本日、ここに平成24年第三回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝申し上げます。
前回の招集挨拶で、環境省が策定する環境経営システム「エコアクション21」の認証に取り組むことについて申し上げました。7月9日・10日の両日に実施された本審査の結果、「ガイドラインに適合」との判定をいただき、8月1日に認証・登録をいたしましたので、ご報告申し上げます。
エコアクション21の認証取得は、安全・安心創造都市としてのセーフコミュニティ認証取得と同様、環境都市実現のゴールではなく、スタートであります。この取り組みをしっかり根付かせ、継続していくことが重要となります。持続可能な地域社会を作り、未来の子どもたちに価値あるまちを引き継いでいくことが、区制施行80周年を迎えた我々の責任と考えています。
1.平成23年度決算の状況について
それでは、初めに平成23年度各決算のうち一般会計歳入歳出決算について申し上げます。
平成23年度の一般会計歳入歳出決算額は、歳入が1,021億200万円で、収入率は94.9%、歳出は990億7,700万円で、執行率は92.1%となりました。
歳入決算額から歳出決算額を差し引いた形式収支は30億2,500万円、実質収支は18億100万円の黒字となりました。
過去10年間の決算では、収入率の94.9%、歳出の執行率の92.1%は、共に下から2番目に低い数値となっています。これは、繰越明許となった南長崎中央公園や池袋東口駅前公園横自転車駐車場などの施設整備事業の事業経費が合計29億7,600万円という大きな額になったことにより、収入率、執行率が抑えられたことによるものであります。繰越明許の影響を除いた場合には、収入率96.4%、執行率94.7%となり、歳入歳出ともに、ほぼ平年並みの率となるものであります。
次に、歳入の主なものについて、予算に対する決算の状況を申し上げます。
二大財源の特別区税と特別区交付金は、合わせた予算額が551億3,400万円であるのに対し、決算額は553億1,700万円と1億8,300万円の収入増となり、歳入決算額全体に占める構成比は54.2%となっております。
特別区債は、予算では36億9,300万円の発行を見込んだのに対し、13億8,300万円、37.5%の発行に止まりました。特別区債の発行額が減少したのは、事業進捗の遅れによって区債発行が次年度に延びたことによるほか、全般的に区債発行額を最小限に抑える工夫を講じた結果であります。今後も、可能な限り区債の発行を抑え、債務の縮小を図ることで、財政の健全化を推し進める区政運営を堅持してまいります。
次に繰入金についてであります。財政調整基金からの繰入れにつきましては、当初予算で予定した15億3,800万円全額の繰入れをいたしました。
一方、公共施設再構築基金と減債基金では、両基金のうちから財源対策として10億7,800万円の繰入れを見込んでおりましたが、決算全体の状況と次年度以降の歳入状況を勘案し、両基金からの繰り入れは中止いたしました。
次に、歳出の決算状況を、性質別区分で申し上げます。
まず、義務的経費についてであります。義務的経費の決算額は561億9,500万円で、歳出決算額全体に占める割合は56.7%となっており、前年度決算との比較では、31億2,700万円の増となっています。
義務的経費の約半分を占める扶助費は、生活保護費や子ども手当が伸びたことにより7億8,400万円、3.0%の増となり、人件費は、議員年金給付費負担金が増えたことなどによって2,900万円と、わずかですがプラスとなりました。
また、公債費は、特別養護老人ホーム・アトリエ村や三芳グランドの建設に係る区債が一部満期を迎え、償還額が、31億1,100万円と大きな金額となったことなどから、前年度比23億1,400万円の大幅なプラスとなりました。
次に、投資的経費の決算額は、92億7,000万円と7年ぶりに100億円を切り、前年度決算との比較では、38億9,000万円、29.6%の減となりました。これは、22年度に土地開発公社の長期債務償還が終了したことが大きな要因となっています。
