本日、ここに平成19年第1回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝を申し上げます。
今定例会は、私にとりましても、また、議員の皆様におかれましても、任期満了を迎える前の節目の定例会であります。この4年間を振り返りますと、厳しく険しい道程の連続でありましたが、今やっと財政危機を克服することができ、明るい展望をつかみつつあるところであります。この間、区民の皆様のご理解を得ながら、かつてない改革を進めることができましたのも、区議会の皆様の絶大なるご協力があればこそであります。ここに改めまして、深く御礼を申し上げる次第でございます。
また、任期満了に臨み、今7人の議員の方々が、ご勇退の決意を表明されております。副島健議員、篠敵一議員、小倉秀雄議員、吉田明三議員、原田太吉議員、福原保子議員、そして池内晋三郎議員であります。私が申し上げるまでもなく、お一人お一人が、心から豊島区を愛され、地域の発展と区民の安寧のために、区政を支えてこられた方であります。また、昭和から平成へ、そして成長から成熟へと時代が大きく転換する中で、議会人として卓越した政治手腕と先見性を持ち、議会の舵取りをなされてきた方々であります。
今、お一人お一人が歩んでこられた足跡を振り返りますと、1つの時代を築き上げた、区政の歴史に名を残されたものばかりであり、誠に愛惜の念を禁じ得ません。長きにわたる区政へのご尽力に対しまして、深甚なる敬意を表するとともに、区民を代表し、衷心より感謝を申し上げる次第でございます。本当にありがとうございました。私といたしましても、ご勇退なさる方々の志を深く胸に刻み、4月の区長選挙に臨んでまいりたいと考えております。
それでは、今定例会の開会に当たりまして、区政に当たる、私の所信の一端を申し上げ、議員各位並びに区民の皆様のご理解とご協力を賜わりたいと存じます。
初めに、平成19年度の施政方針について申し上げます。
今年は、第2期の地方分権改革が新たな一歩を踏み出す年であります。昨年12月の地方分権改革推進法の可決・成立を受け、4月には地方分権改革推進委員会が設置され、次の世代に引き継ぐ国と地方の姿について、3年をかけた議論がスタートいたします。また、道州制の導入に向けた動きも本格化しつつあります。機関委任事務の廃止や三位一体の改革における3兆円規模の税源移譲が実現したことなど、分権改革は着実に前進してきましたが、地方公共団体の自主性・自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図るという改革の基本理念に照らせば、未完の分権改革にとどまると考えています。地方交付税制度や大都市制度、そして住民自治の充実に至るまで、様々な課題や障害を乗り越え、地方分権改革推進委員会における議論が大きな成果を生み出すものとなるよう、豊島区としても、全国市長会等を通じ、積極的に意見を表明してまいります。そして、今年は、特別区においても、再編を含めた都区のあり方検討についての論議がスタートする年でもあります。税財政制度や都区の事務配分を中心に、地方制度改革と東京の自治、そして特別区の区域等について議論するため、都区協議会の下に都区のあり方検討委員会を設置し、1月31日に初会合が開かれたところであります。
また、教育についても、新たな教育基本法の理念に基づき、改革を大きく前進させなければならない年でもあります。新たな基本法において、公共の精神を尊び、伝統と文化を尊重し、そして、我が国と郷土を愛する態度を養うことが謳われたことは、規範意識や道徳心の低下が指摘される中、大きな意義を感じています。また、教育やしつけを学校任せにする風潮に対して、すべての教育の出発点は家庭教育にあるとの明確な考え方を示したことも、極めて重要であると考えております。日本の未来を託す教育の重要性を、地域や家庭が自らの問題として受け止め、国レベルの改革と並行して、子どもと接する地域の学校現場から主体的な改革を進めていく必要があります。こうした意味から、教育委員会制度を含め、学校教育についても、今後、さらなる分権が必要であると考えております。
今、新たな分権改革のうねりが、静かに力強く巻き起ころうとしています。
21世紀は、真に自立した基礎的自治体が政策を競い合い、豊かな価値を創造し合うことで、日本全体の活力を生み出していく、まさに地域の時代であります。そして、地域の時代を築くには、他でもない地域からの取組みであります。私たち豊島区も、地域の将来と自らが進むべき道筋をしっかりと描き、新たな分権社会を築く原動力として、信念をもって力を尽くしてまいります。
豊島区は今、ようやく長いトンネルから抜け出ることができました。財源不足への対応に追われ続ける状況を克服し、やっと将来に目を向けることができるようになったのであります。そして、財政が好転しつつある今こそ、文化と品格を誇れる価値あるまちを目指し、未来を開くための改革を本格化すべきときであります。まちの品格とは、自らの歴史と文化を誇りに思い、明確なビジョンと信念を持って未来へ進もうとする姿勢そのものではないかと考えています。そして、揺るぎない姿勢をもって進む先に生み出される価値こそが、まちの文化であり、美しさであり、そして豊かなコミュニティと人材なのであります。
