平成3年第2回区議会定例会招集あいさつ

【目録を見る】

 本日ここに平成三年第二回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位には、何かとご多忙の中にもかかわりませず、ご出席を賜りまして、深く感謝を申し上げる次第でございます。


 さきの臨時会におきましては、区議会の最高人事を含む議会構成が決定され、豊島区政の一層の発展を目指して、議会活動が鋭意展開されておりますことに対しまして、衷心よりお慶びを申し上げる次第でございます。


 本定例会は申すまでもなく、私自身、このたびの選挙におきまして、改めて区民の皆様から崇高なる信託を受け、引き続き区長に就任いたしましてから、初めての定例会でございます。ここに謹んで区民を代表される区議会の皆様に深甚なる敬意を表しますと同時に、今後の区政の執行につきまして、これまで以上に特段のご指導ご協力を賜りますよう、衷心よりお願いを申し上げる次第でございます。


 この際、開会にあたりまして区政運営に対する私の所信の一端を申し述べたいと存じます。


 私は、このたびの選挙により、再び区長の重責を担わせていただくことになりましたが、選挙という厳粛な審判を通して、福祉、まちづくりをはじめ、区政の各般にわたり、区民の皆様の期待と要求がいかに強烈でかつ切実なものであるかを、改めて痛感いたした次第でございます。


 このような区民の皆様から寄せられた熱い想いと信頼にお応えするため、真に豊かな幸せづくりと血のかよった区政の充実発展に、心魂を傾けて誠心誠意努力いたすべく、決意を新たにいたした次第でございます。


 さて、今日の区政におきましては、高齢化、国際化、高度情報化の急速な進展等、急激に変化する社会経済環境の中にあって、これらの情勢を敏感に受け止め、全行政分野にわたりまして、将来への展望と見通しの上に立った施策を推進することが、従来にも増して一層重要であると思うのでございます。


 このような基本的な考え方のもとに、昨年度あいついで「高齢社会対策総合計画」、「新公共施設整備中期計画」、「地区別整備方針」等の各種の行政計画を策定いたしたのでございますが、これらはいずれも計画行政を展開していく上での中核をなすものであり、区民生活に密着した各種施策を長期的視点に立って、的確かつ総合的・体系的に推進していくための指針となるものでございます。


 ご案内のとおり、本年度の一般会計予算は、これらの行政計画に基づく諸事業はもとより、全行政分野の効果的な展開に配意しつつ、高齢社会対策、地域文化の振興、まちづくりの推進を重点施策に据えますとともに、新たに定住化対策、資源リサイクル対策、大店法緩和対策、自動車駐車場対策を緊急に対応すべき課題として位置づけ、編成をいたしたものであり、現在、事務事業の効果的かつ着実な執行に総力を挙げて取り組んでいるところでございます。


 ここで、これらの主な事業の進捗状況につきまして、その概略をご報告申し上げたいと存じます。


 まず、本年度を初年度とする計画期間十カ年の高齢社会対策総合計画について申し上げます。計画を円滑かつ着実に実現していくための推進体制でございますが、先般、庁内に区長を本部長とする「高齢社会対策推進本部」を設けますとともに、区民各層からなる「高齢社会対策推進区民会議」を設置したところでございまして、今後、各委員の方々の豊富な経験と知識のもとに、幅広い見地からのご提言をいただきながら、計画の推進について万全を期してまいる所存でございます。


 次に、高齢社会対策の中でも、とりわけ重要な課題となっております在宅福祉サービスの推進についてでございますが、社会福祉協議会で実施を予定しております、住民参加型在宅福祉サービスにつきましては、本年十月一日の事業開始に向けて、区広報やポスター等による周知、また区政連絡会や民生委員協議会への協力依頼も含めまして、準備を進めているところでございます。


 この事業は、職員の派遣も含め、区からの全面的な援助により実施するものでありまして、日常生活を営む上で家事や介護等の援助を必要とする区民を利用会員に、サービスを提供する方を協力会員とする「会員制有料在宅福祉サービス」であります。さきにこの事業の愛称を「リボンサービス」と定め、より多くの方々にご理解をいただき、区民の連帯感に根ざした、地域福祉の新たな要として発展いたしますよう願っているところでございます。


