本日ここに平成三年第三回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位には何かとご多忙の中にもかかわりませず、ご出席を賜りまして深く感謝を申し上げる次第でございます。
我が国の経済の現状は、一昨日経済企画庁が発表した九月の月例経済報告で見る限り、これまでの報告にはなかった「緩やかな減速」という表現が付け加えられており、景気拡大の足取りが衰えていることを示しております。
今回の景気拡大が、戦後最長のいざなぎ景気の記録を更新するか否かは、今後の公式の発表に待たなければなりませんが、大蔵省から同日発表された景気予測調査などによっても、企業の収益が昨年度に比べて減少するとする見方が根強く、その結果、法人関係の税収の落込みが懸念されるところでございます。
都区財政調整を通じまして、法人関係税収は本区の財政にも一定の影響を及ぼすことは必至でございまして、財源の有効な活用と、行政の効率的な運営が従来にもまして必要と考えており、今後一層、諸施策の効果的な展開に配意しつつ、高齢社会対策をはじめとする重点施策など、事務事業の着実な推進に努めてまいる所存でございます。
この際、当面する重要課題につきまして所信の一端を申し述べたいと存じます。
今日、ごみ処理の問題は、地球的規模の環境問題へと広がり、ごみと地域社会との関わりがますます深まる中で、東京都においては、新たな最終処分場の建設や可燃ごみの全量焼却を達成するための清掃工場の建設など、とりわけ緊急な課題となってきております。
一方、最大の懸案であります特別区制度改革につきましては、昨年の地方制度調査会の答申以降、関係法令の改正を国及び関係機関に働きかけるとともに、事務事業及び税財政制度を中心に、都区の実務レベルでの検討を重ねているところでございますが、なかでも一般廃棄物の収集・運搬事務は、従来の移管事務に比べてはるかにスケールが大きく、中間処理施設の確保や積替え基地の整備をはじめとして、資源リサイクル対策の視点も含め、ごみ問題そのものについての検討を必要とするなど、取り組むべき課題が相当残されております。
ごみ問題の解決には、ごみの排出を抑制する施策の推進と、排出されたごみを資源化・減量化する中間処理施設等の整備が極めて重要であります。
したがいまして、リサイクル運動や省資源活動の一層の促進とあわせ、ごみの自区内処理の原則を基本に据えて、清掃工場の建設についても東京都と連携しつつ、用地の確保について積極的に検討してまいったのでございます。
その結果、ご案内のとおり西武鉄道株式会社の格別なるご理解により、池袋スケートセンターの敷地を清掃工場用地として東京都に譲渡していただける見通しとなったのでございます。
今後、建設の時期、工場の規模等について、東京都と協議を進め、日常生活に不可欠な基幹的施設として検討を深めてまいる所存でございます。
また、この清掃工場建設予定地に隣接する区有地は、昨年三月国鉄清算事業団より買収した土地でありますが、この区有地において、現在実施設計を進めております特別養護老人ホーム等七施設の建設につきましては、工場建設が大きく影響するものと懸念されるところであり、今後の計画の進め方等につきまして、見直しを含め、多角的な面から抜本的に検討を加える必要があると考えております。
今後この問題について、都区間で協議を進めていく過程で、重大な判断を迫られることも十分予想されますので、その時点で区議会にもご相談申し上げ、慎重に対処してまいりたいと考えております。
さて、今回ご提案申し上げました案件のうち一般会計補正予算第一号につきまして、その概略をご説明申し上げます。
この補正予算は、去る七月十五日の都区協議会において決定した、平成三年度都区財政調整区別算定結果並びに平成二年度一般会計決算状況を踏まえまして、緊急に対処すべき事務事業に要する経費その他あわせて百二十六億千百万円を計上いたしたものでございます。
歳出の経費別内訳を申し上げますと、人件費及び事業費として十五億二千四百万円、投資的経費として百十億八千七百万円となっております。
最初に、人件費及び事業費の主な内容について申し上げます。
まず、去る八月十二日特別職報酬等審議会の答申に基づく区議会議員の報酬及び区長等特別職の給料の改定並びに行政委員会委員、その他の非常勤職員の報酬の改定に伴う経費の追加額を計上いたしたのでございます。
