平成4年第3回区議会定例会招集あいさつ

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 本日ここに、平成四年第三回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位には何かとご多忙の中にもかかわりませず、ご出席を賜りまして、深く感謝を申し上げる次第でございます。


 この際、今後の区政運営につきまして、所信の一端を申し述べ、議員各位並びに区民の皆様にご理解とご協力を賜りたいと存じます。


 先般公表されました、「八月の日銀短観」によりますと、日本経済は長引く在庫調整を主因に景気後退感は一段と強まり、第二次石油危機に伴う不況時に並ぶと報ぜられております。


 このような中で、第五次公定歩合の引下げに引き続き、去る八月二十八日、政府は低迷する景気の浮揚を図るため、「総合経済対策」を決定いたしました。


 その内容を見ますと、公共投資の拡大、住宅投資の促進、民間設備投資の拡大、中小企業対策、金融システムの安定、証券市場の活性化等、幅広い分野にわたっており、その事業規模は過去最大の十兆七千億円となっております。


 しかしながら、これらによっても、日本経済が複合する不況要因を克服して、成長路線を再構築するためには、ある程度の時間を要するのではないかと考えております。


 また一方では、国においても都においても、早くも本年度の歳入欠陥が伝えられており、企業業績の不振による法人関係税収や、金利の低下による利子関係税収を中心に、国税では三兆円から四兆円、都税では五千億円の減収と報ぜられております。


 本区の歳入の大宗を占める、特別区民税や特別区交付金を初めとする一般財源も、景気の影響はもとより、制度的に東京都の財政環境を真っ向から反映する財政構造となっており、区財政はさらに厳しくなることは必至でありまして、一段と堅実な財政運営を根幹に据え、効果的な行政運営の一層の推進に決意を新たにいたしているところでございます。


 このような考えのもとに、先般、庁議において平成五年度の予算編成方針を決定いたしたのでございまして、区民生活に直結した諸事業を停滞させることなく、行政の継続性にも十分配慮しつつ、新たな発想のもとに事務事業を見直すとともに、組織の再編と総定数の抑制を図り、長期的展望のもとに財源の重点的、かつ効率的な配分を基本において、行財政の活性化に努めてまいる所存でございます。


 次に、今回ご提案申し上げました案件のうち一般会計補正予算(第一号)につきまして、その概略をご説明申し上げます。


 この補正予算は去る七月十五日の都区協議会において決定した、平成四年度都区財政調整区別算定結果並びに平成三年度一般会計決算状況を踏まえまして、緊急に対処すべき事務事業に要する経費、その他合わせて九十二億九千万円を計上いたしたものでございます。


 まず、都区財政調整の豊島区にかかわる算定結果でございますが、基準財政収入額及び基準財政需要額のいずれも豊島区の想定を超えた算定となっておりまして、普通交付金の算定においては、当初予算額に比し、約九億円下回っているのでございます。


 これは、調整財源の厳しい見通し等から、区税収入の推計における補正係数に一因があるとも考えられますが、このため特別交付金のほか、既算定分の繰延べ等、明年三月の再調整までの都区間の折衝経過には、特に注目してまいる必要があると考えております。


 次に、歳出の経費別内訳でございますが、人件費及び事業費として九億六千九百万円、投資的経費として八十三億二千万円となっておりまして、これらのうち主な事業につきまして順次その内容を申し上げます。


 まず、北大塚三丁目地区複合施設についてでありますが、この用地は東京都のリサイクルセンター建設用地でありまして、地域の方々のご要望等も含め、区有施設の合築につきまして、東京都と協議を重ね、豊島区分として、防災対策要員宿舎、区民集会室、備蓄倉庫、ストックヤードを平成六年度の竣工を目指し、設計に着手するものであります。


 次に秀山荘の改築についてでありますが、工事も順調に進捗し、平成五年四月からご利用いただくべく準備を進めておりまして、区民の皆様へのよりよいサービスを基本において、テニスコートの確保やバスによる送迎も含めまして、その方策を検討してまいりましたが、より効果的に管理運営をいたしますため、業務委託を実施するものでありまして、所要の経費を計上するものでございます。


 次に、高齢者介護相談センターの設置についてでありますが、このセンターは高齢社会対策総合計画の課題であります在宅福祉・保健対策の効果的な推進を基本に、要援護高齢者に対する相談からケアまで一貫したサービスを提供するため、民間ビルを借り上げ、設置いたすものでありまして、福祉・保健サービスの専門相談や緊急訪問、福祉機器の展示・貸出し、在宅福祉関連情報の提供等を内容とするものであります。


