本日、ここに平成十二年第四回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては何かとご多忙の中にもかかわりませずご出席を賜りまして、深く感謝申し上げます。
本年四月の地方分権一括法の施行、都区制度の改革の実現により、特別区は新たな時代を迎えることとなりました。こうした状況に的確に対応するため、特別区区長会は、財団法人特別区協議会及び特別区人事・厚生事務組合の今後のあり方について、議長会での検討と並行して議論を重ねてまいりましたが、このほどその結果がまとまりました。
改革の大きな柱の一つは、平成十三年度からの区長会事務局の設置であります。現在、事務局の機能は特別区協議会に委嘱されており、今後、区長会がみずから自立的な相互調整を行っていくためには、独自の新しい組織をその指揮下に位置づける必要がありますことから、事務局を設置した次第であります。さらに、さまざまな会議体、すなわち部長会、課長会などとの関係を明確にし、各区の意思を集約する仕組みをつくることといたしました。これにより、区長会が迅速に意思決定を行い、かつ、行動する、そのような新たな時代にふさわしい組織へと脱皮が図られるものと考えております。
もう一つの柱は、自治研究会を設けたことであります。ご承知のとおり今回の都区制度改革では、特別区が基礎的自治体として法的に認められるという歴史的な変革をなし遂げたのでありますが、積み残した多くの課題を抱えたままのスタートであったことも事実であります。こうした課題を二十三区が結束して解決していく体制をつくり、これからの特別区の自立的発展を担保していくためには、区長会独自の調査研究機能の充実強化は必須の課題であります。このため、三つの分科会からなる自治研究会を設置することにいたしました。この分科会では、「都が担うべき大都市事務の研究」「清掃地域処理のブロック化の研究」「制度改革後の特別区のあり方の研究」という、いずれも特別区が当面する三つの重要課題に、研究会がリーダーシップを発揮し取り組んでいくこととしたのであります。
このように、区長会は二つの大きな組織改革を行いました。新たな時代の特別区体制の確立に向けて、区長会の一員として私自身の責任を果たすために、全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
次に、開かれた区政の推進についてであります。
先般作成いたしました「新生としま改革プラン」の中でも大きな柱の一つに取り上げておりますこの「開かれた区政の実現」は、私が区長就任以来、最も重要視してきた課題であります。行政の内部に入らずとも行政の実態が手に取るようにわかる、そうした状態を一日も早くつくり出すことが「開かれた区政」の実現であると考えてまいりました。その手段の一つとして、インターネットを通じた豊島区ホームページの本格開設を十一月十五日に行いました。ホームページには、全部で十七項目の区政情報が掲載されておりますが、このうち、特に「例規集」につきましては、二十三区で初めて条例・規則の全文を掲載したものであります。また、「としまの統計」では、区の現況、産業、教育など百五十七の統計資料が掲載され、区政の基本情報が即座に検索できることになりました。さらに、「区政へのご意見」コーナーでは、電子メールにより簡単に区政へのご意見をいただくことができることとなります。これらは従来の広聴はがきによる区政へのご意見と同様な取り扱いをしたいと考えております。来年度からは審議会等の会議録の掲載も予定をしておりまして、政策形成過程の公開と区政への区民参加を一段と進める予定であります。
IT、情報技術革命の波は、今や区民の生活の隅々にまで浸透しつつあります。区民サービスの向上、行政の透明性の確保、意思決定の迅速化等の観点から、ホームページの開設にとどまることなく、区政の電子化、電子区役所の実現に向けて情報基盤の整備、充実をさらに図ってまいりたいと考えております。
次に、行財政改革と平成十三年度予算編成についてであります。さきの定例会におきまして、今後四年間の行財政改革の基本となります「財政健全化計画」と「新生としま改革プラン」をご説明申し上げたところでありますが、現在、この二つの計画の着実な実施を基本方針に据え、平成十三年度の予算編成に取り組んでいる段階でございます。今後、歳入の動向などを踏まえ、予算原案の作成に取りかかることになるわけでございますが、既にご説明申し上げましたとおり、「財政健全化計画」に盛り込みました主要な事業百九十八事業の見直し具体案につきましては、今定例会の会期中にお示し申し上げたいと考えております。