平成18年度は、新たな挑戦に向けて、揺るぎない足場を固める節目の年と位置付け、改革の総仕上げに取り組んでまいりましたが、来る平成19年度は、未来への改革を本格化させ、地域経営の確かな信頼を築く年と位置付け、区政を進めてまいります。
未来への改革は、未来戦略、行政改革、そして住民自治の3つを柱として、地域経営の信頼を高め、まちの品格をつくり上げていくための改革であります。未来戦略により、地域の持続可能な成長に対する信頼を高め、行政改革により自治体経営に対する信頼を高め、そして、住民自治の充実により、地域の力を活性化する取組みを進めてまいります。これから進める未来への改革の要となるのが、私の2期8年間にわたる改革の集大成として策定する未来戦略推進プラン2007であります。新たなプランは、財源不足の解消を目的とする計画ではなく、ビルド・アンド・スクラップの考え方に基づき、将来ビジョンの実現に向けて新たな施策や事業を進め、生み出していくための計画であります。また、このプランは、収支が均衡した4年間の財政フレームを踏まえ、財源の裏打ちを持った豊島区基本計画の実施計画でもあります。こうした計画を成し得たのは、かつての新生としま改革プランや財政健全化計画、そして続く、行財政改革プランにより、幾重にも積み重ねてきた改革の成果があればこそであります。プランの未来戦略では、文化と品格を誇れる価値あるまちの実現に向け、文化、健康、都市再生、そして環境の各政策について、10年後のビジョンと4年間の重点プロジェクトの展開を明らかにしています。これら4つの政策を、新たな活力を生むエンジンとして熱く回し続けることで、住みたいまち、訪れたいまちとしての評価と信頼を高めてまいります。そして、そこから生まれた活力を基に、財政基盤を強化することで、福祉、子育て、教育、そして安心・安全など、区民生活を支える質の高いサービスの向上を図ってまいります。
昨年、平成18年は、区の人口が大きく増加に転じました。昭和40年以降、初めて年間の人口増が3,000人を超え、3,481人の増加となったのであります。子どもの人口も494人の増加となりましたが、ゼロ歳から14歳の人口、いわゆる年少人口が増加に転じたのも、実に40年振りのことであります。こうした人口の増加傾向を踏まえ、未来戦略では、現在25万5,000人の人口を、4年後には27万人、10年後には28万人へと増加させる目標を設定いたしました。しかし、その一方で、我が国全体が人口減少社会、超高齢社会に入りつつある今、区の人口も、10年後をピークとして、減少に転ずることも予想されています。今後4年間の取組みが10年先の将来を大きく左右することは間違いありません。財政危機を克服した今こそ、こうした将来展望を踏まえ、真に効果的な政策を、大胆な発想をもってつくり上げていくときであります。未来戦略の4つの政策はもちろん、福祉や教育、そして施設再構築に至るまで、地域の特性や資源を最大限に活かした政策形成に向け、全庁を挙げて取り組んでまいります。
次に、行政改革については、揺るぎない自治体経営の信頼を確立することを目標として、引き続き取り組んでまいります。健全な財務体質を回復し、効率的なサービス提供体制を構築することは、経営への信頼を高める重要な要素であり、これからもプランに基づき、財政健全化や総人件費の抑制、民間との協働を初め、体質改善に向けた改革を継続してまいります。
これまでの改革により、財政の弾力性を示す経常収支比率は、平成11年度の、危険水域100%に近い98.5%から、平成17年度には77.8%まで改善いたしました。借入金と基金についても、大きく改善の道筋をつけることができました。平成11年度来には872億円にもなっていた借入金総額については、平成19年度末には606億円に、そして4年後の平成22年度末には452億円まで減少させる見込みであります。また、基金総額については、平成11年度末に36億円だったものを、平成22年度末には137億円まで増加させたいと考えております。借入金総額から基金総額を差し引いた区民一人当たりの純債務は、平成11年度当時、23区で最も大きい33万6.000円でありましたが、この間の取組みによりまして、平成19年度未には17万2,000円に、そして、さらに平成22年度末には11万7,000円まで低下することになります。公共施設関連経費についても、施設再構築や民営化、指定管理者制度の活用等により、平成17年度1年間で約12億円の削減を達成をしております。さらに、職員数についても、平成11年の2,779人から464人減少し、今年4月には2,315人となる見込みであります。今後とも、平成22年度に2,000大体制という目標の実現に向けて努力してまいります。なお、地方自治法の改正に伴う組織改正として、トップマネジメント機能の強化を図るため、新年度から、助役の職を副区長に改め、定数を定めます。また、収入役を廃止し、新たに一般職の会計管理者を置くとともに、その補助組織として会計管理室を設置いたします。
