平成15年第2回区議会定例会招集あいさつ

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 本日、ここに平成十五年第二回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご多忙の折にもかかわりませず、ご出席をいただき感謝申し上げる次第であります。また、さきの臨時会におきましては、区議会の最高人事を含む議会構成が決定され、豊島区政の一層の発展を目指して議会活動が鋭意展開されておりますことに対しまして、改めて敬意を表するものであります。


 まず冒頭に、去る六月十一日に発生しました平成十五年度住民税納税通知書、納付書の誤封入事故について申し上げます。


 この事故は、納税通知書送付の際、同封しております納付書に別人のものが混入していたというもので、区民の個人情報が第三者に漏洩するという、あってはならないものでありました。「信頼度一番の区政」を標榜する第二期目のスタートに当たり、このような事故を招いてしまったことは、誠に残念でなりません。委託業者が直接には引き起こした事故とはいえ、区政の最高責任者として、その責任の重大さを重く受け止めております。区民の皆様、議員各位に対しまして心からお詫びを申し上げますとともに、二度とこのような事態の生じることのないよう万全の態勢をつくることをお約束いたします。


 次に、区政運営の基本姿勢についてであります。


 私は、区政運営に携わってまいりましたこの四年間、「開かれた区政」「わかりやすい区政」「透明度の高い区政」を目指して、区民の参加しやすい区政運営を貫いてまいりました。また、破綻寸前まで追い込まれた区財政を立て直すため鋭意努力を重ね、区議会の皆様、区民の皆様のご理解、ご協力を賜りながら、何とか再建の道筋が見えるところまで立て直してまいりました。このような、私が就任以来堅持してきた区政運営に対する基本姿勢や実績をご評価いただき、区民の皆様の高いご支持が得られたものと受け止め、与えられた四年間を懸命に区政に捧げる覚悟でございます。本定例会は、私にとって二期目の最初の定例会となりますので、区政運営に当たる所信の一端を申し述べたいと思います。


 今回の選挙に当たり、私は「これからも豊島のために熱き思いを!」「未来を担う子ども達のために!」「高齢者にやさしい区政を!」という三つのメッセージを掲げ、これからの豊島区をどのように創造するか、その理念と政策について訴えてまいりました。そして、この度「未来・信頼・ふれあい」を新たなキーワードとして、第二期目の区政運営の達成目標をまとめたところであります。


 第一番目の目標は、信頼度、透明度一番の区政の実現です。


 「開かれた区政」を進めることは、区政運営に当たって私が最も大切にしてきた基本的な姿勢であります。この姿勢をさらに徹底し、二十三区で一番信頼度、透明度の高い区政を築くことを目標のまず第一に掲げました。このため、従来から公開に努めてまいりました区長交際費につきましては、今後は相手先の氏名を含めまして全面公開することといたします。また、私の毎日の公務につきましても、ホームページなどを通じまして区民の皆様に明らかにしていきます。


 生命、財産、安全、そしてプライバシーなど、区民の基本的人権を守ることは、行政が課せられた第一義的な責任であります。今回の納税通知書誤送の事故を目の当たりにいたしますと、長年の習慣や馴合いで漫然と業務を行うという行政姿勢が、まだまだ区組織、職員の中に根深く残っているのではないかと、私自身、改めて反省をしております。また、今回の事故原因には委託業者の選定方法や検査体制の不備などの問題が考えられ、現在進めております入札制度の改革においても、今回の事故の教訓をしっかり反映させ、より一層信頼度・透明度の高い制度に転換してまいりたいと考えております。


 区政に対する区民の信頼度を高めるには、地震などの自然災害、重大な事件・事故、感染症、食中毒、食品の安全性など、広範囲な分野での危機管理体制の構築も喫緊の課題であります。このため私は、この三月に、三宅島噴火の際に陣頭指揮をとられた当時の東京都副知事青山・氏をお招きし、全管理職を対象とした危機管理のあり方の研修を行いました。さらに、現在の危機管理会議をさらに強化し、新たに専管組織を設けることはもとより、危機管理監とも言うべき専門的な職を設け、従来の区行政の領域からでは見えにくい分野をも浮彫にしながら、新しい発想での体制づくりに取り組んでまいります。この八月までには問題点を整理し、十一月には新たな態勢での危機管理を実施したいと考えております。