次に、テレビ電波受信障害対策の調査についてでございますが、近年、建築物等の中高層化の進展に伴い、原因者の特定できない複合電波障害の発生等、テレビ電波受信環境の悪化が顕著になってきており、その対応が急がれているところでございます。
したがいまして、原因者負担の原則に基づく障害対策が講ぜられないまま、日常難視聴に悩んでおられる区民の方々の相談等に適切に対応するとともに、今後における対策を総合的に検討するうえでの基礎資料とするため、区内全域にわたり共同受信施設の設置状況や運営実態について調査をするものであります。
次に安全で快適な住環境を創出する狭あい道路拡幅整備事業についてでございますが、事業実施以来三年を経過し着実に実績を上げ、本年度も当初の事業見込みを大幅に上回る実施状況となっておりますことから、事業実施経費を追加計上いたすものであります。あわせて、本事業をより一層迅速に推進し、年々膨大化する事業データの管理や、進捗状況の的確な把握等、進行管理を効果的に行うため、オフィスコンピューターの導入を図るための所要の経費を計上するものでございます。
次に、中学生の海外派遣のための調査についてでありますが、先般、派遣先としてオーストラリアのタスマニア州の教育視察を行い、文化、自然環境、治安及び受入れ体制等について検討を進めてきたところであります。
中学生の海外派遣につきましては、諸外国の生活・文化や異なる考え方を認識し、それらを理解・尊重する態度を培う等、生徒が国際理解を深めるうえで貴重な体験となるものであり、平成四年度の実施に向けて、現地での活動内容や活動施設等について、校長等学校関係者を中心に詳細な実施踏査を行うため、その所要経費を計上するものでございます。
次に、学校情報連絡網の整備についてでありますが、教育委員会と各学校との情報連絡を現在の電話による連絡網からファクシミリによる連絡網にかえて、情報連絡の迅速性・正確性等を期するものでございます。
次に、投資的経費の主なものを申し上げます。
まず、用地取得についてでございますが、施設建設計画を着実に推進いたしますためには、必要とする用地を建設計画に沿って取得することが基本でありますが、需給バランス等から、必ずしも計画年度に取得することが難しい場合もありまして、とりわけ大規模施設用地につきましては、こうした傾向が顕著となっております。
こうした中で、このたび在宅福祉サービスとともに、とりわけ緊急性の高い施設入所サービスの充実に向け、特別養護老人ホーム等の建設用地として、長崎四丁目地区に適地を得ましたので、用地取得費等所要の経費を計上いたすものでございますが、これにより高齢社会対策総合計画に基づく特別養護老人ホームの建設計画年次を繰り上げ、平成六年度の開設を目指すものでございます。
次に、三芳グランドについてでありますが、ご案内のように、一部につきましては先に取得いたしたところでございまして、残りの二万四千平方メートル余につきましての取得経費を計上するものであります。
次に、土地開発公社運営経費についてでありますが、公社で取得いたします南長崎一丁目地区高齢者集合住宅用地をはじめ、(仮称)商工・消費・リサイクルセンター建設用地としての区民センター隣接地等につきまして、公社の金融機関への償還金相当分について貸付金として追加計上するものでございます。
なお、商工・消費・リサイクルセンターにつきましては、商工業の振興、消費生活の向上、リサイクル推進を一体的・総合的に展開していくための拠点施設として計画するものでございます。
以上、歳出について申し上げましたが、これら所要額の財源といたしましては、繰越金十四億八千九百万円のほか、財政調整基金及び用地取得基金を取り崩し二十七億千九百万円を充当いたしますとともに、特別区債八十億千六百万円、その他の特定財源を計上いたすものでございます。
なお、公社で取得いたします区民センター隣接地の取得費相当分七十五億円についての債務保証、ほか二件についての所要経費を債務負担行為として補正計上いたしております。
以上が一般会計補正予算第一号の概要でございますが、これにより当面の財政需要に対処いたしますと同時に、今後の財政運営に万全を期してまいりたいと考えております。
最後に、本日ご提案申し上げます案件は、条例八件、契約三件、予算一件でございますが、各案件につきましては、後刻、日程に従いまして助役より説明をいたさせますので、よろしくご審議のうえ、ご協賛を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
以上をもちまして、私の招集挨拶並びに所信表明を終わらせていただきます。