本日、ここに平成20年第4回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜りまして深く感謝申し上げます。
豊島区は人口を初め、都市機能や建築物、そして情報や交流など、様々な意味で高密であることが活力の源となっている都市であります。そしてこの11月、区の人口は26万907人となり、その密度もヘクタール当たり200.5人となって中野区をわずかに上回り、ついに日本一の人口密度を持つ都市となりました。帝京平成大学の誘致や副都心線の開業等により、池袋駅周辺の昼間人口や来街者も増加しつつあります。一方、高密であるが故の課題もあるわけでございまして、区民や来街者の安心・安全、環境、オープンスペースや緑化などに一層力を入れて取り組み、高密都市であることが誇れるような姿を創り上げてまいりたいと思います。
それでは、まず初めに、高密都市における信頼の基盤である安心・安全のまちづくりについて申し上げます。
区ではこれまで、警察署や消防署との協力関係を強化し、地域の皆様と力を合わせることで、治安対策に大きな実績を積み重ねてまいりました。そして今回は、昨年12月の不当要求拒否宣言大会に続き、生活安全条例を改正し、暴力団対策についてさらに踏み込んだ対策を進めたいと考えています。昨年の長崎市長のけん銃殺人事件や、佐賀県での入院患者射殺事件など、最近の暴力団員等による一般市民への凶悪犯罪には目に余るものがあります。また、先週発生した元厚生次官宅襲撃事件も、まだその背景は明らかになっていませんが、社会として決して許してはならない凶悪な暴力犯罪であります。こうしたことから、今年5月、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律が改正され、入札参加や許認可の強要を含め、地方公共団体の責務として暴力排除が定められたところであります。池袋の繁華街においても、暴力団を背景に活動する、いわゆるフロント企業による違法行為の摘発が後を絶ちません。今定例会に提案した生活安全条例の改正案は、区、区民、事業者等それぞれの責務を定めるとともに、店舗・事務所・共同住宅等の所有者に対して、暴力団等の居住・使用を制限する責務を定めることを柱としております。暴力団排除に関する条例の制定は都内初、そして、共同住宅等の所有者にまで努力義務の規定を広げるのは、全国でも初めての内容であります。また、同条例に規定する区の責務に対応する具体策として、区が行うあらゆる調達契約等からの暴力団排除に向けた要綱を制定すべく、年度内の実施に向けて準備を進めているところであります。さらには、区が管理する公共住宅や公共施設における暴力団の利用制限についても、早急に検討を進め実施に移してまいりたいと考えております。豊島区は「日本一安心・安全なまち」を目指し、率先して暴力団対策を強化していく所存であり、改正後の「生活安全条例」については、平成21年1月1日からの施行を考えております。
そしてもう一つ、1日264万人が利用する巨大ターミナルである池袋駅周辺における災害時の混乱防止対策も重要な課題であります。駅周辺は建物の倒壊や大規模な火災という面からは比較的安全な地域ですが、膨大な滞留者の収容という面からはオープンスペースが少なく困難な課題を抱えている地域でもあります。首都直下地震が発生した場合、池袋駅では16万5,000人が滞留し、そのうち8万5,000人が帰宅困難者になることが予想されており、帰宅困難者の居場所やトイレ・飲料水の確保、大きな混乱を防止するための一斉帰宅の抑制など、数多くの課題を抱えております。来年1月の「池袋駅周辺混乱防止対策訓練」の実施に向け、東京都と協力して、鉄道事業者、隣接する百貨店、警察・消防などによる協議会を立ち上げ、今年6月から地震発生直後の混乱防止に関する「池袋ルール」を検討してまいりました。そして、このルールに基づき、来年1月23日には協議会を中心として池袋駅、隣接する百貨店、そしてサンシャインシティ周辺において1,000人規模の訓練を実施し、事業所ごとの初動対応や情報センターとなる連絡調整所における情報収集、計画的な時差帰宅のあり方などについて、対策の有効性や改善点について、検証を加える予定であります。買い物客の時差帰宅訓練を実施するのは、全国的にも初めての試みでありまして、安心して訪れることができる池袋駅を目指す、大きな第一歩になるものと考えております。
次に、子どもたちがつくる命の森・植樹祭について申し上げます。
