平成16年第1回区議会定例会招集あいさつ・所信表明

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 本日、ここに平成十六年第一回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては何かとご多忙の中にもかかわりませず、ご出席を賜りまして深く感謝を申し上げます。今定例会の開会に当たりまして、私の所信の一端を述べさせていただきます。


 この度、日本の自衛隊がイラクに派遣されました。自衛隊の海外派遣につきましては賛否両論が飛び交っておりますが、できる限り多くの国々の協力と連携により、イラク人による民主的な安定政権が確立し、争いのない平和な世界になることを願っております。


 最初に、平成十六年度予算案について申し上げます。


 さきの平成十五年第三回区議会定例会の際にも申し上げましたが、十六年度予算編成は、七十二億円規模の構造的な財源不足を限られた選択肢の中でいかに解消するかという厳しい課題を担っての出発でありました。財政健全化計画の当初目標では、平成十六年度の予算編成段階では実質黒字に転換させるということでありましたが、逆に多額の財源不足を生じました理由として次の点が挙げられます。


 一つには都区財政調整交付金交付額と当初予算額との乖離が過去二年連続して十数億円の規模の大幅なものになったこと、また新たな時代の要請に伴う緊急かつ区民福祉の維持向上から不可欠な新規・拡充事業の歳出需要が当初見込みを超えて対応せざるを得なかったこと、さらに国民健康保険事業会計など特別会計への繰出金が年々増加し一般会計を圧迫していることなどが挙げられます。この間の財政健全化計画による取組みによりまして、人件費や一般事業費の圧縮、投資的経費の抑制などに努めてまいりましたが、十六年度財政の全体像が予算編成を目前に控えた段階まで把握できなかった結果と受け止めておりまして、十七年度以降の行財政改革へ向けての取組みを急ぐ考えであります。


 次に、平成十六年度予算案の編成方針について申し上げます。


 日本経済は、緩やかな回復の兆しが一部に見られますものの、中長期的には依然として景気低迷から脱しておりません。このような極めて厳しい環境の中でも、福祉と教育を基本として、豊島の未来を展望したユニバーサルデザインの文化都市としまづくりを進めるとともに、区民の皆様の安全と安心を確保する施策へ重点的に取り組むことといたしました。同時に、最終年次となります財政健全化計画を着実に実施し、健全財政実現への取組みを強化することとしております。


 平成十六年度予算の一般会計予算規模は八百七十八億九千三百万円となり、前年度当初予算に比べ九億九千万円の減、一・一%のマイナスとなっております。平成十一年度以降、一貫して減り続けて、六年連続のマイナスとなるものであります。一方、国民健康保険事業会計など四特別会計の総額は五百六十八億六千七百万円と過去最高の規模となっており、一般会計と合わせた財政規模は一千四百四十七億七千六百万円となり、前年度当初予算に比ベ一・八%のプラスとなっています。一般会計の規模が年々縮小する一方、国民健康保険、老人医療、介護保険などの各特別会計の膨張は、高齢化の急速な進行の結果とはいえ、区財政の今後に深刻な影響を与えるものと懸念をしております。


 次に、平成十六年度一般会計予算の特徴について、いくつか申し上げます。


 最初に、歳入について申し上げます。


 特別区税は、対前年度比二億三千二百万円の増、一・〇%のプラスとなっておりますが、これは納税義務者の増加やたばこ税の改正等により一定の伸びが見込まれることによります。また、平成十六年度は、新たに狭小住戸集合住宅税を一千九百万円計上しております。


 都区財政調整交付金は二百三十九億円となり、対前年度比十七億四千七百万円の減、六・八%のマイナスとなっております。これは、平成十四、十五年度の二カ年度にわたりまして予算割れを生じたことから、その算定方法を改めて見直してかなり厳しい額に抑えたものであります。平成十三年度決算では二百九十一億円でありましたから、これと比べますと五十二億円もの縮小となるものであります。


 特別区債は平成十二年度以降厳しい抑制を続けておりますが、平成十六年度は学校建設の本格化などにより、対前年度比七億七千三百万円の増、二六・九%のプラスとなっております。起債依存度は四・一%と前年度に比べて上昇しておりますが、極めて低い水準を維持しておりまして、特別区債の残高は、平成十六年度末では五百四十九億三千七百万円と見込んでおります。平成十一年度のピーク時の六百六十七億円から百十八億円マイナスとなるものであります。


