平成22年第3回区議会定例会招集あいさつ

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 本日、ここに平成22年第3回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜りまして深く感謝申し上げます。


 去る7月31日、雑司が谷案内処がオープンいたしました。これは、地域に集う人々の交流の場として、あるいは地域の魅力の再発見・再生を進める拠点として、街の魅力についての情報発信センターとしての役割を担うものであります。これまで、雑司が谷地域の皆さんとともに、雑司が谷の地域づくりを推進するために、雑司が谷歴史と文化のまちづくり懇談会で話し合いを続けてまいりましたが、その中での提案の一つが結実したものであります。雑司が谷地域は、副都心線の開通、都市計画道路環状5の1号線の進捗、旧日出小学校跡地での新庁舎整備の進展など、大きな変革期を迎えております。歴史と文化の薫りを保ちながら新たなまちづくりに向けた取り組みが地域の皆さんの力によって進められるよう、ぜひこの機会に改めて足をお運びくださいますようお願いいたします。


 それでは、初めに平成21年度決算について申し上げます。


 平成21年度の一般会計決算額は、歳入が1,002億5,000万円で収入率96.8%、歳出は965億300万円であり、執行率は93.2%となりました。前年度と比較いたしますと、歳入は37億4,900万円の増で3.9%のプラス、歳出につきましても、46億8,800万円の増であり、5.1%のプラスであります。


 昭和50年度以降の決算では、歳入の収入率の96.8%は下から10番目、歳出の執行率の93.2%は下から5番目に低い結果となっていますが、これは市街地再開発事業などで約16億円の繰越明許費が生じたことによるものでありまして、これらの影響を除いた場合には、収入率は98.3%、執行率は94.6%と、平年並みの数値となるものであります。


 歳入が前年度比37億4,900万円増となったのは、特別区交付金が39億1,100万円の減となったものの、主に国庫補助金が57億3,500万円、特別区債が18億5,800万円と大幅に増加したことによるものであります。歳入のうち主なものについて述べますと、まず、国庫補助金の増は、主に定額給付金の補助金が36億1,200万円の増となったことや地域活性化・公共投資臨時交付金など、不況対策関連の国庫補助金が大幅に増えるとともに、生活保護費への国の負担金が20億1,500万円増えたことなどによるもので、不況の影響とそれに対する経済対策の影響が色濃く出たものと考えております。特別区税は、課税人口の増加等による特別区民税の増収等により、対前年度比1億1,900万円、0.4%のわずかな増となりました。


 一方、市町村民税法人分等を原資とする特別区交付金については、景気悪化に伴う落ち込みなどにより、対前年度比39億1,100万円、12.4%もの大幅減になりました。特別区債は22億8,900万円となり、前年度と比べますと18億5,800万円の増となりました。起債発行額が昭和51年度以来初めて10億円を下回った平成20年度と比較いたしますと、起債発行額が増加になりましたが、一方で、繰上償還によって借入額残高の縮小を図りながら、財政の健全化を進める路線は維持してまいりたいと考えております。また、平成21年度は財政調整基金からの繰り入れを行いませんでした。また、予算段階で特別な財源対策として10億5,500万円を見込んだ旧中央図書館の用地売却は、これを行いませんでした。したがいまして、結果的に平成18年度以降、4年連続で特別な財源対策を講じずに黒字決算とすることができたことになります。


 次に、歳出は対前年度比46億8,800万円の伸びとなりました。義務的経費では、職員定数の見直し等の効果で職員給与が減となったことなどにより、人件費が11億8,600万円の減、公債費も6億800万円の減と縮小いたしましたが、一方で扶助費が生活保護費などの伸びにより29億9,400万円と16.2%も伸びた結果、義務的経費全体で11億9,900万円、2.5%のプラスとなっております。投資的経費につきましては、東池袋四丁目第二地区の市街地再開発事業や大塚駅南北自由通路の整備経費の増加などにより、対前年度比5億4,200万円、4%の増となりました。土地開発公社の長期債務については26億8,200万円の繰上償還を行い、18年度から引き続き、4年にわたって負の遺産の軽減を図った結果、21年度末の残高は40億円余りとなりましたが、本定例会の補正予算として提案をしておりますように全額を償還いたします。


