平成11年第3回区議会定例会招集あいさつ

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 本日、ここに平成十一年第三回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては何かとご多忙の中にもかかわりませず、ご出席を賜りまして深く感謝を申し上げます。


 去る八日に、池袋でも有数の繁華街で、予想もしない凶悪な事件が発生しました。お二人の方が亡くなり、六人の方々がけがを負われました。動機に関しての報道が事実であるとすれば、誠に恐ろしく不気味な気がいたします。事件は世相を反映するとも言われますが、何ともやりきれない思いがいたします。


 今年の夏は近年になく猛暑が続き、また記録的な集中豪雨が各地で発生し、本区におきましても床上・床下合わせて延べ三百六十一世帯の浸水被害がありました。被害に遭われた方々には心からお見舞いを申し上げます。一方海外では、八月十七日にトルコで、またその三週間後にはトルコの隣国ギリシャで大地震が発生し、大変大きな被害が報道されました。四年半前の阪神・淡路大震災の記憶が薄れ行く中でのこの大災害は、改めて私たちに地震災害の恐ろしさを再認識させたのであります。


 早いもので、私が区長に就任してから既に五カ月が過ぎようとしています。この間、私は現場第一主義をモットーとして、一日区長相談室、区長と区民との対話集会、危機管理に対応した幹部職員の区内居住、秘書担当課の設置、庁舎周辺道路の早朝清掃等、新たな取り組みを行ってまいりました。今後とも区民の皆様にとってより身近で一層開かれた区政を目指すとともに、サービス精神旺盛な行政をさらに進めていきたいと考えております。


 さて、昨今の我が国の経済状況には一縷の光明が見い出せるような気配を感じますが、なお雇用状況や地域経済活動は全般的に依然として厳しい状況が続いています。区財政もまた引き続き深刻な状況にあります。このような中、平成十一年度の都区財政調整が去る七月十五日の都区協議会において決定されました。都区財政調整では、基準財政需要額・基準財政収入額がともに前年度よりもマイナスとなっており、特に基準財政需要額は平成六年度のマイナス五・四%に次ぐマイナス四・八%、七百六十九億円余の大幅な減となったところであります。また、区別算定結果では、本年も二十三区全区が交付区となっておりますが、普通交付金の総額は前年度より八・三%、五百六十二億円余も少ない六千百七十七億円で、このマイナス八・三%という落ち込みは過去最大のマイナス幅となっています。なお、本区の普通交付金の額は二百十二億六千万円余で、昨年度との比較では八億円を超える減額となっておりますが、ほぼ想定の額に収まっています。


 次に、都区制度改革についてですが、来年四月からの清掃事務等の移管に向けて、いよいよ具体的な作業を開始することになり、本定例会には、教育委員会の事務の一部と清掃事務の一部を二十三区で共同処理するための議会への協議案件、合わせて三件をご提案いたします。


 なお、制度改革の中心的課題となっています新しい財政調整制度での都区間の財源配分の問題に関してでありますが、現時点におきましても、大都市事務の範囲と大都市財源の考え方など幾つかの重要な点で、東京都と特別区との間で大きな意見の隔たりがあります。このうち財源配分の特別区の割合につきましては、区側が現行の配分割合四四%にこれまでの財調協議で積み残しとなった要素を加味し、将来需要等を積み上げるべきと主張しているのに対し、都側は現行の四四%を基礎に置き、将来需要等のみを積み上げることを主張しています。また、清掃事務経費や国民健康保険事業経費につきましても、財源措置の考え方について都区間で意見が大きく異なっているところであります。このように、都区間の財源配分等については、残念ながらいまだに都区合意には至っていない状況でありますが、早期かつ円満に合意がなされるよう、また移管事務の遂行に支障を来さないよう、今後も区長会等において強く主張していきたいと考えております。


 次に、行財政改革の推進について申し上げます。現下の区財政状況は極めて危機的であり、この健全化は、二十一世紀に向けて区民のために新たな施策を展開する上で何としても達成しなければならない課題であります。そのため現在、行財政改革推進本部が中心となり、あらゆる事務事業についてその根本から見直しを行う作業を精力的に進めているところでありますが、現時点における財政収支試算では七十億円を超える財源の不足が十二年度に見込まれており、強力に行財政改革を行わなければ十二年度予算編成もままならない状況であります。十一月上旬には行財政改革計画を策定し、区議会にもお示しをいたしたいと考えております。今後ともさまざまな観点からのご意見をいただきながら行財政改革を推進し、不退転の決意で取り組んでまいりますので、区議会や関係各方面の方々のご理解、ご協力を心からお願い申し上げます。


