平成28年第1回区議会定例会招集あいさつ・所信表明

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 本日、ここに平成28年第1回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝申し上げます。


 昨年5月に新庁舎がオープンして、早9か月が経過いたしました。


 区民の皆さんに新たな負担を負わせることなく、市街地再開発の手法を用い地域の価値を大きく向上させるべく整備した、全国初のマンション一体型の本庁舎は、いまだに各界の高い関心を集めています。


 1月末までにこの新庁舎を視察に訪れた方々は、国の機関や全国各地の首長、議会関係者など、区で正式に把握しているだけでも200組、人数は約2,000人を数えます。このほか、個別に来庁される方々が相当数おられますので、実際にはこの数倍に上る方々が視察に来られていると思われます。


 視察に来られた皆さんは、一様に1・2階には店舗や医療モール、中間に庁舎を挟んで、上部は分譲マンションという、まるで小さなまちを創り出したかのようなこの庁舎の姿に、まず驚かれます。さらに、センタースクエア、屋上庭園「豊島の森」、丸ごとミュージアムなど、区民に常に開放され、特段の用件がなくとも庁舎に立ち寄りたくなるような、身近に存在感のある庁舎のコンセプト、そして、旧庁舎跡地を活用した財政スキームと、官民連携のモデル事業として整備する文化と賑わいの拠点の整備計画といった、文化的水準の高い「持続発展都市」の実現に向けた私の熱い思いに共感や感嘆の意をあらわされるのでした。


 平成28年度の予算編成に際しましては、こうした豊島新時代をリードするこの新庁舎に恥じることのない熱い魂を区政に込めた、積極的な予算を編成したところであります。


 それでは、今定例会の開会にあたりまして、区政に当たる私の所信の一端を申し上げ、議員各位並びに区民の皆さまのご理解とご協力を賜わりたいと存じます。


1 平成28年度の施政方針


 はじめに、平成28年度の施政方針について申し上げます。


 去る2月5日、基本構想審議会の会長をお願いしている立教大学の原田久先生から、平成28年度から37年度までの10年間を計画期間とする新たな「豊島区基本計画」について答申をいただきました。


 この新基本計画では、消滅可能性都市から持続発展都市に向けた政策的領域の4本柱を重点的に推進する施策と位置付け、また、本区が目指すべき都市像として「国際アート・カルチャー都市」を掲げております。


 2年前の平成26年5月、日本創成会議が突如公表し、多くの自治体関係者に衝撃が走り、本区も「消滅可能性都市」にあたるとの指摘は、本区の区政運営を抜本的に政策転換する重要な契機となりました。


 この発表を受けて、私は緊急対策本部を直ちに立ち上げ、少子高齢化の進展に的確に対応し、潤いのある豊かな生活を区民が安心して営むことができる地域社会の形成に、区の総力を挙げ、英知を結集して対処することにしましたが、その結果、本区が目指す都市像として「文化創造都市」「安全・安心創造都市」をさらに進化発展させた「国際アート・カルチャー都市」という明確なビジョンをお示しすることができることとなったのであります。


 新基本計画は、このほか、5年前の東日本大震災、4年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックの開催など、過去に学び未来に挑戦する区政を取り巻く環境の変化や現実を直視する姿勢についても言及したものとなっております。


 また、期を同じくして「豊島区まち・ひと・しごと創生総合戦略」を取りまとめ、人口減少・少子高齢化社会に対応した重点的な施策をお示しいたしました。


 本日は、これら重要な計画に示した今後の区政推進の方向性のうち、持続発展都市づくりに向けた重要テーマにポイントを絞り、平成28年度の施政方針として申し上げたいと存じます。


(1)世界への挑戦


 まず、世界に向けたまちづくりである「国際アート・カルチャー都市」について申し上げます。


 去る1月12日、としまセンタースクエアにおいて「国際アート・カルチャー特命大使」の認証式を行いました。特命大使は、国際アート・カルチャー都市推進に向けた第3の矢として“区民による区民のための最強の応援団”として、広く参加を呼び掛けたものでありまして、認証式を行った時点では総勢600名を超える大勢の区民の皆さんにご賛同をいただきました。式の当日には、381名の方がご出席くださり、センタースクエアは溢れんばかりの人々の熱気で満たされたのであります。


 その後も、さらに賛同者を募っておりまして、現在すでに700人を超え、来る3月19日には、豊島公会堂において結団式を執り行う予定となっております。


 次に、国際アート・カルチャー都市構想の実現戦略について申し上げます。


 実現戦略は、現在、「国際アート・カルチャー都市懇話会」において検討していただいておりますが、間もなく第一次答申をいただける見通しであります。


 本日は、現時点で判明している要点について申し上げます。


 実現戦略は、大きく3つの戦略で構成されます。


 第一の戦略は「文化戦略」であります。


 「演劇のまち池袋」は、東京都においても都内における舞台芸術の拠点と位置づけられておりまして、平成30年に東京都が実施する予定の国際的な総合芸術祭「(仮称)東京芸術祭」に向けた最初のステップとして、平成28年に池袋において(仮称)「東京舞台芸術祭」を開催することが決まっております。


