本日、ここに平成九年第二回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位には、東京都議会議員選挙を1目前に控え、何かとご多忙の中にもかかわりませず、ご出席を賜り深く感謝申し上げる次第でございます。
また、さきの臨時会におきましては、区議会の最高人事を含む議会構成が決定され、豊島区政の一層の発展を目指して議会活動が鋭意展開されておりますことに対しまして、衷心より敬意を表する次第でございます。
この際、定例会の開会に当たりまして所信の一端を申し述べたいと存じます。
区政を取り巻く現下の情勢は、国際化、自由化のとうとうたる流れの中で、政治も経済も社会も、あらゆる分野で改革の嵐が吹き荒れております。さらに、景気動向が依然として不透明な中で、行政の果たすべき役割と責任はますます重くなっていると認識いたしております。
まず、都区制度改革について申し上げます。
ご案内のとおり、平成六年十二月、東京都と特別区は、都区制度改革のまとめ、いわゆる協議案を自治大臣に提出し、正式に平成七年通常国会での法改正を要請いたしましたが、残念ながらいまだ法改正には至っておりません。しかしながら、平成十二年四月の制度改正実現のためには、平成十年の通常国会において関係法令の改正を行うことがスケジュール的に見て最後の機会であると言われております。そのためには、本年秋口までに、何としても関係者間での確認を終わらせることが必要と考えられておりまして、その前提となっておりますのが清掃事業移管のための三つの条件整備でございます。そのうち最終処分場の確保につきましては既に東京都は昨年八月新海面処分場の埋め立て工事に着手しておりまして、また全量焼却体制の達成のための清掃工場の建設も本区に建設中の豊島地区清掃工場をはじめとして建設見通しがついております。最後まで問題となっておりました十三区の車庫整備につきましては、個々に問題のあるケースもありますものの、ここに至りほぼめどは立ってきた状況と伺っておりまして、いよいよ悲願達成の確固たる道筋が敷かれたものと考えております。
なお、豊島地区清掃工場の建設工事は、昨年三月の着工以来、一年三カ月を経過した現在、煙突も最高高度二百十メートルに達するなど、平成十年十二月の竣工に向け順調に推移しておりまして、工事進捗率はおよそ二五%となっております。
一方、地方分権の推進についてでございますが、昨年十二月、地方分権推進委員会は、第一次勧告として全体五百六十一項目の機関委任事務を全部廃止することとし、そのうち百六十五項目、百九十一事例を自治事務百二十事例、法定受託事務七十一事例に振り分けることなどを盛り込んだ報告書をまとめ、交渉しております。
区長会におきましては、地方分権推進委員会委員長に対しまして、第二次勧告に当たっては、区市町村を中心とした地方分権の基本理念を明確にするとともに、地方公共団体の自主性、自立性を高める見地から、国税から地方税への税源移譲による安定的、恒久的な財源の確保など、国及び地方公共団体の財政関係の見直しを強く求める旨の要望書を提出することといたしております。
都区制度改革は、こうした地方分権の推進の流れに沿うものでありまして、まさに東京都の中の内なる分権でございます。制度改革実現の成否はここ数カ月が正念場でありまして、長年の悲願を達成するため、特別区及び東京都が一体となり、不退転の決意で努力してまいりたいと考えております。
さて、清掃工場の区移管と密接な関係にありますリサイクルの推進についてでございます。
本年四月から、リサイクルにとって新たな一ページとなります容器包装リサイクル法が施行されました。本区は、この容器包装リサイクル法を先取りした資源分別回収パイロットプランを平成七年度より開始しまして、清掃移管が予定されております平成十二年度の全区域実施に向け順次拡大を図ってまいりました。本年度の拡大実施予定地区につきましても、今月で準備が整い、七月から予定どおり回収に着手することとなっておりまして、前年度までの実施地区を合わせますと、区内三三%の地区において資源分別回収パイロットプランが展開されることと相なります。一方、資源分別回収パイロットプランの未実施地区でびん・缶・トレー・ペットボトルの四品目を回収するミニパイロットプランにつきましても、今年度中にはパイロットプランに実施地区のすべてを網羅する予定でございまして、本区の資源循環型社会の構築に向けて大きく前進するものと考えております。
次に、地域保健福祉の充実についてでございます。
本格的な高齢社会の到来のもとで、保健・医療・福祉を有機的に連携した地域保健福祉システムの構築は区政の大きな課題でございまして、本年四月に新たに東西の保健福祉センターを設置し、在宅サービスの拠点として三カ所体制を整備したところでございます。この三カ月間で地域住民の皆様にも徐々に周知が図られ、その事業展開につきましては、利用者をはじめ関係者等からの高い評価をいただいているところでございます。過日実施いたしました区政モニター施設見学会のアンケート集約におきましても、これまでの役所の縦割イメージを廃し、在宅福祉のさまざまな相談及びサービス提供が一カ所で済むこと、職員も熱心に相談に当たり好感が持てること、各種展示機器も充実しており、高齢者への気配りも行き届いていることなど、お褒めの感想をいただいております。
平成十二年には介護保険制度の創設が予定されておりますが、保健福祉センターが介護サービス提供システムの中心的役割を果たす施設として制度にスムーズに対応できますよう、さらにケアマネジメント手法を含め充実に努めまして、高齢者や障害者の方々が住みなれた地域で安心して自立した生活が送れますよう、今後とも在宅福祉サービスの向上を図ってまいる所存でございます。