そして、もう1つ、自治体経営にとって、社会的信頼を揺るがすことのない内部統制の仕組みを確立することも重要な取組みであります。地方自治体における、公共調達に関する不祥事、飲酒運転や個人情報の漏洩など、公務員による事件・事故は、依然として後を絶ちません。自治体の評価は地域の評価に直結するものであり、行政組織の信頼失墜はそのまま地域の信頼を大きく損なう結果につながるわけであります。自治体に対する住民からの信頼なくして、さらなる分権改革や都区制度改革を成し得るはずがありません。自ら襟を正し、高い規範意識で倫理観を醸成しなければなりません。
また、透明性の向上は、行政組織の品格を形づくる基本であります。今後、さらに民間とのパートナーシップによるサービス提供を広げていくためにも、不正や事故を未然に防ぐための危機管理の強化と、内部統制の仕組みづくりに取り組んでまいります。そして、住民自治を充実させていくことも、自己決定・自己責任という文脈の中で、基礎的自治体として、地域特性を踏まえ、自らの手で取り組まなければならないテーマであります。
地域の時代とも言うべき今後の分権型社会、そして少子高齢社会にあって、個性豊かな地域社会を実現し、持続的な発展を成し遂げていこうとするとき、最も大切なことは、郷土を愛する人々に支えられた地域力であります。そして、その土台となるのは、他でもない、地域の課題を自らの問題として受け止める人々の活動、そして共に支え合うコミュニティの存在であります。区では、これまでも様々な形で、町会の皆様を初め、大学、NPO、企業など、多様な主体との間で、参加と協働に基づく政策づくりや事業展開に取り組んでまいりました。それらをよりわかりやすく、そして一層広げていくために、改めて参加と協働に関する基本施策の全体像を構築する必要があると考えております。
そのため、この2月に、自治の推進に関する基本条例に基づく附属機関として、20人の委員からなる自治推進委員会を設置し、来年度から本格的な議論をスタートいたします。地域活動の活性化、コミュニティ、政策形成への区民参加、そして地域における協議会のあり方など、議論すべきテーマは多岐に渡っておりますけれども、約2年を審議期間として、広く区民を巻き込んだ議論をお願いしたいと思います。
この他、平成19年度における、協働・コミュニティ関連の事業展開といたしましては、地域区民ひろばを新たに6地区で展開するとともに、地域活動やNPO活動など、非営利活動との協働や業務委託等を推進するため、協働推進ガイドラインを策定いたします。また、町会活動と区政とのパートナーシップの構築に向け、区政情報の地域広報活動について、3月を目途に、町会連合会との間で協働協定を締結をいたします。そして、区のホームページに町会活動を紹介するコーナーを設けるとともに、町会連合会が作成したパンフレットを転入の窓口等で配布するなど、町会への加入促進活動を支援してまいります。
大学との協働では、団塊の世代の地域デビューにもスポットを当てた、生涯学習と人材育成の場として、区内大学との連携の下、仮称、としまコミュニティ大学を創設をいたします。
次に、平成19年度予算案について申し上げます。
平成19年度の一般会計予算の規模は、894億5,400万円であり、前年度当初に比べまして33億2,200万円の増、3.9%のプラスとなっております。これまで8年間連続して、前年度を下回る予算となってきておりましたが、平成10年度以降、実に9年振りの積極予算となるものであります。
一方、国民健康保険事業会計など、4特別会計の総額は、前年度当初より28億3,900万円の増となる612億900万円であり、一般会計と合わせた財政規模は、過去最大規模の1,506億6,300万円となります。特別会計の増には、高齢化の伸展に伴う医療や介護給付費の増大に加え、平成20年度から発足する後期高齢者医療制度の準備経費などが含まれております。しかし一方で、特定財源の増加も見込まれますので、一般会計からの繰出金総額については85億4,000万円にとどまり、制度改正に伴う電算開発経費等を除きますと、ほぼ前年度並みとなります。
次に、一般会計の特徴について申し上げます。
初めに、歳入ですが、特別区税は、対前年度比5.1%、13億8,300万円の増となっています。これは、特別区民税について定率減税の廃止、課税人口の増加などを見込んだものであります。財政調整交付金につきましては、国の三位一体改革による影響を踏まえ、特別区の配分率がこれまでの52%から55%に変更されたことを反映し、大幅な増収を見込みまして、対前年度比7.3%、20億円の増となる294億円を計上しております。また、特別区債は、22億5,300万円の増となる35億1,100万円となりますが、これは新中央図書館の床取得に伴う一時的な増加であり、今後も引き続き、起債を抑制する方針に変わりはございません。
次に、歳出の特徴でありますが、経費別では、人件費と投資的経費が減少する一方で、事業費が大幅な増加となっております。人件費の総額は236億5.900万円であり、対前年度比0.6%、1億3,300万円の減となりますが、退職手当の増加分を除きますと2.6%、5億5,800万円の減となります。また、投資的経費は、総額124億5,300万円であり、平成18年度とほぼ同水準でございます。事業費の総額は533億4,200万円であり、対前年度比7.0%、34億9,900万円の増となりました。これは、一般財源歳入の増加を見込み、新規・拡充事業に積極的に対応したことによるものであります。
