平成27年第3回区議会定例会招集あいさつ

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 本日、ここに平成27年第三回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝申し上げます。


 今月10日、北関東や東北における記録的な豪雨により、栃木県や宮城県の河川で堤防が決壊し、大変大きな被害が出ました。


 今回の災害で亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された多くの皆様に対しまして心からお見舞いを申し上げます。


 東京は水害に弱いと言われ、都市型水害対策の強化が叫ばれる中、鬼怒川流域等における今回の災害は決してひとごとではありません。


 本区の洪水ハザードマップでは、神田川沿いやかつて川であった地域を中心に、区内全域にわたって、水害の発生が想定されておりますが、関係機関と密接に連携して神田川や下水等の施設整備を推進するとともに、発災時における避難指示等の判断基準や、身を守るための行動基準などについて詳細な点検を行い、なお一層の安全・安心なまちづくりに向けて、緊張感をもって不断の努力を傾注してまいります。


 期せずして今年の11月、10年ぶりに豊島区において防災サミットを開催いたしますので、14自治体の連携強化にも努めてまいります。


1 平成26年度決算について


 それでは、初めに平成26年度各会計決算のうち、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。


 平成26年度の一般会計歳入歳出決算額は、歳入が1,323億5,300万円で収入率は97.1%、歳出は1,295億7,900万円で執行率は95.0%となっております。


 前年度と比較いたしますと、歳入は275億7,300万円の増で26.3%のプラス、歳出は275億400万円の増で26.9%のプラスとなっており、それぞれ過去最大の決算規模であります。


 歳入決算額から歳出決算額を差し引いた「形式収支」は27億7,400万円となり、形式収支から翌年度への繰越額8億円を差し引いた「実質収支」は19億7,400万円の黒字でありますが、前年度の実質収支26億5,600万円と比較いたしますと6億8,200万円の減となっております。


 なお、歳入と歳出がともに大幅な増となり、過去最大規模の決算額となりましたのは、再開発組合に支払う(新庁舎建設に伴う保留床等購入経費)136億円が歳入・歳出予算を大きく伸ばしたこと、また、庁舎等建設基金の一般会計運用金の償還金110億円も歳入・歳出決算額の伸びの要因であります。


 次に、主な歳入について申し上げます。


 まず、特別区税は、対前年度比では、軽自動車税、特別区たばこ税、狭小住戸集合住宅税のすべての税目で、合わせて3億2,200万円の減収となったものの、特別区民税が6億9,100万円の増収となり、決算額は302億2,900万円で対前年度比3億6,900万円、1.2%のプラスであります。


 また、特別区交付金も、10億7,200万円、3.7%プラスの303億900万円となり、特別区税と特別区交付金の二大財源の収入額は、合わせて605億3,800万円と、平成20年度以来、6年ぶりに600億円を超え、その規模は平成元年度決算の633億1,300万円に続く過去2番目に大きなものとなり、歳入決算全体の45.7%を占めています。


 地方消費税交付金の決算額は52億5,300万円で、昨年4月から消費税率が8%に引き上げられた影響により、対前年度比で8億400万円、18.1%のプラスとなっております。


 繰入金については、新庁舎の建設に伴う保留床等購入など例年と違う特殊要因により対前年度比で233億円、489.2%という非常に大きなプラスとなる280億6,300万円となりました。


 特別区債は、30億6,300万円の発行となり、前年度の発行額3億1,000万円と比較して27億5,300万円の大幅な増となりました。これは、目白小学校、池袋第三小学校、池袋本町地区小中連携校の3校の学校改築が重なったことなどによるものであります。


 次に、歳出の状況について性質的区分で申し上げます。


 まず、義務的経費については、決算額が518億5,000万円であり、前年度との比較では4億2,100万円、0.8%のプラスで、歳出決算額全体に占める割合は40.0%となっております。


 その内訳ですが、まず、人件費については、職員給与費が減となっているものの、退職手当が増となったことなどにより、2億400万円、1.0%のプラスとなりました。


 扶助費についても、「臨時福祉給付金」や「子育て世帯臨時特例給付金」といった臨時的な給付金が支給されたことなどにより、11億6,000万円、4.3%のプラスとなっております。