 次に、歳出の特徴でありますが、総額では減少し、経費別では人件費と事業費が減少し、投資的経費が増加をしています。


 人件費は、対前年度比十四億五千二百万円の減、五・九%のマイナスとなる二百三十三億五千八百万円となりましたが、職員数を一般会計では前年度に比べ百五人削減したことなどによるものであります。平成五年度には職員数は二千九百二十四人でありましたので、平成十二年度の清掃移管、介護保険導入などの影響を除きますと、五百六十人の人員削減を行ってきたことになります。


 次に、事業費は、対前年度比五億九千百万円の減、一・〇%のマイナスとなる五百八十四億六千四百万円となり、四年連続のマイナスとなっております。これは、財政健全化計画による事業の見直しを引き続き実施したことなどによるものであります。


 次に、投資的経費ですが、対前年度比十億五千二百万円の増、二一・〇%のプラスとなる六十億七千二百万円となっております。これは新豊島清掃事務所や学校建設などが本格化することなどによるもので、平成元年度以降、最小規模となった平成十四年度を二年連続上回っていますが、施策の厳選と経費の見直し等を行っており、引き続き抑制を基調としております。


 冒頭にも申し上げましたが、平成十六年度に黒字に転換するという財政健全化計画に基づき、この間、毎年度の予算編成を行ってまいりました。しかしながら、最終年次となる平成十六年度予算では、特別区税は僅かながら伸びているものの、国の三位一体改革の影響や都区財政調整交付金の大幅な減額などにより歳入が大きく落ち込む一方、新規事業の実施や投資的経費の増などにより、昨年九月の素案段階からの想定した財源不足の解消に至らず、用地売却等の資産活用を講じることとなりました。現段階での実質の不足額は三十四億円前後と見込んでおりまして、公共施設の再構築をできる限り前倒しをして実施するとともに、職員採用の抑制などの効果的手法を駆使し、これまでにない思い切った改革を断行しなければならないと考えております。一方で、新たな基本計画への対応なども必要でありますので、新基本計画の素案を発表する本年六月には、新たな行財政改革プログラムをまとめてお示ししたいと考えております。


 しかしながら、学校跡地等の資産活用なしに平成十六年度の予算は成り立たないという厳しい状況にあります。跡地の活用に際しましては、当然のことながら地域の活性化に寄与することを第一条件に留意してまいります。そして、活用により得た資金の一部を財源不足に充当するとともに、その残余につきましては、明確な目的を持った基金等へ積み立てる考えであります。先程の議員協議会におきましてお示しした具体的な学校跡地の活用方法については、何とぞご理解、ご協力を賜りたく心からお願い申し上げます。


 次に、平成十六年度予算における重点施策の基本的考え方を三点にまとめたので、これについて申し上げます。


 これまで十六年度予算編成の厳しさについては縷々申し上げてまいりましたが、私はこのような苦境の中でもめり張りの効いた施策の重点化が必要であると考えております。これからの時代の街づくり、施策づくりは、人々の生き方に深く関わるものでなければならないと考えております。それがユニバーサルデザインの文化都市としまの創造であります。この一月には、資生堂名誉会長であり企業メセナ協議会会長でもあります福原義春氏を座長とする豊島区文化政策懇話会から、「としま文化特区の実現に向けて」をサブタイトルとする提言をいただきました。文化とは人間がよりよく生きようとする行為の過程とその結果であるといわれますが、私は、文化政策を単に狭い意味での芸術文化施策にとどめることなく、総合的な街づくり、施策づくりの基本に据えてこそ、としま未来も切り開かれるのではないかと確信をしております。この考え方は、新基本構想の未来像「未来へ ひびきあう人 まち・としま」にも表されているように、これからの区政運営の基本理念としていきたいと思います。


 重点施策の基本的考え方の第一は、ユニバーサルデザインの文化都市としまの創造であります。平成十六年度には、東京芸術劇場館長の小田島雄志氏を塾長に迎えてのとしま文化フォーラムの開催、旧朝日中校舎を活用した文化芸術創造支援事業の展開、東池袋四丁目地区交流施設及び新中央図書館の開設準備などに取り組みます。