緑は都市の安全、環境、景観を形づくるとともに、四季の移り変わりを伝え、心身への癒しをもたらすなど、私たちの命を守る存在でもあります。また、自らの手で木を植え、樹木と触れ合うことは、子どもたちに命の大切さを伝え、人としての成長を学ぶことにもつながります。さきの定例会でも申し上げましたが、私は環境都市づくりを進めていく上で、高密都市であればこそ、これまでとは一線を画すような、緑倍増に向けたプロジェクトに挑戦しなければならないと考えております。その第一弾として、新緑の美しい来春において、地域、学校、子どもが一体となった、「子どもたちによる命の森・植樹祭」を開催すべく、準備を進めているところであります。来春5月4日がみどりの日でありますが、植樹祭はそれに先立つ4月28日を中心として、子どもが木を植え、その成長を見守ることができる小中学校において、すべての児童・生徒による植樹を行うという、かつてない規模のプロジェクトであります。31校の小中学校には、平均で300人の児童・生徒が在籍しておりますので、一人一人が1本の植樹をすることで、全体では約1万本の規模となるわけであります。これまでに日本を代表する植物生態学者である宮脇昭氏からアドバイスをいただきながら、区立小中学校の視察・調査を行い、学校関係者のご理解・ご協力をいただきながら、具体的な検討を進めてまいりました。学校は、防災など様々な面で地域のシンボルであり、子どもたちの思い出の場所でもあります。その緑化に取り組むことで、子どもたちを初め、広く区民の皆様と緑の大切さを共有する機会にしたいと考えております。また、続く5月30日、31日には、帝京平成大学のホールを会場として、1,000人規模の環境と緑化について考える区民フォーラムの開催を検討しているところであります。環境都市づくりは、私たち一人一人の意識を持って行動することなくして実現することはできません。来年の植樹祭とフォーラムが区民主体の環境ムーブメントを展開する契機となるよう、広く地域の皆様の参画を得た実行委員会を立ち上げて取り組んでまいります。今定例会には、来年のプロジェクトの準備に必要な補正予算を提案させていただいております。全庁を挙げて植樹祭の成功に向けて取り組んでまいりますので、区議会の皆様のお力添えを賜りますようお願い申し上げます。
次に、文化政策について申し上げます。
平成17年秋の文化創造都市宣言と記念式典、さらに平成19年度の新劇場あうるすぽっとと中央図書館のオープンを大きな節目として、豊島区の文化政策は一歩一歩確実に大きな流れを創り上げ、文化の力を持って、新たな輝きを創造しようとする姿勢を全国にアピールしてまいりました。そして、11月12日と13日の2日間にわたって開催した「時代を変える図書館サミット」も、一自治体としては前例のない、我が国の図書館文化の発展に価値ある一石を投じる取組みになったと考えています。サミットの実行委員長をお引き受けいただいた本区の図書館行政政策顧問である粕谷一希氏を初め、オープニングスピーチをいただきました文字・活字文化推進機構会長の福原義春氏、基調講演をいただきました国立国会図書館長の長尾真氏、シンポジウムのコーディネーターをお願いいたしました印刷博物館長の樺山紘一氏、さらには締めくくりの講演をいただいた日本ペンクラブ会長の阿刀田高氏など、サミットにご協力いただいた数多くの方々に対しまして、衷心よりお礼を申し上げます。初日の12日は、雨模様にもかかわらず、あうるすぽっとに入りきれない390人もの方にご参加いただきました。翌13日には素晴らしい好天に恵まれ、自由学園明日館の品格ある雰囲気の中で、延べ550人以上のご参加をいただき、午前中の3つの分科会、そして午後の全体討議と、熱心な議論が展開されたところであります。分科会では、図書館の新しい役割として、利便性やサービス向上といった観点から、情報の電子化やネット上の閲覧等についての意見が出される一方、ITの便利な側面だけに頼るのではなく、自らの手で情報を探す過程が発見能力を養う上で重要なこと、そして図書館の凛として静かな空気の中で本をめくる手の感触など、現に存在する空間やモノとしての図書館、書物の大切さについても議論が広がり、改めて図書館文化の奥深さを感じました。また、図書館における専門職の重要性や、来館者が運営に参画できる仕組みの必要性を指摘する意見、図書館・書店・出版社の相互連携を深めることで、新たな可能性や展望が開けてくるとする議論も大変興味深いものでした。そして、サミットの総括として、全国に向けて発信するマニフェストが実行委員の皆さんから発表されると、会場の明日館講堂は大きな拍手に包まれました。今回の図書館サミットは、図書館関係者を初め、文字・活字文化の振興に取り組む方々、そして読書と書物を愛する人々に、熱いエールとなって届いたものと確信しております。中央図書館の来館者も、オープンから1年4カ月となるこの11月中旬で137万人に達しております。1日も早くサミットの成果を報告書として取りまとめ、個性ある大学や専門学校、書店等が集まる「学問の街」「言語と活字の街」としての豊島区の姿を、全国に向けて発信したいと考えております。