一般行政経費は、決算額が336億1,200万円で、前年度比では、29億5,400万円、9.6%の増となりました。これは、国民健康保険をはじめとする特別会計への繰出金が6億1,200万円増加したことや、公共施設再構築基金への積立が17億5,400万円増加したことなどによるものであります。
次に、法に定める「財政健全化判断比率」については、4つの判断比率のいずれもが財政の健全性を示す数値となっております。
このうち、「実質公債費比率」については、唯一数値が入っていますが、いわゆる負の遺産であった土地開発公社の長期債務を平成22年度で解消させた上で、その後も継続的な起債抑制を行ってきたことにより、5.0%と、0.2ポイント数値を改善することができました。区民一人あたりに換算した実質債務額は平成11年の約33万6千円が23年度末では10分の1以下の約3万円にまで減少しており、確実に財政が健全な水準に戻りつつあると考えています。
東日本大震災から1年半が経過し、日本経済は、震災からの復興に伴う、景気のゆるやかな回復もみられるとの景況判断を見ることがあります。しかし、今後の日本経済の見通しは、円高・株安の解消が無い中、海外事情も含めて、不安定要因が多く、大変不透明な状態に置かれていると言わざるを得ません。
本区におきましては、既に、本年度の財政調整交付金が、8月の当初算定段階では当初予算見込みを5億6,000万円程度下回るなど、今後の歳入全般については、厳しい見方をせざるを得ない状況にあります。
従いまして、かつてのような危機的な財政状況に再び陥ることを防ぐためにも、25年度以降の財政運営は、これまで以上に極めて厳しいかじ取りが必要で、健全財政を維持するための正念場であると認識しております。
そのためにも、現在全庁をあげて取り組んでいる様々な「総点検」を徹底的に進めることなどにより、次年度予算の財源確保にとどまらず、中期的にも計画的で安定的な財政運営が確保できるよう更なる見直しを進め、健全な財政を維持するよう、今後も努力をしてまいります。
そして、新庁舎への移転をスムースに迎えられるよう、改革に邁進し、区民のみなさんから頼られる区政を実現してまいる所存であります。
2.安全・安心創造都市の推進について
次に、安全安心創造都市の推進について申し上げます。
首都直下地震をはじめ東海・東南海・南海の連動型巨大地震の発生までが懸念され、区民のみなさんを守るための対策が急務となっています。
特に、木造住宅密集地域が四割を占めるという本区の都市構造上の脆弱性を克服することは、区民のみなさんの生命や財産を守っていく上で、早急に取り組まなければならない課題であることを、これまでも強く認識してまいりました。
そこで、東京都の「木密地域不燃化10年プロジェクト」を活用すべく、精力的に都に働きかけてまいりましたが、8月31日に、「東池袋四・五丁目地区」が「不燃化特区」の先行実施地区に選定されました。
10年プロジェクトのもう1つの柱である都市計画道路の特定整備路線の指定については、都市構造を抜本的に改善できる大変重要なものと認識していましたので、候補区間に選定されるよう、これもあらゆる機会を利用して働きかけてまいりましたところ、豊島区内の木密地域にある7区間の全ての路線が選定されました。23区全体で、23区間・23キロメートルが選定された中で、本区に関係した部分は、全体の3分の1を占めるものであります。
こうした結果が出たことは、豊島区のこれまでの防災街づくりに対する積極的な取組姿勢が評価されたものと考えていますが、当然のことながら、「都施行の路線整備なので都任せにする」という訳にはまいりません。
すでに都市整備部には、「特定整備路線沿道まちづくりプロジェクトチーム」を発足させ、組織横断的な体制を整えるなどの準備を進めています。また、事業が展開していく過程では東京都との連携が不可欠でありますが、本区が積極的な姿勢を示したことにより、すでに8月には、本区と第四建設事務所を中心にした都の関係課で構成された、連絡調整会議が発足するなど、東京都との強力な連携体制を構築することができています。