 一般行政経費については、前年度比29億4,700万円の増となりました。これは財政調整基金、義務教育施設整備基金、公共施設再構築基金などへの積立金が、前年度比10億2,500万円、35.9%減る一方、定額給付金事業経費36億1,200万円の増などにより、補助費等が34億8,300万円増加し、また、小・中学校のICT環境整備の増などにより、物件費が13億6,800万円増加したことなどによるものであります。


 こうした歳入歳出決算の結果、歳入から歳出を差し引いた形式収支は37億4,700万円となり、実質収支も26億5,200万円の黒字となりました。経常収支比率は、経常的収入が大幅に減少したため、前年度より3.9ポイント上昇して83.5%となりましたが、一方、公債費比率は、起債残高の減少に伴って、前年度から0.5ポイント改善されて9.4%となりました。また、法に定める財政健全化判断比率のうち、地方債の元利償還金だけでなく、土地開発公社の分割償還金なども加えて算出する実質公債費比率につきましては、前年度より1.3ポイント減少して7.1%となりました。7.1%という比率は、国が定める早期健全化団体の基準である25%とは大きく離れておりますが、23区全体の数値がおしなべて改善されている中で、昨年度同様、他区に大きく水をあけられた状況にあると考えております。さらに、ストックの状況に関する将来負担比率はマイナス34.7%と、22.4ポイントも改善されました。これは、起債残高、土地開発公社の長期債務それぞれが、34億円余り減少したことなどによるものであります。このように、平成21年度の決算における主要な財政指標は改善されつつありますが、23区との比較の上では、さらなる改善が必要であります。さらに、円高・株安が続き、景気回復が足踏み状態であることを踏まえれば、今後の区財政状況は決して楽観できる状況ではありません。したがいまして、さらなる行財政改革に向けて不退転の決意で臨んでまいります。未来戦略推進プラン2011では、これまでの財政再建の成果を踏まえて、行財政改革の新たな姿、行財政改革第2ステージの目標をお示ししたいと考えております。


 次に、所在不明高齢者の問題について申し上げます。


 8月上旬、足立区などでこの問題が発生した時点で、100歳以上の方の本区での住民基本台帳登録者数は141名でありました。この方々について、後期高齢者医療保険の医療情報や介護保険の給付状況を確認したところ、7名の方に給付実績がないことが判明いたしましたが、直ちに電話や訪問を行い、全員がお元気であることを確認することができました。区では、敬老の日には101歳以上の方に敬老お祝い品を差し上げておりますが、今年は9月13日から月末にかけて、社会福祉協議会の職員が戸別にご自宅をお訪ねし手渡ししております。また、本年度の新規事業であるひとり暮らし高齢者実態調査では、65歳以上のひとり暮らし高齢者及び高齢者のみの世帯の調査を行っておりますが、特に75歳以上の世帯につきましては、郵送による調査ではなくて、民生・児童委員が直接お宅に伺って聞き取り調査を行うことになっております。地域のつながりが弱いといわれる都心区であり、ひとり暮らし高齢者の多い本区にあっては、特に個々の高齢者の状況を把握することが大切であります。地域福祉の再構築は、現在、区を挙げて取り組んでおりますセーフコミュニティにおきましても、重要な課題であると考えております。こうした中、この8月に公表された平成22年度の厚生労働白書では、その地域福祉に関連して、セーフコミュニティの効果と可能性が大きく紹介されました。白書では、セーフコミュニティの認証取得に向けて準備を進める都市として私たちの豊島区も紹介をされております。来る10月7日には、東京芸術劇場大ホールにおいて区民大会を開催いたします。区民の皆さんが取り組んで来られた安全安心活動の報告をいただき、取り組みへの理解と機運を高めていきたいと考えております。セーフコミュニティの認証取得が当面の課題でありますが、一刻も早く、区内全域に安全と安心を実感できるネットワークを構築したいとの決意を新たにしております。


