本日、平成三年第一回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位にはなにかとご多忙の中にもかかわりませず、ご出席を賜りまして深く感謝を申し上げる次第でございます。
この際、平成三年度の予算、その他の案件をご提案申し上げるにあたりまして、所信の一端を申し述べたいと存じます。
今年は、湾岸戦争の長期化、原油流出による海洋汚染、ソ連邦国内問題の深刻化などなど、世界は混迷する世紀末十年の暗い幕開けとなりました。
昨年の同時期、私はこの本会議場におきまして、「世界史の流れに新しい風が吹きはじめました」と恒久平和の到来を確信に近い期待感で申し述べたことを思い起こし、顧みて、この一年間の思いも寄らぬ様がわりには、重い嘆息と激しい怒りを禁じ得ないのであります。
一日も早い平和の回復を祈りたいと存じます。
戦争という、景気動向を左右する最大の不確定要因を抱え、内外に広がる乱気流の中で、世界経済にかげりが生じ、日本経済にもようやく減速感が強まりつつあります。
このような中で、国の一般会計予算案は、総額で前年度比六・二%増、一般歳出では生活関連枠の創設による公共事業の拡大などを含め、五・三%の伸びとなっていますが、平成三年度末の国債残高は過去最高の百六十八兆円程度に膨らむ見通しとなっているのであります。
また、地方自治体の財政運営の指針である平成三年度の地方財政計画におきましても、高齢社会に対応するための地域福祉基金の創設を含め、対前年度比五・六%の伸びとなっていますが、前年度に比べこの伸び率は一・四ポイントの減となっているのであります。
一方、東京都の一般会計予算案を見ますと、法人二税の記録的な減収が見込まれる中で、起債の増額や財政調整基金の大幅な取り崩し等の財源措置を講じまして、対前年度比六・一%の伸びとなっています。
去る一月二十四日、都区協議会において決定をみました平成三年度都区財政調整につきましては、金融・証券業を中心とした企業収益の悪化に伴う市町村民税法人分の大幅な落ち込みにより、調整三税が対前年度比マイナス二・一%と見込まれ、普通交付金は昭和五十三年度以降はじめて前年度を下回ったのであります。
平成三年度の予算につきましては、このような内外の変動著しい社会経済環境の中で編成をいたしたのでございますが、予算の概要について申し上げます前に、今回新たに策定した「高齢社会対策総合計画」並びに「新公共施設整備中期計画」について、その概略をご説明申し上げたいと存じます。
まず、高齢社会対策総合計画についてでありますが、二十一世紀の本格的な高齢社会に対応して、福祉、保健、住環境、生きがいなど広範な分野にわたる各種の施策を、長期的視点に立って総合的・体系的に推進するため、「高齢社会対策審議会」の答申を得て、平成三年度を初年度とする十カ年の長期計画として策定したのであります。
この総合計画は、高齢社会に向けて、だれもが住み慣れた地域において安心して健やかに生活できるよう、「人間性の尊重」、「自立・参加の推進」、「地域連帯の創造」の三つの基本理念のもとに、八つの解決すべき課題を設定し、百二十事業に及ぶ高齢社会に対応する施策の体系化を図ったのであります。
これら施策の推進にあたりましては、庁内に区長を本部長とする「高齢社会対策推進本部」を設置するとともに、計画の円滑かつ確実な実現に向けて、区民各層の参加を得て「高齢社会対策推進区民会議」を設置するものであります。
次に、新公共施設整備中期計画についてでありますが、平成元年度を初年度とする五カ年の計画として平成元年二月に策定した「公共施設整備中期計画」は、ご案内のとおり、平成二年度においては、当初計画を一部繰上げ、または変更して第二特別養護老人ホームをはじめとして三十一事業を予算化し、計画の着実な推進に努めているところでございます。
新公共施設整備中期計画は、従来の中期計画を見直し、高齢社会対策総合計画の前期五カ年の施設建設事業を吸収するとともに、新たな事業をも含め、合計四十五事業について、平成三年度を初年度とする五カ年の計画として策定したものであります。
さて、今回ご提案申し上げます平成三年度一般会計予算でございますが、長期的視点に立った財政運営を基本に、この新公共施設整備中期計画にもとづく諸事業はもとより、全行政分野の効果的な展開に配意しつつ、前年度に引き続き重点施策として、高齢社会対策、地域文化の振興、街づくりの推進を三本柱に据えますとともに、緊急に対応すべき課題として、定住化対策、資源リサイクル対策、大店法緩和対策、自動車駐車場対策への取り組みに力点を置いて編成をいたしたのであります。