東京都との連携を深める一方で、地域のみなさんのご理解をいただくことも極めて重要であると認識しておりまして、これにつきましても、強固な都区協働体制を整え、区民のみなさんと沿道まちづくりを考えながら、特定整備路線の指定を確実なものにしていきたいと考えています。議員各位におかれましても、ご協力を頂きますようお願いいたします。
昨年3月に開通した立教大学南側の補助172号線、通称「西池袋通り」では、東京都の道路整備に併せて区が沿道まちづくりを展開したことで、魅力と賑わいある街並みを形成することができました。
こうした成功事例を踏まえた上で、今回の特定整備路線の指定を契機として、さらに、安全・安心創造都市の実現に向けて努力をすれば、10年後の豊島区は、街の姿を一変させる程、大きく飛躍するものと確信しております。
次に、防災訓練について申し上げます。
防災の日である今月1日、昨年同様、都内の国道・都道の約120所で一斉に交通規制を行う訓練が都と警視庁により実施されました。豊島区内では、白山通りが400mにわたって規制され、カーリフトを用いた車両移動訓練等が、また川越街道の「池袋六ツ又陸橋から川越交番前まで」では車両規制が行われましたが、大きな混乱もなく訓練を終了することができました。
一方、豊島区では、10月14日に実施する総合防災訓練において、区のすべての職場が参加する「全職場訓練」を行います。
これは、東日本大震災の教訓を踏まえた防災対策の充実強化に取り組む中で、「豊島区業務継続計画(BCP)」を本年5月に策定し、現在、各職場ごとにBCPマニュアルの作成に取り掛かからせておりますが、このBCPマニュアルを具体的に検証するとともに、より実効性の高いものとするために行う訓練であります。
本庁舎・分庁舎はもちろん、出先職場も含め、原則としてすべての職場から合わせて約400人の職員を参加させて、地震発生直後から数時間程度の初動期の対応を確認したいと考えています。
当日は、こうした訓練に加えて、南池袋小学校・明豊中学校の2か所で、救援センターの合同訓練を実施します。会場校では、地元の地域防災組織、警察・消防・自衛隊等の関係機関、防災協定を結んでいる事業所など、幅広い関係者の参加をいただき実動的な訓練といたします。
また、同時並行的に災害対策本部の運営訓練を行いますが、区全体で取り組む正に総合的な防災訓練にしたいと考えています。
さらに、11月20日には、池袋駅において帰宅困難者対策の大規模な訓練を実施いたしますが、民間事業所による従業員の帰宅抑制、商業施設や鉄道事業者による利用者の一時保護、リアルタイムでの情報交換、一時滞在施設の運営訓練など、これまで以上に内容の充実を図った訓練にしたいと考えています。
訓練当日は、総務省消防庁の「住民への災害情報伝達手段多様化実証実験」を行うことも予定しています。これは、総務省が、全国から63に上る自治体の応募がある中から、豊島区を含めた6団体だけが選定され、災害情報を伝達する手段の多様化を確保するシステムモデルの作成について、実証実験を行うものであります。
Jアラートと呼ばれる全国瞬時警報システムの緊急情報と区の災害対策本部が発信する情報とを、様々な媒体を通じて一斉に情報伝達する仕組みを構築することにより、最終的には豊島区内全体で、迅速に災害情報を届けることができる体制を整え、新庁舎の防災システムの向上にも反映させてまいります。
当区がセーフコミュニティの認証都市にふさわしい「防災モデル都市」として全国にアピールしていく絶好の機会であります。訓練参加者を広く公募いたしますので、区民のみなさんには、ふるって参加していただきたいと考えています。
次に、セーフコミュニティについて申し上げます。
WHOによるセーフコミュニティの認証を、日本国内で5番目、東京都内では最初の団体として取得することにあわせ、10月2日、国内の認証都市のトップと各界の専門家のみなさんにお集まりいただいて「セーフコミュニティ・サミット・イン・としま」を開催します。
