本日ここに平成四年第二回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位には参議院議員の選挙を目前に控え、国政上重要なこの時期、何かとご多忙の中にもかかわりませずご出席を賜り、深く感謝を申し上げる次第でございます。
また、ただいまは区議会の議決に基づきまして、永年功労議員として表彰をされました五名の議員の方々、私からもここに改めて五名の方々に限りない栄誉をたたえ、大きなご功労に対しまして感謝を申し上げる次第でございます。ありがとうございます。
さきの臨時会におきましては、区議会の最高人事を含む議会構成が決定され、豊島区政の一層の発展を目指して、議会活動が鋭意展開されておりますことに対し、衷心より敬意を表する次第でございます。
さて、我が国の経済は、過日経済企画庁が発表した月例経済報告においても「日本経済は調整過程にあり、引き続き景気の減速感が見られる」としており、公共事業の前倒しを柱とする緊急経済対策や公定歩合の引き下げなどの景気回復策を講じているものの、なお設備投資や個人消費の鈍化傾向が続くとの判断を示しているのでありまして、依然として先行き不透明な景気動向等から、残念ながら区の財政状況は一段と厳しくなるものと予測いたしております。
このような景気後退局面という近年にない険しい財政環境のもとで、健全な財政運営を堅持しつつ、目下事務事業の計画的かつ効率的な執行に全職員の創意と工夫を結集し、全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
ご案内のように、本年度の一般会計予算は、長期的視点に立って財源の計画的かつ重点的な配分のもとに焦眉の課題であります三大都市問題、すなわちゴミ、住宅、車への対応とともに、福祉、文化、街づくりの向上発展に力点をおいて編成をいたしたものでございます。
この際、これらの主な事業の進捗状況につきまして、その概略をご報告申し上げたいと存じます。
最初に、資源リサイクル対策についてでございます。
リサイクル型社会の構築を目指しまして、平成四年度を本区の「リサイクル推進元年」と位置づけ、新たに設置いたしましたリサイクル推進課を中心に各種のリサイクル活動を推進しているところでございます。
まず、資源回収事業の一環としての空き缶回収事業でございますが、昨年、区有施設十三カ所に空き缶回収機を設置し大幅な実績を挙げておりますが、この実績を踏まえ、先般福祉ホームなど区有施設三カ所に新たに空き缶回収機を増設いたし、その拡充を図ったところでございます。
さらに小中学校において、実践活動を通した環境への意識啓発を培うことを目的とした「学校空き缶デー」の実施に向けて、現在準備を進めているところでございます。一方、リサイクルのシンボル的事業として普及してまいりました牛乳パック回収事業でございますが、区民の方々のご要望にこたえ、七月より新たに個人受付を開始しますとともに、事業者との連携の観点から区内スーパーにも働きかけ進めてまいりました店頭回収につきましても、これまでの五店舗に加え、七月より新たに五カ所のスーパーにおいても開始する運びとなりました。また、本年度新たに実施いたします乾電池回収事業につきましては、本庁舎及び全出張所、ほか一カ所に回収箱を設置しているところでございまして、七月より本格的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、ゴミ減量・リサイクル施策の都区の役割分担についてでありますが、実効性ある施策を効果的に展開していくことを基本に、本年二月の都区協議会において収集資源物の処理ルートの確保や、事業系を中心としたリサイクル事業を都の役割とし、集団回収支援事業の都からの移行も含め、家庭系を中心としたリサイクル事業を区の役割とすることについて決定をいたしたのでありまして、現在特別区におきましては七月一日を目途に集団回収支援事業の受け入れについて準備を進めているところでございます。この集団回収支援事業の本区の取り組みにつきましては、ご承知のとおり昭和四十七年より区内全域を対象とするゴミ減量運動、いわゆる豊島方式が定着し、回収実績においても、また参加団体数においても二十三区随一の大きな成果を上げているところであり、全国的にも注目されているところでございます。
次に、住宅対策についてであります。
