平成13年第3回区議会定例会招集あいさつ

【目録を見る】

 本日、ここに平成十三年第三回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては何かとご多忙中にもかかわりませず、ご出席を賜りまして深く感謝を申し上げる次第でございます。


 先月十一日、アメリカ・ニューヨークやワシントンなどで発生した史上空前の同時多発テロは、日本人を含む八十数カ国、七千人近い死者、行方不明者を出し、全世界に強い怒りと深い悲しみが広がっています。


 連日テレビで報道される、希望を捨てずに救助活動を続ける人々の姿からは、アメリカ国民の心の痛みの深さが伝わってまいります。


 自由と民主主義、平和と安全を願う人々への許しがたい今回の暴挙に対し、私は心の底から強い怒りを覚え、犠牲となられた方々に心から哀悼の意を表し、お見舞いを申し上げるものであります。


 また、今回の事件による心理的ダメージが世界経済や日本経済の先行きにばかり知れない深刻な影響を与えるのではないかと懸念をしております。


 一方、東京では先月一日未明、新宿雑居ビルで火災が発生し、四十四名の方々が犠牲になられました。お亡くなりになられました方々に心から哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。


 避難口がふさがれ、逃げ場を失った方々が狭い雑居ビル内で焼死するという今回のような事態は、新宿のみならず、都内有数の繁華街を抱える豊島区においても発生が予想されるものであります。


 本区では、一千カ所に上る雑居ビルを抱えております。このため、火災発生後直ちに、区民部長をリーダーとする豊島区雑居ビル火災対策連絡会を立ち上げ、今後の予防策に対する取り組みを開始いたしました。


 消防署との連携による建築物の緊急査察、ビル等の窓をふさいでいる看板、広告幕などの緊急調査、また学校を含むすべての区施設の緊急安全点検の実施などに取り組むとともに、商店街連合会では消防署と連名で、複合用途ビルの安全点検を行うようすべての商店街に呼びかけております。


 このような惨事を本区では引き起こさないよう、この事件を機に万全の体制を築き、安全な街づくりを推進してまいる考えであります。


 今回のテロと火災という二つの事件を通じて強く認識いたしましたのは、危機管理の強化であります。危機管理については、機をとらえてはその重要性を職員にも指摘しておりますが、さらにその内容を一段と強化しなければならないと考えております。


 今定例会にご提案申し上げる案件のうち、平成十二年度一般会計並びに四特別会計歳入歳出決算の認定につきましては、監査委員よりの監査意見書を添え提出いたした次第でございます。ご審査の上認定賜りますようお願い申し上げます。


 それでは、平成十二年度決算のうち、主要な一般会計歳入歳出決算の概要について申し上げます。


 まず、決算収支の状況でありますが、歳入決算額は九百三十二億八千六百三十一万八千円、歳出決算額は九百二十三億一千四百七十八万九千円となっておりまして、前年度に対する伸び率は、歳入が七・四%、歳出が六・六%の減と、いずれも前年度の伸び率の三倍に近いマイナスとなっております。


 予算現額に対する収入率は九五・三%、執行率は九四・三%で、前年度決算と比較をいたしますと、収入率では一・二ポイント、執行率では〇・五ポイントと、それぞれ前年度を下回っております。


 また、形式収支は九億七千百五十二万九千円でありまして、翌年に繰り越すべき財源がないため、実質収支も同額の黒字となっております。


 次に、平成十二年度決算の状況を財政分析指標の上から見てみますと、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は、前年度の九八・五%から九一・三%へと七・二ポイント改善されました。これは、平成十二年度決算から決算分析手法の変更に伴って介護保険関係の経常経費が普通会計上、いわゆる公営企業会計に組み替えられたことにもよりますが、十二年度も六十五名の職員削減を図るなどの行財政改革を積極的に行った結果、その成果が決算に反映されたものであります。


 しかしながら、七〇%から八〇%といわれる適正水準に比べますと、依然として財政の硬直化の度合いは改善されたとはいえないのであります。したがって、さらに一層の努力が必要であると考えております。


 また、平成十一年度は一四・〇%と過去最高であった公債費比率も、十二年度に一〇・八%と三・二ポイント低下いたしました。これは特養ホーム関係の公債償還費約十一億円が同じく公営企業会計に組み替えられたこと。また、平成十二年度から清掃事業が標準財政規模に算定されたことなどによるものであります。


 しかしながら、公債費全体が過去最高の七十五億円となっていることを見ますと、公債費の元利償還は引き続き重い負担となっております。


 平成十二年度決算は、平成六年度以来続けてまいりました庁舎建設基金からの運用を講じることなく、七年ぶりに実質的な黒字となったのでありまして、この間の行財政改革の努力が徐々にではありますが、一定の効果を生み出し始めたものと評価をしております。


