本日、平成二年第四回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位には、何かとご多忙の中にもかかわらず、ご出席を賜りまして、深く感謝を申し上げる次第でございます。
さて、今回ご提案申し上げました案件のうち、認定第一号、第二号及び第三号の平成元年度一般会計並びに二特別会計歳入歳出決算につきましては、地方自治法の規定に基づきまして、過日、監査委員より審査意見書をいただきましたので、法令の定める関係書類を添えまして、ここに提出をいたした次第でございます。よろしくご審査のうえ、認定を賜りますようお願い申し上げます。
この際、平成元年度一般会計決算の概要につきまして申し上げたいと存じます。
まず、決算収支の状況を申し上げますと、歳入決算額は、九百十三億六千二百万円で、その対前年度比は一二・六%の増となっており、一方、歳出決算額は八百七十六億九千九百万円で、前年度に比ベ一三・五%の伸びとなっておりまして、予算現額に対する収入率は九九・二%、執行率は九五・二%といずれも前年度を上回っております。
形式収支は三十六億六千二百万円でありまして、これから翌年度へ繰り越すべき財源三千百万円を差し引いた実質収支は三十六億三千百万円となっております。
次に、歳入決算額の財源構成を見てみますと、一般財源は八〇・六%、特定財源は一九・四%となっておりまして、一般財源の構成比が前年度に比べ二・九ポイントの増となり、前年度に引き続きそのウエートを高めております。
しかしながら、消費税の導入を伴う抜本的な税制改革が断行された影響で、地方譲与税や利子割交付金が大きく伸びました反面、一般財源の大宗を占めるべき特別区税が対前年度比〇・六%の微増にとどまり、初めて特別区交付金の決算額を下回りましたことは、平成元年度決算の最大の特徴であります。
歳出決算額の内容についてでございますが、平成元年度の一般会計予算は、各行政分野のバランスに配慮しつつ、特に街づくりと高齢社会対策を重点施策に据え、文化振興と国際化対策の拡充にも力点を置いて、さらには新たに策定した公共施設整備中期計画における初年度の事業を積極的に取り込んで編成したものでございます。
これら区政各般にわたって実施してまいりました事務事業の内容につきましては、別途提出しております、平成元年度成果報告書をご高覧いただきたく存じますが、公共施設整備中期計画に基づき計上いたしました事業の決算状況を申し上げますと、駒込福祉作業所の建設など二十五事業でありまして、その執行額は百五十六億千八百万円、予算現額に対する執行率は九六・二%となっております。
次に、性質別内訳を見てみますと、義務的経費即ち人件費、扶助費及び公債費の総額は、歳出決算額の三七・五%を占め、前年度より三・一ポイント低くなっており、財政構造の弾力性は引き続き向上の方向にあります。
また、投資的経費の構成割合は二六・五%で前年度より十二・五ポイントと大幅な伸びとなっておりますが、これは、第二特別養護老人ホーム等を建設するための旧国鉄用地を年度末に買収することができたことによるものでございます。
以上のとおり、平成元年度の決算実績は、おおむね適正な執行により所期の成果を挙げ得たものと考えております。
さて、昭和六十一年秋以来拡大基調にあった大型景気も、緊迫した中東情勢をはじめ、先行き不透明な世界経済の動向から、長期の予測が全く立たない状況にあります。このような中で区民の皆様の負託に積極的に応えるためには、起こりうる経済変動に十分耐え得るよう、財政基盤を強化しつつ、社会の進展と累積する様々な住民要求に見合う行政需要を的確に把握して、計画的・効率的な区政の運営にあたることが最も重要であると改めて認識しているところでございます。
また、昨年五月に発足しました二つの諮問機関、即ち高齢社会対策審議会及び新庁舎等建設審議会におかれては、今日まで一年六月余にわたり、精力的なご審議をいただいてまいりましたが、近日中にそれぞれご答申をいただける運びと伺っております。
いずれも二十一世紀に向けて本区が巨歩を進めるべき区政の根幹にかかわる課題でございます。
さらに、当面一定の結論が出ました特別区制度の改革につきましては、法制化への努力と平行して、都区間の財源配分の問題、清掃事業の移管受入れの問題等、厳しい課題に取り組まなければなりません。
このように、区政の前途には難問が山積しておりますが、私自身、区民の皆様のご信託をいただきまして、引き続きこれらの難題に立ち向かい、区政執行の重責を果たすべく決意を新たにいたしております。議員各位のご理解を賜りたいと存じます。
最後に、本日ご提案申し上げます案件は、決算認定三件、条例三件、契約三件、合わせて九件でありますが、各案件につきましては後刻日程に従いまして、助役及び収入役より説明をいたさせますので、よろしくご審議のうえ、ご協賛を賜りますようお願いを申し上げる次第でございます。
以上をもちまして、招集のご挨拶といたします。