以上のような平成19年度予算案の特徴を総じて申し上げますと、予算規模は33億円の拡大となりましたが、前年度に続き2年連続で、財源不足の補填を目的とした土地の売却、基金の取崩し、繰越金の計上など、特別な財源対策を一切講じない、堅実な予算となっております。
次に、予算案に関連いたしまして、平成19年度都区財政調整協議の結果について申し上げます。
今回の協議では、前年度の主要5課題に関する協議結果を踏まえ、役割分担と財源配分をめぐる今後の都区のあり方の検討と、三位一体改革の影響による配分率の変更を主要なテーマとして協議を進めてまいりました。三位一体改革の影響を踏まえた配分率の変更につきましては、熾烈な協議が年明けまで続き、大変、難航いたしました。当初、区長会としては、23区の影響の総額を777億円と算定し、配分率は少なくとも55%を下回らないと主張いたしましたが、東京都は54%で足りると主張し、双方の考え方には大きな隔たりがありました。その後、23区の議長会が緊急決議に基づき、都議会への要請行動を行ったことも功を奏し、東京都もようやく妥協する姿勢を示したのであります。結果として、23区の配分率は3%上乗せとなりましたが、そのうちの1%については、東京都の単独補助と振り替える形で決着いたしました。また、特別交付金も5%に拡大し、その中で大きく減収となる港区、渋谷区に対して、臨時的な救済措置を講ずることになりました。55%を勝ち取ることができたことは、今後の財政運営を考えれば大きな前進ではありますが、補助金の振替えとなった1%については、誠に残念な結果であります。
しかしながら、東京都の補助制度に頼ることなく、一般財源をもって行政サービスを展開していくことは、自立した区政運営にとって極めて重要なことでもあり、私としては、今回の決着を前向きに受け止めたいと考えております。
次に、平成19年度における7つの重点政策について申し上げます。
新年度予算における新規・拡充事業の規模は、156事業、25億5,000万円であり、その内訳は、一般事業が129事業、20億6,000万円、施設建設事業が27事業、4億9,000万円であります。このうち一般事業の新規・拡充経費につきましては、過去4年間、7億円から10億円程度に抑えてまいりましたが、改革の成果と歳入の状況を踏まえ、昨年度の6億9,000万円を大きく上回る規模を計上しております。
初めに、区民生活を支える保健福祉、そして健康政策について申し上げます。
介護保険や医療保険、そして障害者自立支援など、国の社会保障制度が変革期にある今、保健福祉をめぐる状況は大きく変化しています。こうした制度の変更による区民負担の軽減を図るため、介護用特殊寝台の購入費助成等を実施するとともに、障害者のホームヘルプサービスの1割負担を3%に、施設利用者の食費を約半額に、さらに地域生活支援事業の利用料も原則無料とするなど、対応策を実施してまいりました。また、寝たきり高齢者に対する紙おむつ支給や、心身障害者へのタクシー券など、真に必要と認められるニーズについては、見直しに対する復元的な措置をとったところであります。今後も、地域や在宅での自立した生活が続けられるよう、サービス水準と事業安定性の両面から保健福祉施策を構築し、区民の安心を支える施策を展開してまいります。
まず、高齢者対策としては、高齢者虐待への対応を強化いたします。専門家からなる対策会議を設置し、迅速な対応を図るとともに、医療的な措置も可能な避難場所を確保いたします。また、高齢者からの困りごとを気軽に相談できる、おとしよりホッと相談を設置するとともに、電球の交換やたんすの移動など、ひとり暮らし高齢者等のちょっとした困りごとを援助する事業をスタートいたします。この他、高齢者の見守り活動を行う高齢者クラブへの助成や、シルバー人材センターへの補助拡充など、地域の力と協働した自立支援策を進めます。
障害者の自立支援については、就労の場の確保に取り組みます。新年度は、これまでの公園清掃委託を、現在の4カ所から22カ所に拡大するとともに、授産施設の活性化に向け、区内施設の相互交流を深め、魅力ある生産品の共同開発や包装紙の統一、共同販売等に取り組んでまいります。地域密着型サービスの基盤整備については、今年度、民間事業者を誘致した、夜間対応型訪問介護サービスが2月からスタートするとともに、認知症高齢者グループホームと小規模多機能型介護施設を併せて3カ所、来年度中に整備できる見込みでございます。また、旧第八出張所跡地では、知的障害者グループホーム及び高齢者のデイサービス事業所等が、4月にオープンする予定であります。来年度についても、さらに積極的に民間事業者の誘致を図り、福祉基盤の整備を進めてまいります。
我が国の疾病構造が大きく変化する中で、生活習慣病やメタボリック・シンドローム対策は、医療費の適正化のみならず、健康寿命延伸の視点からも重要な課題であります。来年度の健康政策では、まず、区民の健全な食生活を取り戻すことを第一に考え、食育推進プランの策定に着手するとともに、食の安全に関する普及啓発に取り組みます。昨年度スタートした、としま健康づくり大学については、受講者を50名から90名に増やすとともに、区民ひろばなど、地域の中で卒業生の皆様にご活躍いただける場を設定してまいります。また、平日準夜の小児救急診療と調剤業務を行う施設を新たに確保するため、医師会や医療機関との協議を進めるとともに、母子保健と子育て支援の両面からの対策として、妊産婦健康診査の助成を拡充いたします。なお、昨年12月から、池袋保健所の1階に池袋休日調剤薬局、通称、あうる薬局を開設いたしました。初めの1カ月で約300件の処方箋受付があり、順調な滑り出しとなっております。
