平成14年第2回区議会定例会招集あいさつ

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 本日、ここに平成十四年第二回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては何かとご多忙中にもかかわりませず、ご出席を賜りまして深く感謝申し上げます。


 冒頭に、池袋場外車券場設置問題について一言申し上げます。


 平成十二年十二月、私は、車券場設置に対する区民の広範な反対の意向を踏まえまして、区長として正式に設置反対を表明いたしました。その際、私は、公営競技については必ずしもそのすべてが悪いとは考えていないが、今回の建設予定地については、池袋駅から極めて至近な、かつ現在でも大変混雑している場所であるため、ここに設置することは街づくりや環境浄化の観点から問題があると言わざるを得ないことを指摘をいたしました。その上で、多くの区民団体から設置反対のご意見・ご要望が提出されていることを重く受け止め、区長として反対の立場を表明したのであります。


 一方、区議会におかれましても、平成十三年三月に設置計画に反対する意見書を採択されたところであります。


 ところが、去る六月十一日、株式会社アレッグ・サテライトは国に車券場設置のための許可申請を突然提出し、国はその申請を受理したのであります。地元自治体の意向を全く無視したこのような設置者の行為に強い憤りを覚えるものであります。


 私は翌十二日、経済産業大臣あてに設置許可しないよう要望書を提出するとともに、十七日には経済産業省に直接赴き重ねて申入れを行いました。また、オート、競輪の管理施行者である川口市など、埼玉県の七市に対しましても十四日に計画撤回の要望書を提出したところであります。さらに、二十四日には区と区議会の共催により緊急区民大会を行い、設置反対の意思をさらに明確に示してまいります。


 設置が許可されるかどうかについては予断を許さない極めて切迫した状況にありますが、安全でさわやかな街づくりを進めるため、区議会とともに設置を許さないという決意でこの事態に臨む考えであります。


 次に、本区と韓国ソウル市東大門区との友好都市協定締結について申し上げます。


 本区と東大門区との間では少年野球チームの交流試合など区民レベルの交流が積み重ねられてきましたが、このような実績を礎に、去る五月九日、友好都市協定を締結いたしました。


 本年二〇〇二年は、サッカーワールドカップ大会がアジアで初めて、しかも日韓両国共同で開催されたことによりまして、歴史的な記念すべき年となりました。残念ながら日本チームはベストエイトを逃しましたが、日本中がこの大健闘を称えたところであります。この大会を通じて日韓両国民が相互交流を一段と深めたこと、とりわけ両国の将来を担う若者たちがその中心を担っていることは、両国の長い歴史に新たなページを開く画期的なことであります。


 このような時期に本区と東大門区が友好の絆を友好都市協定という形にして内外に宣言した意義は極めて大きいものがあります。このアジアの二つの都市が文化、スポーツ、経済、社会、行政など幅広い分野で交流を深めることにより、二つの都市のさらなる発展のみならず、そのことが世界平和の基礎を築いていくことにもつながるものと確信をしております。


 この度の協定締結に際しましては、区議会の並々ならぬご支援を賜りましたことに改めて感謝申し上げるものであります。


 次に、基本構想、基本計画の策定について申し上げます。


 基本構想、基本計画の見直しにつきましては、さきの定例会の招集あいさつでも申し上げましたが、本年度と来年度の二カ年で策定作業を行うこととし、この四月に専管組織として長期計画担当課を設置し、見直し作業に取りかかりました。


 今回の見直しは、現在の基本構想、基本計画策定以降、平成十二年四月の地方分権一括法の施行や都区制度改革の実現、社会経済システムの構造改革の進展など、区を取り巻く諸状況が大きく変化したことから、それに伴う住民の多様なニーズに対応していくとともに、独創的文化都市の実現を目指して行うものであります。


 この基本構想、基本計画の策定作業に当たりましては、区民の目線による、区民が主体の計画づくり、このことを基本的な姿勢といたします。したがって、今回設置いたします基本構想審議会へは、これまでのように区民の参加をお願いすることは当然のことでありますが、新たに各施策の体系ごとに区民、学識経験者、職員をメンバーとする三つの区民ワークショップを設置し、二十一世紀に相応しい施策を探ってまいりたいと考えております。さらに、審議会での検討状況については、区のホームページに掲載するとともに、パブリックコメントの手法を活用し、計画の策定段階から様々な意見を伺うなど、透明性のある計画づくりを進めてまいります。


 また、二十一世紀豊島区の基礎づくりに大きな影響を与えます公共施設の再構築・区有財産の活用本部素案につきましては、今後、区議会、区民のご意見を踏まえた見直しを行いつつ、年末には本部案としてまとめる予定であります。この公共施設の再構築等の計画も新たな基本計画の下に位置づけてまいる考えでありますので、議員各位におかれましては、審議会での審議のみならず、あらゆる場面、機会を通じましてご意見等を賜りますようお願い申し上げます。