 このほか、新基本構想にも目標として掲げております自治基本条例の制定をできる限り早期に実現するため、学識経験者及び公募の区民を中心とする研究会をこの秋にも設置する考えであります。この条例は、計画、実行、評価など各段階での区政への参画はもちろんのこと、重要なテーマにつきましては住民投票による決定を行うなど、区民の区政への参画の新たな仕組みづくりを検討するものであります。現在進めております新たな基本計画の策定に合わせ、平成十七年度の制定を目標に取り組む考えであります。


 第二番目の目標は、新基本構想を実現する基本計画・財政計画の策定であります。


 先般の第一回区議会定例会におきましては、新たな豊島区基本構想を議決いただいたところであります。今後の基本計画の策定に当たりましては、これまでの四年間に取り組んでまいりました行政評価制度及び包括外部監査の導入、バランスシートの作成、補助金制度の見直しなど、一連の改革の流れを踏まえ、本区の新たな行政経営システムの構築を行うことを重要な柱といたします。いわゆるPDCAサイクル、即ち、政策立案(Plan)、事務事業実施(Do)、行政評価(Check)、施策・事務事業の見直し(Action)という透明度の高い行政システムに転換しようとするものであります。本年度は、その試行的な取組みとして、部局別の組織目標を決定し、その組織目標に基づき事務事業評価を実施し、この評価を参考に事務事業を見直し、施策形成及び予算編成に反映させる予定でございます。この試みを踏まえ、基本構想審議会の下に設置しております行政経営システム部会において、新たなシステム案をまとめていただく考えであります。


 また、新基本計画におきましては、そのプログラムの実現を担保するため、財政計画を合わせて策定いたしますが、ご承知のとおり、日本経済の低迷とこれに伴う税収の減少は今後とも長期にわたると予想されます。平成十六年度以降の本区財政の収支見通しでは、毎年五十億円から八十億円規模の財源不足が見込まれておりまして、経済の低迷の長期化がこの財政状況にさらに悪影響を与えることは必至であります。このような厳しい財政状況が続く中でありますが、新基本計画の実行を担保する中期的な財政計画の策定によりまして、重点施策を確実に実施していく考えであります。そのためには、徹底した歳出の抑制とともに、あらゆる手段を尽くして財源の確保を図らなければなりません。とりわけ、地方分権の推進と税財政制度の改革により、自由度の高い財源の確保がより一層求められるのであります。


 この度国においては、補助金の削減、地方交付税の縮減、税源移譲のいわゆる三位一体の改革の方向として、国から地方へ支給する補助金を約四兆円削減し、義務的経費については削減額のほぼ全額を、そのほかの経費については八割程度を地方に税源移譲することを決定いたしました。今回の決定内容がどのように具体化されるのか、また都区財政調整制度等にどのような影響があるのかなど問題点を残しておりますが、国と地方の間での長年の懸案事項に一定の前進が図られたことは評価したいと思います。


 また、本区が昨年来取り組んでおります二つの法定外税につきましては、昨年度の関係者等による法定外税検討会議の部会でのご議論を経て、本年度は学識経験者八人による専門委員会が税法上の問題点等の整理、検討を行っているところであります。放置自転車対策税及びワンルームマンション税は、いずれも都市問題の解決という明確な政策目的を持っておりまして、全国的にその結論が注目されているところであります。この秋にも予定されております検討会議の最終報告を踏まえ、今年中に条例提案ができるよう努力をしてまいりたいと思っております。