 第二は、快適・安全な街づくりについてであります。激化する都市間競争の中で、副都心池袋の活力低下が危惧されています。その背景には、駅袋と言われる街のハード面における回遊性の乏しさ、そして来街者が抱く池袋に対するマイナス評価があります。こうした池袋のマイナス面を払拭し、人々が集い合う魅力的な街づくりを行うため、池袋副都心再生プランを本年度中に策定しますが、とりわけ安心・安全に集える、人と環境に優しい街、池袋をつくり出すため、ユニバーサルデザイン対応のLRT導入とグリーン大通りの整備に向けた調査・分析を行います。


 次に、治安対策でございますが、昨年来、東京都や新宿・渋谷区とも連携し、繁華街治安対策の強化に努めております。とりわけ不法滞在の外国人による犯罪は、日本では例を見ないほど計画的で悪質であります。一人一人の区民の皆さんが自衛措置することはもちろんのこと、地域社会全体で防衛体制を、しかも予防的に敷くことが重要であります。本区では、この三月一日付で警視庁から現職幹部を治安対策担当課長に迎え、区としての体制を強化いたします。また、防犯パトロールの実施、街路灯改修の計画策定、ヤミ金・サラ金等特別相談の実施など、治安対策上有効な施策を広く展開いたします。さらに、区組織の改正を行い、防災・治安・危機管理の三部門を総務部に集中し、あらゆる災害・危機に未然に対応できる体制とすることといたしました。


 第三は、区民の皆さんと共につくる「としま未来」であります。東京大学の森田朗教授を会長とする豊島区基本構想審議会は、昨年、新基本構想を答申し、新たな未来像を提示いたしました。現在、引き続き新基本計画の検討を進め、本年七月には素案を発表し、パブリックコメントを行い、十月には基本計画を決定する予定であります。今回の新基本構想では、区民の皆さんとの協働をその柱に掲げておりまして、従来の行政中心の区政運営から区民の皆さん等との協働による区政運営へと自治体経営のあり方を大きく塗り替えようとするものでございます。この歴史的転換を法的にも制度的にも担保するものとして、自治基本条例の制定は喫緊の課題であります。既に昨年来、辻山幸宣氏を座長とする区民参画の研究会が活動に入っておりますが、この三月六日には、シンポジウムを開催し、調査研究の成果を報告する予定でありまず。また、十六年度には、公募による区民委員によるワークショップを設け、条例の制定作業に入ります。


 また、昨年十月に発表いたしました「公共施設の再構築・区有財産の活用」案につきましては、本年六月の基本計画素案の中で具体化する予定でありますが、とりわけ区民の皆さんのご関心も高い地域区民ひろばにつきましても、一月末に庁内に助役を委員長とする推進検討委員会を設け、課題ごとに部会を設け検討作業を開始しております。区民の皆様からのご要望の高い小学校区ごとの説明会につきましても、できる限り早期に実施いたします。さらに、平成十四年十二月に「区民と行政とのパートナーシップ会議」から提言が出されましたが、この提言にもありましたパートナーシップセンターについては、地域区民ひろばの施設とも調整を図り整備してまいります。また、昨年九月から二十三区で初めてNPO等からの協働事業提案を募集しておりまして、区民の皆さんとの協働への仕組みづくりは着実に進んでいるものと自負しております。


 次に、各分野別の重点施策について、最初に福祉・保健分野について申し上げます。


 介護保険制度の導入から五年目となります平成十六年度には、従来から準備しておりました福祉基盤整備事業が本格稼働いたします。まず、池袋一丁目の旧西山児童遊園跡地等では、民間法人に用地を貸し付けて特別養護老人ホーム六十六床が整備され、本年五月にオープンをいたします。次に、池袋本町二丁目の公衆浴場えびす湯跡地には民間医療法人が介護老人保健施設を整備中でありまして、ショートステイ十床を含む百床が整備され、本年四月オープンいたします。また、痴呆性高齢者グループホームにつきましても、民間事業者による整備促進のため、整備費の一部を助成し、十六年度は二カ所、十八名規模の開設を予定しております。さらに、平成十七年四月開設に向け、南池袋三丁目地区及び池袋四丁目地区で、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、保育所、知的障害者施設等が整備中でありまして、区も全力を挙げて取り組む考えであります。高齢者を寝たきりにしない事業の重要性は本区での取組みからも実証されておりますが、平成十六年度からは、高齢者筋力向上トレーニング事業を新たに二カ所で開始いたします。このほか、東京都老人総合研究所と連携した機能訓練「お達者21」、高齢者グループ活動への支援などをさらに充実してまいります。


