平成14年第4回区議会定例会招集あいさつ

【目録を見る】

 本日、ここに平成十四年第四回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては何かとご多忙の中にもかかわりませず、ご出席を賜りまして深く感謝を申し上げます。


 最初に、地方分権のさらなる推進について申し上げます。


 去る十月三十日、内閣総理大臣の諮問機関である地方分権改革推進会議は、「事務・事業の在り方に関する意見」をまとめ報告しました。今回の推進会議の意見は、国と地方の役割分担に応じた事務事業のあり方について、各分野を聖域なく見直すこととし、社会保障、教育文化、公共事業、産業振興などについて具体的な事務事業のあり方を提言しています。また同時に、地方分権改革の方向等についても言及し、「地域における行政の総合化」「地域ごとの最適状態(ローカル・オプティマム)の実現」、「知恵とアイディアの地域間競争」「自主・自立の地域社会の形成」などを掲げております。


 これらの意見は、具体性に富み、分権改革の方向等についても提言の趣旨に賛同できるものであります。これまでの画一的で、ともすると硬直的な行政システムを打ち破るため、国の関与や規制のあり方を見直し、地方が実情に即して政策を展開することが何よりも求められていると思うからであります。


 しかしながら、分権一括法施行後の最大の懸案とされた地方財源の充実、即ち国から地方への税源移譲につきましては、今回の意見では、義務教育費国庫負担金の削減に言及しておりますが、その具体的な財源対策については関係者間の協議に委ねております。今後、国庫補助負担金、地方交付税交付金及び税源移譲を含む税源配分を三位一体で検討するとしておりますが、義務教育費国庫負担金削減分の財源対策及び税源移譲について具体的な提言がなかったことにつきましては失望を隠し切れません。分権改革や地方制度改革がこの会議のみならず多様な場面で論議されている今、私といたしましても、区長会、市長会などとも連携を深めながら、実のある分権改革の推進、自治の進展に向け努力してまいりたいと改めて決意をしております。


 次に、現在、改定に向けた検討を進めております高齢者支援としまプラン21について申し上げます。


 ご案内のとおり、同プランは平成十二年三月に策定いたしましたが、高齢者保健福祉計画並びに介護保険事業計画という二つの要素を合わせ持つものでございます。このうち介護保険事業計画は、五年を一期として三年ごとに見直すことが法律により定められております。


 本区におきましても、本年七月、豊島区介護保険事業推進会議に対し、第二期高齢者支援としまプラン21の策定を諮問しておりましたが、十月七日、中間のまとめが出されました。平成十二年度、十三年度の事業実施状況を踏まえ、これからの高齢者保健福祉の目指す方向や取り組むべき課題も明らかにするとともに、今後、区内の介護保険施設の整備状況等も加味しながら、現段階で見込まれる介護サービス量の水準や介護保険料算定の基礎となる事項等を盛り込んだものとなっております。現在、広報としま、ホームページなどを通じて広く区民の皆様からのご意見をいただいておりますが、さらに区民ワークショップによる意見集約なども合わせて行い、来年一月末には最終答申をいただく予定でございます。議員各位におかれましては、様々な機会を通じてご意見などをいただきますとともに、ご指導賜りますようお願い申し上げる次第でございます。


 次に、「みどりの条例」の制定について申し上げます。


 年々深刻化するヒートアイランド現象の緩和や空き地が少なく地上部での緑化が困難な本区の特性を踏まえた緑化対策の推進は、喫緊の課題であります。昨年三月、「みどりと広場の基本計画」を策定いたしましたが、みどり豊かなまちの形成に向けこの計画を強力に推進するには、区、区民、事業者がそれぞれの役割と責任を明確に持ち、連携していかなければなりません。本議会にご提案をいたしております「みどりの条例」につきましては、一定規模以上の建築行為等に対しまして緑化計画書の届出を義務付けるとともに、これに従わない者へ勧告を行うこと、さらには違反事実を公表することとしたのが大きな特色であります。このほか、区の責務として、みどりに関する計画の策定及び実態調査などを義務付けるとともに、民間を含むすべての施設等に対し、緑化基準に基づく努力義務を規定しております。さらに、現在告示により定められております区の木・染井吉野と区の花・つつじを改めてこの条例に位置付けることといたしました。この条例制定を機に、みどりに包まれた潤いのある街づくりへ大きく前進させなければならないと考えております。


