平成13年第4回区議会定例会招集あいさつ

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 本日、ここに平成十三年第四回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては何かとご多忙の中にもかかわりませず、ご出席を賜りまして深く感謝申し上げます。


 初めに、明るいお話から申し上げます。


 去る十二月三日、本年度文化勲章受賞者の親授式が皇居で行われましたが、本区の目白四丁目にご在住で東京大学名誉教授の井口洋夫先生が受賞されました。


 井口先生は、分子エレクトロニクスの分野で絶縁体と思われていた有機化合物に電気を通すものがあることを一九五〇年に発見され、これをもとにこれまでの常識を覆す「有機半導体」の概念を示されるなど、科学技術の世界に多大な貢献をされた方であります。


 今回の栄えある受賞の報に接しまして、私も区民を代表し、早速ご自宅にお尋ねし、お祝いの言葉を伝えさせていただきました。


 井口先生は豊島区に六十年余りお住まいでありまして、この豊島区と目白の街をこよなく愛されておられる方であります。私がご訪問させていただいた際にも、お話の端々からそのことをうかがい知ることができました。


 これからも我がまち豊島のためにお力を賜りますようお願いしてまいりましたが、井口先生の末永いご活躍とご健康を祈念申し上げ改めてお祝い申し上げるものであります。


 次に、区政の課題について申し上げます


 新宿における雑居ビル火災の直後、本区では関係機関と連携して区内の雑居ビルにづいて緊急調査を実施いたしましたが、このほどその結果がまとまりましたので申し上げます。


 消防署の査察は、三階以上の階で遊技場、飲食店等を営業し、階段が一カ所しかないもの二百六十八棟を対象に実施されましたが、防火管理者が選任されていない、消防計画が作成されていないなど、消防法上の違反は二百十七棟で、指摘率は八〇%に上りました。


 次に、区が行った建築基準法上の調査では、階段の防火区画、非常用照明、非常用進入口及び避難階段などに関する違反が一八%を占めました。特に池袋駅周辺では、建築物の鉄筋コンクリート化が昭和三十年代から四十年代前半に進んだため、現行法令上は実体的に違反状態にあるものの、既存不適格で遡及できないものが二〇%前後を占めているのであります。また、雑居ビルの窓をふさいでいる屋外広告物についても、十二棟、十八件の違反が確認されています。さらに、保健所が行いました営業確認調査でも、届出の内容と異なる営業状況のものが二五%近くあることが判明いたしました。今後、以上のような調査結果を踏まえました上で、防災対策を向上させる見地から区として取り得る是正策や対応策を早急に講じ、区民の安全を確保してまいりたいと考えております。


 次に、行政評価制度について申し上げます。


 さきの定例会の招集あいさつでも申し上げましたが、本年度実施している事務事業評価については、先般、八百十二の事務事業すべての評価を終えました。各事業評価は、主管課の職員が素案を作成しておりますが、区民ニーズを意識した目標値の設定等を通じて、職員の意識改革をも図ろうとしたものであります。


 また、これほどの情報量のあるデータを区自ら公表するのは初めてでありますので、区政の透明性の向上と説明責任の遂行という点で大きなインパクトを与えることになるものと考えております。


 行政評価そのものは、区としての最終的な意志決定を行うものではなく、議会を初め区民の皆さんを巻き込んだ論議に素材を提供し、各事業の今後のあり方等を考えていただくための手段の一つと位置づけているものであります。


 また、年明け後からの作業を予定しております施策・政策評価につきましては、区民の満足度調査や、第三者による外部検討委員会を設置するなど、さらに評価の客観性を高めてまいりたいと考えております。


 さらに、来年度に予定している基本計画の見直しの際にも、区民が真に望む施策・政策への重点化という観点から、この行政評価との十分な連動を図ってまいります。


 行政評価については、国内はもとより、諸外国においても様々な取り組みがなされておりますが、いまだこれという定まったものはございません。このため、本区の行政評価につきましても、改善すべき点が多々あるものと考えております。今後とも議会及び区民の皆さんからは、各評価の内容はもとより、評価の方法や制度の仕組みなどについでも、忌憚のないご意見をお寄せいただければと思っております。


 次に、「公共施設の再構築・区有財産の活用本部素案」について申し上げます。この本部素案につきましては、第三回定例会の最終日にご説明申し上げたところでありますが、この間、区議会の皆様から様々なご意見をいただいております。


 この本部素案の当面の取り扱いに関しまして、何点か申し上げたいと思います。


 まず、この本部素案と今後予定しております区基本計画の見直しとの関係についてであります。現在の基本計画は、平成九年度にスタートして以降、本年度で五年目を迎えております。この間の財政状況の激変や都区制度改革の実現など、区基本計画策定後の様々な変化を踏まえますと、この際、区基本計画の抜本的な見直しに着手し、財政再建後の新たな長期計画を策定することが必要な時期にあると考えております。


 「新生としま改革プラン」に基づきまして検討してまいりました今回の本部素案の内容は、基本計画の見直しに先立ち、公共施設の今後のあり方について新たな方向を打ち出そうとするものも多々含んでおります。このため、今後この本部素案をたたき台として、広く区民の皆様のご意見をいただきつつ、最終的には見直し後の基本計画の事業として、その位置づけを明確にしてまいりたいと考えております。