次に、子ども・子育てに関する施策について申し上げます。
核家族化や近隣関係の希薄化、就業構造の変化などを背景として、育児不安から児童虐待やいじめの問題に至るまで、子育てをめぐる問題は深刻の度合いを深めております。このような状況を踏まえ、親の就労状況にかかわらず、すべての子どもと家庭を対象とした、総合的な支援体制を築いていく必要があります。
来年度は、まず、子どもの医療費助成の助成対象と内容を大きく拡充いたします。これまでの入院に加え、4月からは通院の助成を小学校6年生まで広げ、さらに10月以降は、入院・通院ともに、中学校3年生まで対象を拡大をしてまいります。これにより、本区の助成水準は、23区の中でもほぼトップレベルとなります。
今年度から始めた育児支援家庭訪問事業についても、出産日から1年以内としていた訪問対象を2年以内に広げるなど、子育ての経済的・精神的負担の軽減を図り、より効果的な支援策を進めてまいります。
また、虐待やいじめ等の問題に迅速に対応するため、東部子ども家庭支援センターにおける相談体制を充実するとともに、児童相談所や警察等との連携による虐待防止ネットワークをさらに強化することで、子どもの権利侵害全般に対する専門的な相談機能を向上させます。
子どもスキップにつきましては、平成18年度の10小学校区に、駒込、池袋第三の2校を加え、12校で展開いたします。残る小学校区についても、今後、早期の実施が可能となるよう、区立小中学校の改築を含めた公共施設再構築を検討する中で、必要となるスペースを確保するよう努力してまいります。地域子ども教室との連携を図った豊島区独自の取組みは、全国から注目されており、昨年に続き、今年に入ってからも、全国各地から視察が相次いでいるところであります。そして、子どもスキップの展開に合わせ、中高生等の居場所、活動・交流の場として、区内2カ所に中高生センターを整備いたします。平成19年度については、東池袋児童館の一部を転用し、ジャンプ東池袋を開設するとともに、平成20年度には、西部地区の施設を整備いたします。
区立保育所の民営化につきましては、昨年4月から、南池袋保育園を同援さくら保育園として民営化し、駒込第三保育園の委託化を実施いたしました。移行に当たりましては、保護者の皆様に十分ご説明し、ご理解をいただきながら慎重に進めてまいりました。現在では、保護者の皆様から、保育内容について満足しているとのご評価もいただいております。今年4月には新たに、雑司が谷保育園の委託化を行います。また、今後も、平成20年度に1園、21年度に3園の民営化等を計画しておりますが、これまでに増して、保護者の皆様の安心に気を配り、ご理解をいたたきながら取り組んでまいりたいと思っております。また、来年度からは、これまで総務部で担当しておりました私立幼稚園に関する事務を子ども家庭部に移し、子育て支援に関するワンストップサービスを拡充したところであります。
3番目は、学校教育についてであります。
現在、本区の学校の実態を踏まえ、3月に向けて豊島区教育ビジョンの策定を進めております。ビジョンでは、知識と教養を身に付けることはもとより、自ら学び、考えたことを豊かに表現できる、思いやりのある心豊かな、そして、健康でたくましく生きる子どもの育成を目指し、本区の学校教育における中期的な展望や施策を示したいと考えております。明日を担う人材を育てる、魅力ある教育や生涯学習の基盤を地域の中に築くことも、また、都市の品格に通ずることであります。来年度は、この教育ビジョンに基づき、学校教育をより豊かに、魅力あるものとするための取組みを進めてまいります。
現在、小学校3年生以上で実施している英語活動を小学校全学年に拡大するとともに、1年生から6年生まで総計110時間、外国語指導助手を派遣いたします。指導に当たっては、中学校英語との接続性を考慮した、区独自のカリキュラムを用い、実践的なコミュニケーションの力を育成いたします。
また、プロポーザル制度により、特色ある学校づくりをさらに拡充するとともに、補充学習が必要な中学1、2年生の希望者を対象として、進級に向けた不安を解消するための、土曜補習、としまアカデミーを開設いたします。
昨年の自殺予告の手紙を契機とするいじめ問題への対応については、早期発見、早期対応を一層推進するため、日常的に学校を巡回し相談を行う、いじめ対策相談員を新設するとともに、引き続き電話相談を午後7時まで開設いたします。
本格実施となる特別支援教育については、小学校2校でのモデル実施の成果を踏まえ、医師による巡回相談や施設整備を行うとともに、千早小学校に情緒障害通級指導学級を新設いたします。また、子どもスキップを実施する小学校12校を対象として、放課後や週末に、学習や遊び、スポーツ・文化活動の場を提供する、放課後子ども教室を展開いたします。老朽化が進む区立学校の改築問題についても、財源を含め、非常に大きな課題であります。来年度は、西池袋中学校の改築を含めまして、今後10年間における全体の改築計画について、さらに検討を進めてまいります。