 これを大きな足掛かりといたしまして、本区におきましても東アジア文化都市としての位置づけへのチャレンジや、2020年東京オリンピック・パラリンピック文化プログラムへの参加などに向けて、豊島区ならではの魅力を前面に押し出して、積極的にアプローチをしてまいります。


 第二の戦略は「国際戦略」であります。


 世界から人や産業を惹き付けるためには、魅力的な文化活動が展開されるだけでなく、災害時の業務継続が容易なオフィス環境、法人設立の手続きや資金面の支援、人材確保策や住環境の整備など、安全安心、効率、ホスピタリティなどソフトな、そして物質的なデータでは測れない都市の価値についての幅広い対応が欠かせません。


 国家戦略特区などを活用し、当面、創業者・新人アーティストの支援などのスタートアップに力点を置いて、世界に通用する事業者などの誘致に取り組んでまいります。


 また、フリーWi-Fiの整備、飲食店等におけるメニューの多言語化などインバウンド環境の整備等についても積極的に推進いたします。


 第三の戦略は「空間戦略」であります。


 空間戦略は、文化戦略と国際戦略を実現する基盤として、スーパーバリアフリーな劇場都市空間を創出していくことを目指すものです。


 都市のブランディング・発信、劇場空間形成の仕組みづくり、人間優先の都市空間の整備の3つのテーマについて取り組み内容を整理してまいります。


 28年度には、新たに世界を見据えたシティセールスを展開するための基礎調査を実施し、民間事業者と共に池袋エリアのブランディングなどについて検討いたします。


 また、来街者にわかりやすく、かつデザイン性に優れた国際アート・カルチャー都市にふさわしい池袋駅の案内サインの整備についても検討してまいります。


 特命大使という国際アート・カルチャー都市の伝道師が誕生し、実現戦略が策定されることにより、国際アート・カルチャー都市づくりがいよいよ実働の段階に進んでまいります。


(2)未来への挑戦


 次に、女性にやさしいまちづくりのさらなる推進について申し上げます。


 本区は、消滅可能性都市の発表以来、26年度には「鬼子母神プロジェクト」、「としまF1会議」、27年度には「新庁舎の子育てインフォメーション」、「ゆりかご・としま事業」の開始など、着実に対策の充実を図ってまいりました。


 しかしながら、本区が独自に設定した指標である子育て世代の定着率、すなわち3歳児健診の対象者数を3年前の妊娠届出数で割った割合は、平成26年度時点で23区の平均が85.3%であるのに対して、本区は23区で最低レベルの69.2%にとどまっている状況であり、様々に打ち出した施策に即効性が無いにしてもこうした定着率が低い状況が今後も続くことがあってはなりません。


 本区がこれまで推進してきた先駆的な施策の数々は、マスコミ等で高い評価を得てまいりましたが、その一方で、残念ながら、子育て世代に対して施策が十分に伝わってはいないのではないか、施策そのものが不十分なのではないか。私は、そのように考えているところでありまして、そのため、新年度、「女性にやさしいまちづくり担当課長」ポストを設置することにいたしました。


 女性にやさしいまちづくりを戦略的に推進し、本区のブランドイメージとして定着化を図るため、マーケティングやブランディングの経験も積んだ有為の人材を民間から登用したいと考えておりまして、2月1日までの公募期間中に25人の方が応募してくださり、現在、最終選考の最中にあります。私は、全員の方の経歴とレポートに目を通しましたが、いずれ劣らぬ熱意と区政を大きく変えたいという力量を示されており、もし許されるなら全員を採用したいと思うほどであります。


 新ポストに最適な人物を採用し、担当課長と男女平等推進センター、保健所など関係部局との密接な連携の下で、「働きながら、子育てしながら、住み続けられる、ひとりひとりの女性がいきいき輝くまち」を積極的に実現し、またアピールしてまいりたいと考えております。


 次に、待機児童対策についてでありますが、27年度中には、認可保育所を10園、小規模保育所を6園新設し、過去最大となる922人の定員拡大を実現いたしました。これにより、今年4月の待機児童数は150人程度まで減少する見込みであります。


 さらに、28年度には、認可保育所10園を新設し、650人から750人程度の定員を拡大する計画でありまして、スピード感のある保育所誘致を進めてまいります。


 待機児童対策は、定員増が潜在需要を掘り起こす面があり、楽観することはできませんが、常に最新の動向を把握しながら、29年度中に待機児童ゼロを達成すべく、ラストスパートをかけてまいります。


 次に、学校トイレの緊急改善について申し上げます。


 本区は、23区に先駆けて学校改築計画を策定し計画的に改築を進め、また、これに合わせ、積極的にICT環境の整備を図るなど、教育環境の整備に力を入れてきました。


 こうした本区にあっても、学校のトイレについては、全系統のトイレ洋式化が終了しているのは27年度末現在で30校中12校にとどまっており、一日の大半を学校で過ごす児童・生徒のためには、トイレの早急な改善が大きな課題となっていました。