 次に、子育て支援の分野について申し上げます。


 平成十五年の青少年問題協議会の答申に基づき、平成十七年十月を目途に、豊島区子どもの権利条例(仮称)の制定に取り組んでおり、昨年十二月には区民参加による条例検討委員会を設置いたしました。今後は、学習会、講座、子供たちによる公開ディベートなどを開催するほか、子どもの権利条例の普及・啓発にも取り組みます。


 次に、南池袋地区放課後対策事業についてでありますが、平成十六年四月の南池袋小学校新校舎への移転に伴い、雑司が谷児童館内の学童クラブを廃止し、新校舎隣接地の施設及び新校舎内施設を活用し、学童クラブに通う子供たちを含めたすべての子供を対象に、放課後を自由に安全に過ごせる場を設けるものであります。これは、今月より高松小学校内で実施いたしますわいわいスクールとともに、全児童クラブ構想実現へ向けた第一歩となるものであります。また、東部子ども家庭支援センターの機能を強化し、児童虐待が認められる家庭への支援を行う見守りサポート事業及び虐待防止のための訪問事業を新たに実施いたします。このほか、国民健康保険加入者への出産費一時貸付事業を開始すること、現在六歳の三月まで支給されている児童手当を九歳の三月まで拡大すること、雑司が谷保育園の建替えへ着手することなどの事業に取り組んでまいります。


 子育て支援につきましては、これまでも最優先に取り組んできた課題であります。地域区民ひろばの中においても、従来の児童館機能の成果をしっかりと継承し、地域の子育て支援センターとしての役割を果たしてまいりたいと考えております。


 次に、教育の分野について申し上げます。


 本区ではこの間、学校の適正配置につきまして、区民の皆様のご理解とご協力の下、ほぼ順調に計画を実行してまいりましたが、時代の変化のスピードは極めて速く、区民の皆さんの教育、とりわけ学校教育へのご要望に適切にかつ時宜を得てお応えできたのか、まだまだ課題は山積しております。特に区立中学校への進学率が年々低下している事実は、これからの少子化傾向を考えますと、非常に危惧される事態であります。私は、今後は地域特性や社会からのニーズをしっかりと踏まえた学校づくりに重点を置き、何よりも子供が学力をしっかりと身に付け、社会をどこまでも生き抜いていく逞しい人となってほしいと切に願うものであります。


 最初に、マスコミでも大きく取り上げられました水曜トライアルスクールの事業の実施であります。区立中学校生徒を対象として、毎週水曜日の放課後を利用して二時間程度、英語検定、数学能力検定、漢字検定などの合格を目指した指導を行うもので、二十三区では初めての試みとなります。また、英語の早期教育のご要望に応える小学校五・六年生を対象とする英語教育モデル事業の実施を初め、少人数指導教育のより一層の充実など、学力の向上事業を積極的に展開してまいります。


 次に、特色ある学校づくりに向けたプロポーザル制度の導入について申し上げます。本区では、これまでにも特色ある学校づくりに取り組んでまいりましたが、十六年度からはこの取組みをさらに強化し、伝統文化の継承や国際理解教育など十項目の課題を指定し、その課題の中から各校自らが施策を提案し、これを教育委員会が審査し、選定された施策について予算の重点化を図るものであります。このほか、中学校の部活動に専門的技能を持った外部指導員を派遣し、休日を含め、部活動をしやすい環境を整備し、魅力ある学校づくりを進めていきます。


 学校環境の整備についてでありますが、極めて厳しい財政状況の中、第十、千早、長崎の三中学校の統合校舎となります明豊中学校の新校舎を現在の千早中学校敷地に建設する工事に着手をいたします。また、道和・真和中学校の統合校舎につきましても、ぎりぎりの判断をいたしまして、当面、温水プールを含む現在の道和中学校校舎を改修し対応することといたしました。地元の区民の皆さんから大変お叱りをいただきましたが、都市計画道路一七二号線の整備状況をも見据え、近い将来、新校舎建設を改めて計画することといたしました。このほか、大明小学校と池袋第五小学校の統合のため、池袋第五小学校改修も、平成十七年四月完成へ向け、工事の最終段階に入ります。また、平成十六年度から、小学校、幼稚園の冷房化を三カ年計画で実施することといたしました。


