本日、ここに平成十年第四回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、何かとご多用の中にもかかわりませず、ご出席を賜り深く感謝申し上げる次第でございます。
さて、今回ご提案申し上げます案件のうち、平成九年度一般会計並びに三特別会計歳入歳出決算の認定につきましては、地方自治法の規定に基づきまして、過日、監査委員より審査意見書をいただきましたので、法令の定める関係書類を添えまして、ここに提出いたした次第でございます。よろしくご審査の上、認定を賜りますようお願い申し上げます。
この際、平成九年度一般会計決算の概要について申し上げます。
まず、決算収支の状況を申し上げますと、歳入決算額は九百十六億三千二百万円であり、一方、歳出決算額は九百三億一千七百万円となっておりまして、その対前年度に対する伸び率は、歳入〇・八%減、歳出一・二%減となり、歳入歳出とも前年度に引き続きマイナスとなっております。予算現額に対する収入率は九六・七%、執行率は九五・四%でございまして、前年度と比較いたしますと。収入率で一・五ポイント、執行率で一・二ポイントそれぞれ上回っております。形式収支は十三億一千五百万円でございまして、翌年度へ繰り越すべき財源がないため、実質収支は形式収支と同額の黒字となりまして、また単年度収支は三億七千二百万円の黒字となっております。
次に、歳入決算の状況を見ますと、特別区税は収入済額二百六十六億七千九百万円、対前年度比八・〇%の増とプラスに転じておりますが、特別区交付金は収入済額二百二十五億六千五百万円でございまして、対前年度比七・五%減とマイナスとなり、この二大財源の合計額は対前年度比でわずか〇・三%増で横ばいとなっております。一般財源につきましては三・八%の減で、歳入全体に占める割合は六七・五%となり、前年度と比較しますと二・一ポイント下回っております。なお、財源対策としての緊急避難的な措置である運用金につきましては、庁舎等建設基金から三十億円を運用いたしましたが、前年度比では三十三億円の減となっております。
次に、歳出の決算状況でございます。平成九年度の一般会計予算は、依然として厳しい財政環境の中で、より効率的な行財政運営を推進するため、平成九年一月、平成九年度を初年度とする三カ年計画、豊島区行財政改革計画を策定し、職員定数の二百五十人削減計画の前倒し等、徹底した内部努力や全事務事業の見直し、給食調理業務の民間委託化、社会教育会館の有料化等により三十六億円の財政効果を生み出しましたが、地域保健福祉の充実をはじめ教育環境整備、防災対策、中小商工業振興等々、山積する行政需要に対処するため、不足する一般財源につきまして、財政調整基金の繰り入れと基金運用により編成した予算でございます。また、平成九年度は新たな基本計画の初年度として編成した予算でございましたが、区財政としては初めて二年連続のマイナス予算となりまして、財政規模も平成三年度とほぼ同規模に落ち込んだ厳しい予算でございました。
区政各般にわたる事務事業の執行内容につきましては、別途提出いたしました成果報告書をご高覧いただきたく存じますが、一般会計予算に計上いたしました新規・拡充事業の決算状況を申し上げますと、東西保健福祉センターの開設、長崎小学校体育館の改築、東通り拡幅整備の完成、駒込駅北及び南長崎自転車駐車場の開設、染井吉野桜記念公園の開園、小中学校等耐震補強対策のほか、介護保険事業の基盤整備として本年度中にすべて竣工いたします三大プロジェクト、すなわち健康診査センター、スポーツセンター、高齢者在宅サービスセンター及びコミュニティセンターの四施設を併設する上池袋二丁目地区複合施設、それから特別養護老人ホーム、高齢者在宅サービスセンター及びケアハウスの三施設を併設する西巣鴨二丁目地区複合施設、三番目に口腔保健センター、休日診療所を併設する新池袋保健所等の公共施設整備を進めてまいりました。また、非施設建設事業では、二十四時間巡回型ホームヘルプサービスの拡充、小中学校適正配置の推進、産業情報システムの整備、資源分別回収パイロットプランの地域拡大及びミニパイロットプランの開始等に取り組んでまいりました。これら新規・拡充事業合わせて百二事業の執行額は百十九億七百万円でございまして、執行率は九〇・四%となっております。