 そこで、私は今年度から始まった総合教育会議第3回会議において、学校トイレの改善は緊急の課題であると判断し、従来の計画を大幅にスピードアップし、28年度からの3年間で区立小中学校校舎棟のすべてのトイレを改修することといたしました。


 衛生的で安心できる快適なトイレを整備して、落ち着いて生活できる学校環境の整備に更に努めてまいります。


 次に、仕事と子育ての両立支援の充実について申し上げます。


 議会においても、たびたび導入のご要望をいただいてきた病児保育でありますが、今年の7月を目途として民間の訪問型病児保育サービスを利用した方への助成を開始することとしました。1時間当たり1,000円を助成し、1日あたり12,000円、年間48,000円まで助成いたします。


 また、仕事を持つ保護者の皆さんからの要望が強かった、学童クラブの時間延長についても、夏休みなど学校の無い期間や土曜日には、全学童クラブ(22施設)において、全学年を対象として、開始時刻を8時15分に早めることにします。


 また、1・2年生を対象に、平日の夜7時までの利用時間の延長を通年で始めます。28年度は5施設で先行的に実施し、利用状況を勘案しながら、今後、実施施設の拡充を検討してまいります。


 次に、リノベーションまちづくりについて申し上げます。


 先月、「豊島区リノベーションまちづくり構想」を策定・公表いたしました。


 また、昨年3月に開催したリノベーションスクールの成果として、2つのプロジェクトが事業化され、いよいよ区内でのリノベーションまちづくりが本格化してまいりました。事業化される1件目は、賃貸マンションの1室を「日の出ファクトリー」という作り手たちの活動・発信拠点に再生する事業で、2月6日にプレオープンしました。2件目は、とんかつ屋だった空き家をカフェや外国人向けゲストハウスに再生するもので、こちらは2月12日にプレオープンする予定であります。


 来年度は、空き家活用の条例化や認証・融資制度の整備などを行い、公民の適切な役割分担によって、遊休不動産を活かしてまちを変えていくリノベーションまちづくりを、区内全域で進めることができる仕組みを構築してまいります。


 次に、「地方との共生」について申し上げます。


 秩父市と連携したCCRC構想は、これまでの交流領域を更に拡大した地方との連携のモデルケースとして注目を集めております。


 本区が昨年11月から12月にかけて、区民5,000人を対象に実施したアンケート(意識調査)では、回答者の約3分の1が地方への移住に興味を示し、そのうちの約2割の方が「秩父市への移住に興味を持っている」という結果が示されました。


 この結果を踏まえ、今後、さらに連携を深めつつ具体的な検討を進めていくことを秩父市側と確認いたしました。


 秩父市は、現在、秩父版CCRC構想を策定中で、来年度には、秩父版CCRCの基本計画を策定する予定とのことであります。本区においては、こうした動きに合わせて区内の移住希望者を募り、秩父市や関係する事業者協力を得ながら、移住について検討する組織を立ち上げ、具体化に向けた議論を活発化させてまいります。


 次に、「高齢化への対応」について申し上げます。


 昨年末の12月24日、東京大学名誉教授の大森彌先生を委員長とする「特別養護老人ホーム整備等の新たな整備手法に関する調査研究会」から報告書をいただきました。この中では、平成37年度までのベッド需要の伸びが試算され、区内での整備が困難な状況を踏まえ、区外整備目標数として156名分が示されています。


 今後、秩父市と連携して、特養を拠点とするCCRCなど多様な選択肢の1つとしての特養の提案ができるよう検討を進めてまいります。


 また、区内で最初に整備された“養浩荘”は、昭和56年の開設から30年以上が経過し、老朽化が深刻化しております。その建て替えを支援するため、現在、池袋本町1丁目の区有地の活用について近隣のご理解を得るべく取り組んでいるところです。


 施設の老朽化は、旧区立の4つの特別養護老人ホーム、“アトリエ村・風かおる里・菊かおる園・山吹の里”においても進んでおりまして、今後、運営法人に対する支援を行う中で、区内での特養施設の整備に努めてまいります。平成28年度予算では“菊かおる園”の大規模改修等で4億2,600万円を計上いたしました。


 以上、述べてまいりましたとおり、来年度は、国際アート・カルチャー都市づくりが、本格化・具体化していく年であり、豊島区ならではの魅力である街の多様性を活かした世界に羽ばたく豊島区の基盤を固めていく年にしてまいります。


 同時に、女性にやさしいまちづくり、地方との共生とタイアップした高齢化への対応など、区民の生活を守り、暮らしやすく誰もが住み続けたいと感じていただけるまちづくりを着実に、かつ、粛々と進めてまいる所存であります。


2 平成28年度当初予算案


 次に、平成28年度当初予算案について申し上げます。


 一般会計と3特別会計を合わせた平成28年度の総予算規模は、対前年度比120億8,800万円、7.0%のプラスとなる1,845億8,700万円となり、すべての会計で過去最大の予算規模となりました。