 次に、区制施行70周年記念事業について申し上げます。


 まず、区民の歌の制作についてでございますが、二十一世紀の豊島区に相応しい、区民の皆様に愛され歌い継がれる区民の歌をつくるため、シンガーソングライターのさだまさしさんに作曲をお願いいたしましたことは既にご承知のことと思います。この区民の歌の歌詞を募集いたしましたところ、北は北海道から南は九州まで、小学生から高齢者に至るまで予想を超えた二百五十八件の応募がありました。


 先日の区民の歌選考委員会におきまして三十五作品に絞りまして、さだまさしさんにお渡ししたところでございます。十二月中には審査結果を発表し、来年一月の新年名刺交換会において東京音楽大学の学生によります区民の歌の発表を行い、さらに一月十三日には、東京芸術劇場において、さだまさしさん本人によります区民の歌完成記念ミニコンサートを開催いたします。私自身も、区民の皆様と共に口ずさむ素晴しい歌が生まれることを楽しみにしております。そして、区制施行70周年を記念いたしまして生まれた区民の歌が広く全国の方々にも歌っていただければ、なお一層の豊島区のイメージアップに貢献するものと期待をしております。


 次に、70周年事業のフィナーレを飾る江戸川乱歩展の開催について申し上げます。


 日本探偵小説の草分けである江戸川乱歩氏は、昭和九年に池袋に居を構え、昭和四十年、七十一歳で亡くなるまでの三十一年間、ここを終の住処としました。乱歩が書庫として使っていた土蔵は、奇跡的に戦火を免れ、四万点を超える貴重な資料を収蔵しており、今なお多くの研究家やファンが訪れています。


 乱歩は、「怪人二十面相」や「少年探偵団」シリーズなど数々の名作を発表する傍ら、後進の作家に道を開くべく私費を投じて江戸川乱歩賞を創設し、さらには日本推理作家協会創立へ奔走するなど、我が国の推理小説界の礎を築きました。また、戦時下には地元町会の役員を務めるなど、一地域人としても活躍をしております。


 乱歩の資料につきましては、先般、立教大学の手により保存されることになりましたが、私は、こうした乱歩の遺産をこの地で守り生かすため、いつの日にかはこの池袋に乱歩の記念館をつくりたいと強く願ってきました。


 今回の乱歩展は、子供から大人まで世代を超えて広く皆様に乱歩の世界を紹介する機会にと企画をしたものでございます。既に十一月八日には、日本推理作家協会理事長の逢坂剛さんを会長に迎え、評論家の川本三郎さん、前「東京人」編集長の粕谷一希さん、乱歩のお孫さんに当たる平井憲太郎さん、乱歩生誕の地、三重県名張市などの参加を得て、江戸川乱歩展実行委員会が結成されました。この様子は、早速NHKテレビのニュースにも取り上げられ、全国に発信をされました。


 また、私を会長として区内関係団体で構成する江戸川乱歩展組織委員会も、来年一月二十九日から二月九日までの乱歩展の成功を目指して活動を開始しております。この乱歩展は、豊島区七十年の歩みを合わせてご紹介するものとしておりまして、区制70周年記念事業の最後を飾るに相応しいものにしたいと考えております。


 去る十月三十日、国は新たな総合デフレ対策を発表しましたが、日本経済の構造的不況はますます深刻化しておりまして、国や都におきましては、平成十四年度の税収不足、来年度予算につきましても大幅な財源不足が確実視されております。


 本区の平成十五年度予算につきましても同様でありまして、歳入の減少が見込まれる中、その編成作業は難航しております。そのため、財政健全化計画の平成十五年度実施計画案を確実に実施するとともに、投資的経費の思い切った見直しは無論のこと、人件費、事業費の抑制をさらに徹底することが必要であると考えております。


 しかしながら、このような厳しい状況下にこそ、豊島区の未来を切り開く展望を持った予算編成が求められることも強く認識しておりますので、現在進めております新たな基本構想、基本計画の策定状況を睨みながら取り組んでまいりたいと考えております。議員各位のご指導を改めてお願い申し上げる次第でございます。


 本日ご提案申し上げます案件は、条例五件ほか合わせて七件であります。後程日程に従いまして助役よりご説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜りますようお願いを申し上げる次第でございます。


 以上をもちまして、私の招集あいさつといたします。