 次に、文化の拠点整備について、まず、みみずく資料館について申し上げます。


 豊島区では、街の魅力を高め、区民の方々には誇りとなり、区を訪れる人には親しみを抱いていただくための様々な施設を設置しておりますが、その中の一つに豊島区みみずく資料館があります。これは東大名誉教授の飯野徹雄先生が所蔵する膨大なふくろうコレクションのうちのおよそ4,000点についてご寄贈いただき、区立南池袋小学校の一室をみみずく資料館とし、これらのコレクションを200から300点ずつ、順次展示・公開しているものであります。昨年お亡くなりになりましたが、元拓殖大学政経学部教授、松浦千誉先生は、生前、ふくろうに関する絵画や置物、アクセサリーなどを世界中から収集されていらっしゃいまして、みみずく資料館に幾度も足を運ばれていたご縁から、その6,000点を超えるコレクションを区にご寄贈いただけることになりました。去る7月1日に、ご遺族の方をお招きいたしまして、寄贈の調印式を行うとともに感謝状を差し上げたところでございます。コレクションはあまりにも膨大であり、両氏の寄贈品を適切に管理するためにも、データベース作成などの整理を行う必要があり、所要経費を、この度の補正予算として計上しております。整理終了前でありましても、随時、資料館での展示を行いますので、区民の皆さんに楽しんでいただきたいと考えております。


 次に、鈴木信太郎氏の旧邸について申し上げます。元東京大学教授で、日本フランス語フランス文学会会長や日本芸術院会員をお務めになり、日本のフランス文学研究の第一人者として、マラルメの研究、ボードレールの「悪の華」の翻訳でも高名な故鈴木信太郎先生の旧邸が、豊島区東池袋五丁目にあります。この建物は、貴重な書籍類を空襲から守った昭和3年建築の鉄筋コンクリート造りの書斎、戦後昭和21年に建築された茶の間・ホール、明治20年代に建築され、のちに現住所に移築された座敷の3棟で構成されており、今もなお、昭和初期の趣を残す建物は、文化的財産として非常に高い評価を得ております。先日、この土地・建物の相続者である信太郎先生の次男の道彦氏より、豊島区へ寄贈するので活用してほしい旨のお申し出をいただきました。贈与に当たっては、建物を保存及び活用し、鈴木家の功績を後世に伝えることが条件として付けられておりまして、これは区に負担を付すものでありますので、今定例会に負担付き贈与契約の承認としての議案を提出しております。現在、道彦氏と、活用方法等について協議を進めておりますが、今後は、鈴木信太郎先生の遺した文献や書籍の分類・調査も進め、先生のフランス文学研究を基軸とした豊島区の新たな文化拠点として整備をしてまいりたいと考えております。


 次に、としまコミュニティ大学としま学講座について申し上げます。


 としまコミュニティ大学は、平成19年11月に区内6大学と締結した、連携・協働に関する包括協定に基づく連携事業としてスタートし、今年度で4年次目を迎えることになります。これまで、各大学の特色を生かした多彩なプログラムを展開し、その参加者数は19年度の368名から20年度1,212名、昨年21年度は3,563名と年々増加し、着実な成果をあげてまいりました。また、このとしまコミュニティ大学の基本コンセプトである、人づくり・活動づくり・地域づくりを、区政とのつながりの中でより深めていくために、昨年度から区政の重点課題をテーマとするとしま学講座を新たに開講いたしました。昨年9月には、東京音楽大学で文化、立教大学で環境をテーマにそれぞれ開催し、私自身も講師として、区の取り組みをお話させていただきました。今年度に入りまして、6月に帝京平成大学でセーフコミュニティ、女子栄養大学でがん対策を、そしてこの9月には、大正大学で都市型福祉と学習院大学でまちづくりをテーマに開催し、区内6大学を一巡したことになります。また、課題への理解をより深めていただくために、基調講演に続く連続講座も順次開催しており、9月18日から来年1月までの5回講座として開催する帝京平成大学での「家庭の医学~専門医から聞くがん最前線」もその一つであります。さらに、昨年度の連続講座を発展させ、学習の成果を地域に生かす具体の取り組みとして、「雑司が谷ボランティアガイド養成講座」が明日25日からスタートいたします。一つの学びを次の学びへ、そして学び合いから地域づくりへとつなげていくためのプログラム展開を今後も推進し、区民・大学・行政の協働による学び合いの環を一層広げてまいりたいと考えております。


