本日、ここに平成23年第3回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜りまして深く感謝申し上げます。
それでは、初めに平成22年度各決算のうち、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。平成22年度の一般会計歳入歳出決算額は、歳入が994億6,700万円で、収入率は95.7%、歳出は968億8,600万円で、執行率は93.2%となりました。歳入決算額から歳出決算額を差し引いた形式収支は25億8,100万円となり、実質収支は15億700万円の黒字となりました。過去10年の決算では、収入率の95.7%は下から2番目に低く、歳出の執行率93.2%は、21年度決算と同じ最も低い結果となっています。平成22年度では、長崎中学校跡地の公園整備関係経費や市街地再開発事業経費などの繰越明許費が全事業で合計22億7,800万円という大変大きな額になったことにより、収入率、執行率が抑えられたものでありますが。これらの影響を除いた場合には、収入率は96.7%、執行率は95.3%となり、歳入歳出ともに、ほぼ平年並みの率となるものでございます。
次に、歳入の主なものについて、予算に対する決算の状況を申し上げます。予算に対する構成比が53%を占める二大財源の特別区交付金と特別区税は、あわせて551億1,100万円の予算に対し、555億9,500万円の収入となり、4億8,400万円の予算超過となりました。一方、予算構成比では24.7%を占める国庫支出金と都支出金の合計は、予算額の257億500万円に対し233億5,000万円の収入に止まり、23億5,500万円の未達となりました。これは、生活保護費の扶助費が、当初見込んでいたほどには伸びず、このため国と都の負担金が予算を下回ったために生じたのが主な理由でございます。特別区債は、予算額の27億6,600万円に対し、15億1,900万円の収入となりました。この収入、即ち特別区債の発行額の減少は、本来であれば借りかえが可能でありました舞台芸術交流センター事業債3億7,500万円について、借りかえによる再発行をせずに償還したことなど、発行額を最小限に抑える工夫を講じた結果であります。今後も、可能な限り債務の縮小を図りながら、財政の健全化を進める路線を堅持してまいりたいと考えております。
次に、繰入金についてでございます。繰入金のうち、財政調整基金からの繰り入れにつきましては、当初予算で予定した14億1,300万円に、土地開発公社の繰上償還の財源として21億2,100万円を追加し、予算上は、35億3,300万円の繰り入れを見込んでおりましたが、最終的な繰入額は31億2,100万円となりました。これは、決算の全体状況と次年度以降の厳しい財源状況を踏まえ、可能な限りの抑制を図ることとし、約4億円を減じたものであります。
次に、歳出の決算状況についてでございますが、歳出は性質別区分で申し上げます。まず、義務的経費の決算についてでありますが、決算額は530億6,800万円で、歳出決算額全体に占める割合は54.8%となっております。義務的経費の前年度決算との比較では、33億700万円の増となっておりますが、義務的経費のうちの人件費と公債費は、職員定数の見直しなどの効果で職員給与が減となったことなどにより人件費が5億3,200万円、公債費も5億1,700万円の減となるなど、ともに縮小しております。一方、義務的経費の約半分を占めます扶助費は、生活保護費や子ども手当が伸びたことにより43億5,600万円、20.3%の増となったために、義務的経費全体では、33億700万円、6.6%のプラスとなったものであります。投資的経費の決算額は、131億5,800万円で前年度決算との比較では10億3,000万円の減となっております。これは、東池袋四丁目第二地区の市街地再開発事業や大塚駅南北自由通路の整備の終了などに伴いマイナスとなったものであります。一般行政経費は、決算額が306億6,400万円で、前年度比では18億9,400万円の減となりました。これは国民健康保険事業会計への繰出金が19億400万円増加したもので、定額給付金事業経費が36億1,200万円の減となり、補助費等が34億6,800万円減少したことなどによるものであります。