 次に、乳幼児医療費助成について申し上げます。


 先般、平成十三年の全国の合計持殊出生率が推計値で一・三三と過去最低となったとの発表がありましたが、本区の少子化傾向も同様の状況にあります。本区の子育て支援施策に関しては、二十三区内はもちろんのこと、全国的にもトップ水準にありますが、今後、より一層の充実を図っていく必要があると考えております。


 この中でも乳幼児に対する医療費助成に関して、五歳以上の就学前のお子さんについては依然として所得制限が残っておりましたが、この度区議会の全会派から一致して所得制限の撤廃などの緊急要望をいただきました。私は、現下の財政状況等を総合的に勘案し、ご要望に沿った形での条例改正案を本定例会に提案することといたしました。


 次に、完全学校週五日制の実施について申し上げます。


 本年四月から、区立小中学校では毎週土曜日はすべてお休みとなりました。私は、子供たちが土曜日や日曜日を利用して、家族と一緒にゆっくり過ごしたり、家事の手伝いをしたり、また、自然体験や文化・スポーツ活動に汗を流したりして有意義に過ごしてほしいと強く願っております。


 完全学校週五日制の実施に合わせ、新しい学習指導要領に基づき、ゆとりの中で生きる力を育む教育が行われております。この増えたゆとりが学力低下を招くのではとの声も聞こえてまいりますが、私は、子供たちを健やかに伸び伸びと育成していくためには、子供にとっての時間的なゆとりが大きなポイントであると思います。


 学校は基礎基本をしっかりと身につけさせる教育を進め、家庭や地域では、学校では体験しにくい様々な体験をできるだけたくさんさせるようにしていくことが重要であります。四月以降、児童館や学校、育成委員会などにおきまして、区民の皆様のご協力による土曜教室や様々な行事等が次々と実施されておりますことは大変頼もしく思っております。


 区におきましても、区制施行70周年記念事業として計画いたしました新しい子供の冒険遊び広場、プレーパーク建設の検討も着々と進めております。私は、完全学校週五日制を契機に、改めて子供たちの笑顔が地域のあちらこちらできらきらと輝いている、そんな豊島区の街を築き上げていきたいと決意しております。


 最後に、安全でさわやかなまちづくりについて申し上げます。


 本年四月から八品目十二分別の新たな資源回収がスタートし、前年に比ベ一五%近くのごみ減量を達成しております。また、五月三十日、ごみゼロデーには、区内全域で区内小中学校の児童・生徒を初め五千人を超える区民、事業者、関係団体、関係機関が参加し、清掃活動が実施されました。


 自分たちの街は自分たちできれいにする、このような取組みが毎日すべての街角で行われることができれば、豊島区のイメージも一段と高まっていくのではないかと思っています。


 しかしながら、区民の皆様の献身的なご努力にもかかわらず、池袋を中心とする繁華街では、風俗営業等のチラシ、ティッシュを配布する、電話ボックスや電柱などに貼り付ける、またしつこく勧誘する、つきまとうなどの行為が後を絶ちません。このため、道行く人たちに不快な思いをさせ、ひいては街の美観を損ねるとともに、街全体のイメージダウンにつながるなど誠に残念な状況にあります。


 地元の商店街の方々や民間ボランティアの皆様などによる日夜を問わぬ地道なご努力にお応えするためにも、国の法律、都の条例及び区の空き缶等の投げ捨て防止条例、生活安全条例などによるこれまでの対策を総点検し、さらに有効な対策を講じていく必要があるのではないかと考えております。今後、区議会や区民の皆様のご意見をいただきながら、できる限り早期に具体策をお示ししてまいりたいと考えております。


 「三日、三月、三年」という物事の節目を表す言葉があります。このような節目には、自分が何人のためにこの仕事に就いているのかを考え直すことも有意義なことと思います。


 私が区長に就任して三年間が経過しました。この三年間、区財政の再建と行政改革の推進という当面する区政の重要課題に、議員の皆様のご支援を賜りつつ、区民の皆様とともに取り組んでまいったのであります。この間の取組みはかつて経験したことのない苦労の連続でありましたが、常に区民の目線に立った、区民に開かれた区政運営という原点は守り抜いてきたものと考えております。


 しかしながら、耐え忍ぶだけでは新たな道は開かれません。自らの努力がどのような明るい未来に結びついていくのか、このような展望を持った取組みが今こそ求められているときはありません。


 四年目を迎えた今年度、私はこれまでの財政再建と行政改革の成果を踏まえ、21世紀としまのビジョンづくり、基礎づくりに着手することとしたのであります。改めて自分の仕事と役割の意味をじっくりと再確認し、新たな気持ちで区政運営に臨んでまいりたいと考えております。議員各位におかれましては、より一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。


 本日ご提案申し上げます案件は、条例八件、契約三件、予算二件、ほか二件の合わせて十五件であります。後程日程に従いまして助役よりご説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜りますようお願い申し上げる次第であります。


 以上をもちまして私の招集あいさつといたします。