 第三番目の目標は、豊かな心を育てる教育の実現であります。


 未来を祖う子供たちへの教育を充実するためには、教育環境の整備はもちろんのこと、教育制度やシステムも大きく見直し、改革を進めなければなりません。本区では、少子化の進行の中で、個性と社会性との調和のとれた子供の育成を図る観点から、一定規模の子供の数を確保するため、学校の適正配置を計画的に推進してまいりました。現在の第一次学校適正配置整備計画が終了する平成十八年度以降も、一学年一学級しかない小規模な学校が残ることが想定されますが、私は、敢えて、現在の計画をもって学校の適正配置を完了すべきと考えております。子供の数が減ったから学校が少なくなるのではなく、多くの子供たちがこの豊島の街に暮らせるような施策、区立小中学校の魅力と特色ある学校づくりの施策を積極的に進め、豊島区の小中学校に通う子供たちを増やしていくことが重要であると考えるからであります。


 小中学校は、子供たちの教育の場であると同時に、区民にとりましても防災、生涯学習、スポーツ、コミュニティの場として重要な役割を担っております。学校を拠点に、区民の連携の輪が広がり、地域全体が活性化することにより、すべての区民が大いに元気になってほしいと願っております。


 昨年四月より、区立小中学校は完全週五日制となり、ゆとりの中で生きる力を育んでおりますが、私立学校の多くが土曜日を休みにしていないこともありまして、この間、学力低下を懸念する声は一向に収まる気配がありません。このため、本区におきましても、子供たちに確かな学力を身に付けさせるためのあらゆる方策を講じていかなければ、公立学校への信頼性さえ揺るぎかねません。教員の配置をもっと柔軟にできないのか、土曜日に授業を実施する具体的な方法はないのかなど、教育委員会においても様々な可能性について検討をしております。また、区立小中学校の教育環境は、一定の水準で同一であることは改めて言うまでもありませんが、選択肢の一つとして、特色ある学校づくり、例えば、新しい小中一貫校の設置についても、教育委員会で積極的に検討していきたいと考えております。


 教育委員会では、この六月に「21世紀の学校づくり懇話会」を設置したところですが、学校適正配置の計画の終了、学力問題、小中一貫校等について詳細かつ専門的な検討が行われ、新世紀に相応しい独創的な教育ビジョンが生まれてくることを大いに期待したいと思っております。私も、子供たちの未来が輝く教育の充実について、制度の壁を乗り越えた本区独自の施策づくりに果敢に挑戦してまいる考えであります。第四番目の目標は、区民との協働の推進と新たな地域コミュニティの実現であります。


 新基本構想では、これからの区政運営の基本として、区民との協働を掲げております。従来のような行政による一方的なサービス提供の仕組みを改め、地域コミュニティを基礎に、行政、区民、民間事業者等が協働して創造性豊かな公共サービスを創り出していこうとするものであります。昨年十二月には、区民と行政とのパートナーシップ会議が二年間にわたる熱心な討議の結果を提言としてまとめられました。現在、その提言の趣旨を具体化するため、協働推進委員会を設置し、実施計画の策定、パートナーシップセンターの設立へ向け、全庁的な取組みを行っております。


 私は、このような区民とのパートナーシップを大きく前進させるため、新たな地域コミュニティの単位となる(仮称)地域区民広場を小学校区ごとに設けることといたしました。これまでも区立小学校は救援センターとして地域防災の拠点的な役割を果たしてきましたが、これからはさらに子育て支援、生涯学習、スポーツ、健康増進など幅広い分野で地域コミュニティの拠点としての役割がより一層強く求められます。地域区民広場は、小学校の機能の拡充と合わせ、児童館、ことぶきの家、区民集会室、社会教育会館などの地域に密着した施設を小学校区単位で再編成し、地域の区民の方の自主管理、自主運営に委ね、新たなコミュニティづくりの拠点にしていこうというものであります。地域区民広場には、親子の遊び場、高齢者の憩いの場・健康増進の場、区民の地域活動の場などを確保し、世代を超えた交流、パートナーシップ活動、生涯学習活動などをより一層推進してまいります。


 この間進めてまいりました公共施設の再構築につきましても、現在、この地域区民広場構想を基軸に見直しを進めております。学校、ことぶきの家、児童館、区民集会室などの従来の施設の壁を取り払い、より柔軟な施設の活用が可能となるよう再構築案の検討を進めておりまして、これらをまとめた本部素案の修正案をこの秋にはお示ししたいと考えております。


