平成14年第1回区議会定例会招集あいさつ・所信表明

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 本日、ここに平成十四年第一回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては何かとご多忙の中にもかかわりませず、ご出席を賜りまして深く感謝申し上げます。


 今定例会の開会に当たりまして、この際、所信の一端を申し上げたいと思います。


 最初に、名誉区民の選定について申し上げます。本区目白四丁目にご在住の東京大学名誉教授井口洋夫氏が、昨年、文化勲章を受章されましたことは既にご案内のとおりであります。この度井口洋夫氏の功績を称え、名誉区民として顕彰させていただくため、後程議案を提出させていただく予定であります。


 井口氏は、それまで絶縁体と思われていた有機化合物に電気を導くものがあることを昭和二十五年に発見され、これを電気電子材料に用いるという全く新しい発想の下に、現在の分子エレクトロニクスに至る広大な分野を開拓・先導されてきました。


 これらの功績に対し、日本学士院賞を初め、日本化学会賞、藤原賞など数々の賞を受賞されるとともに、平成六年には文化功労者に選ばれました。


 目白に長くご在住で、こよなくこの街を愛されておられる井口氏は、広く区民が敬愛し、まさに名誉区民の称号に最も相応しい方であると考えております。区議会のご同意を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。


 次に、新税構想について申し上げます。


 去る一月二十三日、私は「放置自転車等対策税」と「ワンルームマンション税」の二つの法定外目的税を創設し、これを平成十五年度に導入する考えを発表いたしました。


 平成十二年度の地方分権一括法の施行により、一定の要件の下ではありますが、地方自治体が独自に法定外目的税を創設できるようになったことに伴い、区政が抱える行政課題の解決を新税の創設で対応することを目的に実施しようとするものであります。


 一つ目の「放置自転車等対策税」は、区民の税を原資に公的部門が担ってきました放置自転車解消のための費用につきまして、負担の適正化を図るという観点から、地域社会の一員となっており、また自転車放置の誘因ともなっている鉄道事業者に課税しようとするものでございます。


 二つ目の「ワンルームマンション税」は、狭隘なワンルームマンションの建設を抑制するために導入するもので、新たに建築される狭隘なワンルームマンションを対象に、建築主に課税するというものでございます。


 今回の新税創設への取組みの大きな意義は、基礎的自治体としての自らの意思と責任において、行政サービスと負担のおり方について独自の考え方を自ら決定し、全国に発信できたことであります。


 この二つの新税構想に対しましては、発表と同時に、区民はもとより全国各地から非常に大きな反響がありました。今後、導入に向けましては、広く区民の方々のご意見を伺うとともに、有識者による検討会議などを通じて幅広いご議論をいただきながら、肉づけを行い、合意形成ができるよう全庁挙げて取り組んでまいります。新税創設というかつて挑んだことがない極めて難しい課題を乗り越え、豊島区政がさらに輝きを増すことを願ってやみません。


 次に、男女共同参画都市宣言について申し上げます。


 区では昨年三月、「としま男女共同参画推進プラン」を策定いたしましたが、男女共同参画の推進に積極的に取り組む姿勢を内外に示すため、「男女共同参画都市宣言」を実施することとし、本議会に議案を提出いたしました。


 本区では、昭和六十三年に「豊島区婦人行動計画・としま一五〇プラン」を策定して以来、男女共同参画社会の実現に向けて多くの取組みを進めてきました。今回の都市宣言を機に、区政のすべての分野における男女共同参画の実現へ向け、幅広い取組みを推進していく決意であります。


 今回の宣言文は、男女共同参画推進会議を初め、広く区民の皆様からご意見をいただき決定したものであります。区議会のご賛同を賜りたくお願い申し上げます。


 次に、平成十四年度予算案についてご説明申し上げます。


 私は、平成十四年度予算を「歳入の大幅な減少が見込まれる極めて厳しい財政状況のもと、明確な将来展望を示す『新生としま』を実現するための施策を重点的に展開するとともに、二年次目となる財政健全化計画により、歳出抑制、歳入確保等を着実に実施し、十六年度黒字達成への道筋を確かなものとする予算」と位置づけました。


 区長就任以来、区財政の再建を真っ先に行うべきとの考え方で、この避けては通れない、最大にして最も困難な区政の課題に真正面から立ち向かってまいりました。思い切った施策の見直しを行うとともに、一方で将来に夢と希望が持てる新たな施策への積極的な取組みをあわせて行うということをその根底に据えてきたのであります。