次に、法に定める財政健全化判断比率について申し上げます。いずれの比率も財政の健全性を示す数値となっておりますが、このうち、地方債の元利償還金については、土地開発公社の分割償還金も加えて算出する実質公債費比率について申し上げます。土地開発公社の長期債務、いわゆる負の遺産については、18年度から5年にわたり、その解消に取り組んでまいりましたが、5年目となる22年度には33億5,200万円の繰上償還を一気に行ったことにより、長年にわたり財政運営の障壁になっていた借入残高の全額を完済できたのであります。さらに、ストックの状況に関する将来負担比率は、マイナス54.2%と、19.5ポイントも改善いたしました。これも、土地開発公社の長期債務の完済と、起債残高が減少したことによるものであります。このように、平成22年度の決算における主要な財政指標の一部では、これまでの財政健全化に向けた努力が功を奏し、改善を見ることができた一方で、経常収支比率は、区民税などの収入が落ち込む中で、扶助費の支出が増加したことなどにより、前年度より3.2ポイント悪化し、86.7%と、6年ぶりに80%台後半になるなど、再び財政が硬直化に向かう兆しが示されています。
さて、東日本大震災から半年が経過し、日本経済は、震災の影響による景気の落ち込みを一定程度回復しつつありましたが、今後の経済の見通しは、円高・株安の急速な進行など、予測のできない要因が多く、大変不透明な状態に置かれているといわざるを得ません。本区におきましては、既に、本年度の特別区民税、財政調整交付金は、ともに、当初見込みを確実に割り込む見通しであります。一方で、震災を契機に、防災耐震対策の強化をはじめとする新たな行政需要への対応も急務となっているのでありまして、24年度の予算編成を目前にした今後の財政運営には、非常に厳しいかじ取りが必要となるものと認識しております。したがいまして、土地開発公社の長期債務完済など、これまで取り組んでまいりました財政再建の大きな成果と経験を踏まえながら、後ろを良く見て、甘えることなく、さらなる行財政改革をいとわず、健全財政の持続に向けて、不退転の覚悟で邁進することによって、区民の皆さんから頼られる区政を実現してまいる所存であります。
次に、安全・安心創造都市の推進についてでございます。東日本大震災の影響は極めて広域的な広がりを見せ、首都圏におきましても、物資不足、計画停電、放射能汚染、風評被害など、複合的な事態が多数発生し、様々な課題が浮かび上がりました。今回の未曾有の大震災を教訓に、今後、高い確率で発生が予想される大災害から、区民の皆さんを守るための対策が急務となっていました。このため、防災対策の根幹となる地域防災計画の見直しを初め、さきの震災から浮き彫りになった帰宅困難者対策、災害時の業務継続計画の策定など、喫緊の課題に迅速かつ的確に対応するとともに、このような大きな政策の理念や考え方などを明確にする基本条例の制定につなげるために必要な防災関連方針の再構築を行う専管組織として、総務部に防災計画担当課を設置いたしました。これまで実施してきた対策の検証、あらゆる災害によって生じる様々な事象の想定とそれらに対する適切な対応策の検討などについて、区の組織を挙げ有機的に取り組み、セーフコミュニティの認証取得とも結びつけることによって、区民の皆さんの安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、震災対策推進本部の設置について申し上げます。東日本大震災の発生直後よりこれまで、被災地への職員派遣、電力不足への対応、放射線の独自測定、区内に避難した被災者支援など、震災により生じた様々な課題に対して、対処してまいりました。しかし、この震災に対して区が講じなければならない課題は区政全般に及び、なおかつ今後も長期間にわたって区政運営のあり方を左右するものとなっています。そのため、緊急的な対応だけでは対処することができない規模と広がりを持つものとなっています。そこで、緊急の事象に対応するために臨時に設置される会議体とは異なり、継続的に設置される全庁的な組織として、私を本部長とする震災対策推進本部を設置することといたしました。本日、議員の皆さんにご説明申し上げました震災対策の強化を目指した当面の方針は、この本部の初仕事として決定したものであります。今後、電力需給対策や放射能対策など緊急の課題に迅速に対応するほか、震災対策の基本的な方針の策定や調整などを行い、今後3年を目途に、まず23年度は万全な緊急対策と本格的検討への速やかな移行と位置付け、24年度には本格的対策の検討と実施、25年度は本格的対策の完了の年度と位置付けて取り組んでまいります。