 このうち一般会計予算は、対前年度比104億1,200万円、9.3%のプラスとなる1,218億800万円であり、平成25年度から4年連続1,000億円を超える規模となりました。


 一般会計の主な歳入では、特別区民税が納税義務者数の増加等により対前年度比8億3,800万円、3.2%のプラスとなる271億9,000万円と、5年連続で対前年度比がプラスの計上となりました。また、特別区民税に特別区たばこ税等を加えた特別区税全体は、309億4,100万円となり、前年度に引き続き、2年連続で当初予算計上額が300億円を超えております。


 特別区財政調整交付金については、財調交付金の原資となる調整三税のうちの法人住民税の一部国税化による減収分の影響を、固定資産税の伸びが減収分を上回る見通しとなり、本区においては対前年度比で1億円の増となる297億円を計上いたしました。


 また、地方消費税交付金は、70億1,200万円を計上しております。


 これら特別区税、特別区財政調整交付金、地方消費税交付金等、一般財源の総額は、対前年度比12億9,400万円、1.9%のプラスとなる699億600万円で、歳入全体の57.4%を占めております。


 特別区債は、対前年度比57億4,600万円の大幅増となる114億1,200万円の発行となり、起債依存度は4.3ポイント増加し、9.4%となっております。


 以上が主な歳入についてでありますが、これまで国等に反対を表明してまいりました法人住民税の一部国税化について述べさせていただきます。


 特別区長会では「税源偏在是正議論についての特別区の主張」を公表し、国の偏在是正措置に対する反論を展開するとともに、豊島区議会におきましても「地方税財源の拡充に関する意見書」を国に提出いただき、区議会とともに要請活動をしてまいりましたが、反対論が全国規模には広がらない中で、28年度税制改正大綱において、法人住民税の国税化がさらに拡充されることが決まり、大変残念であります。さらなる国税化措置が進まないよう今後も区議会とともに頑張ってまいります。


 歳出については、経費別区分では事業費が減少する一方で、人件費と投資的経費がそれぞれ増加し、とりわけ、投資的経費は大幅に増加いたしました。


 人件費は、対前年度比6億3,300万円、2.9%のプラスとなる224億8,100万円となりました。これは、平成27年10月から適用された、社会保険料本人負担分の拠出方法の変更による共済費の増が主な要因であります。


 事業費は、これまでの起債抑制効果があらわれ、公債費が大きく減少したことなどにより、対前年度比3億8,900万円、0.5%のマイナスとなる743億5,900万円となりました。


 投資的経費については、池袋第三小学校、池袋本町地区小中連携校、巣鴨北中学校の3校の学校改築事業が重なったことや、新たに、造幣局地区防災公園整備事業や豊島区民センターの改築経費を計上したことなどにより、対前年度比101億6,900万円、68.7%の大幅なプラスとなる249億6,900万円となっております。


 歳出の経費別予算計上の状況については以上のとおりですが、28年度予算では、政策経費として210事業、65億7,600万円の新規・拡充事業を盛り込んでおり、区民の皆さんにとって喫緊の課題である福祉、健康、子育て、教育等の様々な施策の充実に取り組むとともに、本区が目指す都市像「国際アート・カルチャー都市」の実現に、より一層弾みをつけるために積極果敢な姿勢で予算編成を行いました。


 また、28年度予算の編成にあたっては、財政調整基金の取り崩しを行うことなく予算を編成したいと考えておりましたが、幸いに堅調な歳入増もあり、平成26年度当初予算から3年連続で財政調整基金を取り崩すことなく予算を編成することができました。


 この結果、旧庁舎跡地活用収入が入った後の今年度末の財政調整基金の残高は、本区にとって初となる200億円台に達する見通しとなっております。


 このように、3年連続で財政調整基金に頼らず予算を編成できたことは、これまでの財政健全化に向けた努力があり、本区の財政構造が着実に改善したことが大きな要因であると自負しております。まさに、全庁一丸の努力によって将来の安定的な財政運営に向けた道筋をつけることができたものと考えており、今後も気を緩めることなく、可能な限り、財政調整基金をはじめとする各種基金の積み増し、先を見据えた安定的で持続可能な財政運営に取り組んでまいる所存であります。


3 今後の主な事業展開


(1)旧庁舎・公会堂


 次に、今後の主な事業展開について申し上げます。


 まず、旧庁舎跡地の活用についてでありますが、去る12月8日、豊島公会堂で開催した「旧庁舎跡地・周辺まちづくりに関する説明会」には、約700名の区民の皆さんにご参加いただきました。10月に区内3か所で実施した説明会を合わせると、約900名の参加があり、この計画に対する区民の皆さんの関心の高さがうかがえます。


 昨年の7月、優先交渉権者と基本協定を締結した後、新ホール諸室レイアウトや建物全体の外観などの基本設計協議を精力的に進めてまいりましたが、建物計画の大枠が固まりました。