 一方、公債費は、これまでの起債抑制の効果があらわれ、9億4,300万円、21.0%のマイナスとなりました。


 投資的経費については、決算額が293億6,000万円、前年度との比較では168億1,900万円、134.1%の大きなプラス、歳出決算額全体に占める割合は22.7%となっております。投資的経費が大きく伸びたのは、新庁舎の保留床等を購入したことに加え、3校の学校改築が重なったことなどが要因であります。


 一般行政経費の決算額は、対前年度比で102億6,300万円、26.9%のプラスとなる483億7,000万円で、構成比は37.3%となりました。これは、庁舎等建設基金の運用金償還金が大幅な増となったことなどによるものであります。


 次に、主な財政指標について申し上げます。


 法により公表が義務付けられている「健全化判断比率」で申し上げますと、まず、「実質公債費比率」については、起債発行の抑制に努めてきたことなどにより、前年度から2.8ポイント改善して早期健全化基準のプラス25%を大きく下回るマイナス0.9%となり、指標を公表して以来7年連続の改善となりました。


 また、「将来負担比率」についても、マイナス52.1%となり、早期健全化基準のプラス350%を大幅に下回っております。


 さらに、財政構造の弾力性を示す「経常収支比率」については、前年度から1.0ポイント改善して78.8%となり、3年連続で23区の平均値を下回り、いずれの指標も適正な範囲内におさまっております。


 次に、基金残高と起債残高について申し上げます。


 公債費という弾力性に乏しい経費の縮減に努め、一方で財政体力を蓄えるため基金の積み増しを行う財政運営に努めた結果、平成25年度決算において、平成2年度以来23年ぶりに基金残高が起債残高を上回る良好な決算状況となったわけでありますが、平成26年度決算では、新庁舎の保留床等購入のため、136億円の基金取り崩しを行ったことにより、基金残高の方が起債残高を下回る結果となりました。しかしながら、今年度末には、旧庁舎跡地の活用収入191億円が入りますので、平成27年度決算においては、再び基金残高が起債残高を上回ると見込んでおります。


 ただ今申し上げましたように、一時的な基金残高の減少があるものの、平成26年度の決算における主要な財政指標が示すとおり、本区の財政構造はその体質がより一層改善されたと捉えることができます。


 今後も計画的かつ安定的な財政運営を念頭に置き、健全財政を継続してまいる所存であります。


2 マイナンバー制度への対応


 マイナンバー制度への対応について申し上げます。


 いよいよ10月5日にマイナンバー法が施行され、区民の皆さん一人ひとりに、番号をお知らせする通知カードの発送が始まります。


 来年1月からは、マイナンバーカードの発行と制度の運用が始まります。このため、今定例会に独自利用事務に関する条例案や関連する手数料条例、印鑑条例の改正案、システム改修経費に関する補正予算案などを提出し、着実に準備を進めているところであります。


 内閣府が9月に公表した世論調査の結果では、マイナンバー制度の内容まで知っている人の割合は、未だ43.5%に留まっており、本区においても一層の制度周知が必要と考えております。


 すべての地域区民ひろばでのマイナンバー説明会、区政連絡会での周知、町会回覧・掲示板を活用した地域での周知に加え、区ホームページや、全戸配布する広報としま特集版など、また、9月15日には、マイナンバー専用のコールセンターを開設するなど、様々な手法で制度の周知に努めているところであります。


 区民の皆さんの不安や疑問に丁寧にお答えしながら、ITの活用による公平・公正で便利な社会を築く基盤となるマイナンバー制度が、円滑に開始されるよう、努力を払ってまいります。


3 都市再生について


 都市再生について申し上げます。


 まず、特定都市再生緊急整備地域の指定について申し上げます。


 7月24日に内閣府から池袋駅周辺地域が法に基づく“特定都市再生緊急整備地域”に指定されました。7月27日、「池袋駅周辺地域再生委員会」を開催し、指定後のまちづくりについて、意見交換を行いました。


 日本大学教授の岸井委員長は、「他の地域を意識しながら、関係者の様々なネットワークを使って世界に発信することが必要。アート・カルチャーはハード整備だけでなく、コンテンツを作り出すことが非常に重要になるので、これらを連携させながら池袋らしい都市再生を行っていく。」とまとめてくださいました。


 また、9月3日には、西武鉄道が旧本社ビルの建替えに関する都市再生特別措置法に基づく民間都市再生事業計画の認定申請を国に提出しました。この計画は、オフィスビルの建替えによる都市機能の更新を図るとともに、公開空地や西武池袋線をまたぐビル内デッキの整備による災害時の一時滞留スペースなどの防災機能の強化や歩行者ネットワークの強化を実現し、池袋の魅力や活力を向上させ、東京の都市再生に貢献するものとなるもので、10月の中旬には、国土交通大臣から認定がなされるものと考えております。


