平成10年第1回区議会定例会招集あいさつ・所信表明

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 本日、ここに平成十年第一回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位には何かとご多忙の中にもかかわりませず、ご出席を賜りまして深く感謝申し上げる次第でございます。


 この際、平成十年度の予算、その他の案件をご提案申し上げるに当たりまして、所信の一端を申し述べたいと存じます。


 まず、都区制度改革について申し上げます。


 都区制度改革は、半世紀にわたり不安定な法制度上の立場に置かれていました二十三特別区を地方自治法上、基礎的な地方公共団体として明確に位置づけること、財政自主権を強化すること、清掃事業をはじめ住民に身近な事務を特別区に移管することの三位一体の改革であります。


 ご案内のように、昨年秋以来、制度改革の成否を問う清掃事業区移管への条件整備の確認・合意をめぐる混乱のため、一時その実現が危ぶまれましたが、暮れも押し詰まりました十二月二十五日、都知事と自治大臣との会談により事態は大きく好転し、現在開会中の通常国会に関係法案が提出され、平成十二年四月一日実施の見通しが現実となってまいりました。自治法等改正法案は、この一月三十日、提出予定法案として閣議に報告され、三月上旬にも国会へ上程される予定と伺っております。


 この都区制度改革運動につきましては、区議会と一体となって進めてまいりましたが、この間区民の皆様の長年にわたる多大なご協力に対しまして、ここに改めて衷心より厚く御礼を申し上げる次第でございます。


 なお、本区では、清掃事業の移管を視野に入れて、豊島地区清掃工場の建設を支援してまいりましたが、この清掃工場は本年十二月に竣工し、平成十一年一月からの試運転を経て、十一年七月末本格稼働の予定となっております。また、併設いたします上池袋二丁目地区複合施設、すなわちスポーツセンター、健康診査センター、高齢者在宅サービスセンター、その他の施設も順調に工事が進捗しておりまして、平成十一年六月より順次開設する予定でございます。


 さて、我が国経済の現況でございますが、昨年夏以来景気の停滞感が強まっていたところに、相次ぐ大型企業倒産、金融システム不安の高まりから一気に市場心理が冷え込み、同時に通貨危機に見舞われたアジア経済の低迷と相まって、一段と先行きの混迷度が深まっていると思います。


 本年一月に正式に決定されました平成十年度の政府経済見通しでは、国内総生産GDPの実質成長率は前年度と並び過去最低の一・九%と見込んでおります。また、平成十年度の政府予算案一般会計は対前年度比〇・四%増となっておりますが、財政構造改革法に基づき緊縮財政路線を堅持し、政策経費であります一般歳出は九年度当初比で一・三%の減と、十一年ぶりにマイナスに転じております。


 また、「都政の基礎を固め、東京の明日への道筋を切り拓く予算」と位置づけられました東京都の平成十年度予算案は、一般会計の予算規模が対前年度比でわずかに〇・三%の微増ですが、都民サービスなど一般施策に充当される一般歳出は三・九%のマイナスで、三年連続して減少しております。


 一方、平成十年度の都区財政調整につきましては、基準財政需要額及び基準財政収入額ともに二年連続して増加し、普通交付金は過去最大の六千九百八十二億円となっております。また、投資的経費の繰り延べ措置問題は、その復元のための仕組みと財源措置につきまして、去る二月十日の都区協議会においてようやくにして都区の合意事項として確認され、決着を見たところであります。


 本区の財政収支見込みにつきましては、昨年一月に豊島区行財政改革計画の中で三カ年の財政収支を試算しております。平成十年度の予算編成に当たりまして、昨年の試算と比較いたしますと、歳入は見込みを三十二億五千九百万円下回る一方、歳出は見込みより十九億四千五百万円減額となり、試算いたしました七十八億円の財源不足はさらに十三億千四百万円上積みされ、九十一億千四百万円の財源不足が生じたのでございます。


 この歳入歳出ギャップを解消するため、昨年に引き続きまして厳しい行財政改革を実施してまいりました。特に、本年度は年度当初から全庁挙げて全事務事業の総点検を行い、これに基づき夏期集中ヒアリングを実施しまして、昨年十一月、平成十年度の行財政改革計画としてまとめまして、区議会にご説明申し上げ、ご理解とご指導を仰いでまいったところでございます。