さて、こうした文化政策をさらに広げていくためには、東側のあうるすぽっとと中央図書館に対応する形で、区の西側にも新たな文化創造の拠点の整備が必要であると考えています。こうした視点から、長年の懸案であった池袋駅西口の郷土資料館の移転を含め、現在、旧平和小学校における新複合施設が担うべき文化機能のあり方について検討を進めているところであります。この複合施設では、区民事務所等のサービス機能のほか、千早図書館、千早地域文化創造館等の機能を融合させ、一体的に整備する方針ですが、さらに郷土資料館が担ってきた歴史・民俗分野を含め、アトリエ村や池袋モンパルナス、トキワ荘から引き継ぐ美術や文学、マンガといった文化を発信する機能を加えたいと考えております。
そして、来年2月から3月にかけては、豊島区をメインステージとして、総事業費3億円にものぼる舞台芸術の祭典、「フェスティバル/トーキョー」を開催いたします。今週11月25日には、東京都、東京都歴史文化財団を初め、実行委員会を構成する財団法人としま未来文化財団、NPO法人アートネットワーク・ジャパンとともに、東京芸術劇場において記者会見を行いました。会見では、蜷川幸雄氏を初め、現代日本を代表する参加アーティストや韓国現代演劇界のカリスマ演出家、イ・ユンテク氏が抱負を語り、また、ドイツ、イタリアなど海外アーティストのビデオメッセージや公演作品のプレビュー紹介など、まさに舞台芸術の祭典を予感させるものとなりました。開催期間中は、東京芸術劇場、あうるすぽっと、そしてにしすがも創造舎を主な会場として、新作・世界初演を含む、約20演目がラインナップされるほか、池袋西口公園における野外イベントなどを開催いたします。「演劇の街」を内外に強くアピールする祭典として、関係者と協力して地域を挙げて取り組み、必ずや成功させたいと考えています。また、現在、池袋駅西口では、都内2番目の地下ショッピングモール「エチカ(Echika)」の整備が、来年3月のオープンに向け、東京メトロにより進められておりますが、この度、池袋モンパルナスというイメージを開発コンセプトとして、商業施設のデザインやゾーン構成、店舗配置等を進めていくことが発表されました。さらに、エチカ施設の一角を展示ギャラリーのスペースとして無償でお借りする予定であります。今後とも東京メトロと協力しながら、芸術・文化の薫りが漂う玄関口として池袋駅西口の整備を進めてまいります。
なお、池袋駅西口駅前広場の整備につきましては、平成21年度内の工事完成を目指しておりましたが、地域の皆様からのご意見を踏まえ、ユニバーサルデザインへの配慮を一層強化すべきであると判断し、計画の見直しを行ったところであります。西口、北口におけるエレベーター、エスカレーターの設置を初め、緑化の充実、ヒートアイランド対策としての遮熱性舗装の採用、景観に配慮した街路灯などを加えることで、事業費は3億9,000万円から5億円となります。今回の見直しにより、駅前広場の完成の時期は平成22年度となりますが、来年1月には事前工事として、既存のバス停やタクシープールの移設、信号機の新設等に着手し、1日も早く生まれ変わった姿をお見せできるよう努力してまいります。
次に、狭小住戸集合住宅税について申し上げます。