 一方、いよいよ来年四月には介護保険と都区制度改革が実施されることになり、財政的な影響は誠に大きなものがありますが、現時点ではいまだにその詳細が不明確な状況であります。行財政改革にとりましても、また十二年度予算の編成に際しましても、介護保険と都区制度改革の財政的な見通しが必要となりますので、早期にそれらが明らかになるよう切に望んでいるところであります。


 次に、出張所制度の改革でございますが、今回の出張所の統合と区民事務所の設置は二十三区でも極めてまれで、かつ先進的と申し上げてもよい改革であります。これまで広報紙による周知、区政連絡会や住民説明会の開催など、区民の皆様のご理解をいただく場を数多く設けてまいりました。大方の区民の皆様にはご理解がいただけたものと考えております。本定例会には区民事務所の設置に関します条例と関連予算をご提案申し上げておりますが、引き続き新しい制度のスタートに万全を期してまいりたいと思います。


 次に、外部監査の導入に関してですが、地方自治法の一部改正により、昨年の十月一日から地方自治体におきまして外部監査ができることになりました。この外部監査は、区政の透明性をより一層高め、区民の区政に対する信頼に応えるためにも必要であり、第二回定例会での所信表明において既に導入の考えを申し述べてまいりましたが、今回、関連条例についてご提案を申し上げております。実際の外部監査は包括外部監査契約により来年度から行いたいと考えておりますが、単なる財務諸表監査とは異なる、経済性や有効性等の見地から区の事業等のあり方にも判定が及ぶ、そういう監査がいただけるものと期待をしております。


 次に、介護保険の実施に向けた準備状況についてです。介護保険の実施まで残すところあとわずか半年余りとなりました。制度的にはいまだに未確定な部分も数多く、戸惑いもありますが、円滑な実施を目指し、最大限の努力を重ねているところであります。


 法定計画である介護保険事業計画も、昨年の七月以降、地域説明会や区民との対話集会など、ご意見を伺う機会をさまざまに設けながら、一年をかけて検討を進めてまいりました。ようやく中間のまとめができ上がり、今後は来年三月の成案策定を目指し、最後の詰めに全精力を傾けてまいります。


 また、十月からはいよいよ介護保険法に基づく制度開始前の準備認定審査が開始されます。この準備認定審査は、来年四月一日を期してのサービス開始を円滑に進めるために、介護保険の認定手続きをあらかじめ行うものであります。したがって、介護認定は事実上十月から始まるとも言えるものでありますので、認定調査や介護認定審査に関しての研修を八、九月に集中的に実施し、合わせて模擬認定審査会を実施するなど、万全の体制を整えているところであります。


 次に、オウム真理教対策についてですが、区民が安心して安全に暮らせる街づくりを進める観点から、区としてもでき得る限りの対応を行うべく、去る八月二十五日に今後のオウム真理教対策をまとめ公表いたしました。その内容は、オウム真理教関係者の新規転入の受け入れを拒否する、オウム真理教に対しては区立施設の利用を制限する、住民活動への支援として裁判費用を貸し付ける、オウム真理教関係者には土地・建物等の売買や賃貸を行わないよう区内不動産関係団体に協力を要請する等であり、オウム真理教に対しては、従来にも増して断固たる姿勢で臨むことといたします。今後も地元協議会とともに積極的な対応を進めてまいりますが、区議会におかれましてもぜひともご協力を賜りますようお願いいたします。


 最後に、私と特別職の給料の減額についてですが、これまで経験したことのない未曾有の財政危機に直面している中にあって、区政を預かる最高責任者として、またこの深刻な事態を何としても克服するという決意を表すためにも給料の減額をすべきであると、強い意志で臨んだものであります。いずれ取りまとめます行財政改革計画の成案化に先立ちまして、今回、減額についての条例を提案させていただきます。


 本日ご提案申し上げます案件は、条例六件、協議規約三件、契約一件、予算一件、報告一件、その他一件の合わせて十三件であります。各案件につきましては、後刻日程に従いまして助役より説明申し上げますので、よろしくご審議の上ご協賛賜りますようお願い申し上げます。


 以上をもちまして招集のあいさつといたします。ありがとうございました。