 第五番目の目標は、元気・スポーツ・健康としまの実現であります。


 高齢社会がますます本格化する中で、介護、医療、年金などの仕組みが将来にわたって安定的に持続できるのかが問われております。しかしながら、一番大切なことは、高齢者が毎日元気で安心して過ごすことができ、高齢者を寝たきりにしないことであります。このため、現在、東京都老人総合研究所と連携し進めております「元気ながさきの会」の痴呆予防モデル事業の成果を、先程申し上げました地域区民広場などを拠点に区内全域に広め、介護予防につながる高齢者のグループ活動を支援してまいります。一方、すべての人が生まれ育った地域で生涯暮らし続けることができるよう、平成十九年度までに、新たに特別養護老人ホームを百床、ケアハウス三十人分、痴呆性高齢者グループホーム九十人分を最優先に整備し、入所待機者の解消を図るなど、第二期高齢者支援としまプラン21の目標達成に努めてまいります。


 さらに、子育て支援策についてでございますが、先般発表された平成十四年の我が国の合計特殊出生率が一・三二と、また史上最低を記録したように、少子化の勢いはとどまることを知りません。私は、本区においては他の自治体に先駆けて充実した子育て支援策に取り組んできたことを自負しておりますが、このように少子化が急激に進行する中では、さらに抜本的な施策の見直しが必要と考えております。即ち、行政の縦割りにより分断されている子供に対する施策体系を再編し、豊島区としての統一した子どもプランを新基本計画に合わせ策定する考えであります。また、地域区民広場二十三カ所すべてに親子遊び広場を設け、親子同士が交流しやすく、また子育てのベテランである中高年の方や保育士などの子育ての知恵やアドバイスが受けやすい環境づくりを行います。さらに、現在池袋本町地区でモデル的に取り組んでいるプレーパーク構想を他の地域にも広げ、泥んこ遊びのできる原っぱを確保してまいります。


 一方、区民のスポーツ活動への意欲は年々高まっていますが、適当な空き地が少ない本区では、活動場所の確保が至上命題となっています。休止中の豊島プールを初め、豊島体育館、巣鴨体育館などが老朽化し、建替えを迫られている状況にありますが、現在策定中のスポーツ振興計画において、新たなスポーツとしまのビジョンを明確にお示しします。特に区内の小中学校は、地域の貴重な施設でありますので、できる限り幅広く活用していただき、区民の健康増進の拠点として生かしてまいります。


 第六番目の目標は、文化の風薫るまちづくりです。


 私は、区長に就任以来、「文化は人を元気にし、元気な人が街の活力を生み出す。そして文化が地域産業の活性化を生み出す」という考えを基本に、文化の風薫るまちづくりを訴えてまいりました。折しも昨年は、区制施行70周年という節目の年に当たり、議会を初め多くの区民の方々、民間団体、大学、企業などの絶大なご協力を得て、様々な記念事業を実施することができました。お蔭をもちまして、記念事業の総数は百七十三に上り、空前の二百七十万人を超える方々のご参加をいただきました。とりわけ昨年五月に池袋西口公園に設置された野外ステージは、地元の方々の熱い思いが実を結び、区で寄贈を受けたものです。また、本年二月の江戸川乱歩展の大きな成果を基に、立教大学では乱歩記念館の開設に向けて準備を進めております。まさに、区民の方々、民間団体、大学、企業と共に手と手を携えた、文化の彩りを生かした街づくりの一こまを実感することができました。


 私は、これが文化の風薫るまちづくりへの第一歩であると思っております。特に、区内四大学の学長、総長並びに学生の協力により実現した大学サミットは、とかく区政への参加意識が薄かった若い人たちが知恵と汗を絞ってユニークな街づくりの提案をしてくれたもので、画期的な取組みとなりました。この流れ、「若者の街、としま」の力をしっかりと街づくりに生かしていく必要があります。