 その出発点が平成十二年度に策定した「財政健全化計画」と「新生としま改革プラン」でありました。十三年度におきますこれらの計画の着実な取組みによりまして、財政再建への確かな足音を耳にすることができるようになりました。また、行政運営に当たる職員の姿勢にも、徐々にではありますが、新鮮な意欲が感じられるようになってくるなど、区長就任以来の成果に自信を得つつあります。


 平成十四年度予算編成に当たりましては、想定された財源不足に対処するため、二年次目となります「財政健全化計画」に基づいて、内部努力の徹底、事務事業の見直しによる既定経費の圧縮をさらに図るとともに、二十三区では初めてとなる手数料の抜本的な見直しを図るなど、歳入の確保にも努めました。


 しかし、「財政健全化計画」で想定した規模と同程度の特別な財源対策を講じる必要が生じ、特別な財源対策として、庁舎等建設基金からの資金運用及び幹部職員給与の一部返上により対処することとしたのであります。


 その結果、一般会計予算案の規模は九百六億六千九百万円で、対前年度当初予算比では三十九億四千万円、四・二%の減と、四年連続のマイナスとなりました。このマイナス幅は平成元年度以来では三番目に大きなものであります。


 歳入予算を財源別に見ますと、まず一般財源は、特別区税が納税義務者の増加等により一定の伸びが見込まれる反面、特別区たばこ税は売上本数が引き続き落ち込むと見込まれることなどによりまして、対前年度当初予算比二億二千万円、一・〇%の微増となっております。


 次に、特別区交付金であります。まず、都区財政調整交付金のフレームについてでありますが、企業収益の悪化により、調整財源のうちの市町村民税法人分が大きく落ち込むと見込まれ、調整財源は対前年度当初フレーム比で五百五十二億四千四百万円、率では六・六%の減と見込まれております。


 また、基準財政収入額は対前年度当初フレーム比一・二%、百九億六千四百万円の増、基準財政需要額は対前年度当初フレーム比二・五%、四百三十一億七千五百万円の減と見込まれております。


 したがって、交付金総額は五百四十一億三千九百万円の減となる七千六百三十四億一千八百万円となりました。これにより、本区への普通交付金の額は二百七十三億八千五百万円と見込まれ、対前年度当初予算比十億六千万円、率にして三・七%の減と見込んだのであります。


 また、利子割交付金も、高金利時代に預けられた郵便貯金等の満期到来分が平成十二年、十三年度に集中したため、対前年度当初予算比では九億八千六百万円、五四・〇%の大幅減となっております。


 次に、特定財源でありますが、国民年金収納事務の国への移管により、印紙売払収入の予算計上が必要でなくなったことなどによりまして、対前年度当初予算比で三十七億四百万円、一二・〇%の減となっております。また、平成十二年度以降減少を続けてきました特別区債の発行額も、十四年度は前年度をさらに下回り、対前年度当初予算比二億九千七百万円、一一・九%の減となり、その結果、起債依存度も前年度から〇・二ポイント低下し、二・四%となっております。


 次に、性質別の歳出の状況でありますが、人件費が前年度に比べ七億八千二百万円、三・二%の増となっております。これは、予算人員で七十一名の職員を削減し七億四千六百万円の削減効果を生み出したものの、地方公務員に係る派遣法の施行に伴い外郭団体への派遣職員を五十六名引き上げたこと、定年退職者の増加による退職手当の増などによるものであります。


 事業費は、対前年度比三十七億九千四百万円、五・八%の減と、二年連続のマイナスで、国民年金収納事務の国への移管により、過去最大規模の減少となりました。また、投資的経費は、千登世橋中学校の新校舎建設事業が完了したことなどにより、対前年度当初予算比九億二千九百万円、二〇・一%の減となっており、平成元年度以降では最も小さい規模となったのであります。


 以上ご説明申し上げました一般会計予算に、国民健康保険事業会計、老人保健医療会計、介護保険事業会計、従前居住者対策会計の四特別会計を加えますと、本区の平成十四年度予算の総額は一千四百四十八億三千八百万円、対前年度当初予算比二十四億一千六百万円、一・六%の減となったのであります。


 次に、平成十四年度における重点施策について申し上げます。


 重点施策の第一は、区政運営の刷新であります。


 私は、「新生としま改革プラン」の策定を通じて、新世紀に対応する新たな行政運営のスタイルを五つの柱として示してまいりました。すなわち、行政サービスの再編成、公共施設の再構築と都市基盤の整備、区民との協働の推進、行政の透明性及び説明責任の徹底、人材の育成、この五つの柱について七十五の取組事項を決め、この一年間着実に取り組んでまいりました。