 さらに、社会福祉協議会におきましては、区からの助成により、ご家庭で高齢者のお世話をされていて介護方法にお悩みの方、リボンサービスの協力会員としてサービス提供をお考えの方、家庭介護に関心をお持ちの方等を対象に、潜在的福祉マンパワーの養成を図る観点も含めまして、介護技術や介護一般に関する知識に関しての「区民家庭介護教室」を実施するものでありまして、その第一回を本年七月、七日間のコースで開催を予定しているところでございます。


 また、社会福祉協議会で設置を予定しておりました「地域福祉振興基金」につきましては、区から原資を助成いたしたところでありまして、この基金の設立により社会福祉協議会の自主財源が大幅に拡充され、会員制有料在宅福祉サービス事業の推進を含め、地域福祉の中核的組織として、より一層地域に密着した福祉活動の効果的な展開が期待されるところでございます。


 次に、地域の在宅福祉サービスの拠点となる高齢者在宅サービスセンターでありますが、ご案内のとおり、長崎豊寿園が、本区四つ目のセンターとして、他の六施設と合築により、本年三月に竣工し、六月一日より事業を開始したところでございます。併設のことぶきの家、区民集会室等、広く区民の方々にご利用いただき、地域コミュニティの核として発展いたしますよう大いに期待しているところでございます。


 次に、高齢者集合住宅についてでございますが、五カ所百戸の建設計画の第一号としての「要町つつじ苑」は、先般、十六戸すべての入居が完了いたしたところでございまして、現在工事を進めております千川二丁目地区三十戸、東池袋五丁目地区十一戸につきましては本年度中に、巣鴨四丁目地区十三戸につきましては、平成四年度に竣工の予定でございます。また、長崎六丁目地区の三十戸につきましても、平成四年度の竣工を目指し、本年七月中に着工する予定でございます。


 次に、福祉のまちづくり事業における区有施設の福祉環境整備でございますが、本年三月、南大塚社会教育会館の外階段に斜行型昇降機、会館とホールを結ぶ階段に垂直型昇降機を設置し、去る五月三十一日に関係者の方々による試乗会を行ったところでありまして、障害のある方や高齢者の方々に容易に施設をご利用いただけるよう整備を図ったところでありますが、引き続き本年度も千早社会教育会館をはじめ、区有施設十六施設の改修を進めているところでございます。


 次に、区民が身近に芸術に接する機会を創出する「としま区民芸術祭」でございますが、昨年、「東京国際演劇祭'90」に引き続き第一回を開催し、四万三千人にのぼる多くの区民の方々にご鑑賞いただき、多大な成果をおさめたところでございます。


 本年は、このような成果の上に立って、区内に在住する優れた芸術家の参加や「としま薪能」のほかに、海外劇団の招へいなども含め、より充実した多彩な内容により、八月二十二日より十一日間、国際都市にふさわしい開かれた芸術祭として開催するものでありまして、現在、準備を進めているところでございます。


 次に、新しい男女共同社会の実現に向けて、男女相互理解を深める拠点となる(仮称)女性センターの設置についてでありますが、メトロポリタンプラザビル内に平成四年六月の開設に向けて、多目的ホール、情報、相談コーナー等の間仕切りや仕上げ工事を含む内部造作について、本年七月に着工する予定でございます。


 次に、秀山荘の改築についてでございますが、自然環境に恵まれた立地条件を十分に活用し、区民の余暇活動や健康増進等、多様なニーズにお応えするとともに、あわせて区立小中学校の移動教室、林間学校をより一層充実いたすべく、本年七月改築に着手し、平成五年度の供用開始を目指すものでございます。


 次に、学校法人川村学園所有の「三芳グランド」についてでございますが、区立の本格的な野外スポーツ施設として整備するため、別途ご提案しておりますとおり、学園グランド四万一千平方メートル余のうち、一万七千平方メートル余を取得するものでありまして、残りの二万四千平方メートル余につきましても川村学園との協議が整い次第、取得してまいりたいと考えております。なお、整備につきましては、平成五年度の竣工に向けて、本年度実施設計を行い、平成四年度にグランド造成、クラブハウスの建設に着手する予定でございます。


 次に、街づくりを推進するための課題別基本計画の策定についてでございます。地区別整備方針に基づき、七つの課題別基本計画の策定を順次進めているところでございますが、これらのうち「副都心整備基本計画」につきましては、去る五月に策定作業が完了いたしたところでございます。