 現在、豊島区からの全国に向けての文化情報発信の一つとして、本年一月に発表した、さだまさしさんによる区民の歌「としま 未来へ」のCDを来月七日から有償頒布するための準備をしております。こうした事業を展開する中で、区民の方々からは「豊島区がおしゃれになってきた」「変化する息吹を感じる」という声をよく耳にするようになり、大変嬉しく思っております。


 また、今、新たな文化政策の検討を進めております。ご案内のように、伝統芸能や工芸、演劇、音楽、ダンス、映像、出版など、区内には様々な文化的な資源があります。これらの文化的資源を有機的に結び付け、人々の活動をより活発化させて新たな地域おこしのきっかけとし、区内の随所に文化的な特性を持つ区域を誕生させようとする試みであります。言わば、豊島区独自の文化特区と呼ばれるような構想をぜひ実現したいと思います。


 また、平成十九年には、東池袋四丁目地区再開発ビル内に、三百席の客席と舞台を有する交流施設及び新中央図書館を整備し、文化、情報発信のもう一つの拠点としてオープンさせる予定であります。とりわけこの交流施設から、劇場都市としまの名に相応しく、東京芸術劇場やサンシャイン劇場を初め区内の小劇場とも連携し、国際的にも活躍できるアーティストを輩出できるような文化芸術活動の新たな拠点にしたいと考えております。


 また、新しい魅力と活力に溢れた観光都市づくりによる地域経済の活性化を図ることを目的に、七月に学識経験者を初め関係団体、区民公募の方々によります観光振興プラン策定委員会を設置いたします。二十一世紀は観光の時代、観光は経済の発展の原動力とも言われております。また、観光は、外部に対して地域の歴史や文化を初め身近な個性溢れる都市の景観をアピールすることで、その地域の人々が誇りを持つことができ、まさに地域のアイデンティティを発信できる切り札として注目されております。


 去る六月一日、サンシャインシティのプラネタリウムが大勢の人々に惜しまれつつ閉鎖いたしました。私は、サンシャインシティの会長、社長さんにもお会いし、「池袋から文化の灯を消してはならない。あらゆる手を尽くして何とか再開していただきたい。区としてもできる限りの協力を惜しまない」と申入れをいたしました。幸いなことに、サンシャイン側も、デジタル映像等を取り入れる形で新たなテナントを募り、再開へ努力していることを表明してくれました。


 「としま 未来へ」の一節に「夢は必ず叶うから」とあります。私は、夢と理想を高く掲げ、日々芽生えてくる芽を一つ一つ大切に育て、文化の風薫るまちを目指して邁進してまいりたいと思います。


 第七番目、最後の目標は、二十一世紀に対応した新たな都市づくりと都市再生であります。


 昨年来、丸の内や汐留、六本木、品川などで超高層ビル街が次々と完成し、内外の注目を集めております。また、臨海部への埼京線の乗入れ延伸、平成十九年の地下鉄十三号線の新宿・渋谷方面への延伸などを考え合わせますと、副都心池袋を取り巻く環境は急激に変化することが予想されます。このような時期に、池袋副都心をより活性化し、東京を代表する商業都市として発展させる道筋をつけることが私の重要な使命であると考えております。


 豊島区は、都心部や臨海部に比べ大規模開発をするような土地がないことから、他都市と同じような手法で都市の活性化を図ることは無理でありますが、ハード面からソフト面まで、あらゆる知恵を集めてこの問題に取り組んでいく覚悟であります。幸いにも、街づくりにとって最も重要な都市基盤である都市計画道路の整備事業、再開発事業などが今後四、五年の間に次々と完成することになっており、この時期での様々な取組みは極めて重要なことであります。現在進行中の都市計画道路は、環状五の一号線、補助一七二号線、補助一七三号線と環状四号線でありますが、これらの道路新設に伴い沿道の建物をどのように誘導していくかが将来の街づくりにとって極めて重要であります。地域の意向や状況を的確に判断し、品格のある街、賑わいのある街など、その地域に合った個性ある街づくりを地区計画や都市開発制度を活用して進めていく考えであります。