 そのほか、「池袋駅西口駅前街区のまちづくり」では、現在、コンサルタントや事業協力者選定に関する手続きを進めており、本年中の準備組合設立に向け準備が着々と進んでおります。


 さらに、1年後の平成28年秋に、さいたま市への移転が決まっている造幣局の跡地活用に関しては、本年4月、造幣局と事業を実施する都市再生機構、豊島区の3者で基本的な事項を定めた協定を締結し、本定例会におきまして、防災公園街区整備事業と防災公園整備費の債務負担についての議案を上程しております。


 区内で最大となります1.7ヘクタールを有する防災公園は、平成31年の完成を目指すとともに、市街地部分につきましても、教育研究機関や木造住宅密集地域の解消に資する用地として、区が主体となり都市再生機構とともに地域に貢献するまちづくりを進めてまいります。


 次に、グリーン大通りのオープンカフェなど、国家戦略特区の活用について申し上げます。


 8月28日に国家戦略特別区域が拡大され、ようやく本区も国家戦略特区による規制緩和メニューの活用が可能となりました。


 今後、グリーン大通りで、エリアマネジメントによる道路法の特例を活用し、オープンカフェやマルシェの常設運営を目指します。


 常設化に向けて、本年10月には第3回目の社会実験を行う予定ですが、これまでの区主導から脱し、今回は、地域が主体となって運営する方法で進めており、エリアマネジメント組織の構築を進めながら、さらなる賑わい空間の創出を行っていきたいと考えております。


 また、旧庁舎跡地活用事業では、民間都市再生事業計画の認定に係る都市再生特別措置法の特例の活用を想定しています。この特例を受けることができれば、認定を受けた民間事業者に対する金融・財政支援が可能となるとともに、旧庁舎周辺開発が国家的プロジェクトとして広く認知されることになると考えております。


 さらに、旧庁舎周辺の中池袋公園や区道などにおいても、建物完成後にオープンカフェやマルシェの運営が可能になれば、周辺エリアのにぎわいの創出に寄与するものと考えています。


 次に、旧庁舎跡地の活用事業について申し上げます。


 去る7月31日、優先交渉権者として選定した「東京建物株式会社」ほか2社で構成されるグループと基本協定を締結いたしました。


 基本協定は、今後の協議をより円滑に進めるために、役割分担や具体的な手続き等を定めたものであり、これにより本年度末の定期借地権設定契約等の締結に向けて、本プロジェクトは着実に前進しております。


 現在、事業者からの提案をベースに、新ホールの諸室のレイアウトや建物全体の外観などの基本設計協議を、区と事業者、関係各機関と精力的に進めています。


 また、区が整備する新区民センターについても設計協議を進めておりますが、区民の皆さんの利用に柔軟に対応できるよう、500席の平土間ホールに加えて、160席程度の小ホールも新たに備えるほか、2、3階には、大規模なパブリックトイレを整備し、周辺を回遊する皆さんが安心して気軽に楽しめるよう街全体で来街者のおもてなしを行う環境を整備いたします。


 特に、消滅可能性都市から持続発展都市へ向けた取り組みの大きな柱である「女性にやさしいまちづくり」の一環として、F1会議からもご提案いただきました若い人からお年寄り、子ども連れや障害者の方など、あらゆる世代の女性たちが安心かつ快適に利用できるトイレや、それに併設するパウダールームなど諸施設を充実させたいと考えています。おそらく、このような構想は日本では初めてではないかと思います。


 さらに、一階では、近隣で行われるすべてのイベント情報を集約し、チケットも入手できる総合インフォーメーション、チケットセンター等も検討しております。


 オフィス棟、新ホール棟、新区民センターを路上デッキでつなぎ、一体的な連携によるにぎわいと周辺商業施設との連携により、旧庁舎エリア全体で年間1,000万人を集客、世界中から人を招きいれる開発を行い、池袋全体の再生を図っていきたいと考えています。


 以上申し上げた検討内容は、先日の副都心委員会でもご報告申し上げたところであり、今後、区民の皆様にもご説明してまいりますが、旧庁舎跡地周辺は、「8つの劇場」から圧倒的なにぎわいを生み出し、「国際アート・カルチャー」のまさに「顔」となる、国際的な文化にぎわい拠点であるとともに、女性が快適に過ごせる「女性にやさしいまちづくり」を象徴するエリアともなっていくものと確信しております。