 この行革計画に基づき、平成十年度の予算編成におきましては、職員定数の削減、再雇用職員・非常勤職員の見直しなど、徹底した内部努力によりまして五億二千四百万円、施設建設費等投資的経費の抑制により八億三千二百万円、四十五件に及ぶ事務事業の廃止・休止・縮小、執行方法の見直し等によりまして八億九千三百万円、その他コミュニティ公社等固有職員の見直し・給食調理業務の民間委託の推進等あらゆる施策の見直しによりまして十億五千八百万円、以上の歳出抑制で三十三億七百万円を生み出しております。


 一方、歳入におきましては、保育料改定の平年度化による増収、それから道路占用料の改定等で三億七百万円を確保いたしましたほか、駐車場整備基金から五億円の貸付金の返還を求めるなど、歳入歳出合わせて四十一億千四百万円に上る財政効果を上げることができたのでございます。


 しかしながら、さらに不足する五十億円につきましては、庁舎等建設基金から四十億円を運用し、残余の十億円は、高齢者福祉施設整備基金からの運用二億円及び繰越金八億円を財源対策として活用せざるを得なかった次第でございます。


 その結果、平成十年度一般会計予算の総額は、千三十億二千九百七十四万四千円でございまして、対前年度比で一〇・五%増と三年ぶりにプラスに転じまして、六年前の平成四年度の一二・一%に次ぐ高い伸び率となり、財政規模も平成四年度に匹敵する大型予算となりました。


 予算を財源別で見ますと、一般財源は、施設建設事業で特別区債の積極的な活用を図りましたほか、事業費においては国庫補助金等特定財源の確保に努めました結果、対前年度比で〇・七%減と三年連続してマイナスとなっております。一方、特定財源は、公共施設整備のための多額な特別区債の発行等によりまして、三三・四%と高い伸びになっております。


 また、性質別では、人件費は予算人員で五十四人を削減し対前年度比一・四%増、事業費では同マイナスの〇・三%で三年連続のマイナスとなっておりまして、一方、投資的経費は五年ぶりにプラスに転じ、対前年度比で一六五・六%、およそ二・六倍の予算規模となっております。この大幅な伸びは、三大プロジェクトとも言うべき上池袋二丁目地区複合施設、西巣鴨二丁目地区複合施設及び新池袋保健所等の施設建設事業がいずれも竣工時期を迎え、支払額がピークとなりましたことが大きな増要素でございます。三施設の十年度増額分は八十七億二千百万円に上りまして、これを特殊要因として除きますと、投資的経費の対前年度比は一五・三%の増となり、また一般会計予算規模も対前年度比でわずかに一・一%の微増となるのでございます。


 次に、歳出予算に計上いたしました重点施策のうち主な新規・拡充事業を中心に概略ご説明申し上げます。


 第一に、少子・高齢社会への対応でございます。


 二十一世紀を目前に控え、ますます少子・高齢化が進展している今日、最も緊急かつ重要な行政課題は、家庭での高齢者援護機能及び子供の養育機能の低下に対応した新たな介護制度の創設や子育て支援策の整備でございます。


 戦後五十年が経過し、社会経済のみならず我が国における家族の姿は大きく変容しています。夫婦と子供から成る核家族の一般化とともに家族の小規模化が進み、また女性の社会進出や物の豊かさから心の豊かさを求める社会へと変化する中で、人々は各自の価値観に基づいた多様な生き方を選択し、かつ多様なライフスタイルを持つようになってきております。このような家族形態の変化や個人の生活様式の多様化、さらには近年における急激な出生率の低下と高齢化の進展は、区民生活のあらゆる分野に影響し、とりわけ福祉衛生行政の根幹にかかわる課題を提起しているのでございます。


 本区といたしましては、こうした課題を積極的に受け止め、区民のお一人お一人が住み慣れた地域やご家庭で安心して暮らし、住み続けられますよう、なお一層の施策の充実に取り組んでまいる所存でございます。


 まず、昨年の暮れに制定されました介護保険法に基づく新たな保険制度への対応でございます。介護保険制度は、医療・年金・雇用・労災に続く第五番目の社会保険制度として、都区制度改革と軌を一にして平成十二年四月から実施されますが、十年度には導入準備組織として介護保険準備室を設置いたしまして、制度の円滑な導入を図るための準備を進めてまいる所存でございます。また、限られた準備期間の中で、平成十年度は、必要な電算システムの開発、高齢者ニーズの調査を実施しますとともに、実践に則したモデル事業として要介護状態の審査・判定を行い、介護を要すると認定された在宅の要介護者のケアプランを作成するなど、試行的な事業を実施してまいります。


