本日、平成五年第一回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位には何かとご多忙の中にもかかわりませず、ご出席を賜りまして深く感謝を申し上げる次第でございます。
この際、平成五年度の予算、その他の案件をご提案申し上げるにあたりまして、所信の一端を申し述べたいと存じます
過ぐる年平成四年は、我が豊島区の歴史の中でも区制施行六十周年という大きな節目にあたり、これを記念する創意と工夫に満ちた各種の行事が多くの区民の皆様と一体となって各地域で展開されるという、まことに意義深い年でございました。
このような区民の皆様の自治意識の高まりと先人たちが営々と築いてまいりました伝統ある六十年の足跡を基礎として、平和な未来を展望しつつ、だれもが住み続けることができる魅力あるまちづくりに真剣に努力いたすべく、改めて決意いたしております。
さて、平成五年度を迎えるにあたりまして、激動する内外の諸情勢を見ますと、東西冷戦時代の終焉から三年を経た今日、なお相次ぐ地域紛争等形容しがたい波乱が渦巻き、いまだ不確実、不安定感が増幅しております。
一方、日本においては、バブルの崩壊に伴う景気低迷が、複合不況の影を色濃く引きずりながら、一段と深刻化し、長期化しております。こうした先の見えない冷えきった不況感が国民生活を覆う中で、国も東京都も財政状況は極度に悪化しており、平成四年度における都の税収は、過去最大規模の不足が見込まれるなど、極めて憂慮すべき事態となっております。
このような状況のもとで、本区におきましても、別途、平成四年度補正予算をご提案いたしておりますとおり、大幅な財源不足が見込まれ、これに対処する財源として、十五億五千二百万円の減収補填債を発行するものであります。この起債につきましては、昭和五十年度以来実に十七年ぶりの発行となるものでありまして、改めて独立税源の拡充を基本とする自治の確立がいかに困難で厳しいものであるかを痛感せざるを得ないのであります。
ご承知のとおり、国の平成五年度一般会計予算案は、未曾有の税収不足を過去最高の建設国債の発行や、地方交付税の減額等でやりくりし、前年度比わずか〇・二%増の超緊縮型予算となっております。
また、地方自治体の財政運営の指針である平成五年度の地方財政計画におきましても、前年度比二・八%増にとどまり、前年度の伸び率四・九%に比べ、厳しく抑制されているのであります。
一方、東京都の一般会計予算原案を見ますと、都税収入の約半分を占める法人二税が、前年度比二二・四%減と大きく落ち込む中で、起債の大幅な発行や各種基金の取り崩し等によりまして、対前年度比三・〇%減と、昭和五十四年度以来、十四年ぶりのマイナス予算となっているのでございます。
先に都区協議会において決定をみました平成五年度都区財政調整につきましては、調整三税が前年度に比較し、約六百六十八億円の減額となり、伸び率において四・二%減と、大きくマイナスに転じたのであります。
一方、基準財政需要額においては、財源不足解消策として算定基準の大幅な見直しが図られました結果、普通交付金は前年度に比べ、伸び率マイナス二・五%となったのであります。
このような国、地方を通して財源が底をつくという厳しい財政状況のもとで、平成五年度の予算編成にあたりましては、長期的には堅実に、短期的には柔軟にという、財政運営の初歩的な基本に立ち返り、現行行政水準の維持向上を目指して、人件費を含む経常的経費の縮減等の内部努力はもとより、徹底した財源の捻出に努め、各種基金の活用等、これまで培ってきました財政対応能力を最大限に発揮して予算を編成した次第でございます。
しかしながら、先に区議会各会派からご提出いただきました全行政分野にわたる高いお立場からの予算要望書をはじめ、区民各界各層から寄せられました切実かつ圧倒的な行政需要に対しまして、これらご要望の一つ一つに十分お応えするには振り分ける財源の枠がいかに小さいかを改めてかみしめつつ、残念ながら厳しい施策の選択を迫られたのでございます。
したがいまして、年々深刻化している住宅対策、景気後退に伴い一段と厳しい状況下にあります中小商工業・自営業者への支援とともに、高齢者、障害者など社会的にハンディキャップを持つ方々への援助に特段意を用いる一方、昨年度来、積極的に推進してまいりました資源リサイクル対策を中心に、限られた財源をより重点的に配分した次第でございます。