 このタイミングで、事業者と定期借地権設定契約を締結し地代191億円の受領と定期借地権の設定、あわせて解体のため既存施設の無償譲渡契約を締結する必要があり、本定例会において「定期借地権の設定」及び「財産の無償譲渡」の2つの議案を提出申し上げたところであります。


 また、新ホールは、本秋の売買契約締結を目指し、実施設計段階に進みます。新たな劇場空間の詳細についてはもう少しお時間を頂き、固まり次第ご報告いたします。


 旧庁舎跡地及び周辺まちづくりは、新たな負担なく新庁舎を整備することに加え、「8つの劇場」で圧倒的なにぎわいを生み出し、国際アート・カルチャー都市の「顔」となる、国際的な文化にぎわい拠点を生み出すものであり、まさに豊島区ならではの知恵と工夫を生かした、過去に例を見ないスキームだと考えております。


 2020年東京オリンピック・パラリンピック前のグランドオープンをめざし、引き続き、全力で取り組んでまいります。


 旧庁舎の立つ地は、豊島区の誕生時点から区政の中心であり、城北大空襲による庁舎焼失などの変転を経ながらも、昭和36年7月に旧庁舎が誕生し、昨年の旧庁舎閉庁まで、53年と9か月もの長きにわたり区政の拠点としての役割を担ってきました。


 また、豊島公会堂は、戦後間もない昭和27年、3,053名にのぼる区民の皆さんからの寄付を受けて、中村勘三郎の歌舞伎公演をこけら落としとして開館いたしました。戦争の余燼が色濃く残る中、23区に先駆けて竣工した文化の殿堂は、東京都全域の文化活動を担ってきたと申し上げても過言ではないと考えております。


 このように、長年にわたり慣れ親しんだ建物への感謝を込めて、3月19日から21日にかけて、フジ・サンケイグループ、東京建物そしてアニメイトホールディングスの各社のご協力を得て「旧庁舎・公会堂さよならイベント」を開催することになりました。


 公会堂では、3月19日にオープニングを行い、63年の歴史を振り返るとともに、国際アート・カルチャー特命大使の結団式を行います。20日、21日には、“懐かしさ・驚き・華やかさ”を視点に、ラジオの公開放送を入れるなど、豊島区のアート・カルチャーの未来を想像できる催しを開催いたします。


 また、旧庁舎は「としまアート・カルチャーミュージアム」として、4階までのすべてのスペースを活用して、現代アートやアニメやコスプレなどのサブカルチャーから地域の文化資源、そしてこの地域の将来像などを様々な形でご紹介し、まさにアート・カルチャーの博物館としてまいります。


 同時に、中池袋公園では、人気ラーメン店を集結させて「としまラーメンミュージアム」を開催し、公園まで一体的に活用した賑わいの拠点として、この地域の将来像を一足早くお目に掛けたいと考えています。


 楽しいイベントが繰り広げられる上に、区長室や議会関係など、区民の皆さんがなかなか足を踏み入れることができなかった庁舎の隅から隅までをご覧いただく最後の機会であり、多くの区民のみなさんにお越しいただきたいと思います。


 そして、時期を同じくして、新庁舎においては、落成1周年を祝う記念イベントを開催いたします。


 新庁舎の落成から1年を経て、3月20日、再びセンタースクエアに区民の皆さんが集結いたします。


 地域区民ひろばで活動している団体の皆さん、東京よさこい、フラフェスタなどのイベントに参加している皆さん、障害者団体の皆さんや、豊島区管弦楽団など幅広い皆さんが参加してくださると聞いております。


 現在、急ピッチで内容の検討を進めているところでありまして、詳細が決まり次第、お知らせいたします。


 豊島区の来し方を振り返る旧庁舎・公会堂のさよならイベント、そして豊島区の新しい歴史を積み重ねていく新庁舎での落成1周年記念イベント。どちらも区民の皆さんと共に、2度と経験することのできない貴重な時間を共有する場としてまいりたいと考えております。


(2)安全・安心


 次に、安全・安心について申し上げます。


 まず、危機管理監の設置についてであります。


 今、世界は、国際的なテロ組織による危機に直面しております。昨年11月、フランスのパリで発生した同時多発テロ事件では、130人もの市民が犠牲になりました。こうした事例は、わが国にとっても決して他人事ではありません。


 日本では、今年5月、主要先進国の要人が訪れる“伊勢志摩サミット”が開催されます。また、平成31年(2019年)にはラグビーワールドカップが、平成32年(2020年)には、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、世界中から多くの人が日本を訪れるのであります。


 国際的なテロ組織は、これら世界的な行事を標的とするといわれておりますので、日本有数の繁華街池袋を有する豊島区にとっては、テロ対策をはじめとする安全・安心対策は喫緊の課題であると考えております。


 こうしたことから、私は、区の危機管理能力を思い切って強化するため、今までは総務部長の兼務であった「危機管理監」を、1月1日付で専任のポストとして設置いたしました。