地震災害への備え、高齢者の安全、子どもの安全をテーマにそれぞれの分野の第一人者を座長に、また、第一線で活躍されている専門家をパネラーにお招きし、都市、コミュニティ、家庭などの視点から具体的な事例を中心に話し合いをしていただきます。その後、基調講演として、初代内閣安全保障室長を務められた佐々淳行氏にお話しを頂き、セーフコミュニティ認証取得6都市の首長によるサミット会議を開催することとなっています。関係団体との連携を深め、さらに大きく歩みを進めながら、11月28日からは、認証式、そして、アジア地域セーフコミュニティ会議を迎えたいと考えておりますので、一層のお力添えを賜りますようお願いいたします。
また、10月7日にはセーフスクールの現地審査が行われます。朋有小学校のセーフスクールの認証取得を同時に祝えるよう、全力で朋有小学校を応援してまいります。
3.教育について
次に、教育について申し上げます。
教育の基本は、確かな学力の向上にあります。
全国学力調査は、抽出された小学校4校のみによる調査でしたが、これによれば豊島区は東京都の平均を大きく上回り、全国的にも好成績だったとのことであります。
また、区独自の学力調査でも、本区の児童・生徒の学力は、引き続き「高い水準」にあり、これは、小学校3年生以上の全員を対象に、毎年実施し、3年間に及ぶ一人ひとりの学習履歴を活用してきた本区ならではの成果であります。
授業改善ヒアリングの陣頭指揮に当たった三田教育長からは、「年を重ねるごとにテスト結果の分析、評価の精度が向上し、授業改善が進んでいる。授業改善に成功している学校ほど、学力向上が顕著になっている」と、聞いておりますが、一方で、教科によっては、「定着が不安定」な内容や分野があることも明らかになりました。
今後、教育委員会では、学力日本一の秋田県能代市と更なる教育連携を推進し、11月11日には、授業改善に意欲的に取り組んでいる教員を選抜して、能代市で開催される秋田県学力向上シンポジウムに派遣する予定とのことです。私も教育長と共に、能代市長や教育委員会、学校関係者と精力的に意見交換を行い、豊島の子どもたちの学力向上に繋がる支援をしたいと考えています。
次に、いじめ問題について申し上げます。
いじめに関連したニュースを聞くたびに、心が痛みます。平成18年度に豊島郵便局の消印が残された「いじめ自殺予告」のことを忘れることができません。
いじめ問題は、人権問題であり、犯罪に繋がる危険性があることから、たとえ学校の中で生じた行為であっても、すべて学校だけで解決しようとせず、早い段階から児童相談所や警察、民生児童委員、人権擁護委員、地域の方たちなど、第三者の協力を得て、社会全体で対応すべきであると考えます。
本区では、文部科学省や東京都教育委員会のアンケート調査を生かし、教育委員会と学校が夏休みを返上しての迅速な指導に当たり、区内公立校の現在のいじめ認知件数53件のうち34件63%を既に解決し、継続・見守りとする案件も解決の見通しを持って指導していると報告を受けております。
また、教育委員会では、2学期から、子どもたちに対して、最低限これだけは守ってもらいたい生活や学習のルールやきまりを「豊島の子七(しち)か条」として標語にし、いじめ防止の周知徹底を図っております。
さらに、このいじめ問題の重大性に鑑み、8月28日、私は、三田教育長と連名で、いじめ根絶に向けた強い思いを、「人に優しく、思いやりにあふれる町にしよう」というアピール文として書面にし、子どもたち、そして保護者のみなさんに、いじめ撲滅を呼びかけました。
いじめ問題は、子どもの世界だけの問題ではなく、むしろ大人社会が子どもに範を示すべき課題であります。いじめは絶対にゆるさないという強い信念をもって、教育委員会と協働し、区を挙げていじめ根絶に向けて取り組んでまいります。
次に、本区が計画的に進める学校改築について申し上げます。
8月26日、400名近い参列者が一堂に会し、西池袋中学校の新しい校舎の落成をお祝いいたしました。それに続いて行われた内覧会でも、「すばらしい校舎ができた」というお褒めの言葉を数多くお寄せいただくなど、待望の地域の学校が、完成したことに対する地域のみなさんの喜びと期待の大きさを、改めて実感したところであります。