 その他、池袋を中心に、まちづくりの構想が進んでいるエリアがいくつか出てきておりまして、権利者や民間事業者のまちづくりへの機運が高まってきていることを実感しています。


 この機を逃がさず、しっかりと国際アート・カルチャー都市に向けてのまちづくりを進めてまいります。


4 持続発展都市


 次に、持続発展都市に向けた取り組みについて申し上げます。


 まず、女性にやさしいまちづくりについて申し上げます。


 切れ目のない子育て支援を行う“鬼子母神プロジェクト”の充実を図る、「ゆりかご・としま事業」が7月にスタートし、順調に進展しております。


 すべての妊婦を対象として、不安を軽減し、安心して出産を迎えていただくために助産師、保健師がお話を伺う「ゆりかご面接」、出産された方を対象として、子ども家庭支援ワーカーが初めての子育て、赤ちゃんとの接し方などの相談に乗る「おめでとう面接」は、事業開始後、多くの方にご利用いただき、喜ばれております。


 出産前から、子育て期間中まで、切れ目のない子育て支援を充実させ、安心して子育てしてもらえるまちづくりを進めてまいります。


 次に、としま100人社長会について申し上げます。


 としまF1会議の提案を受けて、企業トップの意識改革を通じてワーク・ライフ・バランスの推進を図る「としま100人社長会」を10月20日に開催いたします。


 去る7月21日、そのキックオフイベントとして「としまWLB(ワーク・ライフ・バランス)ネットワークミーティング」をセンタースクエアにおいて開催しました。


 10月の「100人社長会」には、より多くの経営トップの皆さまにご出席いただいて、女性が活躍するまちづくりが前進するきっかけとなることを期待しています。


 次に、リノベーションスクールについて申し上げます。


 9月4日から6日にかけて、旧庁舎をメイン会場として第2回目となる「リノベーションスクール・アット豊島区」が開催されました。


 リノベーション業界のトップランナーたちと、全国から集まった32名の受講生が一丸となって、区内に実際にある空き物件を対象として、物件のあるエリアの価値を上げ、地域を生まれ変わらせる事業プランを、3日間ほとんど徹夜状態で作り上げ、最終日に物件オーナーに向けてプレゼンテーションを行いました。


 今回の空き物件は、池袋本町の戸建て住宅と共同住宅、上池袋の元教育関係の出版社だった建物、そして要町の元銭湯だった4件で、地域の特性や課題を捉え、よく考えられたプランが提案され、今後事業化に向けてブラッシュアップされていきます。


 空き家率が15.8%と23区の中で最も高い本区では、今後、リノベーションまちづくり構想を策定し、このリノベーションスクールを継続的に開催し、空き家対策を着実に進めてまいります。


 次に、日本版CCRCの検討について申し上げます。


 本区は、昨年の消滅可能性都市の指摘を受けて以来、人口減少社会・少子高齢化への対応を進め、高齢化についても重要なテーマとして位置づけてまいりました。こうした中、秩父市との連携によるCCRCは、アクティブシニアの健康寿命を延ばす高齢化対策として、さらに「地方との共生」を進める方策として有効であると考えております。


 7月には私が秩父市を訪問し、久喜市長と膝を交えて会談し、定年後には地方に移住して豊かな自然の中で健康的な生活を送ることを望む豊島区民の希望をかなえ、秩父市にとっては、新たな雇用や活力を呼び込むことを期待できる日本版CCRCの実現について連携して検討していくことを改めて確認いたしました。


 すでに持続発展都市推進本部のもとに関係課長と若手職員による“日本版CCRC検討チーム”を結成し、7月末には、国が先進事例として紹介している石川県金沢市の「シェア金沢」を秩父市と合同で視察いたしましたが、今後、その他の事例も視察し、より具体的なイメージをもって検討を進めてまいります。


 国の調査では、東京に住む50代60代男性の約半分、女性の3割程度が移住の意向を持っています。区内においても同様の傾向だと推測しておりますが、年内に区内の50代60代の方々の移住意向に関して、とりわけ秩父市への移住に関してアンケート調査を行い、区民の皆さんの意向に沿ったプランを検討してまいります。