次に、児童福祉の推進についてでございます。
少子化が進む社会の中で、この三月、本区では初めての児童福祉計画「子ども・家庭支援豊島プラン」を十カ年計画として策定いたしました。この計画は、子どもの権利条約に基づき、第一に子供の権利の尊重を掲げますとともに、これまでの施設入所中心の福祉からすべての子供とその家庭を対象とする地域福祉の観点を重視し、区と区民の皆様との協働による児童福祉の推進を基本理念といたしております。この計画に基づきまして、本年四月児童女性部の組織改正により子育て支援課を設置し、子育て支援サービスを一元的に提供する体制を整えますとともに、児童館、保育園など、従来からの子育て相談機能をより強力にバックアップし、児童虐待などの早期発見・解決に向けた関係機関の連携のかなめとなります子ども家庭・女性に関する総合相談窓口を本庁舎二階に開設いたしております。
また、地域や家庭での養育機能が低下する中で、多くの方が育児不安、育児ノイローゼに悩まされており、こうした状況に対処するため、総合相談、サービスの提供、サービスの調整、地域ネットワークづくりという四つの機能を合わせ持ちます子ども家庭支援センターを設置いたすべく準備を進めているところでございます。
去る六月三日に成立した児童福祉法の改正によりまして、学童クラブ事業が法制化され、また保育所は行政処分による措置施設から利用施設へとその性格が変更されることとなっております。今後、保育園は利用者から選択される施設として、より柔軟なサービスの提供が求められるものと考えております。
区長会におきましても、五月九日厚生大臣あてに、法改正後も国の責任を後退させることなく、引き続き保育に欠ける子供が適切に保育を受けられる制度となるよう十分な対応を行うこと、また区の超過負担を解消すること等を求める要望書を提出いたしたところでございます。少于化対策の本格的な実施を求める声は今や内外に高まっておりますが、本区におきましても、このたびの児童福祉計画の策定を大きな節目といたしまして、積極的に取り組んでまいる所存でございます。
次に、本定例会にご提案しております空き缶等の投げ捨て防止に関する条例についてでございます。
本条例案は、行政はもとより、区民及び事業者等が一体となって空き缶やたばこの吸い殼などがみだりに捨てられることを防止し、地域の環境美化を促進することによって、さわやかな街づくりを推進しよりとするものでございます。本案では特に、いわゆるポイ捨てを防止する区域を重点区域と指定し、規定違反者には二万円以下の罰金に処する罰則規定を設けております。この罰則規定は、重点区域として想定されます池袋駅周辺地区において、クリーンな街づくりに努めることを改めて内外に表明することによって、一日何十万人という来街者等に対しまして、吸い殼のポイ捨て等により街を汚さないよう、マナーの遵守を喚起する効果があるものと考えております。
次に、区役所本庁舎における耐震補強についてでございます。
公共施設、学校等の耐震補強対策につきましては、建物の耐震性能の強化を図るため、平成八年度より取り組みを開始しまして、本年度におきましては十五の区有施設等で補強設計、補強工事等を実施する予定でございます。このうち区役所本庁舎につきましては、本定例会に本庁舎耐震補強設計及び工事請負契約をご提案申し上げておりますが、工事工法といたしましては、免震装置を地下一階床下に設置する新しい工法であります基礎免震工法により耐震性能の向上を図ろうとするものでございます。新しい工法の採用は、大型施設の耐震補強工事としては全国でも三番目でございまして、工事期間は設計期間を含め平成十二年六月までの三十六カ月間を予定いたしております。
一方、工事期間中の庁舎運営でございますが、地上階におきましては通常業務を支障なく行えるよう計画しておりまして、区民の皆様にできるだけご不便をおかけすることのないよう留意いたしております。しかしながら、地下階につきましては、工法上、工事期間中の使用が困難となり、各種倉庫、車庫、その他の施設を移設することが必要になってまいります。加えて本庁舎の周囲につきましても、安全性等の観点から仮囲い等により使用が制限される状況が見込まれるところでございます。こうしたことから、工事の実施に当たりましては、さまざまな条件整備や諸問題について、総合的な検討・調整を行いつつ、所要の対策を講じてまいる所存でございます。
最後に、行財政改革の推進について申し上げます。
ご案内のように、本年一月に策定いたしました豊島区行財政改革計画では、平成十二年度には特定目的基金の運用に依存する予算編成から脱却し、歳入歳出の収支均衡を図ることを目標としておりますが、計画期間内の財政収支見通しにつきましては、昨今の経済情勢から依然として財源不足の改善は困難であるのが実情でございます。現在、行財政改革推進本部におきまして、実効性のある行財政改革を推進するため、計画の諸課題を確実に実施に移しますとともに、さらなる内部努力とあらゆる視点からすべての事務事業を総点検するなど、鋭意検討を進めているところでございます。いずれ成案ができ次第、逐次区議会にご説明申し上げ、ご指導、お力添えをいただきたいと考えております。
本日ご提案申し上げます案件は、条例八件、契約二件、その他二件、合わせて十二件でございますが、各案件につきましては、後刻、助役より説明をいたさせますので、よろしくご審議の上、ご協賛を賜りますようお願い申し上げまして、私の招集あいさつ並びに所信の表明を終わります。