4番目として、防災対策、そして、治安と危機管理について申し上げます。
まず、防災対策でありますが、来年度は、地域防災計画の抜本的な見直しに着手いたします。首都直下地震の発生の逼迫性が指摘される中、昨年、東京都による被害想定が公表されました。それによれば、マグニチュード6.9の直下地震が起きた場合、本区では、建物の全壊500棟以上、死者30人、負傷者1,777人の被害発生が想定されています。未来戦略では、人口増加に伴い、今後、日本で一番人口密度の高い都市となることを想定し、高密でも安心快適なまちづくりを目標として掲げています。住みたいまちとなるためにも、災害に対する安全確保は重要課題であります。
今年で12年目を迎える阪神・淡路大震災、そして、その後の各地で発生した地震災害等による教訓を踏まえ、高密都市に相応しい防災計画のあり方を検討してまいります。また、高齢者や障害者など、いわゆる災害要援護者対策にも取り組みます。昨年度は、福祉部門の個人情報を防災課で集約する共有方式名簿を作成し、先進的な事例として、全国的に注目を集めたところでありますが、今後はさらに、平時から地域防災組織や消防署等と情報共有ができる手挙げ方式名簿の作成や、要援護者一人一人に対応した避難支援プランの作成に向けた検討を進めます。さらに、老朽化が進んでいる戸別受信機の更新を2年計画で進めてまいります。新型受信機は、無線情報の着信性能が非常に高く、また、文字情報にも対応しているため、更新により、情報連絡態勢は一段と充実するものと考えております。
治安対策につきましては、これまでの安全安心パトロールを、午後9時まで、3時間延長するとともに、小中学校や保育園、ひったくり発生地点のような要所においては、新たに立哨警備を実施いたします。パトロールのように移動しながら警戒に当たるだけではなく、一定時間その場にとどまり、行き交う人々と会話を交わすことで、パトロールの効果を一層高めるとともに、安心感の向上、そして防犯意識の向上に努めてまいります。なお、現在、区内4カ所の交番の見直しに伴う代替措置として、地域安全センターの設置が警視庁において検討されています。立哨警備の実施に当たっては、このセンターとの連携を含め、警察と十分な情報交換を図りながら展開してまいります。危機管理については。区政への揺るぎない信頼を確立していくため、組織の法令遵守についても徹底を図ります。区ではこれまでも、職員倫理規定や不当要求防止責任者の設置に取り組んでまいりましたが、確固たる区の姿勢を示すためにも、条例化も含め、職員の法令遵守について、幅広い観点で検討を進めてまいります。
今、新型インフルエンザの危険性が高まり、その発生に対する危機管理が緊急の課題となっております。新型インフルエンザは、これまでのインフルエンザとは全く異なるものであり、一度発生し、流行すれば、社会機能の破綻を招きかねない深刻な問題であります。既に2月1日、助役を議長とする全庁的な対策会議を立ち上げ、感染リスクを最小限にとどめる行動計画について、検討を指示したところであります。今後、正確な知識と情報を広く区民に伝えるとともに、3月未を目途として、区民の健康被害の阻止に向けた行動指針を明らかにしてまいります。
5つ目は、環境政策についての取組みであります。
地球温暖化やヒートアイランド現象など、世界的な環境危機への懸念が共有され、環境に配慮したライフスタイルへの転換等を通じ、持続可能性のある社会の実現が強く求められております。また、今後も多くの人々をひきつける街であるために、環境と経済発展の調和を念頭に、美しく快適な都市環境を実現していくことも重要性を増しております。このため、未来戦略に位置付ける環境政策を、国や東京都との施策の連携を強めながら着実に推進することで、環境に配慮する都市としての揺るぎない信頼と品格をつくり上げてまいります。
環境政策における、来年度の最重要課題は、新たな資源回収事業の構築であり、平成20年度からの廃プラスチック・サーマルリサイクルへの移行に備え、モデル事業を実施いたします。これまでの8品目12分別という先進的な資源回収システムを充実し、現行週1回となっている資源回収日を週2回に倍増し、同時に収集内容も不燃系資源、可燃系資源とわかりやすくすることで、ごみの増加抑制と資源回収の増加が見込めると考えております。なお、モデル事業は、7月から区内3%の地域で、10月からは10%の地域で順次実施し、平成20年10月からは、区内全域で本格実施に移行する計画であります。
プラスチック類のリサイクルは、レジ袋の有料化問題に見られるように、住民、事業者、行政の役割分担やコスト負担など、我が国全体の課題であります。また、約40年振りにごみの分別基準を大幅に変更することは、ごみの組成や排出量、不燃ごみ処理体制だけでなく、関係事業者に対しても大きな影響を及ぼすものであります。こうした点を踏まえ、本区独自の取組みと並行して、23区相互間で十分連携を図りながら進めてまいります。
この他、平成19年度の新規事業として、家庭用高効率エネルギー機器の導入支援や、エコライフ情報誌の発行に取り組むとともに、レジ袋の削減とマイバッグ利用の促進、使い捨て容器の利用抑制など、さらなるごみの減量や環境配慮行動の浸透を目指して事業を展開いたします。