 次に、豊島区版人口ビジョン及び総合戦略の策定について申し上げます。


 国は、人口減少に歯止めをかけ、東京一極集中を是正し、活力ある日本社会を維持していく「地方創生」の実現を目的とした「まち・ひと・しごと創生法」を昨年11月に制定しました。今年の6月には「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」を発表し、各自治体にも「総合戦略」の策定を要請しているところです。


 本区は、昨年5月に「消滅可能性都市」との指摘を受けたことから、直ちに緊急対策本部を立ち上げ、人口問題等に取り組んでまいりましたが、以上のような国の動きを踏まえ「豊島区人口ビジョン」及び「豊島区まち・ひと・しごと創生総合戦略」を今年度中に策定することとし、持続発展都市推進本部において鋭意策定に取り組んでいるところであります。


 「豊島区人口ビジョン」では、本区の人口の現状を分析し、将来人口推計に基づいた今後めざすべき方向と人口展望をお示しし、「豊島区まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、持続発展都市推進本部で掲げた「女性にやさしいまちづくり」「地方との共生」「日本の推進力」、そして新たに加えた「高齢化への対応」の4本柱による対策を盛り込み、引き続き、日本全体への貢献を果たしながら、暮らしやすいまちづくりに計画的に取り組んでまいりたいと考えております。


5 文化・スポーツ


 次に、文化・スポーツについて申し上げます。


 まず、戦後70年平和展について申し上げます。


 9月12日から16日まで、センタースクエアにおいて「戦後70年平和展」を開催し、広島市、長崎市からご提供いただいた貴重な資料を展示したほか、区内の被爆者の方々のお話を聞く貴重な機会を設けさせていただきました。


 また、本区・立教大学・東京芸術劇場の共催による「戦後池袋-ヤミ市から自由文化都市へ-」が9月12日から始まっております。


 この“池袋=自由文化都市プロジェクト”では、戦争で焼け野原となった池袋に生まれた<ヤミ市>に着目して豊島区の戦後70年の歩みを振り返ります。私にも記憶がありますが、子どものころに触れたヤミ市独特の熱気を懐かしく思い出します。あの熱気、活力が、豊島区の復興の原動力の一つであったと感じております。


 今回の企画は、立教大学でのシンポジウム、東京芸術劇場でのオープニングセレモニーに続き、同劇場のギャラリーにおける貴重な資料の展示、郷土資料館での「池袋ヤミ市と戦後の復興」展など、一連のプロジェクトとして行われます。


 私は、この意欲的な企画展は、自由文化都市の視点から、戦後の豊島区の道のりと未来を考える絶好の機会であると同時に、歴史的・文化的価値も非常に高いと評価しておりまして、ぜひ一人でも多くの皆さんに会場に足を運んでいただきたいと願っております。


 次に、観光情報センターについて申し上げます。


 今月の28日、「観光情報センター」が区民センターから池袋駅西口の目の前にある民間ビル内に移転し、業務を開始いたします。


 これまでの場所は、駅からのアクセスに難があり、豊島区への観光客が増加している中にありながら、観光案内などについて十分に機能を発揮することができずにいました。


 今後は、立地の良さを生かして、国内外から集まる観光客の皆さんに対して、豊島区が誇るオンリーワンの文化・芸術・歴史的資源の魅力を積極的に発信する拠点として、大いに活用されることを期待しているところであります。


 次に、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた「国際アート・カルチャー都市懇話会」の設置について申し上げます。


 「国際アート・カルチャー都市懇話会」は、国際アート・カルチャー都市構想の具現化を図るため、オリンピック・パラリンピックの文化プログラムにおいて、先導的な役割を果たしていこうとする本区の戦略などについてご検討いただく附属機関でありまして、この秋に第1回目を開催することとなりました。


 前文化庁長官の近藤誠一氏やアートオリンピア実行委員の北郷悟氏など、各界の第一線で活躍されている方々に委員として就任していただきます。また、名誉区民の野村萬氏、新庁舎設計にあたられた日本を代表する建築家の隈健吾氏、東京芸術劇場芸術監督の野田秀樹氏など、これまで本区の文化芸術の振興に多大な貢献をいただいた方々にも、大所高所に立って様々な角度からご意見をいただくこととなっております。


 また、国際アート・カルチャー都市構想の推進に当たり、多くの区民の皆さんにも協力いただき、取り組み体制の強化を図るため、「国際アート・カルチャー都市特命大使」を設置いたします。様々な機会を捉えて「アート・カルチャー都市としま」を発信していただくとともに、区の施策推進をお支えいただく役割も担っていただきたいと考えております。