 この成果を踏まえ、平成十六年度財政再建に自信を持って取り組んでまいりたいと考えております。


 次に、区政の課題について申し上げます。


 まず、財政健全化への取り組みについて申し上げます。


 平成十六年度には、予算編成段階で黒字に転換させるという「財政健全化計画」の目標が達成できるかどうか、平成十二年度決算の結果などを踏まえまして、このたび改めて平成十四年度以降十六年度まで三カ年の財政収支の試算を行ったところであります。


 その結果、平成十四年度から十六年度までの三カ年間の財源不足見込み額は、「財政健全化計画」策定時には約二百四億円と見ておりましたが、今回の試算では約百三十四億円と七十億円減少をしております。しかし、依然として多額の財源不足が見込まれるのでありまして、この財源不足を解消するためには、「財政健全化計画」に織り込まれた歳出抑制、歳入確保など健全化対策の一層の徹底を図ることは当然必要となります。


 このため、今後、職員の削減数を、新定員適正化計画の減員目標からさらに約一〇%増やし、三年間で二百十名とすることを初め、平成十四年度以降実施することとした健全化計画事業を中心に、一般行政経費の見直しを行うこと、現在検討中の公共施設の再構築、区有財産の活用、外部団体のあり方に関連する事業の見直しを併せ行うことなどにより、一層の歳出抑制を図ってまいります。


 また、歳入確保策として、税等の収納率の向上、手数料、保育料、使用料の見直し、用地の売却・貸し付け、さらには基金の活用など、さまざまな取り組みにより財源不足の解消を図る考えであります。


 財政再建を成し遂げるためには、いまだ多くの関門があり、引き続き気を緩めることなく徹底した改革の推進を図っていかなければならないと考えております。


 なお、今議会に提案しております区長等の給料等の特例に関する条例は、平成十一年十一月から実施しております私の給料、期末手当を初め、他の特別職給料の削減措置を十一月からさらに一年間延長するものであります。


 議員各位の格段のご理解、ご支援をお願いするものであります。


 次に、行政評価制度について申し上げます。


 私は、区長就任以来、一貫して区民の目線に立った区政の推進ということを区政運営の基本に置いてまいりました。区民とともに考え、決定していく、このような行政スタイルを確立することがこれからの時代に求められると考えるからであります。このため、行政評価という手法を用いて、行政の説明責任の遂行、区民の視点に立った成果重視の行政の実現、効率的で質の高い行政運営という課題に取り組むこととしたのであります。


 昨年度試行を終え、本年度からは本格実施を行っておりますが、現在、区民にサービスを提供する約八百の事務事業すべてについて直接業務を担当している職員の手による評価を行っているところであります。


 その内容につきましては、まとまり次第、議会にもお示しをするとともに、広く区民の皆様に公開し、ご意見をいただく予定であります。


 今後、この事務事業評価を踏まえ、来年一月から施策・政策評価に着手することとしておりまして、区の施策・政策について区民の皆様の満足度調査を行うことを初め、第三者による外部検討委員会を設け、ご意見をいただくこととしております。


 この行政評価を毎年積み重ねて実施することにより、各年度の予算編成の際に活用することはもちろん、今後予定しております区の基本計画の見直しにも反映させるなど、区民のニーズに適合した施策・政策づくりを目指してまいりたいと考えております。


 次に、「新生としま改革プラン」の柱となっております公共施設の再構築と区有財産の活用について申し上げます。


 本区では、昨年度、二十三区でも初めての「施設白書」を発表いたしましたが、その中でも指摘しております区財政硬直化の大きな要因であります公共施設のあり方を見直すことは、行財政改革の極めて重要な課題であります。


 昨年十二月の公共施設の再構築推進検討委員会報告に引き続き、先般、保健福祉、子ども家庭、教育など、各分野の主な施設につきましても、同委員会がそのあり方について検討結果を報告書にまとめたところであります。


 また、この間、学校、保育園、出張所など、公共施設の統合や廃止により、数多くの跡地、跡施設が発生しておりまして、その活用につきましては区民の皆様も非常に高い関心を示されております。


 一方、民間用地につきましては、JR東日本駒込社宅用地や大塚の癌研附属病院用地などが、ここ数年の間に売却される可能性がありまして、区としても区民のためにこうした用地を有効活用できないか検討を行っております。


 今年度、区有財産活用推進会議を設けまして、これら一連の用地を対象に活用策を検討しておりましたが、このほど「区有財産活用素案二〇〇一」として検討結果が報告されました。