本区における住宅及び住環境問題を解決する方策につきましては、昨年八月発足しました「住宅問題検討委員会」において、総合的に検討を進めており、本年三月に中間報告がまとめられたところでございます。すなわち「住生活の安定」「主体的参加の推進」「コミュニティの形成」の三つの基本理念を掲げ、本区の住宅政策の基本的な考え方を明らかにするとともに、合わせて緊急に取り組むべき課題として、ファミリー世帯への公的住宅の供給等、十二項目にわたる提言を内容としております。現在、この提言にこたえ、とりわけ緊急性の高い中堅ファミリー層への住宅対策として、いわゆる区民住宅制度を創設するため検討を急いでいるところでございます。この制度は、国の定める地域特別賃貸住宅制度を活用し、良質な賃貸住宅の建設を促進するとともに、家賃対策をも併用するものであります。
さらに、持家世帯への緊急対策として、街づくり事業地区以外の一般世帯に対しましても、住宅の改善や三世代住宅への建て替えに要する資金の融資あっせん、利子補給を内容とする「住宅建設資金融資制度」を実施いたすべく準備を進めているところでございます。また、本区の住宅・住環境の実態を明らかにする住宅白書につきましては、現在最終的なまとめを行っているところでございまして、この白書をもとに区民の方々はもとより、事業者も含め、広く住宅街づくりへの参加と協力を得てまいりたいと考えております。
次に、長期的視点に立った住宅施策の総合的かつ体系的な推進についてでございますが、住宅問題検討委員会におきまして、引き続き住宅施策の具体的な推進方策等、最終報告に向けて検討を深めていただいているところでありまして、先の住宅白書を含め、区議会にご報告申し上げますとともに、本年度中に住宅マスタープランを策定し、各種施策の効果的かつ計画的な展開に努めてまいる所存でございます。
次に、駐車場対策についてでございます。
まず、駐車場整備計画の策定についてでありますが、この計画は池袋駅を中心とする東西の駐車場整備地区における整備に関する基本方針、整備の目標量や目標年次、公共と民間の役割分担に基づくそれぞれの整備方策等を内容とするものでありまして、現在これらを専門的かつ実務的に検討する組織として、関係機関等で構成する「駐車場整備連絡協議会」を発足させるべく準備を進めているところでございます。また、複数の駐車施設の統合運用を図り、駐車施設の利便性と利用効率を高めるための「駐車場有効利用促進システム」の策定についてでありますが、とりわけ緊急性の高い池袋地区につきまして、建設省の補助事業としての指定を受け、取り組んでまいりたいと考えております。このシステムは、東京都が池袋地区をモデル地区として導入を予定し、本年度から調査を開始します電光表示の「駐車場案内システム」との整合を図りながら策定するものでありまして、これが完成いたしますと、新たに駐車場を新設するのに匹敵する効果が期待できるばかりでなく、交通渋滞の解消にも大きく寄与するものと考えております。
次に、池袋駅西口地区における当面の駐車場対策についてでありますが、地区内の円滑な交通の確保や違法駐車の解消を図るため、メトロポリタンプラザビルのオープンに先がけて、去る六月五日に駐車場案内標識を設置いたしたところであります。この標識設置は、「駐車場有効利用促進システム」や「駐車場案内システム」等の総合的な駐車場対策が実施できるまでの間、既設の駐車場の有効利用促進の一環として、試験的に取り組んだものであります。今後、その効果等を十分に見きわめ、東口方面等への設置をも含め、引き続き多角的な視点から検討してまいりたいと考えております。
次に、福祉についてであります。
まず、高齢者住宅についてでありますが、本年四月のアゼリア東池袋十一戸に続き、五月に千川つつじ苑三十戸が開設し、昨年開設いたしました要町つつじ苑十六戸と合わせ、五十七戸の整備を終えたところでありまして、現在建設中の巣鴨四丁目地区十三戸、長崎六丁目地区三十戸が竣工いたしますと、地域高齢者住宅計画における四百戸の整備計画のうち、当初計画いたしました百戸の整備が完了するものであります。
次に、地域の在宅福祉サービスの拠点として整備しております高齢者在宅サービスセンターでありますが、先般、高齢者住宅と併設の千川豊寿園が五つ目の施設として開設いたしたところでございまして、ご家庭での入浴が困難な方が座ったまま入浴できる設備を備え、送迎つきの入浴サービスとして、ご好評をいただいているところであります。さらに六つ目の高齢者在宅サービスセンターとして、長崎六丁目地区高齢者住宅に併設する施設につきましても、千川豊寿園と同様の入浴サービス機能を備え、平成五年三月に竣工の予定でございます。
次に、福祉のマンパワー確保のためのホームヘルパー等養成講習会でございますが、六月三日より第一回目の講座を実施しているところでございまして、定員を大幅に上回る申し込みをいただき、現在五十名の方が熱心に受講されているところでございます。