また、新中期計画に基づき、着実に整備を進めてまいりました施設建設につきましては、当初計画事業二十七施設のほか、特別養護老人ホームと在宅サービスセンターを合築する長崎四丁目地区及び南長崎六丁目地区複合施設のビッグプロジェクト等を加え、合計四十四施設を計上することとし、残念ながら二十五施設を次年度以降に繰り延べることといたしたのでございます。繰り延べました施設建設につきましては、今後の経済動向等を十分注視し、現在準備を進めております新基本計画の計画事業としての位置づけも視野に入れつつ、将来にわたる区民共有の財産として、また地域社会発展の基盤として整備いたすべく、計画の再構築も含め、それらの実現に向けて十分検討を深めてまいりたいと考えております。
次に、平成五年度一般会計予算の概要についてご説明を申し上げます。
一般会計予算の総額は、一千四十四億六千五百四万五千円でありまして、前年度当初予算と比較いたしますと、一・二%の増でありますが、前年度伸び率を大きく下回り、一〇・九ポイントの減となったのであります。歳入に占める一般財源の割合は七二・二%で、伸び率一・〇%であります。
このため先に申し上げましたように、財政調整基金及び用地取得基金より合わせて五十億円取り崩しますほか、庁舎等建設基金より四十三億円を運用して、一般会計に繰り入れた次第でございます。この運用にあたりましては、新庁舎等の建設スケジュールに支障が生じないよう期間及び利率を定め、確実な償還計画のもとに活用するものであります。次に、歳出に計上いたしました主な新規・拡充事業につきまして概略ご説明申し上げます。
第一に、住宅政策の展開について申し上げます。
まず、住宅マスタープランの策定についてでございます。
首都圏における地価が急激な高騰期を脱し鎮静化したとはいえ、区民生活の基盤である住宅の確保は低所得者のみならず、中堅所得層にとっても一段と深刻化しており、その解決に向けて基礎的自治体の果たす役割は一層重要性を増してきております。
このような状況に適切に対応し、だれもが安心して住み続けることができる住宅対策を推進していくため、別途ご提案いたしておりますとおり、人間性の尊重を基本理念とする豊島区住宅基本条例のもとに、住宅マスタープランを策定し、住宅施策の計画的、総合的な展開を図るものでございます。
この住宅マスタープランは、本区における住宅及び住環境問題を解決する方策について協議・検討を重ねていただいた住宅問題検討委員会の最終報告を踏まえまして、住宅基本条例に基づき設置いたします豊島区住宅対策審議会において、十分ご審議をいただき、策定するものでございまして、住宅・住環境整備の基本的方向を定め、地域特性に応じた具体的な住宅施策を効率的に推進するための基本となるものでございます。
次に、住宅施策の推進についてでございますが、平成四年度に着手いたしました国の地域特別賃貸住宅制度を活用した借上型区民住宅の供給につきましては、定住性の高い良質な住宅供給の基軸となるものでありまして、平成五年度におきましては、この制度によるファミリー世帯向け借上型区民住宅五カ所百十二戸、借上型高齢者住宅三カ所四十三戸、合わせて百五十五戸について設計費、共同施設整備費等の補助を行うものでございます。
さらに借上型区民住宅の計画的な供給促進を図るため、この住宅を建設する土地所有者に対する建設資金の融資あっせん・利子補給制度を創設いたしますとともに、良質な住宅への建替え等を支援するため、自己用住宅の建設、購入等に対する建設資金につきましても、同様の制度を新たに設けるものでございます。
これらの住宅施策や高齢者住宅等の福祉的住宅施策も含め、住宅施策を総合的かつ一体的に推進いたしますため、関連組織を整備し、計画から事業実施を一元的に所管する組織として、都市整備部に住宅計画課及び住宅事業課を新たに設置するものでございます。
第二に、中小商工業・自営業者への支援について申し上げます。
長引く不況のあおりを受け、販売不振などのいわゆる「不況型倒産」が急増する中で、本区内におきましても、昨年の企業倒産が百五十一件と、前年の平成三年に比べ約三〇%の増となっており、不況の影響は一段と深刻化しております。このような厳しい状況のもとで、日夜事業継続に苦慮されている中小商工業・自営業者の方々に対し、資金難の解消と経営の安定に資するため、昨年七月、緊急特別資金融資制度を創設いたしますとともに、商工融資全般につきまして、本人負担利率の引き下げを図ったのであります
平成五年度におきましても、区民の日常生活に密着し、地域経済を支える中小商工業・自営業者への支援を積極的に進めるべく、この緊急特別資金融資を継続しますとともに、金利についても本人負担分の軽減について予算措置をいたしましたが、去る二月四日より実施されました公定歩合の第六次引き下げに伴い、商工融資全般についてさらに見直しを図る等、適切に対処してまいりたいと考えております。