狭小住戸集合住宅税は、住宅ストックが狭小なものに偏ることによる政策課題を解決するために、ワンルームマンションの抑制手法では全国初となる法定外普通税として導入し、平成16年6月1日から条例を施行したものであります。同条例では、施行後5年ごとに、施行状況、社会経済情勢の推移等を勘案して検討を加え、条例の廃止その他必要な措置を講ずることを規定しており、本年5月、新税創設時においても関わっていただいた、立教大学の池上岳彦教授を会長とする「豊島区税制度調査検討会議」を設置し、検討をお願いしてまいりました。そして、今月10日、池上会長から、検討結果を取りまとめた報告書をいただきました。報告書では、まず、平成16年度の本税創設時における区内の住宅ストックに対する状況認識が正しかったことを改めて確認していただいた上で、条例施行後の平成19年度までの期間において、他区に見られたワンルームマンションの急増が区内では確認されていないこと、また、課税対象となる29平米未満かつ9戸以上め集合住宅の年間着工戸数が課税の前後で平均31%も減少していることなどから、課税による抑制効果の有効性について、確認・評価をいただきました。また、住宅ストックのバランスにはやや改善の兆しが見られるものの、今後も狭小な住宅が再生産される可能性が高いため、課税という経済的手段は住宅施策の一環として継続すべきであるとの見解をお示しいただきました。また、平成18年度に、国が2人世帯の最低居住水準を29平米から30平米に改めていることから、区の住宅施策としての狭小住戸の定義の考え方についても、検討課題としてご指摘いただきました。建築時に税を賦課してワンルームマンションの抑制を図るという手法は、これまでの4年間で約12億円弱の税収を上げると同時に、全国の自治体や研究者の間で税制度としての効果が注目されておりましたが、今回の報告書により、その効果が確認されたことで、改めて区独自の政策に自信と確信を得たところであります。私といたしましては、今回の報告書を受けまして、住宅ストックのバランスを確保するには長期にわたる取組みが必要なこと、また、単独世帯の割合が依然として約6割という高水準にあることなどから、29平米未満という狭小住戸の定義については、さらに検討を加えた上で、基本的には来年6月以降も課税を継続すると判断いたしたところでございます。なお、現在、並行して新たな住宅マスタープランの策定を進めているところであります。住宅ストックのバランスを回復し、住みたい、住み続けたいと評される住宅・住環境をつくり上げるという政策目的の実現に向け、狭小住戸集合住宅税を原資とする住宅基金の活用策についても十分検討を加え、抑制と誘導の両面から、実効性ある住宅施策を展開してまいります。
次に、地域の力と協働によるまちづくりについて、申し上げます。
10月下旬から11月中旬にかけ、私は東・西・南・北・中央の区内5地区において、まちづくりの現場で活躍されている方々から、直接お声をお聴きするために「地域ビジョン懇談会」を開催いたしました。町会を初め、商店街、街づくり協議会、教育・福祉、そして文化・スポーツや大学、さらには区民ひろば運営協議会など、幅広い分野から延べ150名の方々にご参加いただきまして、地域やコミュニティが抱える課題、各団体の活動状況、そして今後のまちづくりのあり方等について、貴重なご意見を、伺うことができました。今回の地域ビジョン懇談会は、広聴活動の一環としての、位置付けに加え、今年6月に取りまとめた、池袋副都心グランドビジョンに相当する総合的なまちづくりのビジョンを、区内の各地域でも創り上げていきたいとの思いから出発したものでございます。特定のテーマを置かずに、それぞれの地域をそのものを題材としたことから、意見交換というよりもそれぞれの活動に即したご意見を幅広くお聞きすることが中心になりましたが、区政へのご指摘や要望にとどまらず、地域が抱える課題や将来を真剣に考えるご意見・ご提案を数多くいただくことができ、現場における行政の縦割りを廃したまちづくりの重要性を、改めて痛感したところであります。また、既に9地区で立ち上がっている区民ひろば運営協議会からの参加をお願いしたことで、区民ひろばに対する感想や意見も多く出され、その活動内容や意義を伝える機会ともなりました。参加者からは、異なる立場からの様々な意見が聞けて参考になったとの声や、地域に関する情報共有や横のつながりのためにも、こうした懇談会は継続してほしいというご意見もいただきました。懇談会の開催地域の広がりや参加者数、参加方法など、まだまだ改善や工夫を必要とする点もありますが、総合的なまちづくりを話し合う新たな試みとして地域ビジョンの検討と並行しながら今後も継続していきたいと考えています。