次に、歳出の性質別内訳を見ますと、義務的経費、すなわち人件費、扶助費及び公債費の総額は四百七十七億一千万円でございまして、前年度に対する伸び率では三・〇%、歳出全体に占める割合は五二・八%で前年度を二・二ポイント上回り、前年度に引き続き五〇%を超えております。なお、人件費は前年度伸び率を〇・六ポイント下回る〇・二%の減でありまして、決算史上初めて対前年度伸び率がマイナスとなっております。投資的経費は八十六億七千九百万円でございまして、前年度に対する伸び率ではマイナス二・二%となり、平成四年度から六年連続のマイナスでございまして、歳出全体に占める割合も九・六%となり、前年度を〇・一ポイント下回っております。
次に、財政状況の健全性を計る財政指標により平成九年度決算を見ますと、財政構造の弾力性の判断指標であります経常収支比率は前年度を八・二ポイント上回る九一・四%となり、財政構造の弾力性は一段と硬直化が進んでおります。また、公債費比率は八年連続して上昇し、過去最高の一一・七%となっております。
以上申し上げました平成九年度の決算を見ますと、長期にわたる景気低迷、戦後最悪の経済状況のもと、区財政は極めて深刻な事態に直面しているのでございます。このような危機的な財政状況を克服するため、豊島区行財政改革計画に基づきまして、全庁挙げて行財政改革に取り組んでいるところでございます。平成十一年度の行財政改革計画につきましては、昨年よりおよそ1カ月早く取りまとめ、既に区議会各会派に対しましてご説明を申し上げたところでございますが、都区制度改革、介護保険制度導入等、区政を画する平成十二年四月を間近に控えまして、名実ともに区民に最も身近な基礎的自治体として健全な行財政運営を確立するため、区議会には、今後とも大所高所からのご指導を心からお願い申し上げる次第でございます。
次に、清掃事業の区移管についてでございます。
都区制度改革の柱の一つである清掃事業につきましては、平成十二年四月より各特別区が責任を持って事業を行うよう、円滑な事業移管を目指して都区双方で協議を進めているところでございます。
しかしながら、去る十月九日の区長会役員会において、東京都から、移管後の運営形態については一定期間、二十三区一括共同処理としたい旨の提案がありました。この提案はごみの中間処理のみでなく収集・運搬も含めて一括処理するというものであり、これまでの都区間の合意に反するものでございます。
このような状況を踏まえまして、十月十二日、特別区長会及び議長会の正副会長が自治省及び都議会に対しまして、都区制度改革の主旨を実現し区民の要望に応えるため、収集・運搬については直接実施することが特別区の責務であることを要請するとともに、十月二十六日の臨時区長会において、収集・運搬については各特別区が直接実施する、それから中間処理については平成十七年度までのダイオキシン対策期間中、二十三区の共同処理とする旨の基本方針を決定したところでございます。
いずれにいたしましても、来年四月には清掃事業移管のための政令改正が予定されておりまして、早期に都区間で具体的運営形態について決着し、年内にも国に成案を提出しなければなりません。限られた日程ではございますが、都区制度改革の目玉であり、区民の日常生活に一日たりとも揺るがせにできない清掃事業の円滑な移管を実現するため、全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
本日ご提案申し上げます案件は、決算認定四件、条例三件及び契約五件、合わせて十二件でございます。各案件につきましては、後刻、日程に従いまして、助役及び収入役よりそれぞれ説明をいたさせますので、よろしくご審議の上、ご協賛を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。以上をもちまして招集のあいさつといたします。