一般会計予算の総額は、九百二十億三千八百五十三万四千円でありまして、前年度当初予算と比較いたしますと、十五・八%の増となっております。
この伸び率は、昭和五十二年度以来最高でありますが、平成三年度の特別な要因により計上いたしました三芳グランドの用地取得費その他を差し引きますと、対前年度比は八・八%となり平成二年度とほぼ同程度の伸び率となっております。
歳入に占める一般財源の割合は七十三・六%であり、前年度と比べ〇・九ポイントの減となっており、その大宗を占める特別区税は前年度の伸びとほぼ同率の五・四%の増となっておりますが、都区財政調整のフレームを基礎に推計し計上いたしました財政調整交付金は、対前年度比四・七%の増であり、前年度に比べ十・六ポイントの減となったのであります。
このような中で、都区財政調整上翌年度措置となります街路拡幅事業等の財源に充てるため、財政調整基金より二十一億七千万円を取り崩し、年度間の財源調整を図りますとともに、用地取得基金より三十七億九千万円を取り崩して、土地開発公社への償還金の一部等の財源に充当することとしたのであります。
また、特定財源のうち特別区債につきましては、前年度に比べ三十二億八千六百万円の増となりますが、その主なものは三芳グランドの用地取得充当分の三十億四千百万円であり、後年度の負担を十分に考慮しつつ、積極的な財源の確保に努めたのであります。
次に、一般会計予算に計上いたしました主な新規・拡充事業につきまして、重点施策を中心に概略ご説明申し上げます。
最初に高齢社会対策について申し上げます。
まず、高齢者の方々に住み慣れた地域社会で安心して日常生活をお過ごしいただくための在宅福祉の推進であります。
高齢者在宅サービスセンターの増設、家庭奉仕員・家事援助者派遣事業の拡充など、ハード、ソフト両面において施策の充実に努めてきたところでありますが、家庭における介護機能の稀薄化が顕著になっている中で、従来にも増して地域社会の役割が重要になってきております。そこで、社会福祉協議会が新規に開始する予定の住民参加型会員制在宅福祉サービス事業につきまして、人的支援を含め、全面的な援助を行ってまいります。
この在宅福祉サービス実施に伴う福祉活動の推進とともに、地域の民間団体等が行う多様な先駆的・開拓的な試みが、地域に根ざしたサービスとして安定した運営を確保できますよう援助するため、社会福祉協議会において新たに設立する「地域福祉振興基金」の原資を助成いたし、地域福祉の一層の振興を図るものであります。
さらに、これらの事業推進の実績を踏まえまして、今後の在宅福祉サービスの展開における福祉分野と保健・医療分野を有機的に結合した、新たなサービス供給組織の開発に向けて調査・研究を行うものであります。
ご案内のように、社会福祉施設等での人手不足、特に高齢者への介護サービス従事者の確保は深刻な社会問題となっておりますため、区内施設のマンパワー確保の見地から、介護福祉士をめざし、国の指定する学校・養成施設等に就学が決定した方々に対し、学資の一部を貸し付ける「介護福祉士修学奨励制度」を新設いたしますとともに、潜在的福祉マンパワーの養成を図るため、介護一般に関する知識や介護技術の習得ができますよう、介護教室を開設することといたしております。
次に、施設福祉の拡充につきましては、地域の在宅福祉サービスの拠点となる高齢者在宅サービスセンターをことぶきの家等との併設により、長崎二丁目地区に本年六月開設の予定であります。
さらに、特別養護老人ホーム「山吹の里」におきましては、これまで一週間以内のショートステイ事業を実施してまいりましたが、ニーズに応じて適切なサービスを実施するため、新たに四週間以内お預かりするミドルステイ事業の実施を行うものであります。
また、上池袋二丁目地区に建設を予定しております複合施設につきましては、特別養護老人ホーム、高齢者在宅サービスセンター、ケアハウス、地域福祉推進センター、健康診査センター、口腔保健センター等、福祉と保健の総合的施設として、このたび基本計画を完了し、平成四年度の着工に向けて実施設計に着手いたしたいと考えております。
次に、平成二年度を「高齢者住宅元年」として位置づけ、取り組みを進めてまいりました高齢者の住宅対策であります。
昨年着手しました五カ所百戸の高齢者集合住宅の建設のうち、「要町つつじ苑」の十六戸が六月に入居開始のはこびとなり、先般、募集を実施いたしましたところ、倍率にして十四倍を超える二百二十六人の応募があり、改めて実態の深刻さを痛感いたしたところであります。さらに千川二丁目地区三十戸と東池袋五丁目地区の従前居住者用十一戸、あわせて四十一戸の工事が平成三年度内に完了する予定であります。