次に、防災訓練について申し上げます。震災後初めての防災の日となった今月1日、東日本大震災時に都内で交通渋滞が発生したことを踏まえ、都内の国道・都道の95カ所を一斉に通行どめとする訓練が実施されました。豊島区内では、池袋六又陸橋から東池袋二丁目までの春日通りで2カ所と、目白駅前の目白通りの計3カ所で通行どめが実施されました。各所に職員を配置するなど万全の体勢を敷いておりましたが、大きな混乱もなく、訓練を終了することができました。9月4日には、文成小学校におきまして、り災証明書発行訓練を実施いたしました。地図情報システムGISを利用することで、東京湾北部地震等が発生した際に、住宅の被害調査から罹災証明書の発行、被災者向けの復興支援までを効果的に処理できるシステムを用いることで、被災した方の生活再建に向けた支援を迅速に行おうとするものです。これまで、被害調査票や住民記録などを一体的に活用する仕組みについて、京都大学や国、都などとともに共同研究を行ってきた成果を実証するもので、都内で初めての訓練となりました。中高層の集合住宅が多いなどの都市部特有の状況に合わせた調整を行いながら、実用に向けた検討をしてまいりたいと考えています。さらに、10月16日には、総合防災訓練を実施いたします。豊島区では、区立の全小・中学校を救援センターに位置付け、救援センターごとに、地域の皆さんを対象とした訓練を実施してきました。改めて申し上げるまでもなく、小・中学校は、まず第一に、児童生徒の学習の場であり、お預かりしている間は、児童生徒の安全を最優先で講じなければなりません。これまでも、学校による独自の災害訓練を行ってまいりました。この度の総合防災訓練は、巣鴨北中学校、池袋小学校など4つの会場で実施をいたしますが、小学生参加の震度体験や、中学校生徒による小型消火ポンプの放水訓練などのメニューを設け、開催会場となる小・中学校、PTAの参加を促し、地域一体での防災意識を醸成するとともに、地域防災の次代の担い手を育成してまいりたいと考えています。東日本大震災による惨状を目の当たりして、区民の皆さんの防災意識がかつてなく高まっている中で、訓練を通じて、協力体制の確立、防災行動力と防災意識の一層の向上を図ることで、区民の皆さんの安全・安心の確保に努めてまいります。
次に、震災復興マニュアルについて申し上げます。震災によって様々な事象からの復興の中でも、都市の復興については、平成20年度から検討を続け、本年7月に震災復興マニュアル(都市・住宅復興編)を策定いたしました。このマニュアルは、震災復興の一連のプロセスを迅速かつ適切に遂行するため、事前に区民の皆さんとの合意形成のあり方や、復興都市計画の策定に係る職員の行動指針・手順などを取りまとめたものでございます。9月2日には、マニュアルの検討にご尽力をいただきました明治大学大学院の中林一樹先生に講師をお願いし、区議会議員の皆さんのご参加もいただき、「震災復興に備えて」と題する管理職研修を実施いたしました。10月28日には、一般職員を対象に同様の研修を行います。まず、区職員の震災復興に対する意識を向上することで、平常時からの体制整備に万全を期すことが必要であります。また、9月期の区政連絡会では、マニュアルの概要と出前講座の開催をお知らせをいたしました。出前講座により、震災復興の概要を職員が地元に伺ってご説明することで、情報を共有し、東日本大震災で実際に行われている震災復興作業と照らし合わせながら、我々の地域の復興のあり方を区民の皆さんとともに考え、事前の復興対策へとつなげてまいりたいと考えております。
次に、放射能対策について申し上げます。福島原発事故の影響について、事故後早い時期から、危機管理対策本部の下に原発事故関連調整会議を設けるとともに、6月上旬から朋有小学校での測定値を公表したところでありますが、多くの区民の皆さんのご要望にお応えして、測定箇所を、公立・私立を問わず、すべての保育園、幼稚園、小・中学校と区内5カ所の主要な公園に拡大することに加えて、土壌と砂場、そして定期的にプールの放射性物質についての測定を実施してまいりました。これまでのところ、いずれのケースでも、不検出あるいは人体に影響を及ぼさない程度の低い数値という結果であります。今後も、大気中の放射線量の定点測定は、場所を増やし継続して実施してまいります。一方、小さなお子さんを抱える保護者の皆さんからは、食材からの内部被ばくを心配する声をいただいています。その不安感を減じるために、8月には「食品・環境の放射能汚染とその影響について」と題し、区民の皆さんへの講演会を実施いたしました。また、給食などの食材に関しましては、各施設ごとに、給食の献立や学校だよりなどを活用し、生産地の公表を行うことで、不安を解消していただけるよう、さらに努めてまいります。今後も、震災対策推進本部を中心に、測定で得られた数値を多様な角度から比較検討を加えまして、人の健康に被害を及ぼすおそれがあると判断された場合には、直ちに安全な措置を講じることができるように危機管理体制の強化に努めるなど、区民の皆さんの安全と安心を守るという区の基本的な使命を果たすために、迅速に必要な方策を講じてまいりたいと考えております。