さらに、中小商工業融資について、原資を現行二十億円から三十億円に拡充いたしますとともに、小規模企業資金の融資限度額、信用保証料限度額のほか、運転資金、設備資金の信用保証料限度額をそれぞれ五百万円に引き上げるものであります。
一方、中小商工業・自営業者に対する専門の窓口機関であります商工相談所につきまして、相談員を増員し、経営全般にわたる相談機能を強化しますとともに、小規模下請工業者に対する巡回相談回数の拡充を図るほか、新たに商店経営者に対しても巡回相談を実施するものであります。
また、勤労者生活資金貸付限度額を引き上げ、中小企業勤労者の生活の安定に資するものであります。
第三に、高齢者、障害者等への援助について申し上げます。
まず、高齢者介護相談センターの開設についてであります。
本格的な高齢社会への対応として、福祉と保健の一体的なサービスは、在宅福祉を推進する上で極めて重要な課題であり、その対応が急がれているところでありまして、その方策等につきまして鋭意調査・研究を進めておりましたが、このたび要援護高齢者の相談から処遇まで一環したマネージメントのもとに、質の高いサービスを提供いたすべく、保健婦・介護福祉士等による専門相談、在宅介護・看護サービスの調整・提供等、即応体制を備えた高齢者介護相談センターを民間ビルを借り上げて開設いたすものでございます。
このセンターにおきましては、七十七種類、約百七十点の介護・移動・入浴・床ずれ防止等の日常生活用具を中心とした福祉機器を展示し、日常生活用具給付等の事業や住宅改造費助成事業を総合的、一体的に展開するものでございます。
次に、高齢者住宅の整備についてでございますが、去る二月一日に長崎六丁目地区の三十戸が竣工し、地域高齢者住宅計画に基づく当初計画百戸の整備が完了いたしたところでありまして、平成五年度におきましては、先に述べました借上型高齢者住宅三カ所四十三尸の確保に取り組むものであります。
一方、民間賃貸住宅の取り壊しにより、転居を求められている高齢者、障害者、ひとり親世帯を対象とした住替え家賃助成制度につきましては、助成件数の拡大を図りますとともに、新たに住宅あっせん制度を設け、宅建取引業協会のご協力を得まして、転居先を自力で確保できない方々に対し支援してまいりたいと考えております。
次に、在宅での介護が困難な要介護高齢者の生活の場として年々需要が高まっております特別養護老人ホームの建設についてでございますが、高齢者在宅サービスセンターを併設する長崎四丁目地区の施設が、平成五年度中に竣工いたしますとともに、さらに南長崎六丁目地区に用地を取得いたし、高齢者在宅サービスセンター併設のもとに三カ年計画で建設に取り組むものでございます。
なお、地域の在宅福祉サービスの拠点として計画的に整備を進めております高齢者在宅サービスセンターにつきましては、これら特別養護老人ホームへの併設のほか、先の長崎六丁目地区高齢者住宅と併設のセンターが本年六月、引き続いて民間ビルを借り上げ、内部造作を進めております巣鴨五丁目地区のセンターが十二月に開設の予定でございます。これにより、両福祉施設とも高齢社会対策総合計画前期整備目標を超え、特別養護老人ホーム三施設、高齢者在宅サービスセンター九施設となるものでございます。
次に、「豊島区障害者福祉計画」について申し上げます。
この計画は、二十一世紀に向けノーマライゼーションの具体的展開を視点に据え、在宅での生活を重視した自己実現への支援を基軸に、障害者福祉施策を総合化・体系化するものでありまして、平成五年度を初年度とする十カ年の長期計画として位置づけるものでございます。
なお、策定にあたりましては、広く障害者の方々の実態やご意向を把握し、区民の方々のご意見やご要望等をもとに、学識経験者を中心とする障害者対策調査研究委員会により、専門的見地から十分ご検討をいただいたものでございます。
次に、福祉のまちづくりの推進についてでございます。
平成元年度に東京都のモデル地区整備事業の指定を受け、区有施設及び民間の公共的施設の整備に積極的に取り組んできたところでございますが、モデル地区指定の最終年にあたります平成五年度におきましては、区内の公共的建物・道路・公園・交通機関等の福祉環境整備状況をつぶさに調査いたしまして、障害者の方々の社会参加の促進の一助となるガイドマップを作成してまいりたいと考えております。
また、懸案となっておりますJR巣鴨駅のエスカレーターでございますが、関係機関との協議も進展しておりまして、平成五年度中に設置できる見通しであり、加えてJR池袋駅山手線ホームへのエスカレーター二基につきましても、設置に向けて協議を進めているところでございます。