これからの学校改築にあたっては、第一に、地域の声と英知を丁寧に聞き取り、改築計画策定に生かしていくことが重要です。学校、PTA、地元町会などの代表からなる「西池袋中学校の改築を考える会」では、実に19回に及ぶ協議を重ね、地域から高い評価を受ける校舎の完成に繋がりました。
第二に、学校改築では、緑の保全を基本方針とすることであります。既存の樹木は可能な限り残し、壁面を緑化するとともに、周囲の緑や街並みや文化と調和した学校環境整備の創出が重要です。
第三に、学校は緊急時の地域防災の拠点であることを再認識し、強化することです。東日本大震災の教訓を踏まえ、防災倉庫、トイレ、資機材などの拡充を図るとともに、救援センターとしての機能を充実させ、地域に信頼される防災拠点となるよう整備してまいります。
今後、改築が引き続く、目白小学校、池袋第三小学校、そして、池袋本町地区小中連携校の学校改築におきましても確実にこれらを継承し、私たちからバトンを受ける子供たちには、素晴らしい環境で学んでもらいたいと考えています。
4.福祉施策の展開について
次に、福祉施策の展開について申し上げます。
千川小学校跡地と中央図書館跡地の2か所における特別養護老人ホームの整備に向け、事業者を選定する作業が大詰めを迎えています。
社会福祉施設の運営に実績を有する多くの社会福祉法人が、全国各地から様々な工夫をこらした提案をしています。2か所の跡地に、それぞれどのような福祉施設の姿が望ましいか、専門家や地域のみなさんの意見を踏まえつつ、慎重に選定の作業を進めているところであります。現在の予定では、10月の初旬には、議会や区民のみなさんに、事業者選定の結果をご報告したいと考えております。
今後、建設にあたっての説明会、施設整備はもちろん運営が始まってからも、大切な福祉の拠点となる2つの特別養護老人ホームが区民のみなさんに喜ばれ信頼される施設となるよう、事業者に対して積極的に働きかけてまいります。
5.文化施策の展開について
次に、文化施策の展開について申し上げます。
「池袋の文化の顔」のひとつである東京芸術劇場は、平成2年の開館以来21年が経過した昨年4月から1年5か月を掛けて全面改修の工事を行っていましたが、9月1日にリニューアル・オープンしました。
入口アトリウムが一変するとともに、土・木・鉄などの素材感を豊かに加え、空間イメージが変わりました。さらに大小4つのホール・劇場は、それぞれ独特の表情をもつ空間となりました。
9月1日から9日までのオープニングウィークでは、駅前広場や西口公園等で多種多様なパフォーマーによる「集まれ!池袋みんなの大道芸」が開催され、多くの人々で賑わいました。
東京芸術劇場は、欠くことができない豊島区の大切な文化のパートナーであり、この芸術劇場リニューアルと区制施行80周年が重なることは、池袋西口というまちの更なる発展を期する正に千載一遇の機会であります。
そこで、劇場と一体となって、芸術・文化を軸としたまちの賑わいの創出につながるよう、地元のみなさんとともに検討を重ねながら、池袋西口公園にトピアリーを設置するための整備を進めてまいりました。その公園整備が、芸術劇場のオープニングセレモニーに先だって披露されました。西口公園整備の第一歩として、今後のトピアリーの緑の成長を楽しみにするとともに、快適な居心地を創出できるような公園にしたいと考えています。
11か月を掛けて改修された南大塚ホールで1日から3日まで区制施行80周年を記念した「トキワ荘の夏」の上演が、好評のうちに終了しました。
また、9月1日夜には、大塚阿波踊りが行われました。区制施行80周年を迎えた今年、大塚阿波踊りは40周年を迎え、区役所連も総勢120名が参加するなど、大いに盛り上がりました。同じ頃、豊島公会堂では、男女平等推進センター開設20周年記念とがん検診受診勧奨事業としてジャズシンガーの綾戸智恵さんによるトークライブが行われ、軽妙な話術と素晴らしい歌声に超満員の客席から割れるような拍手をいただきました。