次に、セーフコミュニティについて申し上げます。私は、今月の4日から10日にかけて、豊島区観光協会、そして東京商工会議所豊島支部の皆さんとともに、セーフコミュニティの世界認証を取得しているスウェーデンのファールン市とノルウェーのベルゲン市を訪問し、その活動を視察してまいりました。ファールン市では、セーフコミュニティの創始者であるレイフ・スヴァンストローム氏から、セーフコミュニティ活動と社会負担の軽減についての説明を受けるとともに、スザンヌ・ノーベルグ市長から、直接、高齢者施設を案内していただきました。また、記念すべき「第20回セーフコミュニティ世界会議」にも出席し、来年11月、池袋での開催を予定している「第6回アジア地域セーフコミュニティ会議」の開催をPRし、世界からの参加を呼び掛けました。さらに、観光都市であるベルゲン市では、グンナル・バッケ市長にお会いし、安全に関する地域課題や警察との連携のあり方などについて話し合い、セーフコミュニティの認証申請に関する貴重な資料もいただくことができました。それぞれの都市で、風土や文化、価値観や社会制度は異なりますが、安全・安心に向けたまちづくりへの思いは共通であり、セーフコミュニティは世界に通用する価値ある活動であることを、改めて実感し、豊島区の認証取得と今後の展開に大きな手ごたえを得ることができました。今後は、セーフコミュニティの認証取得とアジア地域セーフコミュニティ会議の成功に向けてさらに多くの区民の皆さんとともに、取り組むことで、安全・安心創造都市の実現に向けた大きな節目としたいと考えております。また、今回提案いたしました補正予算については、歳出予算30事業のうち14事業、約1億5,000万円が防災体制の強化に関するものとなっています。厳しい財政環境の中ではありますが、東日本大震災の教訓から、緊急に対応すべき事柄については、遅滞なく取り組んでまいりたいと考えておりますので、議員各位には、ご協賛くださいますようお願い申し上げる次第でございます。
次に、コミュニティ・ソーシャル・ワーク事業の展開について申し上げます。3月11日の東日本大震災は、地域社会を根こそぎ崩壊させるような、甚大な被害をもたらしました。そうした中、被災地の復興のために多くの福祉関係者が現地に駆けつけました。豊島区からも、コミュニティ・ソーシャル・ワーカーが、災害ボランティアセンターの運営に参加し、被災者のニーズとボランティア活動のマッチングを調整するなど、総合的な支援調整を担ってまいりました。
一方、区内には、原子力発電所事故の影響が危惧されている福島県などから、200名近い方々が難を避けていらっしゃいます。こうして避難されている皆さん一人一人のもとにも、コミュニティ・ソーシャル・ワーカーが直接訪問の上、必要な支援の詳細をお聞きし、関係の諸機関と連携して解決に当たっております。支援を必要とする人々の多様なニーズと、様々な福祉の社会資源を結ぶ絆になるというコミュニティ・ソーシャル・ワーク事業の本領を発揮した活動であると考えています。このコミュニティ・ソーシャル・ワーク事業は、平成21年度と22年度の2年間、豊島区社会福祉協議会との連携の下で、モデル事業として実施したもので、無縁社会などともいわれる今日、地域で活動されている民生・児童委員や町会の皆さんとともに、支援を必要とする人々を、地域の絆で支え合うための挑戦をしてまいりました。これらの試みは、区民ひろばなどで受けた1,000件を超える相談件数、町会の皆さんと協力して実施した車いす講座や、要援護家庭の子どもに対する学習支援などの実績となって実を結んでいると評価をしております。今後は、この事業を本格的に展開し、区民誰もが、必要とする、多様できめ細かい福祉サービスを受けられ、地域の中で孤立することなくつながりを持って生活できるようにするための先駆的な地域福祉システムの構築を目指してまいりたいと考えています。現在、セーフコミュニティの世界認証を取得するための取り組みに全力を注いでおりますが、その中で、区民ひろばが安全・安心を守る拠点として高く評価されています。地域の皆さんが主体的に地域の課題に向き合い、互いに協力し合って地域の安全に取り組む拠点としての区民ひろばに、このコミュニティ・ソーシャル・ワーカーを配置することにより、地域の課題を抽出して解決につなげる機能が一層高まるよう努めてまいります。
次に、文化施策の展開について、まず、としま文化フォーラムについて申し上げます。9月21日、としま文化フォーラムの第100回に当たる記念特別講演会では、演出家であり東京芸術劇場芸術監督である野田秀樹さんと、振付家、ダンサーでもある近藤良平さんのお二人をあうるすぽっとにお迎えし開催予定でありましたが、あいにく台風15号の首都圏直撃という事態になり、全庁挙げて緊急対策に取り組んだために中止となりました。改めて、後日開催をいたしたいと思います。