 この重責を担う危機管理監として、陸上自衛隊化学学校長兼大宮駐屯地司令を務めておられた今浦勇紀さんを迎えました。


 今浦危機管理監は、5年前の東日本大震災の際には、福島において陸上自衛隊の現地の総指揮官という大任を果たされた方であります。


 着任した矢先の先月中旬、早速、手腕を発揮していただく機会がありました。


 未だ記憶に新しい、23区の全区役所への爆破予告事案であります。


 警察署から情報を得た後、危機管理監は、直ちに防災危機管理部門の職員に対して適切に指示を行い、陣頭指揮にあたってくれました。翌日には、危機管理対策本部会議を取り仕切っていましたが、自衛隊での経験と専門的知識に裏付けられた発言には重みがあり、非常に頼もしく感じました。


 危機管理監には、豊島区の安全・安心を守る総指揮官として、今後大いに腕を振るってもらいたいと考えております。


 次に、治安対策の強化について申し上げます。


 豊島区内の刑法犯は、平成26年の約6,100件から平成27年の約5,450件へと大幅に減少し、治安は確実に改善されております。しかしながら、依然として振り込め詐欺などが発生して区民を不安に陥れているほか、繁華街における環境浄化対策を徹底する必要があるため、この度、治安部門において嘱託員として警察官OB2名を採用することといたしました。


 今後、高齢者向けの防犯講習会や保育園での被害防止教室の実施、池袋駅周辺等における客引きの指導啓発、青パトによる防犯パトロールの実施など対策の充実を図り、安全・安心なまちとして区のイメージアップを図ってまいります。


 次に、新たな防災協定の締結について申し上げます。


 1年前の平成27年2月に文化交流都市協定を締結した湯河原町と、来る2月20日に「非常災害時における相互応援に関する協定」を締結することとなりました。


 湯河原町は、本区が最も警戒している「首都直下地震」による被害想定が半壊20棟、避難者280人と、さして大きくはありません。また、陸路が確保され、比較的短時間で往来できる地でもあります。こうしたことから「災害時相互応援協定等の締結基準」に照らして、このたびの協定締結に至ったものであります。


 大災害が発生する都度、迅速かつ直接的な被災地支援には、自治体間連携が不可欠であることが明確になっており、この度の協定締結により、本区の災害対応が一層充実すると期待しているところであります。


(3)福祉・健康


 次に、福祉・健康について申し上げます。


 臨時福祉給付金についてでありますが、平成27年度に引き続き、消費税率の引き上げによる影響を緩和するため、所得の低い方を対象として、一人当たり3,000円の簡素な給付措置が実施されることになりました。あせて、新たに、所得の低い高齢者等を対象として、一人当たり3万円の「年金生活者等支援臨時福祉給付金」を支給することとされました。


 国は、できる限り早期に支給を開始するとしておりまして、平成28年度の年度明け早々から支給事務に着手する必要があると考えております。


 このため、給付事業に係る経費を平成28年度当初予算と同時補正で計上させていただきました。実施経費は、全額国費で賄われる事業でありますが、円滑な事業の実施に向けて、よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。


 おたふく風邪ワクチンなどについて申し上げます。


 来年度は、区民の皆さんの健康を守るため、各種健診事業や予防接種事業の充実を図ってまいります。


 お子さんを対象とした1歳児歯科健診の導入、女性向けの健診での採用は全国初となる骨太健診時における甲状腺検査の追加、特定健康診査への62歳・64歳を対象としたX線検査の追加など、お子さんから高齢者まで広範な対象者への健診の充実を図ります。胃がん検診の充実など、がん対策にも引き続き力を入れてまいります。


 特に、医師会、議会各会派からの要望が強かった「おたふく風邪ワクチン」については、これまで3,000円であった3歳未満のお子さんへの助成を全額助成に拡大することといたしました。


 また、全額助成のメリットを受けられなかった方々へのフォローとして、28年度に限り未就学児まで年齢層を拡大して助成を行うこととしております。


 子どもの支援について申し上げます。


 近年、子どもの貧困が社会問題としてクローズアップされてきております。


 未来を担う子どもたちが生まれ育った環境で左右されることは、あってはなりませんし、いわゆる貧困の連鎖は、地域の存続にもかかわる極めて重大な問題であります。


 特に、ひとり親家庭の生活実態が厳しく、全国でひとり親家庭の子どもの半数以上が相対的な貧困状態にあるとのデータも示されております。


 こうした現状を踏まえ、新年度から、ひとり親家庭等の子どもに対する学習支援事業に着手することといたしました。ひとり親家庭の子どもたちに寄り添い精神的安定感を高めつつ、学習意欲を育む取り組みを進めてまいります。


 子どもの貧困対策は、分野横断的な対応が必要であり、住民や関係団体の皆さんとの連携による地域ぐるみの支援体制も不可欠であります。幅広い関係者と緊密に協力して、効果的な対策を推進してまいります。