さらに、区道への点字ブロック敷設についてでございますが、視覚障害者の方々のご要望等を含め、安全に区有施設をご利用いただけるよう、区役所本庁舎、南大塚社会教育会館、駒込社会教育会館、新設の上池袋図書館等につきまして、それぞれの最寄り駅からのコースを整備いたしたいと考えております。
次に、自力での入浴が困難な障害者の方々へのサービスにつきましては、現在巡回により実施いたしておりますが、道路事情や住まいの構造上からご利用できない方々を対象に、心身障害者福祉センターの浴室の一部を改造いたしまして、機械浴槽を整備し、送迎つきの施設入浴サービスを実施するものであります。
また、車いす利用者の方々の移動手段としましては、リフト付きハイヤーをご利用いただいているところでありますが、希望者の増加等に対処するため、社会福祉協議会におきましてボランティアのご協力等により新たに実施する「ハンディキャブ」運行事業の経費の一部を助成いたすものでございます。
次に、精神障害者の方々に生活の場を提供し、日常生活における指導を行いながら地域社会における自立を促進する場としてのグループホーム事業についてでございますが、民間団体運営による区内で初めてのグループホームの誕生に伴いまして、区におきましては、円滑な運営に資するため、東京都の設置運営基準に基づく「精神障害者グループホーム入居等協議会」を設置いたしますとともに、運営費の一部を補助するものでございます。
次に、準備を進めております乳幼児医療費助成について申し上げます。
ご案内のように、すべての三歳未満児が必要とする医療を容易に受けられますよう、保険診療にかかわる自己負担分を全額助成するものでありまして、既に対象となる約四千六百人の乳幼児のご家庭に制度のご案内と医療証交付申請書等を送付いたしまして、平成五年四月の実施に向けて準備を急いでいるところでございます。
次に、応急小口資金についてでございますが、今日の不安定な経済状況に対応いたしまして、一般・特認それぞれの貸付限度額を十万円ずつ引き上げまして、三十万円と四十万円に設定したいと考えております。
第四に、リサイクルの推進についてであります。
ご案内のとおり、平成四年度をリサイクル推進元年と位置づけ、びん・缶分別回収、乾電池回収、学校空缶デーの実施やくうかん鳥の増設等の諸事業を積極的に推進し、資源回収量は二十三区中トップレベルと確実にその成果を上げてきたところでございます。
平成五年度はこの実績を踏まえ、リサイクルの流れがさらに大河となるべく、事業の拡充・強化を図るものでございます。
まず、資源回収等についてでございますが、前年度に引き続き乾電池回収ボックスやくうかん鳥の増設とあわせ、びん・缶分別回収の拡大を図る一方、新たに区民要望の高いトレー・ペットボトルを二百世帯に1カ所の割合で回収箱を設置し、再生資源化に着手いたしますとともに、区内の印刷関連業界と協同して「印刷関連紙リサイクル」事業を実施するものでありまして、この事業は印刷過程で発生します残紙等をノートに製本し、区内の児童等に配布し再利用を図りますと同時に、発展途上国の子供たちにも寄贈いたしまして、国際的協力にも寄与するものでございます。
また、リサイクルの普及・啓発事業についてでありますが、リサイクル参加方法等、関連事項を網羅する「リサイクル手引書」や、視覚を通してリサイクル意識を高める「リサイクルビデオ」を作成し、各種講座等に活用するなど、リサイクル意識の高揚に努めるものでございます。
さらに、区内事業者のリサイクル意識を高め、また協力を促進するため「リサイクル協力事業者認定制度」を創設するものでありまして、店頭回収やストックヤードの提供、リサイクル商品の販売等、積極的にリサイクルに取り組む事業者をリサイクル協力事業者として認定し、区民や事業者と一体となってリサイクルをより一層効果的に推進するものでございます。
一方、区内三カ所目となる北部地区リサイクルルームを本年四月に開設する予定でありまして、日用生活用品の有効活用の場として、地域の区民の方々にご利用いただくものでございます。
なお、区民の方々のご参画のもとに、資源リサイクルの諸問題の解決に向けてご検討をいただいているリサイクル推進会議より、近くご答申をいただける予定でありまして、この答申を踏まえ、本区に適合したリサイクル型社会の実現に向けて各種の施策の総合化、体系化を図り、効果的に展開してまいる所存でございます。