 この公共施設の再構築と区有財産の活用案という二つの報告を受けまして、行財政改革推進本部では、現在本部案を検討しているところであります。


 この案につきましては、今会期末には、議員各位にお示しするとともに、区民の皆様に公表し、幅広くご意見をいただく予定であります。


 次に、区立小中学校の適正配置について申し上げます。


 このたび、教育委員会は「区立小・中学校の適正化第一次整備計画」を見直し、計画を改定しました。


 その内容は、時習小学校と大塚台小学校、大明小学校と池袋第五小学校の統合は、当初のとおりに行うこととし、従来の第十中学校と千早中学校の統合に長崎中学校を加え三校の統合とすること、新たに道和中学校と真和中学校の統合を行うことであります。


 区立小中学校を取り巻く環境は、平成九年の第一次整備計画案策定後も大きく変わりつつあります。新しい二十一世紀を担う子供たちの生きる力を育成するという教育目標を達成していくためには、一定以上の学校の規模を確保することが必要であります。


 したがいまして、今回示された見直しの内容を私もしっかりと受けとめ、統合に伴う新校舎の建設や改修整備など、児童・生徒の教育環境整備に全力を尽くしてまいりたいと考えております。


 次に、平成十四年度予算編成方針について申し上げます。


 先ほども申し上げたとおり、平成十二年度決算は七年ぶりに庁舎建設基金からの資金運用を行わないで黒字となったとはいえ、経常収支比率など、財政分析指標から見て依然として財政の厳しい状況に大きな変化はなく、財政健全化はいまだ道半ばという状況であります。


 したがいまして、平成十四年度予算は改善の兆しが見えつつある区財政を基盤として、財政健全化に向けた歩みをより確実なものとするため、「財政健全化計画」と「新生としま改革プラン」の着実な実施を最優先の課題とし、財政健全化を計画目標どおり達成することを基本として編成する考えであります。


 区政の健全な運営のためには、財政の健全化を達成することにより、政策や施策の選択の幅を広げ、区民の多様なニーズにこたえるゆとりを生み出すことが重要であります。当面、財政再建に全力を投入してまいりますが、二十一世紀、新たな時代に対応する施策・政策づくりにも力を注いでまいらなければなりません。


 区政の未来に夢と希望を感ずることができ、区民の中に新たな活気が沸いてくる、そのような区政を実現するためにも、財政健全化を当初の目標どおりなし遂げなければならない、このように改めて決意しているところであります。


 最近、私は未曾有の状況が続く中にあって、大塚の阿波踊りや池袋ふくろ祭りに取り組まれる区民の皆さんの元気あふれる姿に深い感動を覚えました。


 八月三十日、第二十九回目を迎えた大塚の阿波踊りには、本場徳島を初め、地元の商店街や町会はもとより、郵便局や企業の皆様など十一連、総勢二千人が参加され、私も区役所連百二十人の職員とともに踊りの輪に加わりました。


 また、九月二十一日から四日間の池袋ふくろ祭りにも、関東近県はもとより、沖縄、高知、新潟佐渡、札幌など、全国各地から、それぞれお国自慢の芸をひっ提げての参加がありました。


 最終日の東京よさこいには三十五チーム、二千人が自慢の踊りを披露し、大勢の見物客が押し寄せ、祭りのフィナーレが飾られました。


 このようなお祭りの成功を舞台裏で支えていただいた関係者、区民の皆さんのご苦労に対しまして、深く敬意を表しますとともに、感謝の気持ちでいっぱいであります。


 何かと暗いニュースが多い中で、何とか街に活気を取り戻し、新しい地域の連帯の輪をつくろうと努力されている皆さんの気持ちを大切に、大事にしたいと思います。


 区の職員にも、このような地域のお祭りにできる限り参加するよう呼びかけ、会場の整理などの役割を担ってもらいましたが、行政と区民が地域のお祭りなどを通して一体感を味わうこと、これがコミュニティづくりの出発点だと改めて実感をいたしました。


 地方の時代と言われて久しい中で、地域の特徴を強く自覚、主張し、自らの努力によって活路を切り開き、何とか成果を上げようとする区民の皆さんの動きが区内の随所で感じられることは力強い限りであります。


 このような取り組みに対し、行政としてもできる限りの支援を行い、区民とともにつくる街づくりに今後も私の情熱を傾けていきたいと考えております。


 本日ご提案申し上げます案件は、決算認定五件、条例五件、専決処分一件、規約一件、補正予算二件の合わせて十四件であります。


 各案件につきましては、後ほど日程に従いまして助役並びに収入役より説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜りますようお願いを申し上げます。


 以上をもちまして招集のあいさつといたします。