 次に、教育について申し上げます。


 本区では、今年3月、今後10年間の教育振興基本計画として、豊島区教育ビジョン2010を策定し、重点施策を中心にその具体化を進めています。活力と魅力ある教育の質向上を目指し、教育都市としまの実現に向けて着実なスタートを切っております。一例を申し上げますと、去る7月下旬、文部科学省が行いました全国学力・学習状況調査の結果が公表され、大変に喜ばしい成果が得られました。本調査は、今年度から3割程度の抽出方式に変わり、本区では小学校3校、中学校2校のみが対象とされたことから、小・中学生の学力の正確な実態が掌握できなくなるのではないかという不安の声が寄せられておりました。公表された結果を見ますと、一領域を除き、小学校、中学校ともに全国、そして東京都の平均を上回る好成績でありました。また本区では、文部科学省の調査に先立つ、今年4月に小学校3年生から中学校3年生までと、国の調査より対象児童と教科も広げ、全国調査に匹敵する学力調査を悉皆方式で実施いたしました。この結果と国の調査結果をクロス集計したところ、小学校全体では、都道府県別の正答率で毎年トップに名を連ねている秋田県に匹敵する結果であることがわかりました。中学校も上位の成績を収めており、豊島区の小中学生と各学校は頑張っていることを確信することができました。教育都市としまの教育水準の到達状況を物語るものであると思います。8月下旬には、教育長を初めとするスタッフが、各学校の校長先生方とヒアリングを行い、さらなる学力向上の取り組みについて検討を行ったとも報告を受けております。その際、既に設置された電子黒板などのICT機器や、学校図書費を有効活用することによって授業改善が進んでいること、さらに、区独自に実施した調査が役立っているという説明も受けております。一人一人の児童・生徒がもれなく生きる力の土台となる確かな学力を身に付け、体力や徳力をバランスよく獲得していってほしいと強く願うものであります。教育による成果は一朝一夕には表れにくいものでありますけれども、大胆に、そして着実に、教育都市としまの実現に向けて条件整備を支援してまいります。


 次に、環境について申し上げます。


 この度、区立さくら小学校に太陽光発電システムが設置されることになりました。これはアサヒビール株式会社が「うまい!を明日ヘプロジェクト」として展開している社会貢献活動の中で、本区のこれまでの環境への取り組みが評価され、本区からの提案が採用されたものであります。同社の負担によって、さくら小学校の屋上に56枚の太陽光発電パネルが設置され、区はその寄贈をいただくことになります。施設工事は11月頃から始まり年内いっぱいの工事となりますので、実際に電力を活用するのは3学期からとなるものと考えております。その発電能力は1時間当たり10キロワットで、概ね学校の電力量の1割程度を賄えるものと想定しております。企業の社会貢献活動は、従来から環境や文化振興などの分野で取り組まれてきました。こうした社会的な流れについて、ただ事業の経費が軽減できたと捉えるのではなく、企業も公益的・社会的活動の中で環境対策に取り組んでいるという姿を区民の皆さんに知っていただき、環境ムーブメントの広がりにつながるという積極的な意義があると考えております。


 そのほかにも、この度の補正予算に計上いたしましたが、本区の先進的な環境施策が評価されたことによりまして、国及び都の補助を受けることができ、それぞれ事業を展開いたします。豊島清掃工場排熱利用基礎調査は、市街地における環境負荷の低減策の検討が急がれる中、これまでは、国・都や学識経験者などによる熱エネルギー活用についての検討委員会に本区も参加して研究を重ねてまいりましたが、本区の実際の状況を整理する必要があるとして実施するものであります。もう一つ、家庭の省エネ診断モデル事業は、都の補助金を活用するものであります。太陽光発電システムの補助など、家庭におけるCO2削減にはこれまでも取り組んでまいりましたが、省エネ診断の実施について、大正大学と連携し、大学のカリキュラムに取り入れることで人材の育成を図り、一方で企業との連携により省エネ診断結果が行動変化に結びつく仕組みを検討するなど、産学官連携モデルを構築するものであります。また、緑化については、栃木県佐野市が進める森林保全・森づくり事業に、ぜひ本区の区民の皆さんにも参加していただきたいと要請されております。詳しくは広報としまなどで参加を募らせていただきますが、このように豊かな自然を残す地域との連携を深めることは、参加される方々ばかりではなく、区全体にとりましても大きな財産になるものと考えております。環境対策は、区だけで進められるものではありませんので、こうした企業や大学、他の行政機関や学識経験者などとの連携を様々な形で展開していくことで、常に時代の先端に立って環境行政をリードしてまいりたいと思います。