 具体的な整備計画がまだ示されていない、大変重要であり、副都心池袋の都市再生の最大のポイントである環状五の一号線地下四車線道路につきましても、先般、私が直接都の建設局長を訪問し、早期実現に向けた取組みを促してまいりました。面的開発につきましても、今年度末の着工に向けて動き始めた東池袋四丁目第一地区の再開発に引き続き、第二地区も都市基盤整備公団の積極的な取組みにより合意形成と計画づくりが進んでいます。これらの事業が円滑に効率的に進むよう、区としても最大限の指導・支援を行っていく考えであります。


 その他、南池袋二丁目の環状五の一号線周辺地区の街づくりや副都心池袋全体の老朽化したビルの建替え誘導などの様々な課題がありますが、それらを総合的に検討し、今後の方針を打ち出すため、今年度中に池袋副都心再生プランを策定いたします。このプランでは、環境や人に優しい交通手段であるLRT(路面電車)構想など、山積する重要な課題について調査・検討を行います。また、池袋副都心の再生に大きなインパクトを与える新庁舎建設につきましても、新基本計画の中に位置付けてまいります。さらに、池袋副都心以外でも、大塚駅や東長崎駅など、駅やその周辺の整備を起爆剤とした街づくりや木造密集地区の改善など、豊島区全体としての都市再生事業にも積極的に取り組みます。


 次に、安心、安全の街づくりについてであります。


 副都心池袋を安心して過ごせる安全な街にすることは、区民の皆さんの長年にわたる悲願でもあります。この安全な街づくりがなければ、文化の風薫るまちづくりも実現できません。特に池袋西口の防犯カメラ設置につきましては、昨年来、生活安全協議会、池袋西口商店街連合会、駅前環境浄化推進委員会などが相次いで東京都知事、警視総監あてに要望書を提出するなど、粘り強い運動が行われてまいりました。この結果、東京都は、平成十五年度、二十台の防犯カメラの設置を決定いたしました。今年度末にはこのカメラが池袋西口の道行く人々の安全を守ってくれることになります。また、池袋東口でも、平成十一年の60階通りでの通り魔事件を機に、池袋東口美観商店会や池袋マイタウン促進協議会、区議会議長などが東京都知事や警視総監あてに、交番を東口広場の中心部に移設するよう強く要望をしてまいりました。この要請に対しまして、警視庁は、この程、グリーン大通りの西側歩道上を候補地として具体的な検討に入りました。


 さらに、皆様ご承知のとおり、場外車券売場設置反対の運動も、六月五日の緊急区民大会に一千人を超える区民が集まるなど、設置許可を一年以上も阻止する戦いを続けております。私は、地元町会、商店会の皆様に、この場外車券場予定地を含め、区庁舎や別館など周辺地域一帯の将来ビジョンをしっかりとお示しできるよう検討していることをお伝えし、共に池袋の発展という共通の認識に立っていただくよう改めてお願いをいたしました。この結果、予定地の地元町会長にも区民大会や国への要請行動に参加いただけるようになりました。このように、池袋の東西で、安心、安全の街づくりが粘り強く続けられ、一定の成果を生み出していることに私は深い感動を感ぜざるを得ません。


 古来、「志あるところに道あり」と申します。区民の皆さんと共に手を携えて、どんな困難にも負けない強い意志を持って立ち向かえば道は必ず開けます。私は、自らを律し、一身を投げ出し、二期目の区政を全力で走り続ける覚悟であります。何事にも果敢に挑戦していく勇気と情熱、地道な努力を大切にしながら、夢とロマンに満ちた豊島区の創造に全力を尽くすことを重ねて決意するとともに、区議会の皆様のさらなるご理解、ご協力を心からお願い申し上げる次第であります。


 本日ご提案申し上げます案件は、予算二件、条例六件、契約五件、認定三件、報告二件、合わせて十八件であります。各案件につきましては、後刻、日程に従いまして助役より説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜りますようお願いを申し上げます。


 以上をもちまして、招集のあいさつ及び所信表明といたします。