 次に、在宅での介護が困難な要介護高齢者の生活の場として、年々需要が高まっております特別養護老人ホームの建設でございます。区立として四番目、定員九十名の西巣鴨二丁目地区特別養護老人ホームにつきましては、平成十一年二月に竣工し、同年五月に開設する予定で建設を進めております。また、民間特別養護老人ホームでの本区の入所優先枠を確保するため、平成十一年四月開設予定で羽村市で建設中の(仮称)神明園及び平成十二年四月開設予定の清瀬市で改築中の信愛の園に対しまして、整備費の助成を行ってまいります。優先枠はそれぞれ羽村市で三十床、清瀬市で五床、合わせて三十五床でございます。


 次に、地域の在宅福祉サービスの拠点として整備を進めております高齢者在宅サービスセンターでございます。現在、平成十一年五月開設予定の西巣鴨二丁目地区及び同年六月開設予定の上池袋二丁目地区の二カ所で建設を進めておりまして、これらの施設が完成いたしますと、区内の高齢者在宅サービスセンターは、合わせて十二カ所が整備されることとなります。とりわけ西巣鴨二丁目地区在宅サービスセンターでは、需要の多いショートステイ十床を整備してまいります。また、併設する定員三十名のケアハウスは、居住機能を重視し、自立生活維持のためのケアに配慮した区内初の施設でございまして、開設時期は在宅サービスセンターと同じ平成十一年五月の予定でございます。


 次に、子育て支援についてでございます。


 平成十年度は、まず保育需要をはじめとして子育てに関する区民需要を的確に把握するため、母子手帳交付の際にアンケート調査を実施するとともに、在宅で乳幼児を育てている家庭からの一時的な保育に対する需要に応えるため、新たに一時保育事業を実施してまいります。この施策は、保護者が就労、通院、ボランティアやPTA活動、生涯学習講座等への参加、あるいは冠婚葬祭その他の理由で、一時的に保育が困難となった際に、子供さんを時間単位でお預かりする保育サービスでございます。


 次に、地域での保育機能の整備を図る一環として、育児の援助を受けたい区民と援助活動が可能な区民とで構成する会員制の互助組織、豊島区ファミリー・サポート・センターを設立いたします。これは、区が会員の募集・登録、それかち相互援助活動の調整等を行いまして、区民による子育て支援活動の促進と円滑化を図ることによりまして、多様な保育需要に幅広くお応えしてまいるものでございます。また、昭和四十年より、成長期の子供へのご理解や親の役割を学び、家庭教育の重要性を考える機会として家庭教育学級を開催してまいりましたが、平成十年度は新たに共働き家庭の参加の機会を充実するため、夜間、休日等に、働く親たちのための家庭教育学級を開催してまいります。


 次に、保健衛生についてでございますが、平成七年度から四カ年計画で整備を進めてまいりました新池袋保健所等の建設も、この十月に竣工し十二月から開設する運びとなっております。新池袋保健所には子育て支援にも寄与いたします子供事故予防センターの拡充整備をはじめ、エイズ知ろう館や衛生部事務室も移転いたします。また、併設いたします口腔保健センターでは、在宅での治療が困難な寝たきり高齢者等の歯科診療を行うとともに、南大塚歯科休日応急診療所を移設し、診療内容の充実を図るものでございます。さらに、同じく併設します休日診療所は、池袋休日診療所と雑司が谷休日診療所を統合するものでありまして、ここに地域保健衛生行政の拠点施設がオープンすることになります。


 第二は、地域経済の活性化でございます。


 民間信用調査機関がまとめた全国企業倒産集計では、昨年の倒産件数は十一年ぶりに一万六千件を超える高水準となり、負債額は戦後最悪の水準を記録しております。豊島区内の倒産件数も百二十六件でございまして、対前年比一三・五%増、また負債総額は減少しているものの四百六十六億円と、依然として高い水準で推移しており、長引く景気低迷の中で消費税率アップ等の影響も受けまして、中小企業を取り巻く経営環境は改善されていないのが現状でございます。


 したがいまして、このような厳しい状況に置かれ、事業運営に苦慮されております中小商工業・自営業の方々に対しまして、資金難の解消と経営の安定に資するため、平成四年度に創設しました緊急特別資金融資制度をさらに一年延長してまいりますとともに、各種融資制度のうち、運転資金・設備資金につきましては、金利負担の一層の軽減を図るため、貸付利率のうち区の負担率を引き上げまして、本人負担率を二・二%から一・九%へと〇・三ポイント軽減することといたしました。