 「新生としま改革プラン」は、冒頭に申し上げました新税構想を初め、民間活力による福祉基盤整備、各種在宅サービスの充実、公共施設の再構築と跡地活用案の提案、補助金制度の見直し、区民とのパートナーシップ会議の推進、行政評価、包括外部監査の実施などが着実に成果を上げてきております。


 このうち、行政評価制度につきましては、既に実施いたしました事務事業評価を踏まえまして、十四年度では長期計画の策定と連動しつつ、施策・政策評価に取り組んでまいります。


 また、補助金制度の見直しにより創設いたします区民活動支援制度につきましては、地域における公益性の高い、しかも創造性あふれる活動が区民の中から湧き上がるよう、その運用に留意してまいります。


 さらに、区のポストの一部について広く職員から公募する新たな任用制度を二十三区で初めて導入をいたします。また、民間での専門的な経験や能力を活用するリカレント非常勤制度により、三名の民間人の採用を行うことといたしました。これらの試みを契機に、能力の評価と業績主義に基づく人事政策をさらに推し進めてまいります。


 重点施策の第二は、新たな保健福祉基盤の整備と区民生活の支援であります。


 介護保険制度は間もなく三年目を迎えます。十四年度には全国レベルで事業の見直しが行われますが、本区でも地域福祉計画の策定と連動し、「介護保険事業計画・高齢者支援としまプラン21・保健医療計画」の改定に取り組みます。


 また、本年度から取り組んでおります介護利用料の減免に加え、保険料の減額につきましても、保険制度の安定的な運営に配慮しつつ、四月から実施することといたしました。


 とりわけ急がれるのが介護関連施設の整備であります。昨年来、南池袋三丁目地区、池袋一丁目で社会福祉法人等を誘致して福祉基盤を整備することに取り組んでおりますが、十四年度は国や都の補助決定後、建設工事に着手いたします。」


 民間事業者による福祉基盤整備に対しましては、今後、幅広い福祉分野で支援策を講する必要があると考えておりまして、その財源として新たに保健福祉基盤整備支援基金を創設いたします。


 また、障害者福祉の分野では、平成十五年度から予定されている支援費制度の導入に向け、身体障害者療護施設・知的障害者入所更生・通所授産施設などの誘致、二カ所目となります知的障害者グループホームへの整備支援、障害者就労支援センターの開設、精神障害者ホームヘルプサービスの拡大など、施策の充実を図ってまいります。


 さらに、子育て支援につきましても、保健福祉基盤整備支援基金を活用した民間保育所整備への支援を初め、東京都認証保育所への支援、障害児保育の充実などに力を注ぐとともに、幼稚園と保育所の連携、いわゆる幼保一元化につきましても具体的な検討に入りたいと考えております。


 この四月から池袋保健所、長崎健康相談所という新たな体制での取組みとなります保健衛生施策では、C型肝炎ウイルス検査の導入、高齢者インフルエンザ予防接種の実施など、引き続き区民の健康と安全の確保に努めてまいります。


 次に、生活や営業基盤の安定支援でありますが、経済不況の長期化の中、区内商店街の活性化は喫緊の課題であります。このため、中小商工融資につきましても、緊急特別融資など不況対策を引き続き講じるとともに、区内商店街で独創的な取組みをされている共通商品券発行事業やポイントカードシステムの導入などにも支援をしてまいる考えであります。


 重点施策の第三は、教育環境の再生であります。


 平成十四年四月から、新たな学習指導要領に基づき、自ら学び、自ら考える力などの「生きる力」を育む教育が行われます。このため、まず基礎的・基本的内容の確実な定着を図るためのスクールスタッフ及び外国人講師などの派遣事業を拡充します。また、「総合的学習の時間」に関し、体験学習の実践やカリキュラム開発を支援するための費用についても大幅に増やしております。


 さらに、きめの細かい指導を行うために、義務教育のスタートである小学校一年生で一学級三十人を超える学級が編制される場合に、臨時指導員を配置することといたしました。


 四月から始まります学校完全五日制への対応といたしましては、地域ボランティアの協力による中学生の居場所づくり、中学校地域スポーツクラブ事業のモデル実施などの新規事業を展開いたします。


 次に、学校環境整備についてであります。


 四月には千川小学校と大成小学校が、新たに五校目の統合校「さくら小学校」として誕生いたします。統合新校につきましては、南池袋小学校の新校舎建設を予定どおり進めるとともに、新たに時習小学校と統合予定である大塚台小学校の改修、長崎、第十及び千早の三中学校の統合に向けた新校舎建設のための設計などにも着手いたします。


