本日、ここに平成十四年第三回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては何かとご多忙中にもかかわりませず、ご出席を賜りまして深く感謝を申し上げます。
初めに、国際交流と文化政策懇話会について申し上げます。
私は本年夏、ドイツ文化交流視察団の一員としてドイツのライプツィヒ市を訪問してまいりました。ライプツィヒ市は中世からの歴史と芸術に囲まれた古都でありまして、機会があればぜひとも訪ねたいとかねてから念願をしておりました。今回、民間の区制70周年記念事業としてこの企画が実現し、訪問先ではヴォルフガンク・ティーフェンゼー市長ら市幹部の温かい歓迎を受け、一千年を超える歴史が刻まれた街並みや音楽、演劇、映像などの豊かな芸術文化に触れることができました。この訪問をきっかけに、ライプツィヒ市のメンデルスゾーン・ハウス、エルンスト館長が、明日二十八日に来日され、豊島区にお見えになることになりました。
また、この春、本区と友好都市協定を結びました韓国ソウル市東大門区の洪思立区庁長、朴昌益区議会副議長ら一行五名の方々が、十月一日に開催される区制施行70周年記念式典に出席するため来日されます。
さらに、上海市静安区人民政府からは、姜亜新区長ら人民政府訪問団と静安区青少年活動センターの子供たち、合わせて四十一名が十月三日から六日まで豊島区を訪問され、各地で区民との交流を行うことになっております。
このような国際交流、文化交流の機運が高まる中、今月五日、企業メセナ協議会会長の福原義春氏を座長に、また埼玉大学の後藤和子助教授を専門部会長にお迎えするなど、文化芸術に造詣の深い方々、合わせて十二名の委員からなる豊島区文化政策懇話会を発足させたところであります。
「文化は、人を元気に、そして元気な人が街の活力を生み出し、文化そのものがその街を創りだす、まさに、文化が地域活性化の起爆剤となる」、このような基本的認識の下に、私は区政における重要な課題として今後とも文化政策の充実に邁進してまいる考えであります。
次に、平成十三年度決算について申し上げます。
今定例会にご提案申し上げる案件のうち、平成十三年度一般会計並びに四特別会計歳入歳出決算の認定につきましては、監査委員よりの審査意見書を添え提出いたした次第でございます。ご審査の上、認定賜りますようお願いを申し上げます。
それでは、平成十三年度決算のうち、主要な一般会計歳入歳出決算の概要について申し上げます。
まず、歳入決算額は一千四十九億六千七百二十七万七千円、歳出決算額は一千二十二億三千五百七十九万二千円となっておりまして、前年度に対し、歳入が一二・五%、歳出が一〇・七%と、平成十年度以来三年振りのプラスとなりました。予算現額に対する収入率は九九・一%、執行率は九六・五%でありまして、収入率では三・八ポイント、執行率では二・二ポイントそれぞれ前年度を上回っております。また、形式収支、実質収支とも二十七億三千百四十八万五千円の黒字でありまして、平成十二年度決算に続き、庁舎等建設基金からの運用という特別な財源対策を行わず、二年連続の黒字決算となったのであります。
平成十三年度決算の特徴の第一点目は、課税人口の増加、企業業績の一時的回復等により税収が伸びるとともに、使用料の見直しを行ったことなどにより歳入増となり、収入率が平成五年度以降では最も高い値となったことであります。
第二点目は、投資的経費や義務的経費のうち、公債費、扶助費の増加はあったものの、人件費や経常的な一般行政経費は歳出額が前年度を下回り、財政健全化対策による歳出抑制が徹底されたことであります。
この結果、第三点目として、実質収支の黒字幅が大幅に拡大したことであります。
第四点目は、財政構造の弾力性を示す経常収支比率が前年度の九一・三%から八三・一%へと八・二ポイント大幅に改善されたことであります。
これらのことから、財政健全化計画の初年度である十三年度決算においては、財政健全化に向けて確実に一歩を踏み出せたことがはっきりと認められるのであります。これは、今回合わせてご提出申し上げました平成十三年度豊島区バランスシートからも読み取れるところであります。
次に、去る八月八日に決定されました平成十四年度都区財政調整の当初算定について申し上げます。
本年度の算定の特徴は、調整税の落込みが想定された中で、基準財政需要額が対前年度当初算定比三百八十四億円、二・三%のマイナスとなる一方、基準財政収入額が区民税収入の増加などにより百十億円、一・二%のプラスとなったため、普通交付金は対前年度比四百七十六億円の減、六・〇%のマイナスと大幅な減少になったことであります。また、新しい財政調整制度になって初めて不交付区が一区現れるとともに、算定残が百三十二億円となったのであります。本区の算定額は、交付金額二百四十八億六千百万円と、前年度の当初算定に比べ二十七億四千九百万円の減、一〇・〇%のマイナスとなり、予算計上額を十六億六千四百万円下回る結果となりました。この要因は基準財政需要額の算定に差が生じたためでありますが、十四年度決算などへの影響も懸念されるため、算定残による追加交付、特別交付金の拡充などとともに、適切な執行管理に努めていきたいと考えております。