 また、大型店の進出や事業主の高齢化・後継者難などにより衰退傾向を強めている地域商店街の再生に向けての取り組みにつきまして、支援の強化を図ってまいります。


 まず、商店街自らが置かれている現状を把握・分析し、地域商店街として今後進むべき方向を調査・研究するとともに、具体的なアクションプログラムを立てて実践していく自主的な取り組みに対し、三カ年にわたって助成をしていく商店街再生支援事業を新規事業として施策化いたしました。また、区内全域の商店街の販売促進を図るため、区内共通商品券発行の管理システムを開発するための取り組みに対しましても支援策を講じてまいります。


 次に、池袋副都心の街づくりと商店街活性化の基礎資料とするため、目まぐるしく変貌する商業環境の中で、池袋を訪れる消費者の意識と行動について、東京商工会議所豊島支部と協力して調査を実施することといたしました。


 次に、産業情報提供の強化を図るため、産業活動に必要な受発注情報、公的融資情報や観光情報・イベント開催情報等を盛り込んだ産業ニュースを、平成十年度は年二回発行いたしますとともに、さらに迅速に情報を得られますよう十一年度には、インターネットに産業振興ホームページを開設すべく準備を進めてまいります。


 また、伝統工芸の伝承につきましては、伝統工芸展開催のほか、昨年九月に浮世絵木版画摺師として初めて豊島区無形文化財保持者に指定されました佐藤勘次郎氏の技と作品を一般公開する展示会を開催してまいります。


 第三に、環境・リサイクル施策の強化について申し上げます。


 昨年十二月、京都において地球温暖化防止京都会議が開かれ、温室効果ガスの排出削減目標などを定める法的文書である京都議定書が採択されました。オゾン層保護のためのモントリオール議定書と合わせ、地球環境保全のための大きな一歩が踏み出されたわけでございます。こうした人類の生存基盤を脅かすような地球規模の環境問題は、地域での人々の日常の営みや経済社会活動の集積が環境へ巨大な負荷を与えた結果として現れてきたものでありまして、資源やエネルギーを大量消費・大量廃棄する生活様式を見直し、環境への負荷の少ない資源循環型の社会を構築するために積極的な取り組みが求められていることを改めて認識いたした次第でございます。


 これらの環境課題に応えまして、二十一世紀を見据え、総合的、計画的に環境行政を展開するために、昨年三月、環境管理計画を策定いたしましたが、計画の着実な推進を図るため、平成十年度新たに二つの事業に着手してまいります。


 まず、ダイオキシン対策でございます。清掃工場や産業廃棄物焼却により発生するダイオキシン類については、全国的な問題となっておりますが、現在建設中の豊島地区清掃工場におきましては、新設の清掃工場に課せられる基準にも十分に対応可能な最新のダイオキシン対策が採用されております。今後の対策といたしましては、清掃工場稼働に伴う周辺環境への影響を的確に把握し、監視していく必要があることから、稼働前の区内の一般環境大気中及び土壌中のダイオキシン類濃度を把握したいと考えております。環境中のダイオキシン類調査は、測定技術の進展等をも勘案しつつ、最新の方法により、清掃工場稼働後につきましても実施する所存でございます。


 次に、大気汚染等常時監視システムの導入でございます。現在、区内では第一出張所及び長崎保健所の二カ所で、窒素酸化物、浮遊粒子状物質等の大気汚染物質を連続測定しておりますが、大気汚染等常時監視システムは、これらの大気汚染データをできるだけ区民にわかりやすい形で迅速に提供しようとするものでございます。常時測定局からのデータを電話回線を通じてパソコンに取り込み、地図やグラフを使った形に加工いたします。また、区民参加により、区民自らが調べた区内全域の酸性雨や二酸化窒素などの環境情報も、表示装置を用いて、わかりやすく情報提供いたしたいと考えております。


 次に、ごみの減量・資源リサイクルの促進でございます。


 まず、平成十二年四月の清掃事業の区移管と昨年四月に施行されました容器包装リサイクル法の趣旨を踏まえ、平成七年度より実施しております七品目九分別の資源分別回収パイロットプランを十二年度全区実施に向け順次拡大してまいります。平成十年度は二十町会、およそ一万九千五百世帯を対象として拡大いたしますが、これで五十四町会、およそ六万千五百世帯となり、区内の過半の地域で実施されることとなります。一方、未実施地区におきましては、本年度よりびん・缶・トレー・ペットボトルの四品目を月一回一括回収するミニパイロットプランを実施してまいりましたが、回収回数増の要望等を踏まえまして、新年度から月二回とし、積極的に対応してまいります。