 今年の“としま文化フォーラム”は、国際アート・カルチャー都市プロデューサーを講師に迎え、区民の皆さんにアート・カルチャーの理解を深めていただけるような企画としておりますので、特命大使の力もお借りしながら、区民と一体となった取り組みを進めてまいります。


 次に、豊島区の児童・生徒の活躍ぶりについて申し上げます。


 初めに、豊島区千早にある城西高校2年生で、陸上競技部に所属するサニブラウン・アブデルハキーム君の素晴らしい活躍ぶりにつきまして申し上げます。


 先日、9月9日に、彼が私のもとに訪れ、世界陸上競技選手権の結果を報告してくれました。


 サニブラウン君は、日本勢史上最年少で世界陸上競技選手権に挑戦し、見事予選を突破して準決勝に進出を果たし、スケールの大きな走りで注目を集めました。


 当日、私は、サニブラウン君に「スポーツ栄誉賞」を贈らせていただき、同時に、彼が所属する同校陸上競技部に対して、インターハイでの活躍を称えて「スポーツ奨励賞」を差し上げました。


 そして、城西高校の新藤宣夫学園長の強い要請により、新藤氏が会長を務める「城西高校陸上競技部後援会」と「サニブラウン・アブデルハキーム君後援会」の発足に際し、私と大正製薬ホールディングス株式会社の上原明社長、フリーアナウンサーの小倉智昭さんが発起人代表を務めることとなりました。


 サニブラウン君の活躍は、まさに豊島区の名誉であります。10月20日には、後援会が主催して激励会を開催する運びとなりましたが、体育協会ほか広く区内の皆様にお声掛けをさせていただき、豊島区を挙げてサニブラウン君、城西高校陸上競技部を全面的にバックアップしてまいりたいと考えております。


 また、8月に開催された全国中学校水泳競技大会において、駒込中学校の2人の男子生徒が100m自由形で第2位、200m背泳ぎで第2位という素晴らしい活躍をいたしました。


 来年のリオ大会、さらに5年後の東京大会に向けて、若い諸君がその才能をさらに伸ばし、持てる力を発揮してくれることを、心から願っています。


 このほか、文化活動においても、素晴らしい活躍ぶりが報告されています。


 東京都中学校吹奏楽コンクールにおいて、池袋中学校、西池袋中学校、千登世橋中学校3校の吹奏楽部が、そろって金賞を受賞するという快挙を成し遂げました。


 また、千早小学校の3人の男子児童が、文部科学大臣杯小中学校将棋団体戦東京都大会で上位に入賞するなど、豊島区の子どもたちは文化・スポーツの両面で目覚ましい活躍をしています。


 これからも、次代の豊島区を担う子どもたちの健やかな成長・活躍を心から願っております。


6 安全・安心


 次に、安全・安心について申し上げます。


 区議会の皆様には、既にデモンストレーションを兼ねた説明会を開催させていただきましたが、新総合防災システムが、本年8月末をもって構築を完了いたしました。


 この新システムは、新たに設置した区内51台の防災カメラでの映像や通報などで得られた情報を地図情報システムに反映させることによって、目に見える形で情報の収集、管理、分析を行うことができ、さらに必要な情報を庁内や関係機関、区民や来街者へも提供できる、トータルな運用を可能とするシステムであります。


 すでに稼働している「伝達制御システム」と「被災者生活再建支援システム」と並び、豊島区災害対策の基幹となるシステムであり、これにより、大規模災害の発生直後の対応から復旧復興期まで、切れ目なく、取りこぼしのない対応が可能となりました。今後、10月に行われる総合防災訓練において、その運用を検証し、職員のシステムへの習熟を図ってまいります。


 また、これを機に、本区の危機管理体制の見直しに着手したいと考えております。とりわけ、災害や大きな事件や事故が発生した場合の全体指揮や組織内外との連絡調整活動の統括に当たる危機管理監には、危機管理全般に精通した経験豊かな者を充てることが必要ではないかと考えているところであります。


7 福祉


 次に、福祉について申し上げます。


 まず、特別養護老人ホームの整備手法等の検討について申し上げます。


 2025年、平成37年にはいわゆる「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になることから、医療・介護体制をどのように整えるべきかが、首都圏、ひいては日本全体の大きな課題であると認識されています。