次に、財政健全化計画と平成十五年度予算編成について申し上げます。このたび平成十五年度及び十六年度の財政収支見通しを改めて算定しましたところ、十五年度には六十二億円、十六年度には五十二億円と、二カ年で合わせて百十四億円の財源不足が生じる結果となりました。昨年同時期には、それぞれ四十八億円、三十五億円と、合わせて八十三億円の財源不足が見込まれましたが、昨年夏以降の景気低迷により歳入が大幅に落ち込むと下方修正せざるを得ないこと、また施設再構築の中核事業である学校建設などの施設建設経費が増加することなどのため、財源不足見込み額が拡大したものであります。
この財源不足の拡大に対処するため、財政健全化計画への取組みを一層強化し、内部努力を中心とした歳出抑制に引き続き努めるとともに、投資的経費の見直しによる抑制、さらには基金の活用、用地の売却・貸付などの臨時的な歳入確保を図る必要があります。
このような厳しい状況での編成となる平成十五年度予算につきましては、財政健全化計画の最終目標である十六年度黒字の達成を最優先課題といたしました。また同時に、経常的な経費の圧縮努力を継続し財政構造の改革を進めることと、さらに新基本計画の策定を睨み区民生活の向上に直結する施策へも取り組むことを予算編成方針といたしたところでございます。
次に、区制施行70周年記念事業等について申し上げます。
来る十月一日、本区は区制施行70周年を迎えますが、既に区内全域で様々な記念事業や催しが行われています。この夏以降も、大塚阿波踊り、十二の市町村が参加しての観光物産展、さらには池袋ふくろ祭り・東京よさこいなど、それぞれ例年の規模を上回る盛況のうちに行われました。
とりわけ九月三十日に開催する防災サミットには、全国十二の自治体の市長、町長、村長さんが一堂に会して各自治体の地域特性を生かし合った災害時の相互応援のあり方についてご協議を願えることはもちろんのこと、都市間交流の新たな一ページを切り開くことができるものと期待をしております。
また、十月十四日に開催いたします大学サミットは、立教大学、学習院大学、東京音楽大学、大正大学の区内四大学と行政との初めての合同事業であります。このサミットに向けて四大学の学生と区の若手職員が三つのグループに分かれ、「豊島区のイメージアップ大作戦」と題しまして、新鮮かつ大胆な提案を行う予定であります。区政及び地域社会への若者の参加の新たな突破口になるものと考えております。
十月一日には、秩父市長など十二自治体の市長、町長、村長さんに加え、ソウル市東大門区庁長のご同席の下、70周年記念式典を開催するとともに、名誉区民井口洋夫氏の記念講演を行うこととしております。
さらに、70周年記念事業のフィナーレとも言うべき江戸川乱歩展につきましては、来年一月二十九日から二月九日まで、乱歩のご子息でもあります平井隆太郎様や立教大学のご協力により、西武百貨店イルムス館で豊島区七十年の歩みをたどる企画と合わせ開催することとなりました。
江戸川乱歩氏は、昭和九年、池袋に移り住み、以来、池袋の住人として、作家活動の傍ら、町会活動にも精力を注がれた方と言われております。まさに区制七十年の歴史とともに歩まれたと言っても過言ではありません。豊島区の貴重な文化遺産である江戸川乱歩氏の資料等は立教大学に寄贈されましたが、将来、江戸川乱歩記念館を設立し、広く内外にその偉大な功績を伝えていくことが必要であると考えております。今回の江戸川乱歩展は、その第一歩を築くものであり、豊島区民の夢の実現に向け、ぜひ成功させなければならないと考えております。
次に、学校教育が当面する課題について申し上げます。
学校完全週五日制、学校を毎週土曜日休みにして、ゆとりの中で子供たちの生きる力を育む新しい教育がスタートして半年が経ちました。区立小中学校では、実りの秋本番を迎えて、運動会、学芸会、展覧会などの行事や、いつでも授業を参観できる学校参観週間が実施されます。子供たちの学習や生活はどのように変化し、学校ではどんな活動が行われているか、私はぜひ保護者の皆様だけではなく、この機会に多くの区民の皆様に学校に足を運んでいただき、子供たちの様子を見ていただきたいと思っております。