環境美化事業については、としま喫煙マナー、ごみゼロデー運動などを実施し、歩行喫煙率の低下を実現するなど、一定の成果を上げてまいりました。今後は、都市整備事業などとの連携をさらに深めるとともに、としま喫煙マナー推進事業を大幅に拡充して展開することにより、特に池袋駅周辺における路上分煙を徹底し、美しく品格ある環境づくりを進めます。
緑化推進につきましては、新たにみどりの基金を設置し、原資を1億円積み立てるとともに、癌研跡地の上池袋一丁目防災公園や高田小学校跡地の近隣公園の整備を進めます。また、ヒートアイランド対策も視野に入れながら、公園、施設、そして街路樹などのみどりを、ネットワークとして効果的につなぎ合わせる取組みを進めてまいります。
6番目は、都市再生であります。
去る1月30日に、20年もの歳月を要した、東池袋四丁目第一地区の再開発事業が竣工いたしました。地権者を初め、多くの関係者のご苦労、ご努力、そして議会のご理解の上に、品格ある素晴らしい街が誕生いたしました。改めて感謝を申し上げます。この再開発を初め、池袋副都心を取り巻く主要な都市計画道路の完成が視野に入ってきており、私か目指す副都心再生の骨格がようやくイメージできるようになってまいりました。新宿・渋谷方面に延伸される地下鉄13号線の名称も、副都心線に決まり、平成20年6月の開業まで、あと1年4カ月であります。昨日もトンネル視察を地元の方々と一緒にしてまいりました。今こそ、未来戦略を加速し、文化や賑わい、景観はもちろん、人への優しさをコンセプトとして、他の副都心にはない価値と個性をつくり上げていかなければならないと考えております。
新年度は、ユニバーサルデザインに基づく池袋駅の改良や東西連絡機能の向上、人に優しい、ゆったりとした駅前空間づくりに向け、国の都市再生交通拠点整備事業を活用して、総合的な調査、検討に着手いたします。また、環状5の1号線や環状6号線、補助172、173号線、そして補助81号線の整備を踏まえ、副都心全体の都市交通ビジョンを策定いたします。さらに、西口駅前広場の改修についても、平成21年度の完成に向け、実施設計を行います。
また、風格ある商業・オフィス街の形成に向け、池袋副都心の商業業務エリア全体に地区計画を広げるとともに、東池袋四丁目第二地区の再開発事業や、南池袋二丁目地区の街区再編街づくりを進めます。新庁舎整備や現本庁舎の跡地活用についても、本格的な調査・検討を実施いたします。そして、住みたいまちとしての評価を高め、区内各地域の活性化を図っていくためには、その玄関口ともなる鉄道駅を中心とした街づくりに取り組むことが重要であります。これまでも東長崎駅や大塚駅の整備を積極的に進めてまいりましたが、その結果、東長崎駅については、平成19年度中に主要部分が完了する見込みであります。大塚駅については、平成21年度の完了を目指して順調に工事が進んでおり、南口地下に計画する駐輪場も、平成23年度の開設に向け、来年度は設計に入ります。椎名町駅についても、早期の事業化に向け調査、検討に着手いたします。
また、まちづくりの基本は道づくりであり、街並み景観を含めた、心地よい道路空間の整備は、街の品格を形づくる重要な要素であると考えております。平成19年度は、帝京平成大学の進出に合わせ、学園通りの整備に着工するとともに、目白ブランドの一環として、学習院椿の坂の電柱地中化や、ライトの小径のカラー舗装化に向けた調査・設計を行います。また、区道のバリアフリー化を進めるとともに、放置自転車のない道とするため、自転車駐輪場についても計画的に整備を進めてまいります。
7番目として、商工振興を含め、文化政策について申し上げます。
今年は、新たな文化政策のシンボルとして、豊島区初の創造発信型文化施設として、舞台芸術交流センター、あうるすぽっとがオープンいたします。300人規模としては、都内有数の奥行きのある広い舞台を持つ施設であり、一流のアーティストのニーズに応える最新鋭の舞台照明、音響設備を備えております。新中央図書館とともに、文化芸術の創造と情報発信の拠点と位置付け、政策相互間の横断的な連携を深めながら、また、広く芸術文化団体や大学、企業等との協働を進めながら文化政策を展開してまいります。なお、新中央図書館の開設に伴い、地域図書館6館についても、祝日開館を実施するとともに、地域に根ざした図書資料の収集・展示機能の向上に努めてまいります。
また、現在、熊谷守一美術館を豊島区初の区立美術館とすべく、協議を進めております。池袋モンパルナスを代表する画家、熊谷守一氏の作品を、豊島区が誇る文化資源として継承していくため、熊谷氏の作品153点の寄贈を受け、今年12月を目途に、区立美術館としてスタートする予定であります。
3月15日から開催される新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館も、今年で2回目を迎えます。今回は、池袋モンパルナスの名付け親である小熊秀雄の作品展示も加わり、さらに魅力的なイベントとなります。
そして、文化を担う人材の育成にも力を入れて取り組みます。新たに文化ボランティア育成事業や、子どものための文化体験プログラム等を実施し、地域の文化活動のリーダーとなる人材やサポーターの養成に取り組みます。文化によるまちづくりについては、引き続き、目白と駒込において、地域ブランド創出支援事業を実施するとともに、都市型観光ブランド事業として、地場産業である伝統工芸の工房を中心とした観光ルートを整備し、マップの作成や案内板の設置を行います。