 豊島区では、今年度2つの特別養護老人ホームの整備が完了し、現時点では、緊急度の高い入所需要には概ね応えられる状況になっております。しかし、後期高齢者の増加に加え、高齢者の単身率が高いという本区の特性をふまえますと、今後も引き続き特別養護老人ホームの整備を進める必要があると考えております。


 しかし、区内には施設建設ができる用地がないという事情の中で、都外に特別養護老人ホームを整備することができないのか、その場合の法的、財政的可否についての検討を行うため、本年7月末に大森彌東京大学名誉教授を座長とする調査研究会を立ち上げたところであります。年内を目途に必要な課題などを整理した報告書を取りまとめる予定としております。


 併せて、既存の特別養護老人ホームも老朽化による改築・改修の必要に迫られております。中でも、区内で最初の昭和56年に開設された養浩荘は、開設から35年近くが経過し、現在の施設基準に照らすと居室などが狭く、また土地も狭いため、現在地での建て替えが不可能な状況にあります。このため、区に支援が求められておりまして、池袋本町一丁目の防災拠点用地を活用した建て替えができないか、鋭意検討しているところであります。


 次に、生活困窮者の支援について申し上げます。


 今年4月から、生活困窮者自立支援法が本格施行となりました。


 生活困窮者自立支援事業は、生活が困難な様々な事情を抱える方々に対し、生活全般にわたる包括的な支援を行い、自立を支える新しい取り組みですが、本区は、支援の実効性を高めるため、必須事業以外の任意事業を含むすべての事業を実施しています。


 相談窓口として、新庁舎移転に合わせ4階フロアに「くらし・しごと相談支援センター」を開設いたしましたが、仕事や住まい、家計などの諸課題について、8月末までの間に、国が定める目標値の2倍にあたる550名ほどの新規相談を受けております。


 また、就労支援では、70名ほどの方の就職を実現することができました。


 今後も、関係機関や地域の皆さんのご協力をいただきながら、生活困窮者の早期自立に向け、より一層の支援の充実に努めてまいります。


8 教育


 次に、教育について申し上げます。


 平成27年度「全国学力・学習状況調査」の結果が、8月27日、文部科学省から発表されました。この学力調査は、小学校6年生と中学校3年生に対して毎年4月に実施されるもので、今回、豊島区の区立小・中学校の子どもたちの平均正答率は、全教科において、東京都及び全国を大きく上回り、教科によっては全国第2位という素晴らしい結果となりました。この好成績は、「教育ビジョン2015」に基づき各校が作成する「授業改善プラン」の活用や学力全国第一位の秋田県能代市との教育連携、タブレットパソコンなどICT教育環境の整備、図書館司書の配置など、豊島区独自の教育施策が着実に実を結んだ成果であるとの報告を受け、大変喜ばしいと思っています。


 次に、8月20日に目白小学校で開催した「としま教育フォーラム」について申し上げます。


 教育連携を結んでいる秋田県能代市から、須藤幸紀教育長をはじめとする20名の教員と、本区の小・中学校の校長を含め、全教員650名が一堂に会し、都市型環境教育への取り組みをテーマに、平賀達也氏と三田教育長によるシンポジウムと教員による授業実践の報告がありました。私も冒頭、DVDを使って、「豊島の森」をはじめ、環境に配慮した新庁舎のガイダンスをいたしました。能代市が参加したフォーラムは今回で3回を数え、今後も実りある教育連携として、全教員が、子どもが伸びる授業づくりの情報を共有し、知・徳・体の確かな学力の向上に繋がっていくことを期待しています。


 次に、インターナショナルセーフスクールについて申し上げます。


 現在、朋有小学校の認証再取得、富士見台小学校の新規取得に向けた学校現地審査が11月18日、19日に迫り、来年2月には認証式を行う予定となりました。


 また、来年度の新規取得に向け、仰高小学校、池袋本町小学校がそれぞれ、地域対策委員会を立ち上げ、区民ひろばを中心に、学校・家庭・地域が一体となった取り組みが始まりました。セーフスクールへの取り組みは、子どもたちを事故から守るとともに、地域で子どもたちを見守る仕組みづくりの絶好の機会であり、全校でセーフスクールに取り組んでいけるよう支援してまいります。