今日、様々な学校教育の改革が進む中、本区の小中学校では、子供たち一人一人に基礎・基本の定着を図ること、それを第一に取り組んでいます。今年の夏はまさに猛暑の連続でしたが、中学校では、全校の普通教室に新しく冷房機を設置しましたので、快適な教室の中で充実した授業が行われました。また、夏休み中には理解不足を補う補習教室や応用・発展的な学習教室が行われ、大勢の生徒が参加をいたしました。小学校でも、土曜日や夏休みに地域の皆様にご協力をいただきまして、英会話教室や理科実験教室を初め体験活動などが行われ、子供たちの楽しい笑顔と元気な声がいっぱいに溢れたところであります。
私は、未来を担う子供たちの教育は、親や学校、教育委員会ばかりでなく、区全体で取り組んでいかなければならないと考えております。本区では、小中学校校舎の改築時期が近づいてきており、これからの教育内容や形態に対応すると同時に、地域利用も踏まえた新しい学校の建設を計画的に進めていくという大きな課題を抱えております。また、何は置いても充実した教育を実践するための施策、例えば少人数指導や個人の学力に応じた指導等の教員配置、自然体験活動や特色ある学校づくりなどをさらに推進していく必要があります。私は、教育委員会とも緊密な連携をとって、子供たちが生き生きと、毎日学校へ行くのが楽しいという教育を目指して、区民の皆様とご一緒に学校を見守り、できる限りの支援をしてまいりたいと考えております。
次に、住民基本台帳ネットワークシステムについて申し上げます。
去る八月五日から第一次稼働をし、住民票コードの通知が始まりました。このシステムの利用により、各種行政手続きや現況届の提出時に住民票の添付などが不要となり、平成十五年八月からは全国どこの市区町村においても住民票の写しを取ることが可能となります。
しかしながら、個人情報の保護に不安を抱かれる区民の方も多く、区への問い合わせは七月十六日から八月末日までの間、一千六十一件に達しました。本区では、個人情報保護を徹底するため、国が講じている安全対策に加え、独自のセキュリティ組織規程、アクセス管理規程、入退出管理規程の整備を行いました。また、データの不適正な利用または漏洩の恐れがあると区長が認めたときはシステムの全部または一部を停止することができることを内容とする緊急時対応計画を策定する予定であります。今後とも個人情報の保護に万全を期する所存でありますので、区議会のご理解、ご協力をお願い申し上げます。
次に、基本構想審議会について申し上げます。
先日二十日に第一回基本構想審議会を開催し、基本構想、基本計画の策定について森田朗会長に諮問をしたところであります。審議会の開催に当たり、豊島区の将来像のあるべき姿を明らかにすることと区民の目線での行政運営のあり方についてご提言をいただくようお願いをいたしました。今回の基本構想、基本計画の見直しに当たりましては、区民の方々の幅広い意見や区への要望を今後の行政運営に生かしていくことを目的に、区民ワークショップを設置いたします。「福祉・健康・子ども家庭」「環境・防災・まちづくり」「生活・文化・教育」の三つのワークショップを設けましたが、このような区民ワークショップを活用した区の計画づくりは、区としても初めての取組みであり、まさに計画段階からの区民参加を実現するものであります。この区民ワークショップの手法と合わせて、今回試行的に実施いたしますパブリックコメントを活用し、開かれた計画づくりを進めてまいります。今年度につきましては、今後五回程度の審議会を開催し、来年一月末には答申をいただき、平成十五年第一回定例会におきまして新たな基本構想案をご提案したいと考えております。議員各位におかれましては、様々な機会を通じてご意見をいただけますよう改めてお願いを申し上げます。
最後に、区庁舎の改修について申し上げます。
この夏から進めてまいりました区本庁舎の外壁及び一、二階フロアの改修工事等がこの程完了いたしました。本庁舎の外壁は、思い切ってイメージを一新し、クリーム色を基調にデザインをいたしました。また、一階、二階のフロアも、カウンター、ソファー、案内サイン等の色彩・デザインを統一し、来庁された区民の方がわかりやすいものに改めました。さらに、区民の皆さんが待ち時間が一目でわかるように、三カ所にプラズマディスプレーを導入いたしました。今回の改修を機に、窓口の職員を初めとして全職員が気分を一新し、新たな気持ちで明るく区民の皆様に接し、区民に役立ち、区民に喜ばれるサービスの一段の向上に努めるよう指示したところであります。今、70周年を迎える十月一日を新生豊島の新たなスタートの日として、職員の意識改革をさらに進めてまいります。
本日ご提案申し上げます案件は、条例六件、決算五件、予算二件、ほか二件の合わせて十五件であります。後程日程に従いまして助役よりご説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜りますようお願いを申し上げます。
以上をもちまして私の招集あいさつといたします。