 また、学校耐震補強工事につきましては、平成十六年度までの三年間で完了させることといたしました。これにより、平成十四年度には小学校五校で補強工事を実施するとともに、小中学校合わせて六校で補強設計を行うことといたしました。


 さらに、都市のヒートアイランド現象が進む中、より良い学習環境を創出する上から、中学校十一校のうち、未設置である九校の普通教室六十三カ所に冷房機を設置いたします。


 次に、図書館についてでありますが、中央館、地域館の図書資料の充実を図る一方、本年一月より開始したインターネットによる蔵書検索に続き、十一月を目途に予約サービスを開始いたします。点字図書館においても、インターネットによる蔵書検索、予約を可能にします。


 また、平成十八年に東池袋再開発ビル内に移転、オープン予定の新中央図書館におきましては、情報通信技術を活用した電子図書館構想を検討しておりますが、平成十四年度には具体化へ向けた調査を実施することとしております。


 重点施策の第四は、総合的な都市づくりの展開であります。


 本区のリサイクル事業は、パイロットプランを初め、常に先駆的な取組みをこれまでも行ってまいりましたが、四月からは区内全域で毎週一回、すべてのごみの集積所で八品目、十二分別の資源回収を行うことになります。この一年間、町会及び関係団体等に対しまして繰り返し説明を行ってまいりましたが、区を挙げての取組体制が区民にご理解されたものと考えております。


 また、区民とともにごみの減量、リサイクルを進めるため、リサイクル清掃推進員を二百九名増やし、合わせて五百五十二名とするほか、障害者、高齢者のための出前収集を本格実施するとともに、学校や地域でごみ・リサイクルの出前講座を実施するなどの結果を通じて、「リサイクル都市としま」の構築に向け引き続き努力してまいります。


 副都心としまの新生をかけたまちづくり事業につきましては、東池袋四丁目市街地再開発事業の今年中の着工を目指して引き続き積極的に取り組みますとともに、この事業と合わせて都市計画道路補助一七五号線の整備にも取りかかります。また、現在事業進行中の都市計画道路補助一七二号線、環状五の一号線、一七三号線の整備に伴い、それぞれの沿道周辺地区における地区計画の導入に取り組んでまいります。


 さらに、長い間の悲願であります大塚駅南北自由通路と駅周辺整備につきましては、関係事業者などによる協議の場を設置するとともに、実現へ向けた調査を行います。


 放置自転車対策につきましては、目白駅東及び北自転車駐車場の開設、西巣鴨及び池袋西自転車保管所の整備に取り組みます。


 さらに、住宅施策につきましては、新たな住宅マスタープランを策定いたしますが、高齢者向け優良賃貸住宅の供給、高齢者等の入居支援事業につきましても新たに着手するものであります。


 以上、平成十四年度予算案の重点施策についてご説明申し上げましたが、十四年度当初予算に計上した新規・拡充事業は百二十件、七十三億三千七百六十八万円となっておりまして、十三年度に比べ十九件、十億七百六十一万円と大きな伸びとなっております。これらの伸びの多くは福祉基盤の整備、教育環境の充実、新資源回収事業の開始などによるものでありまして、「財政健全化計画」の確実な実施により生み出された貴重な財源を新生としまへの基盤づくりに生かせたものと確信しております。


 次に、新基本構想・基本計画の策定について申し上げます。


 これまで申し上げてきましたように、平成十四年度予算につきましては、ほぼ当初の予定どおり編成することができましたが、今後、とりわけ平成十六年度以降やらねばならない切実な区民需要に応えるためには、長期的な区政の展望を今こそ明らかにする必要があると痛感するのであります。


 区政を取り巻く社会環境も大きく、かつ急激に変化をしております。これまでとかく官民の役割分担という形で、いわば二元的に捉えられてきた公共サービスのあり方などについても、最近では「新たな公共」とも言うべきセクターの考え方が広く浸透してきたことであります。


 例えば、公共的サービスの供給主体についても、行政に限定することなく、民間の力を活用することはもちろんのこと、さらにこれを特定非営利法人、いわゆるNPOなどが担うという第三の供給主体としてこのような組織が存在し、それをいかに活用していくかということが行政の課題になりつつあります。


 昨年来、区民と行政とのパートナーシップ会議が設置され、区民及び有識者の間で真剣な討議が続いておりますが、この会議の課題は、行政、区民、事業者などが互いに協働し、これまでにない新たな公共の分野を創り出そうという取組みであります。