 次に、今議会に議案としてご提案申し上げております保健所の統合及び児童館の二館廃止についてであります。これらにつきましては、既に「新生としま改革プラン推進計画」におきまして平成十四年度実施の方針を打ち出しておりましたので、今回関係条例の改正を行い、公共施設再配置の第一段階として実施するものであります。


 保健所につきましては、二カ所の保健所を池袋保健所一カ所に統合するとともに、現在の長崎保健所を改めて、長崎健康相談所と位置づけ発足させるものであります。将来は、区の東部地域にも地域保健センター機能を整備する方向で引き続き検討してまいる考えであります。


 南池袋及び要町第二児童館につきましては、近隣の区立小学校の適正配置の実施に伴い廃止するものであります。今後、本部素案にも示しておりますように、地域を単位とした児童館の再配置、ことぶきの家等との一体的な運営など地域福祉の拠点づくりを視野に入れて、さらに再構築を図ってまいりたいと考えております。


 今回お示しいたしました本部素案は、やっとスタート地点に立ったという段階の計画案であります。各分野の施設の再配置につきましては、現在、各部局を中心に検討を進めているものも多々あります。これらにつきましては、まとまり次第順次公表し、ご意見をいただいてまいりたいと考えております。


 次に、介護保険制度に係る社会福祉法人等による利用者負担金の減免支援について申し上げます。


 これは社会福祉法人等が低所得者のうち特に生計が困難である者に介護保険サービスの提供を行った際、その利用者負担金を減免した場合に、その減免に要した額の一部を区が実施主体となって支援するというものであります。


 本事業は、従前より国の特別対策の一つとして取り組まれておりましたものに、本年十月、東京都が発表いたしました、都制度による「介護保険サービスに係る生計困難者への利用負担軽減措置」の要素を加味したものであります。対象サービスの種類を拡大したほか、事業主体を民間を含めたすべての事業者に広げ、さらに事業者が負担する部分の経費を縮小するなど、より公平で利用しやすいものとなるよう改善を図ったものとなっております。


 過日の決算特別委員会におきましても、区の財政状況を見極めながら慎重に検討していく旨、お答え申し上げたところであります。


 その結果、東京都全域における共通の施策であるこの軽減措置を実施することは、サービスの利用を促進し、制度をさらに浸透、定着させていく上で極めて有意義であると判断いたしまして、平成十四年一月からの実施に向け、今回の補正予算に必要経費を計上したものであります。議員の皆様の特段のご理解を賜りたいと考えます。


 次に、東京都認証保育所制度について申し上げます。


 この制度は、国基準に準じた適切な保育水準にある保育所を認証し、運営費等の一部を補助するもので、本年度から東京都が新たに開始したものであります。既に都内の区市町村で整備が進んでおりますが、このほど本区においても北大塚で定員二十六名規模の認証保育所の設置について、事業者の計画が進行しつつあり、平成十四年二月に開設を予定をしております。また、JR板橋駅前にも同じ時期に開設が予定されておりまして、本区の児童の入所が予想されるところであります。これらの認証保育所に対しまして、運営費の一部を本区でも補助することとし、今回の補正予算に必要経費を計上しております。


 本区における保育所待機児童数は、近隣区に比べるとかなり少ない状況にありますが、年度途中には乳児を中心に待機児童が増加すること、また待機児童の集中する地域があるなどの課題もあります。したがって、認可保育所の補完的な受け皿としてこの認証保育所の活用を積極的に図ってまいりたいと考えております。


 明年、区制は七十年目を迎えますが、最近区内の公立小中学校を初め、様々な団体が節目になる周年行事を次々と迎えておりまして、脈々と受け継がれてきた伝統や古きよき地元愛の発露に感慨ひとしおであります。時習小学校も今年百年目を迎えました。明治生まれの区立学校は、仰高小学校、長崎小学校を含め三校であります。


 また、先般、豊島区商店街連合会も五十年目を迎えましたが、商業のまち豊島のこの間の激しく厳しい変化の波がどのようなものであったか、代々家業を引き継がれてきた商店街の皆様こそ身を持って感じられていることと思います。私もかつて商店主として、商店街の活動を通じてまちづくりに邁進してまいりました。今、区制七十年を来年に控え、区政を預かる区長という立場で、この歴史的な節目を迎えることとなります。


 今日、我が国は明治維新、終戦に次ぐ第三の変動期を迎えております。変化の激しい時代こそ、私たちの先輩たちが築いてこられた歴史を振り返りつつ、節目ごとに前進していることが感じられるよう、我々の世代が果たすベき任務を明確にしていくことが必要であります。区議会、区民の皆さんとともにこの歴史の節目に英知を集結して、二十一世紀豊島の躍進への道を切り開いていきたいと考えております。


 本日ご提案申し上げます案件は、条例六件、負担付き譲与一件、補正予算一件のあわせて八件であります。


 各案件につきましては、後ほど日程に従いまして助役より説明を申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜りますようお願い申し上げます。


 以上をもちまして招集のあいさつといたします。