 次に、文化施策につきましては、先程申し上げました基本的考え方、主要施策に加えまして、平成十六年度から池袋を中心に本格実施されます総合文化芸術祭、(仮称)東京フェスティバルを国際交流基金などと連携して開催するのを初め、としまロケーションボックスの創設、池袋西口公園野外ステージの活用、みみずく資料室の開設、郷土資料館の情報基盤整備などを進めてまいります。


 次に、観光施策でございますが、十五年度から商工担当部を設置し、観光振興担当課を中心に副都心池袋及び特色ある区内諸地域の観光資源としての活性化の道を探ってまいりました。この度、豊島区観光振興プラン策定委員会が観光振興プラン案を公表しまして、パブリックコメントを実施しております。「交流の扉を開く ビジットシティ としま」のタイトルに示されておりますように、幅広いビジター(訪問者)に対し、街づくりと人と人とのつながりを生み出す新たな仕組みづくりを基調にしております。このほか、具体的には観光ホームページの開設など、豊島の魅力を内外に発信する観光情報を初め、池袋駅東口交番のグリーン大通りへの移転に伴い、その跡施設を治安機能を兼ね備えた観光案内スポットにするための構想を策定するなど、観光協会や区内大学などと連携した施策を展開してまいります。


 次に、地域経済に関わる重要施策でありますが、おばあちゃんの原宿として全国的にも人気の高い巣鴨地蔵通りも、来街者が多い割には大型バスの駐車場が少ないという状況があります。また一方で、大塚駅周辺では南北自由通路開通への動きが具体化してきておりますが、この機を捉えて、巣鴨・大塚地区において国の中心市街地整備事業を活用し、基本計画づくりを行います。また、商店街活性化関連では、統一したイメージで店舗外装を整備する、魅力あるレストラン・ブティックなどを誘致する、商店街にコミュニティ施設を整備するなどの取組みに支援を行うなど、商店街振興にはきめ細かく対応してまいります。さらに、公衆浴場における健康づくりモデル事業などの研究にも力を入れてまいります。


 次に、都市整備関係でありますが、平成十六年度には、東池袋再開発事業の第二地区分が都市基盤整備公団の施行により本格稼働いたします。第一地区は既に工事に着手する段階でありまして、幾多の難関をまさに地権者が中心となって乗り切ってここまで到達することができたということは、私にとってもひとしおの感慨があります。このほか、東長崎駅周辺整備、大塚駅南北自由通路整備、東武北池袋駅エレベーター等設置に取り組むほか、施設規模の大きさや利用度の高さから多額の改修費用が予想される、都から移管されたグリーン大通りや要町バス通り及び池袋西口広場等改修のため、新たに道路整備基金を創設することにいたしました。また、地元の区民の皆さんにとっては長年の悲願でありました長崎道立体横断施設も、本年十二月には完成をいたします。さらに、居住環境総合整備事業では、東池袋四・五丁目地区においては防災道路の整備及び池袋本町地区においては整備計画の策定に入ります。


 次に、放置自転車対策ですが、現在導入を予定しております放置自転車等対策推進税の創設を契機に、放置自転車等対策緊急推進五カ年計画を策定いたしました。この計画では、駅前の放置自転車の数を、平成二十年度までにピークである平成十一年度の三分の一に当たる四千六百台程度にまで引き下げることを目標としております。これらの目標を実現するため、地域住民の皆さんや鉄道などの事業者、関係機関の代表をメンバーとする自転車等駐車対策協議会を設置いたします。また、約四百五十台収容の巣鴨駅南駐車場を平成十七年四月開設に向け最終年度の取組みを行うとともに、大塚駅南北自由通路の工事に合わせて、大塚駅駅前広場での建設について調査に入ります。新税への抵抗は予想されたとおりでありますが、豊島区が頑張ることにより、全国の自治体へ明るい展望を示してまいりたいと思います。