 また、昨年十月からモデル実施してきました区施設の生ごみリサイクルにつきましては、全施設を対象に民間委託により資源化施設でコンポスト化いたしまして、肥料等としての再生ルートを確立いたしますとともに、リサイクル需要の少ない回収した色付きガラスびんにつきましては、砂化して区道の舗装材として活用し、再生利用の拡大を図ってまいります。


 次に、いわゆるポイ捨て防止条例は、本年四月に重点区域内で罰則規定が適用されますが、さわやかな街づくりを推進し、地域の環境美化をさらに一層促進するため、さわやかキャンペーン等街頭での啓発活動を強化いたしますとともに、街頭用灰皿を設置するほか、容器入り飲料の自動販売機の設置者から設置届けを提出させる制度を新たに設けまして、空き缶等の散乱防止と資源化の促進を図っていくことといたしております。


 次に、人々の生活に密着した環境と空間の質的整備を進めるアメニティ形成でございます。特に、都市計画道路補助百七十二号線の西池袋地区では、事業施行に伴いまして街並みは大きく変わってまいりますことから、事業の進捗に合わせ快適な街並み空間の創出を誘導するため、百七十二号線沿道地区をアメニティ形成特別推進地区に指定し、地区のガイドラインとなりますアメニティ形成指針を策定してまいりたいと考えております。


 第四は、防災都市づくりであります。


 東京都は、昨年三月、防災都市づくり推進計画・整備計画を策定し、木造住宅密集地域整備プログラムとして、木造密集地域における基礎的安全性の確保や良質な住宅、良好な住環境の形成を図るための方策を示しました。また、震災時に大きな被害が想定される地域として設定しました二十五の重点整備地域について、整備の基本的考え方と各地域ごとの整備方針を示しております。さらに、重点整備地域の中から緊急に整備を進めるべき地区として十一の重点地区を選定し、被害が発生する前から地域の安全性を高める事前復興という考え方に基づきまして、地区ごとの整備計画を作成しております。


 豊島区では、居住環境総合整備事業・防災生活圏促進事業・都市防災不燃化促進事業等を中心に整備を進めている四地区が重点整備地域に含まれ、そのうち東池袋地区百二十三ヘクタールが重点地区に選定されております。


 本区でも、昨年七月、豊島区地区別整備方針の七つ目の課題別計画として、防災まちづくり基本計画を策定いたしております。この計画は、都の防災都市づくり推進計画との整合性を図りながら、「被害を出さない、広げないまち」「災害時の活動に対処できるまち」「被害後の再生と発展に備えるまち」を目指し、区民・事業者・区が一体となって、地区レベルを重視した防災まちづくりを進めていくことを目的に策定したものでございます。


 まず、防災まちづくりの面からは、現在池袋本町地区で実施しております防災生活圏促進事業を新たに南池袋地区に導入することに向け現況調査等を実施し、逃げないですむ街づくりを進めてまいります。また、東池袋四・五丁目地区等、従来から居住環境総合整備事業を実施している地区では、緊急木造住宅密集地域防災対策事業を重層的に適用し、まちづくり活動の支援・防災細街路網の整備等、新たな助成制度を拡充し、地域の安全性確保の早期達成を図ってまいります。


 次に、清掃工場周辺環境整備の一環として、池袋駅と上池袋方面を結ぶ快適な歩行者空間の形成を目指す緑のプロムナード整備では、池袋駅前公園改修の実施設計と公園の地下に設置する池袋駅東自転車駐車場の本工事に着手してまいります。


 また、本年度は、災害時の防災センターの核となる防災課を新耐震基準で設計されております生活産業プラザに移設しまして災害対策本部機能を整備いたしましたが、平成十年度は、災害情報の収集・分析に基づき的確かつ迅速に災害に対応するため、罹災者の安否確認情報をはじめといたしまして、地図情報、応急物資の在庫管理、防災施設管理等の機能を備えた災害情報システムを整備してまいります。


 次に、十億円余を投じて整備する区有施設の耐震補強対策では、基礎免震工法を採用した本庁舎の補強工事のほか、小中学校七校、児童館二館等、合わせて十三施設の耐震補強を図ってまいります。


 以上ご説明申し上げました一般会計予算に国民健康保険事業会計、老人保健医療会計及び従前居住者対策会計の三特別会計予算を加えますと、本区の平成十年度予算の総額は千四百二十九億三千三百十七万五千円、対前年度比八・二%増と相なる次第でございます。


 本日ご提案申し上げます案件は、予算六件、条例十二件、その他二件、合わせて二十件でございます。各案件につきましては、後刻、助役より説明をいたさせますので、よろしくご審議の上、ご協賛を賜りますようお願い申し上げまして、招集あいさつ並びに所信表明といたします。