次に、深刻化するゴミ問題の解決に向けて対応が急がれております東京都の清掃工場建設計画についてでございますが、本区内に建設予定の清掃工場につきましては、東京都においてアセスメント事前調査等が実施されているところでありまして、引き続き清掃工場建設基本計画の策定を進めることとなっております。こうした状況に適切に対応するため、本区におきましては、隣接区有地に計画しております福祉保健総合施設のあり方や、街づくりの視点からの清掃工場の配置や形態、アクセス道路、施設の有効活用等についての基礎調査を行い、検討を進めているところであります。
平成五年度におきましては、この基礎調査を踏まえまして、区議会のご指導はもとより、区民の方々のご意見等を十分にお伺いいたしまして、東京都とも密接な連携のもとに、清掃工場と周辺地域との調和のとれた街づくりを目指す、周辺環境整備計画を策定してまいりたいと考えております。
次に、街づくりの推進について申し上げます。
地区別整備方針に基づき、順次策定を進めております七つの課題別基本計画についてでございますが、既に「副都心」、「道路網形成」、「みどりと広場」、「アメニティの形成」の四つの基本計画を策定したところでありまして、「土地利用」、「市街地更新」の二つの基本計画につきましても、現在地区の現状等を踏まえつつ、その課題や将来像を明らかにいたすべく、調査・検討を深めているところでございます。これら課題別基本計画を効果的に推進いたすべく全庁を挙げて取り組んでいるところでありますが、とりわけ高密度に形成された既成市街地を有する豊島区におきましては、地域の個性や人間性を踏まえた快適な町並みの整備や公共空間の確保等、アメニティ形成基本計画に基づく各種の施策の推進が重要課題となっております。
別途ご提案いたしております「豊島区アメニティ形成条例」は、区はもとより街づくりに携わるすべての人々とともに、それぞれの多様な価値を尊重しつつ、安らぎと潤いに満ちた街づくりに寄与することを目的として制定するものでございます。
この条例に基づき、「豊島区アメニティ形成審議会」を設置いたしまして、アメニティ形成上重要な事項を調査・審議するほか、総合的なアメニティ形成施策を推進するための指針の策定、特別推進地区や当該地区内のアメニティ形成上重要な価値を有する建築物等の指定などにつきましてご審議をいただき、アメニティ形成の客観性の保持と計画の実現性を確保するものでございます。
また、アメニティ形成施策を総合的かつ計画的に推進いたすべく、調整・誘導・推進機能を一元的に所管する組織として、都市整備部にアメニティ推進担当課を新たに設置するものであります。
事業の初年度となる平成五年度におきましては、区のアメニティ形成に取り組む積極的な姿勢と、施策の内容を区民や事業者の皆様に周知し、ご理解とご協力をいただくべく、ポスター、パンフレット等を発行し、PR活動を積極的に展開してまいりたいと考えております。
最後に、多くの区民の皆様が待望しております秀山荘の改築についてでございますが、秀峰富士を望み、山中湖畔の風光名媚な自然の立地条件を十分に生かし、平成五年四月に開設するものでございまして、秀山荘最寄りのバス停から専用バスでの送迎も含め、区民の皆様に愛され親しまれる施設として、質の高いサービスの提供に努めてまいるものでございます。
また、西池袋温水プールについてでございますが、地域の方々のご要望等を含め、道和中学校の緑化計画と一体的に建設を進めたものでございまして、年間を通して気軽にご利用いただける本区三カ所目の温水プールとして、平成五年四月に開設いたすものでございます。
次に、図書園構想のもとに建設を進めてまいりました上池袋図書館についてでありますが、地域図書館では初めてとなりますCDサービスや視覚障害者への対面朗読等の実施を含め、本年七月開設するものでありまして、一体的に建設を進めております上池袋さくら公園につきましても、特色ある公園として、染井吉野を最大限植樹するなど、地域の方々の憩いの場として、また、図書館の園庭として読書が楽しめる環境に整備を進めているところでございます。
以上をもちまして、平成五年度一般会計予算の概略についての説明を終わらせていただきます。
この一般会計に国民健康保険事業会計、老人保健医療会計及び従前居住者対策会計の三特別会計を加えますと、本区の平成五年度予算総額は、対前年度比一・七%増の一千三百六十億九百七万九千円となったのでございます。
本日ご提案申し上げます案件は、条例二十件、予算七件、合わせて二十七件でございますが、各案件につきましては、後刻、助役より説明をいたさせますので、よろしくご審議のうえ、ご協賛を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
これをもちまして、私の招集あいさつ並びに所信表明を終わらさせていただきます。