鉄池袋電車区用地の払下げにつきましては、先に清算事業団資産処分審議会においてご決定をいただき、現在、その買収価格について折衝中でございますが、確定次第契約議案をご提案できますよう、おおよその見込額を計上したものでございます。
以上が歳出の主な内容でございますが、これを賄う財源といたしましては、旧国鉄用地の財調措置見込額として六十六億三千五百万円、用地取得基金の取り崩し二十二億千百万円のほか、若干の特定財源を除き、総て繰越金を充当したものでございます。
なお、別途ご提案申し上げます区議会議員選挙及び区長選挙に係わるポスター掲示場の設置につきまして、それらの所要経費を債務負担行為としてこの補正予算に計上しております。
以上が一般会計補正予算第一号の概要でございますが、これにより当面の財政需要に対処いたしますと同時に、今後の財政運営に万全を期してまいりたいと考えております。
最後に、本日ご提案申し上げます案件は、条例九件、契約三件、予算一件、その他二件でありますが、各案件につきましては、後刻日程に従いまして、助役より説明をいたさせますので、よろしくご審議のうえ、ご協賛を賜りますようお願いを申し上げる次第でございます。
以上をもちまして、召集のご挨拶といたします。