(4)教育


 次に、教育について申し上げます。


 先週の2月4日、「セーフスクールサミットinとしま」が、新庁舎の議場で開催されました。


 審査に当たられたアジア地域セーフコミュニティネットワーク副理事長のパイ・ル先生、日本セーフコミュニティ推進機構代表理事の白石陽子先生のご指導をいただき、参加者は亀岡市、厚木市、秩父市など、セーフスクールに取り組んでいる他の自治体関係者を含めて総勢200名を超え、議場は満員となりました。


 私も立ち会いましたが、朋有小学校と富士見台小学校のインターナショナルセーフスクール認証式の後は、各自治体がセーフスクールの取り組み事例を発表し合い、これからもセーフスクールネットワークの連携を強化することが確認され、日本初のセーフスクールサミットの有意性を発揮することができました。


 地域区民ひろばと密接に連携する本区のセーフコミュニティ、セーフスクールの取り組みは、他の自治体のモデルとなるものと確信しています。今後、すべての小中学校でセーフスクールへの実現にむけて取り組んでいけるよう支援してまいります。


 教育の最後に、学校改築について申し上げます。


 池袋本町地区小中連携校の工事は順調に進行しており、本年7月に竣工し、8月から池袋本町小学校と池袋中学校が校舎を使用できる見込みであります。


 ところが、この度、池袋中学校の校舎等外壁の一部にアスベストを含んだ塗料が吹き付けられていることが判明しました。これは、平成26年6月に改正された東京都環境局の「建築物の解体等に係るアスベスト飛散防止マニュアル」に従って実施した調査によって判明したものです。


 池袋中学校の解体工事は、アスベストの飛散防止を図りながら慎重に行うため、工期が相当延びる見込みとなります。このため池袋中学校の運動場の完成は、平成29年3月から大幅に遅れ、その間、池袋中学校は旧文成小学校の運動場を使用することになります。そこで、旧文成小学校を仮校舎として使用する予定である、池袋第一小学校の改築スケジュールは2年間延長することといたしました。


 安全かつ適切に工事が進むよう、すでに保護者、地域の方々にはきめ細かに周知したところでありますが、これからも、できる限りの配慮に努めてまいります。


 なお、この度のアスベスト除去工事の工法や作業工程の詳細は、国や東京都の方針が定まる4月以降に、改めてご報告申し上げます。


(5)コミュニティ


 次に、地域区民ひろばの日曜開館について申し上げます。


 地域における多世代交流・コミュニティ活動の拠点として、また、セーフコミュニティのステーションとして内外から注目を集め、区民に定着してきた地域区民ひろばは、10年かけて全域展開が終了いたしました。


 今後は、次の段階として、若い世代の利用促進を目指して、全館での日曜開館を段階的に実現してまいります。


 手始めに、28年度には5館でモデル的に日曜開館を実施いたしまして、さらに2年かけて順次拡大し、30年度中には全館での日曜開館を行なってまいります。


(6)文化・産業振興


 次に、文化・産業振興について申し上げます。


 2月1日から「バレンタイン・ファンタジー池袋」が始まりました。


 今年は、観光協会を通じて友好交流が始まったフランス・ストラスブール市も参加し、同市で行われているバレンタインの人気イベント「ストラスブール・モナムール」が日本初上陸しています。昨日、池袋西口公園セレモニー、さらに、新庁舎への表敬訪問には、ストラスブール市の女性副市長さんほか15人の方がいらしてくださいました。


 池袋の東口・西口の各スポットでバレンタインを祝う様々なイベントが展開され、池袋の東西口が一体となった国際色豊かなイベントですので、ぜひ多くの方にご来場いただき、ロマンチックなひとときを楽しんでいただきたいと思います。


 さらに、豊島区自慢のブランドである「トキワ荘」、そしてトキワ荘が存在した南長崎の地を、マンガの聖地として積極的にPRしていく「南長崎マンガランド」事業について申し上げます。


 この間、地元の7町会からマンガランドの担当者を選出していただいて、事業内容の検討を行ってまいりましたが、いよいよ今年度中に、トキワ荘の歴史的・文化的価値をめぐる調査研究を終え、豊島区ゆかりのマンガ家たちのモニュメントの設置が進むことになりました。手始めに、手塚治虫氏のジャングル大帝レオのモニュメントなど3体を今年度中に整備する予定ですが、最終的には南長崎1丁目から6丁目まで全体にモニュメントを設置し、回遊性に富むマンガランドとしていく計画であります。


 この事業によって、マンガの聖地としての本区のブランド価値を一層高め、マンガファンの集客力を高めていきたいと考えております。


(7)都市再生


 次に都市再生について申し上げます。


 つい先日の2月9日、「池袋駅周辺地域都市再生緊急整備協議会」を設置し、第1回目の会議をセンタースクエアにおいて開催いたしました。


 この協議会は、都市再生緊急整備地域ごとに組織する、国・地方・民間による官民連携の協議会でありまして、構成員は、国からは安倍晋三内閣総理大臣、石破茂地方創生担当大臣、石井啓一国土交通大臣らが、その他、舛添要一東京都知事をはじめとする行政機関の長が名を連ねております。