さらに、産業振興の新たな試みとして、としまものづくりメッセを開催いたします。これは、区内製造業の技術力を内外にアピールし、新たなビジネスチャンスを広げることを目的とした、いわば産業見本市であります。この他、巣鴨・大塚地区のTMO構想の実現に向け、巣鴨駅前商店街におけるアーケードのソーラーパネル化等を助成するとともに、門前町として全国に名を馳せる巣鴨地蔵通り商店街のさらなる活性化に向け、観光資源の活用手法やインフラ整備に関する調査研究を支援いたします。また、信用保証制度の変更に対応した制度融資の拡充や、事業再生特別融資の創設など、中小企業に対する制度融資の充実に取り組みます。
スポーツ施策につきましては、将来の体育施設全体のあり方を明確にしつつ、豊島体育館の改修や、長崎中学校跡地における西部スポーツセンターの事業手法の検討に着手いたします。
現在、国や東京都では、平成25年の東京国体、平成28年の東京オリンピック開催を目指し、競技力の向上をスポーツ施策の重要テーマとして位置付け、ジュニア層の育成に力を入れております。本区におきましても、豊島区体育協会との連携を図りながら、ジュニア育成事業に積極的に取り組んでまいります。
最後に、新庁舎整備について申し上げます。
私は、平成17年第3回定例会の招集あいさつにおいて、初めて老朽化が進む庁舎や公会堂の建替問題に正面から取り組み、今後の新庁舎整備の方向性を明らかにする決意を申し述べました。それから約1年4カ月の間、区議会、そして区民の皆様からご意見をいただき、検討を重ね、候補地を現庁舎地区と旧日出小地区の2カ所に絞り、それぞれの地区における整備手法等について、調査研究を進めてまいりました。昨年12月末までには、各候補地における整備方針を明らかにしたいと考え、私にでき得る限りの努力を続けてまいりましたが、候補地の1つであります旧日出小地区について、計画立案の基本となる再開発の区域取りが定まらなかったことから、現庁舎地区と比較検討するための整備方針の策定が遅れております。新庁舎の整備は、百年の計をもって取り組むべき重要課題であります。当初お示しした案では、一部区域外とした敷地がありますが、この敷地を取り込むことができれば、より効果的な庁舎整備が可能となるだけでなく、さらに美しい街並み景観を生み出すことにつながります。現在も、この敷地を組み入れ、街区の一体化を図るべく、関係地権者との間で精力的に話し合いを続けているところであります。新庁舎のプロジェクトを、副都心再生の起爆剤とし、品格ある街並みをつくり上げていくためにも、もう少し時間をいただきまして、最大限の努力を続けたいと考えております。しかしながら、新庁舎整備と跡地活用は、副都心再生にとって、遅らせることなく進めるべきプロジェクトでもあります。また、再開発事業は、他の地権者との共同で行う事業でもありますので、できるだけ早く開発区域についての結論を出し、平成19年度中には、市街地再開発事業の都市計画決定に、こぎ着けたいと考えております。
冒頭でも申し上げましたが、今定例会は、任期満了を迎える前の節目の議会となります。皆さんとともに歩んできた今期4年間、苦しいことの連続でありますが、未来戦略推進プラン、そして平成19年度予算案に象徴されるように、明るい展望をもって、この第1回定例会に臨むことができましたのも、区議会のご理解とご協力の上に進めてきた改革の成果であり、重ねて御礼を申し上げる次第であります。また、今期をもってご勇退される議員の皆様におかれましては、これまでの区政に対する数々のご尽力に対しまして、改めて深く感謝を申し上げる次第でございます。どうぞこれからも、慧眼をもってご指導を賜わりますよう、お願い申し上げる次第でございます。
8世紀の唐の詩人である王維が、旅立つ友人との別れに当たって詠んだ詩、送別の中で、「但去れ復問うこと莫からん白雲尽きる時なし」と呼びかけたように、例え立場が変わり、それぞれの道を進もうとも、私たちの行く手には、希望の象徴である白雲とともに、豊島区を思いやる心が湧き続けているものと確信しております。そして、区政もまた、新たな出発の時を迎えようとしております。困難な改革に取り組む中で、私たちは、かけがえのない教訓とともに、変革を成し得たことによる自信を得ることができたのであります。今こそ、紺碧の空に湧き上がる白雲のような志を胸に、力強く新たな第一歩を踏み出す時であります。私を先頭に、職員が一丸となって、再びチャレンジ精神を呼び起こし、自信をもって未来への改革を進めてまいります。議員各位におかれましても、豊島区のさらなる発展に向け、取り組むべき政策や改革につきまして、大所高所からのご提言を賜わりたくお願い申し上げる次第であります。
本日、ご提案申し上げる案件は、条例25件、予算9件、その他4件、合わせて38件であります。各案件につきましては、後程、日程に従いまして、助役よりご説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜わりますようお願い申し上げます。
以上をもちまして、私の招集あいさつ及び所信表明といたします。