次に、心身障害者の方々の親なき後対策として、本年四月に開設いたしました福祉ホーム「さくらんぼ」でありますが、開設以来、既に緊急一時保護事業として、二十五名の方が延べ百七十七日間、また自立生活訓練事業として九名の方が延べ七十二日間ご利用されるなど、有効な活用が図られているところであります。また、この施設内に設置いたしました「手話通訳者派遣センター」も手話通訳に関する情報交換・PR活動も含め、迅速かつ円滑な派遣業務に努めているところでございます。
次に、文化の振興についてであります。
まず区制施行六十周年記念事業についてでありますが、区民参加による各種の記念事業を進めてまいりますため、その中核となる推進組織として区議会議員を初め、区民の各界各層からご参画をいただき、「豊島区制施行六十周年記念事業実行委員会」が去る四月二十二日に発足いたしたのでございます。この実行委員会におきまして、記念事業の推進に関し多様な観点から、ご意見、ご要望等についてご検討いただき、本年を区民の皆様方にとって名実ともにより身近な基礎的自治体として飛躍する年となりますよう、多彩な記念事業を積極的かつ効果的に展開してまいりたいと考えております。既に、民間主体の最初の記念事業として、アゼリアフェスティバル実行委員会による「アゼリアフェスティバル92」が四月二十五、二十六日の両日、池袋本町公園及び池袋西口公園において、全国十三の都市から寄贈されたツツジの植栽による「アゼリア名所づくり」を初め記念イベントや苗木の配布等、花と緑の祭典が多数の区民の皆様のご参加のもとに開催され、また区主催によります最初の記念事業として、五月十、十七の両日、千早フラワー公園において実施いたしました「花壇コンクール」につきましては、区内四十八団体にも及ぶ区民の皆様の植栽により、創意と工夫を凝らしたデザインのもと、色鮮やかな草花が咲きほこり、自然を愛する多くの区民の皆様に潤いと安らぎと感動を覚えていただいたのでございます。
次に、去る六月十日にオープンいたしました男女平等推進センター「エポック10」でございますが、年齢、性別を超えて、より多くの方々に広くご利用いただけるよう、マンモスターミナル池袋に建設されたメトロポリタンプラザビルの十階に開設いたしたのでございまして、現在オープニングイベントとして、さまざまな角度から女性問題に視点を当てた講演やシンポジウム等を、それぞれの分野でご活躍の著名な方々を講師にお招きいたし、多くの区民の皆様のご参加のもとに企画実施いたしておるところでございます。今後、このセンターを核にして新たな文化創造の発進基地にふさわしく、情報・相談・学習・交流のさまざまな事業を効果的に展開してまいりたいと考えております。
次に、街づくりについてであります。
まず、地区別整備方針のもとに策定を進めてまいりました、課題別基本計画の一つでありますアメニティ形成基本計画でございますが、このたび策定作業が終了し、先の豊島副都心開発調査特別委員会においてご説明申し上げたところでございまして、今後この計画の推進に向けて、事業者の責務等も含め、実効性を担保するため、アメニティ条例の制定、ガイドラインの策定等、長期的視点のもとに景観豊かなアメニティの形成を基本とする街づくりの実現に努めてまいる所存でございます。
次に、歩行者、来訪者の案内と、魅力ある快適な景観づくりのための「総合サイン整備事業」についてであります。駅や地下通路出入り口付近等の誘導拠点に「総合案内サイン」、来街者及び車両利用者への利便を図る「区道通称名サイン」、歴史と文化への理解と共感を育む「史跡サイン」をそれぞれ有機的に結びつけ、そのデザインを統一いたしますとともに、国際化にも対応し、英語を併記して体系的に整備を進めるものであります。本年は、事業化の初年度として、池袋駅東西及び南出入り口に大拠点サインとして地図や誘導表示等を一体化した総合案内サインを設置するほか、これを補完する拠点サインを地下通路出入り口付近を中心に設置するものでありまして、早期に整備いたすべく、現在設置場所等を含め関係機関と協議を進めているところであります。
以上のとおり、本年度の主な事業の一端について、その進捗状況を概略ご報告申し上げましたが、今後とも事務事業全般にわたり、その執行に万全を期してまいる所存でございます。
最後に、本日ご提案申し上げます案件は、報告二件、条例十一件、契約九件、その他一件、合わせて二十三件でございますが、後刻日程に従いまして、助役より説明いたさせますので、よろしくご審議の上、ご協賛を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
以上をもちまして、招集のごあいさつとさせていただきます。