 また、昨年十月、公共施設の再構築と跡地活用の素案を発表し、今後、議会の特別委員会でご審議をいただくことになっておりますが、このような課題は数十年に一度の課題でありまして、まさに長期計画の視点なくして成し遂げられるものではありません。


 さらに、「新生としま改革プラン」により取り組んでおります行政評価制度、外部監査制度、連結バランスシートの作成、区民満足度を重視した施策・政策づくりなどにつきましても、新たな行政運営手法としてより一層の充実が求められますので、区政運営の基本にしっかりと位置づけていく必要があると考えております。


 現在の基本構想・基本計画が課題としては提起をしながら、より具体的には方向を明示し得なかったこれらの問題について、私は区民にわかりやすく、より明確な形で解答を示すべき段階に来たのではないかと思います。


 また、現在の基本計画には財政的裏づけがありません。この計画の策定当時の状況からやむを得なかったのではありますが、これから区政が直面する課題へ対応し、新たな区政を確立するためには、具体性を持った財政計画が不可欠であります。


 このように、区の基本構想・基本計画を新たな視点から検討し、新世紀に相応しいビジョンを打ち出すこと、またこのことを議会のご意見を踏まえつつ区民との協働作業として成し遂げることが必要であると考えているのであります。


 以上申し上げました様々な課題に対処するため、新たに長期計画担当課を設け、平成十四年度・十五年度の二カ年度にわたりまして、新基本構想・基本計画の策定に取り組むこととしたのであります。


 また、この基本構想・基本計画の策定に合わせまして、地域福祉計画、文化芸術振興プラン、産業振興計画、住宅マスタープランなどの策定にも取り組む考えであります。


 私は今、改めて区長就任以来の時の流れを感じております。就任当初から、私は破綻寸前という区財政の危機的な状況に直面してまいりました。


 この間、常に痛切に感じてきましたことは、このような区政の危機的状況のすべてを区民が知ることの大切さでありました。私を初め行政の側だけでこのような状況を打破することは到底不可能であります。区民全体がこの危機感を共有して初めて道が開けるのだということであります。さらに、行政経験者では成し得ない民間出身からの区長として、今までの感覚と違う区民の視点から考えることにより、行政改革の第一歩があるのではないかと区政運営に臨んでまいりました。「一時違えば、三里の遅れ」と言われます。今、どんなに苦しくても、「何かをやろう」という気風が庁内にも区民の間にも生まれつつあります。そこに自から創意工夫があり、個性ある豊島区づくりがあるのではないでしょうか。


 今回の新税構想も、若手職員を初め関係各課の連携により、全庁的な取組みにより独創性のある提案にまとめ上げました。ぜひ議会の力強いご支援と区民のご理解をいただくべく努力していきたいと思います。


 さて、区制70周年を迎えた今、この間培ってきた区政の新たな流れをさらに発展させ、区政の新しい形づくり、すなわち新たな基本構想・基本計画の策定へと結実させるとともに、この70周年という区政にとっての歴史的な節目を、行政、区民、企業、大学、民間団体などがまさに手と手を取り合って「新生としま」を生み出していく出発点にしたいと思います。


 このため、区が自ら行う記念事業では、区内の大学学長とこれからの大学、民間、行政、区民の連携のあり方を探る「大学サミット」の開催、本区と防災協定を結んでいる七つの市や町の首長さんとの「防災サミット会議」の開催をいたします。


 さらに、未来を担う子供たちが水や土のある自然の中ですくすくと成長する環境を創り出すためのプレーパーク構想への着手など、十六事業を計画しております。


 このほか、私は、区民や民間団体が取り組む文化、芸術などの記念事業に対し支援を行うことといたしました。これは記念事業を一過性のイベントに終わらせることなく、二十一世紀の新生としまの基盤整備に結びつくプロジェクトとし、この取組みにより区民や民間団体などの新たなスクラムが生まれることを期待するからであります。このような70周年への積極的な取組みを区政発展のチャンスと捉え、文化の薫り高い豊島区づくりに全力を挙げてまいる考えであります。何とぞ議員各位のご理解、ご支援を心からお願い申し上げる次第であります。


 本日ご提案申し上げます案件は、予算九件、条例十八件、同意案件一件、宣言一件、報告一件、合わせて三十件であります。各案件につきましては、後刻、日程に従いまして助役より説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜りますようお願い申し上げます。


 以上をもちまして招集のあいさつ並びに所信表明といたします。