としま文化フォーラムは、文化の担い手の育成を図るために、東京芸術劇場名誉館長の小田島雄志さんを塾長にお迎えし、8年前に始まりました。以来、各分野の第一線で活躍する文化人、約100名にご登壇いただき、これからの文化のあり方を、参加された皆さんとともに考えてきました。参加者は延べ1万2,000名を超え、実に多くの皆さんが、このフォーラムを通して文化への理解を深め、幅広い分野で活躍する契機とされております。そうした皆さんが豊島区の文化を支え次の世代に引き継ぐ原動力として成長することによって、このフォーラムは、今や豊島区の誇る文化活動の一つになったと自負しております。今後も、としま文化フォーラムを文化創造につなげるべく、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、フェスティバル・トーキョー11について申し上げます。日本を代表する国際的な舞台芸術の祭典として、好評を博しておりますフェスティバル/トーキョーの第4回目が9月16日からあうるすぽっと、にしすがも創造舎、シアターグリーン、自由学園明日館など、豊島区内の各会場を中心に都内各所で開催されています。これまでの3回の開催では、世界の最先端が集う先鋭的なラインナップで注目を集め、観客動員数は延べ19万人にものぼりました。今回は、特に野外劇を開催するなど既存の劇場以外の空間を活用したプロジェクトを多数展開をしていまして、フェスティバルが、より多くの人々が交流する場となるとともに、新たな価値を創出する機会となることを期待しております。今年も、フェスティバルのフラッグが街を彩っていますが、4回目を迎えたことで、その景観が池袋に馴染んできたなと感じています。世界に向けて発信される舞台芸術の魅力が、区民の皆さんを初め、一人でも多くの方にメッセージとして届けられるよう、今後も豊島区を挙げて取り組んでまいります。
次に、産業の振興について申し上げます。昭和26年9月に設立された豊島区商店街連合会が、今年で設立60周年を迎えました。この60年の間に、商店街を取り巻く状況は大きく変わりました。力をあわせて、いくつもの大きな波を乗り越えてきたことと思いますが、商店街を取り巻く現在の環境は、これまでになく厳しいものになっています。その一方で、未曾有の大災害である東日本大震災の発生後、商店街の地域で果たす役割に改めて光が当てられております。それは、商店街の持つ、単に商品を販売するだけではなく、人や地域をつなぎ、絆やコミュニティを育むという役割が再評価されたのであり、その重要性は、今後、ますます大きくなることと考えております。この商店街のパワーは、まとめる組織があってこそ、さらに大きなものとなるのであり、これこそが区商連の極めて重要な役割の一つであります。私はこれからも区商連が、そうした機能と役割を果たし、地域の発展のため、未来に向かって歩みを進めていっていただくことを大いに期待をしております。
一方、豊島区観光協会は、昭和36年に設立され、本年、設立50周年を迎えました。豊島区の歴史ある伝統や文化を捉え、観光資源の開発に努め、区民はもとより、外国人も含めた多くの来街者に親しまれるまちづくりに尽力されています。今年の11月5日・6日には、3月11日の東日本大震災により被害を受けた地域の支援を目的に、池袋駅西口を中心に「お国自慢イン池袋」と銘打ち、物産展を開催いたします。お国自慢のPRや郷土芸能の披露など、物産展の枠を超えた、かつてない規模での催しになると考えております。この物産展には、宮城県を初め、福島県、岩手県の市や町など27の自治体、団体が出店します。東北地方に安定した生活を取り戻すためには、経済的な支援を図ることが何よりも大切なのであります。巨大な集積地である池袋で物産展を行うことは、被災地への積極的な経済支援につながるとともに、全国に向けて希望と活力を発信することと考えています。震災や経済不況など、日本全体が沈下しつつある中、活力を創出させるためには、観光事業の振興が大きな役割を担っていると考えております。多くの観光客が訪れ、楽しめる豊島区を実現するためにも、区は観光協会と足並みを揃えて、積極的に観光事業を展開し、豊島区から日本全体の活力増進に寄与してまいりたいと思います。