そのほか、老朽アパートの取り壊しによる立ち退き要求を受けてお困りの高齢者世帯に対する「高齢者世帯住替え家賃助成制度」を新設し、あわせて、ひとり暮らし高齢者用居室提供事業によります居室の借上げを五十室から百十四室へ拡充しますとともに、「高齢者アパート建築利子助成制度」の金利を引上げることにいたしております。
次に、高齢者・障害者の生活圏の拡大を図る福祉のまちづくり推進事業でありますが、千早社会教育会館に車いす用階段昇降機を設置するなど、区有施設十六カ所の整備を進めますとともに、民間施設整備助成として、六十カ所の助成金を計上したのであります。さらに区民参加によります「福祉のまちづくり推進会議」を設置し、様々な立場の方々のご意見をいただきながら、引き続き区内全域の公共的施設の整備に努めてまいりたいと考えております。
次に、地域文化の振興について申し上げます。
昨年十月開館しました東京芸術劇場は、内外の優れた舞台芸術の交流の場として、本年一月から一般使用が開始されておりますが、それに先立ち、東京都主催による「開館記念事業」が行われ、その一環として地元演劇界が中核となった「東京国際演劇祭'90」が多数の海外劇団の参加により、華々しく展開されたところであります。引き続き、本区主催による「としま区民芸術祭」において各種の事業を開催いたしましたが、いずれも大盛況のうちに所期の目的を大幅に上回る成果をおさめることができ、改めて区民の方々の文化に対する熱い思いを痛感いたしたのであります。
このような成果を踏まえ、今後も東京芸術劇場を積極的に使用し、多彩な文化活動をさらに展開してまいりたいと考えております。
昨年に引き続き本年八月「としま区民芸術祭」として、二十事業を東京芸術劇場を主会場に実施する予定であり、この二十事業のうちには、昭和六十三年から始まり、年々ご好評をいただいております「としま薪能」を例年どおり、東池袋中央公園に特設舞台を設置し、取り行う予定となっております。
区民芸術祭のほかにも、東京芸術劇場を使用し、コミュニティ振興公社への助成事業として各種の事業を計画いたしますが、まず「東京芸術劇場における芸術鑑賞事業」として、一流オーケストラによるクラシック音楽演奏会、レニングラードバレエ団の公演を予定しており、さらに同劇場での一流オーケストラの演奏会や演劇の公演について、その座席の一部を区が買い取り、「東京芸術劇場区民鑑賞助成事業」として、区民の皆様に低廉な入場料でご鑑賞いただこうとするものであります。
次に、まちづくり公社への助成事業といたしまして、区内の地域コミュニティで受け継がれている伝統的な祭りや、イベントの実態調査を実施することになっており、これにより区内全般の祭りとイベントを集大成し、区民の「ふるさと意識」や地域コミュニティへの「帰属意識」の醸成に役立てようとするものであります。
また、国際化対策でありますが、外国人居住者の増加傾向も鎮静化してきた現在、地域社会の中で定着化しつつある外国人との共生と友好関係を一層進めていくため、国際交流を目的とした区内のボランティアグループ等のネットワークづくりに向けて「国際交流連絡会」を設置するものであります。さらに区内在住の外国人を対象に、我が国の伝統文化を理解し、親しんでいただくために、長い歴史に培われた日本古来の武道につきまして、実技の紹介と指導を実施してまいりたいと考えております。
次に、女性センターでございますが、平成四年六月池袋西口に開設予定のメトロポリタン・プラザ十階に設置するため、平成三年度中に内部造作等を行うものであります。この女性センターの効果的な運営について、現在、区民参加による「としま女性センター開設準備委員会」において、精力的にご検討いただいておりますが、新しい男女共同社会を創造する、情報・相談・学習・交流の拠点として、大いにその活用が期待されるのであります。
次に、街づくりの推進について申し上げます。
まず、地区別整備方針によります課題別基本計画の策定についてであります。
昨年三月学識経験者による「地区別整備方針策定委員会」において、歴史・文化・自然・賑わいなど、それぞれの地域や地区固有の特性を活かしたうるおいと個性に富んだ街づくりを進めるため、街づくりの指針となる「地区別整備方針案」をご検討いただき、この内容につきまして、豊島区都市計画審議会に諮り、昨年七月「地区別整備方針」を策定いたし、区内の各方面にPR活動を行ってきたところであります。
この地区別整備方針にもとづき、地区の街づくりを総合的かつ体系的に推進するため、「土地利用」・「道路網形成」・「みどりと広場」・「都市防災」・「副都心」・「アメニティの形成」・「市街地更新の秩序化」の七つの課題別方針に沿って、それぞれの基本計画を順次策定するものであります。
