平成6年第3回区議会定例会招集あいさつ

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 平成六年第三回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位には何かとご多忙の折にもかかわりませずご出席を賜りまして、深く感謝申し上げます。


 先般、経済企画庁から景気が回復過程に入ったことを認めた、事実上の景気回復宣言となる月例経済報告が発表されましたが、これより一足先に公表された日銀短観におきましても、企業の景況感は改善しており、円高や雇用などに不安は残るものの、日本経済は平成三年五月から始まった長期不況からようやく脱出し、緩やかながら明るさが広がりつつあるものと考えられます。しかしながら、政府見通しどおり景気の回復が進みましても、本区の財政状況が好転するのは、残念ながらなお一、二年先になると思うのでございます。


 去る七月十五日の都区協議会において決定されました平成六年度都区財政調整当初算定結果でございますが、まずフレームにおいて、基準財政収入額の二年連続の落込みに加え、市町村民税法人分の四年連続の減収等により、基準財政需要額について算定の見直し等に大幅な財源調整が行われました。前年度における元利償還金及び改築経費の繰延べに加え、本年度新たに大規模改修経費の繰延べや、公園年度事業量及び保育料の見直し等によりまして、あわせて三千四十億円に上る算定額の削減が行われたのでございます。このため、区別算定におきまして本区の普通交付金の算定額は、予算計上額に比べ約四十億円のマイナスとなったのでございます。これにつきましては、今後、再調整を含め他財源の確保等により対処してまいりたいと考えております。


 次に、都区制度改革についてでございますが、ご案内のとおり九月九日、区長会並びに議長会の合同会議におきまして、先に東京都から提示のありました「都区制度改革に関する最終素案」を基本的に了承することを決定いたし、引き続き九月十三日に開催されました都区制度改革推進委員会におきまして、正式に都区の合意がなされ、翌十四日、これを都区の協議案として自治大臣あて提出いたしました。今後、関係者との調整を図りつつ、国との具体的協議を行い、法改正の実現を要請してまいることになります。


 これにより、特別区政調査会の答申、すなわち「特例市の構想」から十三年、都区合意の「基本的方向」から八年、第二十二次地方制度調査会答申からでも四年という、特別区の自治権拡充運動史上最も長く、そして最も大きな今回の都区制度改革は、来年四月の法改正の実現に向けて、重大な局面を迎えたのでございます。


 先の都知事への回答に際し、区長会・議長会連名で提出いたしました要請書に記述されておりますとおり、基礎的自治体への法制化は今回の改革の生命線でありまして、万一、これが実現できないとすれば、改革の意味そのものが問われかねない問題であると認識いたしておりまして、長年の悲願達成のため、引き続き区議会とも歩調をあわせて不退転の決意で努力してまいりたいと考えております。


 次に、今回ご提案申し上げました案件のうち、一般会計補正予算(第一号)につきまして、その概略をご説明申し上げますと、一つは政府の総合経済対策の一環として実施されました特別減税による特別区民税の減収分を、減税補填債の発行に振り替えるため、三十六億六千三百四十万円の財源更正を行うものでありまして、いま一つは、東京都の豊島地区清掃工場の管理棟に合築を予定いたしております、本区のスポーツセンターなど地元還元施設等の部分について、基本計画を本年度策定しようとするもので、このための経費二千二百七十一万円余を、繰越金を財源として予算計上するものでございます。なお現在、工場建設に伴う環境影響評価書の縦覧が行われておりますが、これら一連の環境影響評価にかかる手続を経まして、来年夏には都市計画決定を行い、その後いよいよ工場の建設工事に着手する予定となっております。


 最後に、本日ご提案申し上げます案件は、条例七件、契約二件、予算二件、あわせて十一件でございますが、各案件につきましては、後刻、助役より説明をいたさせますので、よろしくご審議の上ご協賛を賜りますようお願い申し上げまして、私の招集あいさつといたします。