 現在、福祉及び保健部門の再編整備を含め、準備を進めているところでありますが、当面福祉機器の展示や介護相談、福祉情報の提供等を行いまして、平成五年四月より全面的に事業を展開するものでございます。


 次に、巣鴨五丁目地区複合施設についてでありますが、この施設は民間ビルを借り上げ、かねてより適地の取得に努めておりました朝日小学校区域における児童館を設置するほか、高齢者在宅サービスセンター、区民集会室を併設するものでありまして、平成五年九月の開設に向けまして、内部設備工事に着手するものであります。


 次に、乳幼児医療費助成事業についてでありますが、この事業はご案内のように、医療受診率の高い乳幼児を抱えるご家庭の負担軽減を図り、必要とする医療を容易に受けられるようにすることにより、乳幼児の健全育成と福祉の向上に寄与するものでありまして、三歳未満児を対象に、平成五年四月の実施に向けまして、現在医師会等関係機関のご協力のもとにシステム開発等の準備を進めているところでございます。


 次に、現在実施設計を進めております生活産業プラザの建設についてでありますが、この施設におきましてはご案内のように区民生活の向上と地域経済の活性化を基本に、生産から流通、消費、リサイクルを一体的なものとしてとらえ、これらの情報収集、発進機能を取り入れ、商工、消費、リサイクルの各種施策につきまして、総合的な展開を目指すものでありまして、このたび、国の地域総合整備事業として事業採択が決定いたしましたのを踏まえ、土地開発公社から用地を取得いたすものであります。


 次に、国の地域特別賃貸住宅制度の活用による借上型区民住宅の供給についてでありますが、中堅所得ファミリー層や高齢者への住宅対策として、民間土地所有者が建設した良質な賃貸住宅を区が借り上げ、入居者への家賃対策を行うものでありまして、ファミリー世帯向け住宅五十七戸、高齢者向け住宅十三戸、合わせて七十戸の供給計画を策定するための調査費及び設計費補助等を追加計上するものであります。


 次に、池袋駅周辺地区における駐車場の利用効率を高める「駐車場有効利用システム」についてでありますが、本システムにつきまして、このたび、建設省の補助指定を受けましたので、早期の実現を目指しまして、駐車施設の有効利用促進計画の策定調査を進めるものであります。また、この調査の一環として駐車施設休日開放の試行につきまして、平成五年二月より銀行等の駐車場を借り受け、約百台分を目標に一般開放を実施するものであります。


 次に、かねてより検討を進めてまいりました、目白一丁目国鉄清算事業団所有地の取得につきまして、目白駅前歩行者広場や自転車駐車場整備用地として買収できる見通しとなりましたので、土地開発公社で取得いたすべく、債務保証として取得費相当分三十五億七千万円を補正計上いたすものであります。


 次に、学校週五日制への対応でありますが、児童・生徒等子供たちの心豊かでたくましい人間形成を図る観点より、週五日制の実施を契機といたしまして、家庭、学校、地域の連携をより一層深めるべく、先般、区民の各層の方々からなる関係者連絡協議会を設置いたしたのでございます。今後この協議会におきまして、週五日制の実施趣旨の理解推進及び育成環境の整備充実につきまして、広く連絡協議を行ってまいりたいと考えております。また、毎月の第二土曜日には、小・中学校の校庭及び体育館の学校施設開放や、公園、児童遊園の指導員の配置による安全利用の確保に加えまして、教育センターにおけるパソコン室や理科実験室等の開放を行い、児童・生徒等子供たちが自ら選択して生き生きと、そして伸び伸びと活動できますよう、学校外活動の場と機会の充実に努めてまいるものであります。


 以上、歳出について申し上げましたが、これら所要額の財源といたしましては、繰越金十三億四千四百万円のほか、用地取得基金及び文化振興基金を取り崩し、八億千三百万円を充当いたしますとともに、特別区債六十九億五千二百万円、その他の特定財源を計上いたすものでございます。


 以上が一般会計補正予算(第一号)の概要でございますが、これにより当面の財政需要に対処いたしますと同時に、今後の財政運営に万全を期してまいりたいと考えております。


 最後に、本日ご提案申し上げます案件は、条例八件、契約六件、予算一件でありますが、各案件につきましては後刻日程にしたがいまして、助役より説明をいたさせますので、よろしくご審議の上、ご協賛を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。


 以上をもちまして、私の招集あいさつ並びに所信表明を終わります。