これらの課題のうち、副都心の基本計画につきましては、今年度中に策定を完了するものでありますが、平成三年度におきましては、現在検討を進めております、道路・アメニティのほか、「みどりと広場」を新たに検討課題に加え、基本計画を策定し、長期的な視点に立った街づくりの計画的かつ着実な推進を図ってまいりたいと考えております。
また、池袋副都心における東西の一体化を図り、歩行者空間の拡大と防災性能の向上を期する上で、最も重要な課題として位置付けられております池袋駅東西連絡デッキの整備であります。
平成二年度は国庫補助制度であります「複合空間基盤施設整備事業」の適用を受けまして、歩行者流動等の基礎調査を実施するとともに、調査の中で学識経験者・建設省・東京都・JRをはじめ関係機関等を含めた策定事業調査委員会を設け、デッキの建設のあり方等について協議を行ってまいりましたが、本年三月中には調査結果が報告される予定であります。
平成三年度には、この報告を区議会にご説明申し上げますとともに、広く区民の方々のご理解を求めるため、区民参加による「東西連絡デッキ・シンポジウム」を開催し、さらに事業の進め方や事業主体など、当事者間の協議を進め、整備計画の策定に向けて努力してまいりたいと考えております。
次に、公園・児童遊園についてでありますが、まず、旧国鉄池袋電車区につきましては、昨年十二月土地売買契約を締結いたしたところであり、公園と図書館を一体的なものとして建設に着手するものでありまして、公園機能と図書館機能の融合を図り、公園の中の図書館として、みどり豊かな自然とのふれあいや憩いの場を創出する心のオアシスとしての「図書園構想」の具現化を図るものであります。
平成三年度におきましては、このほか、現在仮児童遊園になっている「都市計画椎名町公園」を景観豊かな緑地空間の建設に向け、基本計画を策定するとともに、児童遊園の新設四カ所、既存の公園・児童遊園の拡張三カ所並びに老朽化した既設の公園・児童遊園三カ所の改修を実施いたすものであります。
また、みどりとうるおいのある街づくりを、地域、学校、行政が三位一体となって推進するため、緑のモデル校として大きな成果をあげている池袋第三小学校に続き、地域に開かれた緑豊かな環境づくりに向けて、道和中学校並びに駒込小学校の周辺緑化整備の基本計画を策定してまいりますとともに、雑司が谷児童館周辺を、隣接する資材置き場の児童遊園化とあわせ、歩行者空間の創出など、緑化整備を一体的に行うものであります。
次に、狭あい道路拡幅整備事業についてでありますが、昭和六十三年度より本事業に取り組み、消防活動や日照・通風など安全で快適な住環境の確保に大きく寄与しているところであります。
平成三年度には建築部内に従来の係を昇格させ、新たに「狭あい道路整備課」を設置するとともに、区有施設接道拡幅五カ年計画の初年度として、十一施設の整備を含め、本事業の一層の促進を期するものであります。
次に緊急に対応すべき四つの課題への取り組みにつきまして順次申し上げます。
第一に定住化対策についてであります。
地価の高騰により、一層深刻化する住宅問題に対応し、区民のだれもが住み慣れた地域で安心して生活を続けていけるよう住宅施策を総合的に展開するため、平成四年度を目途に「住宅マスタープラン」の策定に着手いたすものであります。
このマスタープランは長期的展望のもとに、公共住宅の供給、優良な民間賃貸住宅の供給誘導、住環境の整備等の住宅施策を、街づくりと連動させつつ体系的、総合的に推進するうえで基本となるものでありまして、先に策定しました地域高齢者住宅計画との整合性をも図るものであります。
策定にあたりましては、住宅問題を総合的に所管する組織として、都市整備部内に新たに「住宅対策担当課」を設置しますとともに、専門的な識見を有する学識経験者を中心とした検討組織を設け、幅広い見地のもとに長期的視点に立って検討してまいりたいと考えております。
第二に資源リサイクル対策についてであります。
今日、地球規模の環境・資源問題と連動してリサイクルへの関心が高まる中で、回収品目の増加など資源リサイクル対策の推進が求められているところであります。
区内十三カ所に空缶回収機を設置し、アルミ缶等の回収を実施するとともに、自主回収団体等に空缶プレス機を貸出すなど、資源リサイクルに向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
また、牛乳パック回収事業は、牛乳パック保管庫の増設など必要な措置を講じ、本事業を拡大・充実してまいりたいと考えております。
一方、地域に根ざしたリサイクルを一層推進するため、池袋本町地区に区民集会室と併設により三カ所目のリサイクルルームの建設に着手するものであります。