 新庁舎には、5月7日の開庁以来、連日多くの自治体や各種団体の皆さんに視察へお越しいただいております。


 北は北海道から南は沖縄まで、また、台北市や上海市など海外からの視察もあり、その数は、9月18日までに119件、1,001名にのぼります。視察にいらっしゃる方の多くは、資金繰りの手法に興味を持って訪れますが、庁舎に足を踏み入れるや、その関心は、人々が集う憩いの場となる魅力を豊富に盛り込んだ特色あるこの新庁舎そのものにも及んでいるようであります。


 すなわち、年末年始を除き、土曜・日曜日を開庁する総合窓口と福祉総合窓口サービス、最先端の防災システムを備えた災害対策機能、区民の皆さんの様々な活動や交流の場である「としまセンタースクエア」、庁舎全体を回遊しながら豊島区ゆかりの美術・工芸品等の作品鑑賞が可能な「丸ごとミュージアム」、都会の喧騒から離れて空中散歩が楽しめ、自然にふれ合える子ども達にとっては格好の学びの場でもある屋上庭園「豊島の森」や「グリーンテラス」、そして、区議会のご理解・ご協力により実現した開かれた議場など、知恵とアイデアが凝縮されたこの建物に、視察された皆さんは魅了されているのでありました。


 しかし、評価の高いこの新庁舎も開庁当初は、総合窓口などに来所されたお客様にご不便をおかけする事態がしばらく続きました。


 開庁から4カ月を経て、職員一丸となって取り組んできた業務改善により、まだまだ十分ではないものの少しずつ私の思い描いていたこの新庁舎に相応しいサービスが提供できるようになってきたと認識しております。


 庁舎を整備した豊島区の名は全国に轟き、今も視察の申し込みは後を絶たず、私たちのこの新庁舎は、これからの自治体の庁舎の1つのモデルとして、高い評価を得ているものと自負しております。


 豊島区は新庁舎整備を契機として、旧庁舎跡地の開発など玉突き都市再生が進み、大きくまちの姿を変貌させ、副都心として新たな発展期を迎えようとしています。


 また、「暗い・汚い・怖い」と言われた池袋は、今や若い女性の支持を集め、住みたいまちランキングで上位となる人気の“まち”に生まれ変わったのであります。


 そして、豊島区オンリーワンの多様な文化資源を活かし、世界から人や産業を惹きつけ文化創造都市、安全・安心創造都市をさらに発展させた「国際アート・カルチャー都市」という新たな将来像を掲げるまでに至りました。


 まさに今、豊島区は、新しい時代の扉を開かんとしているのであります。


 私は豊島区長として、新庁舎整備がこの豊島のまちに暮らす全ての人々の幸福のために欠かすことができないものだとの信念のもと、誠心誠意、努力を続け、全力投球してまいりました。


 そして庁舎が、全国から注目を浴び高い評価をいただくことで、ようやく、明日の希望へ確かな手ごたえを得ることができたのであります。


 この手ごたえは、区議会をはじめ、区民の皆さんとともに歯を食いしばって頑張って貫き通した私の信念に偽りなしとの確信をより確かなものに変えました。


 しかしながら、決してここが終着点ではないのであります。


 「もう一歩。


 いかなるときも自分は思う。もう一歩。今が大事な時だ。もう一歩。」


 これは、私が深く心に刻んでいる小説「友情」の著者、武者小路実篤氏の言葉であります。


 氏の言う「現状に甘んじるな」との戒めのごとく、現実を刮目し、この先どんな困難が立ちはだかろうとも決してくじけることなく、胸を張って、常に前進する気持ちを持ち続けなければなりません。


 人口減少社会、超少子高齢社会の中、将来にわたって豊島区が魅力的で暮らしやすい“まち”であり続けるために、私たちは常にさらなる高みを求めて最高レベルの行政サービスを提供し、不断の努力を重ねていかなければならないのであります。


 行政、議会、区民、事業者など豊島区に関わるすべての人たちがこの“まち”を最高の域まで引き上げていく主人公であります。


 私はこれからも、区政の最前線に立ち、全身全霊をささげ、強いリーダーシップを発揮してまいる所存でありますので、議員各位におかれましては、最大限のご理解、ご協力をいただきますようお願い申し上げます。


 本日、ご提案申し上げる案件は、決算認定4件、補正予算4件、条例7件、その他2件、合わせて17件であります。


 各案件につきましては、後ほど、日程に従いまして、水島副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜わりますようお願い申し上げます。


 以上をもちまして、私の招集あいさつといたします。