財源対策の主要な原資でありました基金が払底した現在、歳出抑制と歳入確保という原点に立ち返り、主要事業につきましても、新たな視点から見直しを図っているものでありまして、お示し申し上げる具体案に対しまして、多角的な観点からご意見をちょうだいいたしたいと考えております。
また、公共施設再構築の素案につきましても、改革プランでお示しいたしました区民集会室、児童館、保育園などの施設を対象に現在、最終的な検討を行っておりますので、これにつきましても、早期にお示しをしてまいりたいと考えております。健全化計画とあわせ、ご意見を賜りたいと考えております。
次に、新たな資源回収システムづくりについてであります。
本区では、資源回収を促進するという観点から、来年二月の実施を目途に、可燃ごみ収集日を一日減らし、減らした一日を資源回収日とする新しい資源回収システムについて、今年度検討作業を進めてまいりました。資源回収日の設定は、ごみの収集体制の変更を伴い、かつまたこれが区民生活等に大きくかかわりますことから、その実施に当たりましては、事前に区民の皆様のご理解とご協力を得ることが不可欠であります。しかしながら、区側の努力不足もございまして、当初予定しておりました来年二月からの実施につきましては、これを延期せざるを得ないと判断いたしたところでございます。
現在、組織体制を強化し、町会を初めとする各団体の皆様と精力的に意見交換を行っておりまして、そこでのご要望やご意見、さらにはこれまでの本区の資源回収の実績と成果を踏まえ、今年度中には本区独自の新たな資源回収システムを構築する予定であります。その後再び関係団体等に対する実施説明を経て、平成十四年四月から区内全域実施を目指してまいりたいと考えております。当初の予定より約一年ずれ込むこととなりますが、パイロットプランの全域実施とあわせまして、この新たな回収システムを導入する考えでありますので、ご理解とご協力を賜りたいと存じます。
最後に、区立小中学校における通学区域の弾力的運用についてでございます。
このほど教育委員会は、隣接する通学区域の学校も選択可能とする隣接校選択制の導入を決定し、十一月一日には、就学予定者に選択希望表を発送し、いよいよ新制度が動き出しました。
学校選択に当たりましては、保護者が校長から直接、学校の特色を聞いたり学校参観週間に参加されるなど、日ごとに新制度に対する関心が高まっております。中間集計の段階でありますが、既に申請された方の選択希望理由は、「友人と同じ学校へ進学したい」「通学距離や経路を考慮したい」「兄姉と同じ学校へ通いたい」などが上位を占めております。この制度の導入を通じて、保護者と児童・生徒の自己責任、自己決定権が確保され、特色ある学校づくり、開かれた学校づくりなど、豊島の教育改革がさらに推進されることを期待しているところでございます。
先般、「財政健全化計画」及び「新生としま改革プラン」など三つのプランと五つの白書を発表いたしましたが、多くの区民の皆様からさまざまなご意見、ご要望が既に私のもとに寄せられております。とりわけ、「これからの豊島区は一体どうなるのか」「二十一世紀を迎えるに当たり、豊島区はどのようなビジョンを描こうとしているのか」など、豊島区の将来を心配されての声が多くございました。私は、計画期間の四年間がただひたすら耐え忍ぶだけの四年間ではなく、区議会や区民の皆様とともに豊島区の新世紀を切り開くための創造的な四年間にしたい、新しい計画の策定を通して、そのような前向きな姿勢で臨んでまいりたいと決意をしております。改めてご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
本日ご提案申し上げます案件は、条例八件、道路認定二件のあわせて十件であります。各案件につきましては、後ほど日程に従いまして助役より説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜りますようお願い申し上げます。
以上をもちまして招集のあいさつといたします。