 この計画は、副都心の「機能の充実」、「交通体系の整備」、「魅力ある副都心空間の実現」の三つの整備方針のもとに、魅力に富んだ個性豊かな副都心の育成・整備を図ることを目的として策定したものでありまして、平成三年度から十カ年間に取り組むべき副都心整備に関する具体的な施策を八つの分野に体系化し、その展開方向、手順等を明らかにしたものでございます。


 計画内容等につきましては、近く、区議会にご説明申し上げ、ご意見をお伺いいたし、副都心整備に関わる民間や関係諸機関等の計画や事業を効果的に誘導し調整するなど、長期的視点に立った街づくりを総合的かつ計画的に推進してまいりたいと考えております。


 次に、池袋駅東西連絡デッキの整備でありますが、整備計画策定に向けて実施いたしました「複合空間基盤施設整備事業」の調査結果につきましては、さきの豊島副都心開発調査特別委員会におきまして、ご報告申し上げたところでございます。今後、関係機関と協議を進め、線路上空東西連絡デッキの早期実現に向けて、具体的に検討を深めてまいりたいと考えております。


 次に、本区の住宅施策を総合的・体系的に推進する上で基本となります「住宅マスタープラン」の策定についてでありますが、公的住宅の建設や住環境の整備等、住宅施策のあり方について、幅広い見地から総合的に検討するため、学識経験者等を中心とする「住宅問題検討委員会」を近く発足させるべく準備を進めているところでございます


 次に、資源リサイクル対策でありますが、資源・環境保護のあり方等について検討するため、学識経験者、区民各層の代表からなる「リサイクル推進会議」を設置し、去る六月十七日に第一回を開催したところでございまして、資源の有効活用やごみの減量等の施策をさらに発展させ、本区におけるリサイクル型社会の構築に向けて、検討を進めるものでございます。


 また、資源リサイクル実践の一環としての空き缶回収事業についてでありますが、既に消費生活センターほか区有施設三カ所に各一台ずつ空き缶回収機を設置し、近く、先行的に実施すべく準備を進めているところであります。なお、残り九カ所につきましては、機械メーカー側との交渉の中で、かねてより本区が要請しておりました多種類の空き缶に対応できる新機種が、九月ごろまでには製品化されることとなりましたので、その生産を待って設置するものでございまして、その際には先行的に設置しました四台につきましても、新機種に交換してまいりたいと考えております。


 さらに、自主的回収団体等に対する空き缶プレス機の貸出しにつきましても、既に説明会を実施し、七月上旬にはPTAをはじめとする希望団体等に貸し出す予定となっております。


 次に、大店法緩和対策についてでありますが、昨年の大店法運用適正化に続いて、さきの国会で成立した改正法が、早ければ年内にも施行される見込みとなり、商店街を取り巻く環境は一段と厳しいものとなってまいりました。


 本区では、こうした動きに先駆け「商店街活性化事業助成制度」の創設をはじめ、各種の事業助成を大幅に拡充するなど、経営基盤の整備促進に向けた支援策を積極的に講じているところでございますが、なお、改正法施行を控え、引き続きその動向を見守りつつ、積極的に対処してまいりたいと考えております。


 次に、違法駐車、迷惑駐車への対策についてでありますが、とりわけ緊急性の高い池袋駅周辺地域について、駐車実態等の調査に着手したところでありまして、本年度中に同地域の駐車場整備指針を策定する考えでございます。また、この整備指針の策定と並行して、グリーン大通り等について、道路の形態、支障物件等、駐車場設置の可能性についての技術的基礎調査を進めているところでございます。


 次に、新庁舎及び新公会堂の建設についてでございますが、建設の基本的な指針として、規模、財源、スケジュール等も含め、建設計画の道すじを明らかにした「建設基本方針」の策定作業が終了いたしますので、近く区議会にご報告申し上げ、ご意見等をいただき、決定してまいりたいと考えております。また、この基本方針に沿って、引き続き新庁舎等の具体的な形態や配置等を内容とする「建設基本計画」の策定に着手する考えでございます。


 以上のとおり、本年度の主な事業の一端につきまして、その進捗状況を概略ご報告申し上げましたが、今後とも事務事業全般にわたり、その執行に万全を期してまいる所存でございます。


 最後に、本日ご提案申し上げます案件は、報告一件、条例改正五件、工事請負契約七件、土地の買入れ一件、合わせて十四件でございますが、後刻、日程に従いまして、助役より説明いたさせますので、よろしくご審議の上、ご協賛を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。


 以上をもちまして、私の招集挨拶並びに所信表明を終わらせていただきます。