 次に、リサイクル・環境についてでありますが、豊島清掃事務所の新築工事が山場を迎え、平成十七年オープンへ向け工事が進められつつあります。このほか、環境家計簿を取り入れた草の根からの環境教育の推進、歩きたばこ防止の啓発シールの普及、不法投棄ごみマップに基づく不法投棄対策パトロールの実施、黒松類によるダイオキシン類調査等を新たに実施いたします。いわゆる平成十八年度問題と言われる清掃事業移管以来の残された課題を協議していくための期間が限られてまいりました。本区としても、毅然とした取組みを行っていけるよう、万全の体制を敷いてまいります。


 このほか、文書管理システムの導入・財務会計システム導入の検討、都区市町村電子自治体共同運営への参加による電子申請・電子調達・電子入札の導入など、情報化政策の推進を図る一方、児童館用務業務の一部委託、学童クラブ指導員の非常勤職員化の推進、小学校の給食調理業務の委託、図書受渡し業務の委託拡充など、平成十六年度も民間活力の活用を大胆に進めてまいります。


 最後に、平成十七年度以降の行財政改革の必要性とその進め方について申し上げます。


 この度、財政健全化計画四年間のまとめ及び今後五年間の財政収支見通しを発表させていただきましたが、いよいよ区財政も正念場にきたと感じております。確かにこの四年間で大変な苦労をして、人員削減、歳出抑制、歳入確保などにより大変な財政効果を生み出し、その結果、一定の財政健全化を達成し、さらに新規事業や投資的経費に一部充当することができました。しかしながら、結果として平成十六年度実質黒字を果たすことができませんでした。この結果を招来した最大の原因は、先程来申し上げておりますが、区財政が平成五年度以降年度間の財源調整機能を失っていることにあるものと考えております。短期間の財源不足をカバーし中期的な財政運営へのゆとりをもたらすはずの、いわゆる財政調整基金が払底してしまったことであります。この状態の到来が以前から予測されていたにもかかわらず、平成十六年度まで持ち越されてきたことについて、大いに反省が必要であると考えております。平成十七年度以降の行財政改革の最大の目標は、身の丈に合った財政構造への改革であります。その手法に奇抜な妙手はありません。民間でできるものは民間へ委ねること、二十三区平均を超えるサービスを抑制すること、区民の皆さんとの協働による自治体経営に転換すること、何よりも私を含め職員が一丸となって今まで以上に内部努力に努めること、これらの考え方をあらゆる分野で例外なく徹底すること以外にありません。


 そのため私は、平成十七年度以降の問題につきましても、既に手を打ちつつあります。その一つが新規職員採用ゼロであります。当面、平成十七・十八年度の二カ年度について、ゼロ採用を前提とした事業構築を検討させております。とりわけ平成十七年度採用数の通告日が三月中旬と定められております関係上、現在取り組んでいるわけでございます。また、自治法上の公の施設への指定管理者制度の適用についても、同じく一斉に取り組んでおりまして、民営化のスピード、公共施設の再構築のスピードを上げ、できる限り前倒ししてまいる予定であります。ただいま申し上げました取組み以外にも手掛けなければならないことはたくさんありますが、これらは当然にも現在検討中の新しい基本計画の基礎に関わる問題でありますので、この六月にも予定しております基本計画の素案の発表に合わせ、新たな改革プログラムとしてできる限り具体的に目標数値を示し、財政的裏付けを持った案をお示ししたいと考えております。


 平成十六年度までに実質黒字の財政健全化の目標は達成できませんでしたが、私は決して希望を失っておりません。中国の古典、史記に「時極まれば転ず」という言葉があります。一難去ってまた一難、五里霧中の中の荒海を進む豊島区でありますが、私は勇気を持って、現実から目を背けることなく、本当の姿を見極め、平成の大改革のスタートを切る決意であります。区民の皆さんに引き続きご苦労をお掛けする場面が増えるものと予想しておりますが、私自身が区政現場の最前線に赴き、直接区民の皆さんとお話し、ご理解、ご協力をお願いしていく考えであります。それだけに、今まで以上に区議会の皆様にもご理解、ご尽力を賜りますよう、心からお願い申し上げる次第であります。


 本日ご提案申し上げます案件は、条例二十六件、予算八件、ほか二件の合わせて三十六件であります。後程、日程に従いまして助役よりご説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜りますようお願い申し上げます。


 以上をもちまして、私の招集あいさつ並びに所信表明といたします。