次に、11月25日に装いを新たに行う、ビジネスネットについて申し上げます。この事業は、これまで広域の企業間交流による企業活動の活性化を目指して、豊島区、練馬区、板橋区、北区の4区が合同で、毎年1回行ってまいりました。現在、日本を取り巻く経済状況が景気低迷、円高、デフレという中で、販路の拡大は中小企業にとって喫緊の課題となっています。そこで、今回、この事業を販路拡大のための大商談会として装いを一新した上で、豊島区で開催をするものであります。このビジネスネット事業は、昨年4月にオープンし、各方面から高い評価をちょうだいしております、としまビジネスサポートセンターの新たな事業展開の一つとしても位置付け、としまビジネスサポートセンターで連携している巣鴨信用金庫のすがも事業創造センターや信金中央金庫などのご協力もいただき、まず、発注側企業を募り、その後、それら企業と商談を希望する企業を募るという手順を踏むことで、個別商談の場とし、多くの商談成立、販路拡大に結びつくよう、強力に支援してまいりたいと考えております。
次に、教育について申し上げます。まず、子どもたちの確かな学力向上を図る施策について申し上げます。本年4月に区立小・中学校で実施した区独自の学力・学習状況調査では、昨年を上回る向上が見られましたが、同時に、二極化への対応や、学力の定着に関する課題も明らかになってまいりました。そこで、確かな学力の着実な向上を支援するために、8月17日、18日と、私は教育長らとともに、秋田県能代市へ、教育事情等の視察に行ってまいりました。ご承知のとおり、秋田県は文部科学省が昨年まで進めてきた全国学力・学習状況調査において3年連続で全国第一位を確保している教育県であり、能代市は同県下でさらにトップを行くところであります。2日間にわたり、齊藤滋宣市長や須藤幸紀教育長を初め、多くの方と情報交換し、白神山地特産の秋田杉を活用したエコ校舎を視察するなど、豊島区の今後の学力向上や学校改築計画の推進に有意義な情報を得ることができました。教育委員会からは、さっそく能代市で得た学力向上策を活用し、8月22日から26日まで、公立幼稚園3園、小・中学校31校のそれぞれとヒアリングを行い、区独自の学力調査結果に基づく授業改善プランを作成したとともに、今後さらに、能代市との教育連携を進めていくことなどの報告を受けております。2学期以降の学力向上に一層役立つものと期待しています。
次に、学校図書館の活性化についてであります。教育委員会では、今年度、区立小学校で3校、区立中学校で1校を、学校図書館司書配置モデル校と指定し、蔵書の選定や整理、データベース化などの環境整備、また、読書活動・教科学習への支援などに取り組んでいます。学校図書館司書を配置した小・中学校からは、見違えるように学校図書館の蔵書の整理が進み、図書の貸し出し数が増えてきたなど、好評を得ていると聞いています。読書活動が充実し、学校図書館が活性化することは、歴史や文化、あるいは多様な先達と出会えることになり、児童・生徒に無限の知恵を授けることになります。その意味で、学校図書館司書の配置は重要な課題であると認識しております。そこで、児童・生徒の読書活動を一層推進させるため、モデル校の実績を検証しながら、区立小・中学校における学校図書館司書の全校配置を計画的に実施できるよう検討していくとの報告を受けております。学びの拠点としての学校図書館が、読書への魅力ある誘いの場となるよう、さらに積極的に支援してまいります。
窮乏した米沢藩を再建し、のちに江戸時代屈指の名君と称えられることとなる上杉鷹山は、17歳で家督を相続した際に、誰にも告げず、神社に誓詞を奉納しました。その最後には、次のようにしるされています。「決断、もしあい怠るにおいては、たちまち神罰を蒙るべきものなり。」鷹山は、この17歳の祈りの決意を生涯持続することで、米沢藩の再興をなし遂げました。これからの変化が厳しい社会にあっては、従来の延長線上に立った発想では解決できない課題に直面することがあると思います。そうしたとき、私たちは、常に先を見据え、自らを厳しく律しながら、進むべき方向を選択し、勇気を持って道を開きながら進んでいかなければなりません。
豊島区は来年度で区政施行80周年を迎えることになります。これまで、区民の皆さんと築いてきた実績を確かなものにするとともに、将来を見据え、次のステップへと展開していく重要な節目の年でもあります。私は、かつて未曾有の財政危機に直面したときに誓った決意を新たにし、今後とも課題解決に果敢に挑戦し、豊島区の進むべき道を切り拓いてまいりたいと考えております。議員各位のより一層のご協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
本日、ご提案する案件は、決算認定6件、補正予算3件、条例改正2件、その他7件、あわせて18件であります。各案件につきましては、後程、日程に従いまして、副区長からご説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜りますようお願い申し上げます。
以上をもちまして、私の招集あいさつといたします。