また、リサイクル通信の発行や、リサイクル講座・リフォーム展等を開催し、環境問題も視野に入れた、啓発・教育に努めてまいりたいと考えております。
こうした諸施策を実施する一方、資源・環境保護など本区に適合したリサイクル社会のあり方を検討するため、学識経験者及び区民各層の代表などによる「リサイクル事業推進会議」を設置し、リサイクル社会の構築に向けて、その具現化への検討を深めてまいりたいと考えております。
第三に大店法緩和対策についてであります。
日米構造問題協議の結果、昨年五月から大店法の運用適正化措置により、出店調整処理期間等の規制緩和が実施されておりますが、昨年十二月の中小企業政策審議会等の中間答申を踏まえ、商調協の廃止や、出店調整処理期間を大幅に短縮するなど、出店手続きの迅速性、透明性等を中心とする法改正が予定されております。
このような動向の中で、地域商店街の生き残りを賭けた真剣な対応が求められているところであります。
まず、中小商工業融資制度の拡充でありますが、預託原資を十二億円から十五億円に拡充しますとともに、利子及び信用保証料の公費負担を引き上げ、一部貸付条件を緩和することといたしたのであります。
また、昨年補正予算で創設した「商店街活性化事業助成制度」を引き続き実施しますとともに、商店街広報活動費助成額及び商店街振興組合助成額の引き上げを図るものであります。さらに、モデル商店街づくりの近代化整備事業及び商店街共同施設整備事業の助成拡充を図り、経営基盤の整備促進を支援する恚のであります。
第四に自動車駐車場対策についてであります。
駐車場不足から生じる違法駐車、迷惑駐車は円滑な交通を阻害し、都市機能を著しく低下させるとともに、緊急車の通行妨害、地域商店街の活性化等に重大な影響を与える要因となっており、その対策が急がれているところであります。
平成三年度におきましては、この対策を所管するセクションとして、土木部内に現行の自転車対策と一体化した交通対策課を新設しますとともに、とりわけ緊急性の高い池袋駅周辺地域について、先に行われた東京都の調査を補完するため、路上駐車の実態、駐車場施設とその利用形態等の調査を実施し、将来の駐車需要を予測して、同地域の「駐車場整備指針」を作成してまいりたいと考えております。あわせて、グリーン大通り等について、公共駐車場整備のための基礎的な調査を実施いたすものであります。
次に、新庁舎及び新公会堂の建設についてでありますが、昨年十二月、「新庁舎等建設審議会」より、その求められる理念、果たすべき機能、設置すべき施設、それぞれの規模等「建設計画に関する基本構想」についてご答申をいただきました。現在、この基本構想の実現に向けて、諸条件の整備を図り、財源やスケジュール等を含めた「建設基本方針」の決定に向けて、努力を重ねているところでございます。
平成三年度におきましては、この基本方針のもとに、施設の具体的な配置や形態を明らかにする「基本計画」を策定するものであります。この基本計画の策定にあたりましては、広く区民の方々へ周知し、ご意見ご要望等を計画に反映してまいりたいと考えております。
次に都区制度改革について申し上げます。
第二十二次地方制度調査会からの「都区制度改革に関する答申」を踏まえ、都区制度改革の実現に向けて、都区協議会のもとに「都区制度改革推進委員会」が設置され、一方、区長会におきましても都区制度改革の推進について、機動的かつ的確な対応を図るため「特別区制度改革推進協議会」を設置し、それぞれ実現化に向けて検討をすすめているところであります。
本区におきましても、特にごみの収集・運搬等清掃事業の移管は、都区間の財源配分問題と並んで大きな課題となっており、関係機関等との緊密な連携のもとに、その推進に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えております。
以上をもちまして、平成三年度一般会計予算の概略につきましての説明を終わらせていただきます。
この一般会計に、国民健康保険事業会計、老人保健医療会計及び従前居住者対策会計の三特別会計を加えますと、本区の平成三年度の予算総額は対前年度比十二・四%増の千二百十五億四千八百六十一万六千円となったのであります。
本日ご提案申し上げます案件は、条例二十二件、予算七件、その他二件のあわせて三十一件でございますが、各案件につきましては、後刻、助役より説明をいたさせますのでよろしくご審議のうえ、ご協賛を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
これをもちまして、私の招集挨拶並びに所信表明を終わらせていただきます。