9月22・23日、ふくろ祭りの前半として、池袋西口駅前や西口公園を中心に、30基余りの御輿(みこし)による、見ごたえある御輿大パレード「御輿の祭典」が実施され、10月6・7日には、ふくろ祭り後半として「踊りの祭典」が開催され、「東京よさこいコンテスト」が行われる予定です。
続いて、10月27日から、国際舞台芸術祭「フェスティバル/トーキョー」が開催されます。過去4回の観客は、延べ22万人にのぼり、東京、日本を代表する演劇祭として成長しています。
この東京芸術劇場及び「あうるすぽっと」における舞台芸術の各種公演や演奏会、フェスティバル/トーキョーやアジア舞台芸術祭の催しを一体的にアピールし、地域活性化に寄与するものとして国庫補助金1億6,930万円が交付されることとなり、この度の補正予算に計上いたしました。
このフェスティバルを通してより多くの人々が交流し、現代社会が希求する生きる力や新たな価値を創出する機会となることを願っており、世界に向けて発信される舞台芸術の魅力が、豊島区の魅力と合わせて一人でも多くのかたにメッセージとして届けられるよう、成功に向け、豊島区をあげて取り組んでまいります。
次に、鈴木信太郎氏の旧邸について申し上げます。
元東京大学教授で、フランス文学研究の第一人者として、ボードレールの「悪の華」の翻訳でも高名な故鈴木信太郎氏の東池袋五丁目の旧邸は、平成22年この土地・建物の相続者である信太郎氏の次男の鈴木道彦氏より、区に寄贈をいただきました。
これまで、今もなお昭和初期の趣を残す建物について区の有形文化財指定の手続きを進めるほか、信太郎氏の遺した文献や書籍の分類・調査も進め、豊島区の新たな文化拠点として整備するための活用方法等について道彦氏や関係するみなさんと協議を続けてまいりました。
この度、開設に向けての作業スケジュールがまとまりましたので、建物調査、保存・活用のための基本設計等の経費を補正予算に計上しました。
今後は、文化財として建物の保存を行うとともに、地域の貴重な文化資源として平成26年度に区民のみなさんに公開できるよう、万全を期してまいりたいと考えております。
6.地域区民ひろばについて
次に地域区民ひろばについて申し上げます。
平成18年に9地区で区民ひろばの本格実施を開始してから、本年で7年目を迎え、現在18小学校区22施設で区民ひろばを展開しております。区民の皆さんにとっての憩い、活動、交流の場として、年間約12,000件の事業を実施し、延べ約67万人の方にご利用いただくなど、各地域で区民ひろばの活動が確実に認知され、定着してきたと考えています。
この間、各地区には区民のみなさんによる区民ひろば運営協議会が設置され、事業の企画、実施をしていただいてきました。施設の管理運営については、池袋本町運営協議会が、NPO法人化を図り、先陣を切って昨年2月から自主運営を開始しましたが、この流れは確実に他地区にも及び、富士見台、高松がすでにNPO法人の申請を行っており、24年度中に自主運営を開始できるものと考えています。
また、区民ひろばはセーフコミュニティの拠点としても位置付けられ、幅広い年齢層の区民のみなさんに情報や学習機会を提供するなど、セーフコミュニティ活動を広げる役割りを果たしているところであります。
このような幅広い活動に対して国内外からの関心も高く、9月4日には、連合西北ブロック地協地方自治研修会のみなさんが、区民ひろば富士見台でのセーフコミュニティ認証に向けた取り組みについて、また9月13日から15日にかけて、台湾台北市(たいぺいし)文山區(ウエンシャンく)からセーフコミュニティの視察団がお見えになり、区民ひろば池袋本町、上池袋などを視察されました。
こうした中で、区民ひろば未開設の4つの小学校区のうち、仰高小学校区では駒込区民集会室を転用し平成25年度から、目白小学校区では児童館を転用して平成27年度から、さらに、要小学校区は現在、旧要町第一児童館で暫定的に区民ひろば事業のみを行っていますが、平成27年度に西部地域複合施設が完成した折に移転し本格実施するとしておりますので、残るのは豊成小学校区となっていました。
