本日、ここに平成八年第三回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位には何かとご多忙の中にもかかわりませず、ご出席を賜りまして深く感謝を申し上げる次第でございます。
さて、昨今の経済情勢でございますが、今月十三日、経済企画庁が発表しました国民所得統計速報によりますと、本年四月から六月までの第二・四半期の国内総生産GDPは、実質で前期比〇・七%減、年率換算では二・九%のマイナス成長となり、四半期ベースでは一年半ぶりのマイナス成長となっております。これを本年一月から六月までの上半期ベースで見ますと、年率換算六・四%のプラス成長を記録していることとなり、全体では景気の緩やかな回復を裏付けるものと指摘しておりまして、早期に本格的な回復軌道に移行するよう期待しているところでございます。
去る七月十五日、都区協議会において決定されました平成八年度の都区財政調整区別算定結果でございますが、前年度に引き続き二十三区全区が交付区となりました。
都区双方とも依然として厳しい財政環境が続いておりますので、フレームでは、基準財政収入額・基準財政需要額とも、前年度三年ぶりにプラスになったものが、今年度は再びマイナスに転じております。
本区の普通交付金の額は、若干とはいえ二年連続して増加しておりますが、当初予算計上額に比べ約八億円下回るという状況でございます。これにつきましては、今後再調整を含め他財源の確保等によって対処してまいりたいと考えております。
次に、この夏、病原性大腸菌O157による感染症が全国的に猛威を振るい、九月一日現在の集計によりますと、四十五都道府県で一万人になんなんとする感染者を出し、死者十一名という甚大な被害をもたらしまして、都内の感染者も現在までに二百七十二名に達しております。
本区では、岡山県邑久町で集団食中毒が発生した直後の六月初旬から、池袋、長崎両保健所がいち早く、食品衛生指導の強化、飲料水の水質検査、保育園・小中学校等の給食による食中毒防止対策などに取り組んでまいりました。
しかしながら、七月に入りまして都内で感染症例が頻発し、豊島区内でも感染が疑われる症例が二件発生じたことを受けまして、同月二十六日、庁内に私自身が主宰する豊島区O157対策連絡会議を設置いたしまして、全庁的に取り組むことといたしました。
この対策会議では、二次感染の予防対策をはじめ、区民に対する無料検便の実施、休日電話相談の開設、医師会との連携による治療態勢の整備、区民向けの予防リーフレットの配布、全児童・生徒の健康状況調査の実施、検食保存用冷凍庫の配備など、十九項目に及ぶ対策を講じてまいりました。
このような予防対策等の実施により、これまでのところ区内では、その後の発症例もなく推移しておりまして、学校給食も例年どおり九月三日から開始いたしておりますが、今後もなお、この全庁的な態勢を維持し、引き続き警戒してまいります一方、この緊急対策をさらに強化いたし、病原性大腸菌等による食中毒及び二次感染の予防に万全の対策を講じてまいる所存でございます。
今回契約議案といたしましてご提案申し上げます上池袋二丁目地区複合施設は、スポーツセンター、健康診査センター、高齢者在宅サービスセンター及びコミュニティ施設のほか、清掃工場の管理事務室をも含む地下三階、地上十一階からなる多くの機能を有する大規模合築施設でございます。
このような区施設と清掃工場との合築は東京都清掃局にとりましても初めてのことでございまして、平成三年の計画発表以来、区と清掃局との間での地道で長い折衝の結果、副都心池袋の地にふさわしく敷地の高度利用を図った、清掃工場と区民利用施設を一体的に合築するという新しい都市型清掃工場を目指して計画を進めてまいったものでございます。
清掃工場は既に本年三月から本格工事に着手しております。この上池袋二丁目地区複合施設はおよそ半年遅れでの着工となりますが、竣工の時期はいずれも平成十年度末の同時期を目指しております。
私がこの本会議場で初めて清掃工場の区内立地に言及させていただきましたのは、ちょうど五年前の平成三年九月定例会の招集あいさつの中でございました。そのときからここに至りますまでの五年間の道筋を振り返りますと、平成十二年度の清掃事業の区への移管を目前に控えまして、自区内処理の原則に立った清掃工場を区内に持つという大きな行政目標が現実のものとなり、感慨無量のものがございます。
改めて区議会はもとより区民の皆様、とりわけ清掃工場周辺の住民の皆様のご理解とご協力に対しまして、衷心より感謝申し上げますとともに、上池袋二丁目地区複合施設の完成後は清掃工場ともども、豊島区のすべての皆様にとりまして、極めて有意義な施設となりますよう期待してやまない次第でございます。
最後に、住宅対策の進捗状況について申し上げます。
今回、区民住宅条例及び福祉住宅条例の一部改正をご提案いたしておりますが、その内容は、新たに区民住宅を五団地七十五戸、母子世帯向け十二戸の供給を含む福祉住宅二団地三十三戸、合わせて百八戸を設置いたすものでございます。
平成三年度からの十カ年計画として策定した住宅マスタープランも平成七年度で前期五カ年を経過いたしましたが、現在、この間の少子・高齢化社会の進展、阪神・淡路大震災の教訓から安全性の高い住宅供給の必要性など、新たな視点を加えましてマスタープランの改定について、現在、住宅対策審議会にお諮りしているところでございます。
現在の住宅マスタープランにおける前期五カ年の住宅供給プログラムの進捗状況でございますが、福祉住宅が計画百八十五戸に対しまして実績は二百戸、区民住宅は計画二百五十戸に対しまして実績は二百八十二戸、安心住まいの一棟借り上げ住宅が計画九十戸に対しまして百二十一戸の実績となっております等、区が直接関与する住宅は、全体で計画供給戸数五百七十戸に対しまして六百四十六戸の供給実績となりまして、達成率は一一三・三%となっているのでございます。
本日ご提案申し上げます案件は、報告一件、条例五件、契約五件、予算一件、合わせて十二件でございます。各案件につきましては、後刻、日程に従いまして助役よりご説明申し上げますので、よろしくご審議の上ご協賛を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
以上をもちまして私の招集のあいさつといたします。