今、地域のコミュニティは大きな転換期を迎えております。町会活動の振興や加入促進、マンションと地域社会との交流拡大に取り組むとともに、新たなコミュニティを生み出す仕組みとしての地域区民ひろば、そして今回の地域ビジョン懇談会など、将来を見据え、多様な取組みを展開することで、地域の力との協働を広げながら、個性あるまちづくりを進めたいと考えています。さらに、先週には、区内大学との連携・協働に関する包括協定と、としまコミュニティ大学の開校から1年ということで、立教大学を会場として6大学の学長・総長の皆様と一堂に会し、「学びつづけるまち豊島」をテーマとして懇談会を開催いたしました。区立小中学校と各大学との教育連携は着実に成果を上げてきており、現場で直に子どもと接する体験を持つことで学生の学習姿勢に大きな変化が生まれていることなど、地域と大学が連携することの意義や効果について、活発に意見交換することができました。6大学との協働事業であるコミュニティ大学も順調な滑り出しを見せており、今後は大学図書館と区立図書館との連携や、大学と地域相互のニーズを効果的にコーディネートすることで、新たな政策連携の芽を育てる仕組みづくりに協力して取り組むことで一致したところであります。大学は地域が誇るべき知的財産でありまちづくりのパートナーであります。今後とも地域と大学双方に効果が実感できる連携事業を継続的に展開し、6大学との関係をさらに厚みのあるものとしてまいります。
最後に、中小商工業融資の拡充について申し上げます。
世界経済が米国発の金融危機で減速感を強める中、我が国の景気後退がますます深刻の度合いを深めつつあります。今年7月から9月期のGDP速報値は、平成13年以来7年ぶり、に2期連続してのマイナス成長となり、景気の後退局面が一段と鮮明になってきています。急激な円高の進行や株価の大幅下落が実体経済にも影響を及ぼしており、中小零細企業の経営環境は厳しさを増し、区民生活にも深刻な影響が広がりつつあります。こうしたことから、さきの定例会における物価高騰対策に続き、国や東京都の緊急対策を踏まえ、今定例会に中小商工融資の拡充に関する補正予算を提案しております。具体的には、特に不景気の影響を受けやすい小規模零細企業者を対象とした、「小企業資金」について、利子補給の補助率を大幅に上げるとともに、融資の際に必要な信用保証料についても補助率を拡大するものであります。併せて中小企業に対する相談窓口の強化を図りたいと考えております。現在、国の緊急保証制度、通称セーフティネット保証の認定や、それに対応した東京都の原材料価格高騰対応等緊急融資などにより、区の窓口には、今年9月までに、昨年と比べ40倍以上もの申請や相談が寄せられております。区では、中小企業の方々のご要望にお応えすべく、申請の翌日には認定証を交付するなど、可能な限り迅速な対応に努めておりますが、今後はさらに中小企業相談員を増やし、相談体制の強化を進めてまいります。
先月には東京都の平成20年度上半期における法人二税が700億円の減収となったとする報道もされております。法人二税には特別区財政調整交付金の原資である市町村民税法人分が含まれており、下半期の景気動向によっては区の歳入の根幹を成す同交付金が少なからず減少することが危惧されるところであります。こうしたことを踏まえ、今後とも景気動向に細心の注意を払い、歳入の変動を慎重に見極めながら、来年度の予算編成に取り組んでまいります。また、特別区民税等の収納率向上についても、私が陣頭指揮に立ち、特に現年度分の徴収に力を入れながら、積極的に収納対策を進めてまいります。
社会経済学者の始祖であるシュンペーターは、時代の大きな転換期にあっては、社会は必ず財政危機に陥ると論じました。そして、新たなビジョンに向けて社会が総力を挙げてイノベーションを成し遂げなければ、あらゆる社会システムの結果としての財政は同じ危機を繰り返すことになると述べております。彼の言うイノベーションとは、自治体経営で言えば、豊かなコミュニティに支えられた地域の力を高め、都市の魅力と活力を創造し続けることにほかなりません。財政危機の克服に向けて一心に改革を進めてきた豊島区ですが、行財政システムの体質改善にとどまらず、「住みたいまち、訪れたいまち」として持続的な発展を続ける地域社会を創り上げることが、未来への希望をもたらす真の構造改革の姿ではないでしょうか。「池袋副都心再生」と「個性ある地域のまちづくり」を車の両輪として、初心を忘れず、「文化と品格を誇れる価値あるまち」の実現に全力を尽くしてまいります。
本日ご提案申し上げます案件は、条例11件、予算1件、その他4件、合わせて16件であります。各案件につきましては、後程、日程に従いまして副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜りますようお願い申し上げます。
以上をもちまして、私の招集あいさつといたします。ありがとうございました。