豊成小学校では、子どもスキップ豊成を校舎内型での開設を急ぐこととし、今回の補正予算に関係経費を計上いたしました。したがって、平成27年度には児童館を転用することにより、豊成小学校区に区民ひろばを開設することができることとなり、あと3年強で全ての小学校区で区民ひろばが展開されることとなります。
今後とも、区民ひろばを地域コミュニティ、セーフコミュニティの拠点として、地域社会の安全安心の確保や区民のみなさんの参加と協働による自発的なまちづくりを発信する地域に愛される施設として、機能の拡充を進めるとともに、運営協議会による自主運営を支援してまいりますので、一層のお力添えをお願いいたします。
7.区政施行80周年記念について
次に、区制施行80周年記念について申し上げます。
本年度は80周年イヤーとして様々な事業を展開してまいりました。9月以降の催しについては、先ほど来申し上げてまいりましたが、10月1日は、80年前に区制が施行された当日であり、まさに頂点を迎えます。
10月1日は、午前中が公会堂で「区功労者表彰式」、午後は先ほどの東京芸術劇場のコンサートホールに、2,000人の方をお招きして、「80周年記念式典」、そして夜は友好交流都市の市長さんなどとの懇親会が開かれます。
また、記念事業として、元拓殖大学教授・故松浦千誉氏が収集され、平成22年にご遺族から寄贈いただいた6,000点を超えるふくろうコレクションの中から約1,000点を厳選し、10月1日から7日にかけて東京芸術劇場で特別展示を行います。
翌2日は、午後から「セーフコミュニティサミット」、夜は「区制施行80周年記念祝賀会」を開催する予定です。
このように、9月以降は豊島区始まって以来と申し上げても過言ではないと考えていますが、正に目白押しのスケジュールが続きます。
先人から受け継いだバトンを次世代に引き継ぐだけでなく、環境をはじめ、都市再生、文化、福祉、そして将来を担うランナーを育てる教育など、いま私たちの手に託されている大切な"バトン"を、より豊かで価値あるものへと高め、そして安全安心創造都市の実現をより確かなものとして、引き継いでいくことは、中継ランナーとして今を生きる私たちの責務であります。
これまで先人が培ってきた歴史や文化など豊島区のまちづくりを総括するとともに、セーフコミュニティの認証取得を契機に、これまで豊島区が取組んできたわが区の政策をさらに革新的な方向に転換させていくことが望まれます。そのためには、日々十分に力を蓄えて、努力の積み重ねによってこれを成し遂げてまいります。
執務室に掲げている私の言葉があります。
「夢をもとう。それが未来を切り拓く。」であります。
区長就任以来、明日をも見えない厳しい財政状況の中で、幾度となく押しつぶされそうになるたびに、自分自身に言い聞かせてきました。
今、豊島区は、文化創造都市、セーフコミュニティの世界認証取得など、これまでの施策が大きく実を結ぼうとしている中、新庁舎、西部地域複合施設、都市計画道路の整備など、枚挙にいとまがない程、豊島区の姿を大きく変貌させる要素が集中する千載一遇の機会を迎えています。
これまで、招集挨拶の最後で様々な格言をご案内してきましたが、本定例会は、会期中に80周年記念を迎えるという重要な節目に開催されることから、特別な想いも込めて私自身の言葉を紹介させていただきました。
私は、80周年を機に、次の10年にさらに飛躍を迎えられるよう、豊島区の進むべき道を切り拓いていくために、粉骨砕身努力する覚悟であります。
議員各位のより一層のご協力を賜りますようお願い申し上げます。
本日、ご提案する案件は、決算認定4件、補正予算4件、条例改正2件、その他7件、合わせて17件であります。
各案件につきましては、後ほど日程に従いまして、副区長からご説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜りますようお願い申し上げます。
以上をもちまして、私の招集あいさつといたします。