 さらに、民間事業者として、JR東日本、西武鉄道、東武鉄道、そごう・西武、サンシャインなどの地元を代表する企業のトップが構成員となっており、官民挙げて池袋の都市再生に取組む体制が整いました。


 先日の協議会では、実務レベルの責任者にご出席いただき、協議会の規約や今後の進め方について確認いたしました。


 昨年7月に特定都市再生緊急整備地域の指定を受けて以来、具体的なプロジェクトが複数進んでおりまして、これらを確実に進めるためにも、協議会を通じて、今後の道筋をしっかりと示していく決意であります。


 また、先月、池袋駅西口地区市街地再開発準備組合の選定委員会において、三菱地所が事業協力者として選定され、池袋駅西口のまちづくりについて、大きな一歩が刻まれました。


 目下、準備組合と三菱地所との間で協定締結に向けた協議が進められており、3月末には正式に決定する予定であります。日本最大のデベロッパーが事業協力者となり、いよいよ国際都市池袋の顔となる西口再開発が動き出す好機を迎えました。


 このチャンスを逃すことなく、しっかりとまちづくりを進めてまいります。


 さらに来年度は、池袋駅東口において、来街者が多くなる休日に、歩行者専用の空間を設ける社会実験を行うほか、駐車場整備計画の策定に着手いたします。


 機運が高まるまちづくりの動きに遅れることなく、池袋駅東西の再生に欠かせない調査研究を着実に行い、国際アート・カルチャー都市にふさわしい、副都心再生を推進してまいります。


(8)その他


 次に、期日前投票所の増設について申し上げます。


 近年、全国的に投票率の低下傾向が続いておりますが、本区においても同様の傾向がみられます。


 そこで、投票率の向上を目指して、池袋駅の西武、東武両デパートに期日前投票所を設置することといたしました。今年の夏に予定されている参議院選挙では、投票日直近の日曜日から土曜日までの7日間、午前10時から午後8時まで設置する予定であります。両デパートは豊島区の中心に位置し、交通の便もよく豊島区民にとって期日前投票所として最適の場所だと考えております。


 新たに加わる池袋駅2か所の期日前投票所のほか、これまで区民センターに設置していた投票所は新庁舎の8階に移し、東西の区民事務所を加えて合計5カ所の利便性に優れた期日前投票所を設置する予定であります。なお、利用状況が思わしくない池袋図書館の期日前投票所は休止させていただきます。


 これら5カ所の期日前投票所については、区ホームページや広報でお知らせするとともに、有権者の皆様にお届けする「選挙のお知らせ」にチラシを同封して周知徹底を図ってまいります。


 駅に隣接した商業施設内に期日前投票所を設置するのは23区初めてであり、注目度の高い新庁舎に初めて開設することと相まって、大きな話題となり、選挙への関心も高まるものと期待しているところであります。


 新庁舎は、豊島新時代を象徴する建築物であります。


 区立の小中学校30校の全校が新庁舎を訪れ、延べ2,500人に上るお子さん達が豊島の森で環境学習を受けました。建物のデザインを監修してくださった隈研吾さんは、国際コンペなどで新庁舎を紹介しておられます。


 区民に開かれ子どもの声が響く庁舎。世界に紹介される庁舎が新庁舎であります。


 そして、この新庁舎整備を契機として連鎖的な副都心再生が進み、特定都市再生緊急整備地域、国家戦略特区の指定を受けた豊島区は、国際競争力を高め、日本再興を牽引する拠点の一つとして位置づけられるに至りました。


 今、豊島区は確実に新たな発展期を迎えています。


 ただ、ここまで至る道は、決して平坦ではありませんでした。


 5年前の東日本大震災、リーマンショックによる深刻な景気後退、そして、2年前の消滅可能性都市。数々の厳しい局面がありましたが、私は常に区民の皆さんに、特に次代を担う若い皆さんに誇りと希望を持っていただけるまちづくりを進めたいと熱望し、苦境を打開するための知恵を絞りだしてきました。


 「何としても二階に上がりたい、どうしても二階に上がろう。


 この熱意がハシゴを思いつかせ、階段を作りあげる。


 上がっても上がらなくてもと考えている人の頭からは、ハシゴは生まれない。」


 これは、松下幸之助氏の言葉でありますが、区政に当たる私の思いと深く通じるところのある至言であります。


 何としても豊島区の明るい未来を切り開きたい。


 この熱意が、新庁舎を生み、さらに「国際アート・カルチャー都市」という本区の明確な都市像を生み出しました。


 これからが大切です。私は、常に自ら区政の最前線に立ち、全身全霊を捧げ、強いリーダーシップを発揮して豊島区の輝かしい未来を力強く切り拓いていく決意を固めております。


 議会のみなさまにおかれましても、絶大なるご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。


 本日、ご提案申し上げる案件は、条例26件、予算4件、補正予算2件、その他12件、合わせて44件であります。


 各案件につきましては、後ほど、日程に従いまして、水島副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜わりますようお願い申し上げます。


 以上をもちまして、私の招集あいさつ及び所信表明といたします。