 次に、後期基本計画の見直しについて申し上げます。去る7月23日、基本構想審議会を開催し、本区基本計画の後期の見直しについて検討をお願いいたしました。平成18年3月に策定された基本計画が、来年度から後期5年の計画期間に入ることになりますので、所要の見直しを行うものであります。この5年間を概観いたしますと、我が国の経済は、バブル崩壊後、長きにわたった低迷がようやく回復期に入ったと思われましたけれども、リーマン・ショックを契機とする不況によって、景気は急速に悪化いたしました。一方、NPOなど住民活動は多様化し、さらに地方分権改革については、先日、地域主権戦略大綱が閣議決定されるなど、区の自治体としての位置付けや区に求められる役割も大きく変化してきております。この間、本区では、文化創造都市、環境都市、生涯健康都市、副都心再生など、豊島区が目指す都市像を明確にし、その実現に向けて着実な成果を上げてまいりました。さらに、これまでの施策の集大成として、あらゆる主体と力を合わせて、安全・安心を実感できる安全・安心都市を、区民の皆さんとともに力を合わせて実現してまいるための準備を進めているところであります。また、21世紀に相応しい都市と自然が調和した環境都市のシンボルとなるとともに、サンシャインシティや中央図書館・あうるすぽっと、さらには現庁舎地区の民間活用によって整備する公会堂とともに、文化を中心としたまちづくりのネットワークを形成する素晴らしい新庁舎計画が、後期基本計画の計画期間である平成26年度の竣工に向けて着実に進行しているのであります。このように、基本計画実施期間の前期5年はバブル崩壊後の負の遺産の清算から、着実に成長への歩みを進めてきた期間でありました。平成23年度から27年度までの後期5年は、これまでの歩みを確実なものとし、さらに充実・発展させていく重要な期間として位置付けられなければならないと考えます。新たな基本計画の役割は右肩上がりの税収を前提として、あらゆる区民ニーズに応えつつ、網羅的・総花的な施策展開を図ることではありません。少子高齢・低成長社会における持続可能な地域社会の発展を目指し、戦略的な重点課題を明確化しつつ、限られた財源の中で施策の重点化を図りながら、これまでの豊島区の都市経営戦略を継承した将来の都市像を示すことこそ、新たな基本計画に求められる役割であると考えております。


 最後に、新庁舎整備について申し上げます。


 去る8月26日、東京都より、新庁舎整備を進める南池袋二丁目A地区の市街地再開発組合の事業計画が認可されました。これを受けて、新庁舎のフロア構成や総合窓口の基本的な考え方、資金計画、管理運営の考え方などを整理した「新庁舎整備推進計画(案)」を先日の豊島副都心開発調査特別委員会でご説明いたしました。さらに10月には私か先頭に立って区民の皆さんに十分な説明をさせていただき、ご意見をいただいた上で、新庁舎整備推進計画として取りまとめ、その上で第4回区議会定例会に「庁舎位置変更条例案」を提案いたしたいと考えております。新庁舎整備はいよいよ大詰めの段階を迎えます。新庁舎整備を決断してから5年間、大変に厳しい道のりでありました。しかし、皆さんのご協力をいただきながら新庁舎建設という歴史的な課題の解決に立ち会うことになるという高ぶりを覚えております。


 ところで、「百里を行く者は、90里を半ばとす。」との格言があります。これは、中国の春秋戦国期の逸話集である戦国策に収録されております。100里を行くとき、ゴール寸前の残り10里を行くときのつらさは、これまでの90里に匹敵するとも、油断を戒め、達成間近に気を引き締め直すことの大切さを教えているとも言われております。


 私は、セーフコミュニティをこれまでの施策の集大成と位置付け、安全・安心都市の実現に向けて取り組んでいます。また、ただいま申し上げたように、池袋副都心の将来像を牽引すべき新庁舎が、「文化・環境都市」のシンボルとしての姿を明確にしてまいりました。今後の行程が平易なものであるとは全く考えておりません。いかなる事態が生じましても、常に先頭に立って、現在の緊張感を維持したまま、完成に向けて邁進してまいる覚悟でございます。議員各位の、より一層のご協力を賜りますようお願い申し上げます。


 本日ご提案する案件は、決算認定6件、補正予算5件、その他4件、合わせて15件であります。各案件につきましては、後程、日程に従いまして副区長からご説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜りますようお願い申し上げる次第でございます。


 以上をもちまして、私の招集あいさつといたします。