平成28年第4回区議会定例会招集あいさつ

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 1 はじめに


 本日、ここに平成28年第四回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝申し上げます。


 早いもので、今定例会が今年の納めの区議会となりますが、開会にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。


 はじめに、エコミューゼタウンの環境大臣賞等の受賞について申し上げます。


 このたび、公益財団法人都市緑化機構主催の「第15回屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール」において、本庁舎屋上庭園「豊島の森」をはじめとするエコミューゼタウンの緑化が、「屋上緑化部門」で環境大臣賞を、「壁面・特殊緑化部門」で日本経済新聞社賞を受賞いたしました。


 10階の「豊島の森」、8階から4階に至る「グリーンテラス」、そして1階南側の「けやき広場」と、ビル全体が水と緑でつながり、メダカやドジョウなども棲む小さな生態系をも形成しているという、単なる建築デザインとは異なる建物の構成要素が評価されましたことを私たちは誇りにしたいと思います。


 本区が力を入れてまいりました環境都市づくりが、このように高く評価されましたことは、非常に喜ばしいことであります。


 建築物は、一度造りますと50年以上は存在し、街の顔となります。建築は、街を変え、そして都市づくりであり、街づくりそのものであるという私の想いが、エコミューゼタウンや学校などの建築物において、少しずつではありますが、実を結んでまいりました。


 今回の受賞を契機として、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、「環境都市としま」のシンボルとなる、そして、街の顔となる建物づくりを、地域の皆様と共に推進してまいりたいと考えております。


2 国際アート・カルチャー都市の推進


 さて、豊島区が目指す国際アート・カルチャー都市づくりに関連する施策の現況について申し上げます。


 まず、「(仮称)豊島区新ホール」の買入れについて申し上げます。


 「国際アート・カルチャー都市」のシンボルとなる旧庁舎跡地の開発においては、建物全体の実施設計が完了いたしましたので、ようやく、8つの劇場の中心となる1,300席の「新ホール」の全容をご報告できる段階となりました。


 平成26年3月にプロポーザルを開始して以降、27年3月に東京建物株式会社、株式会社サンケイビル、鹿島建設株式会社の3社からなる事業体を選定し、今年の3月、定期借地権設定契約を締結したところでございます。


 この間、新ホールの設計など、様々な協議を精力的に進めてまいりましたが、新ホールを含めた建物全体の建築確認済証も取得し、このたびすべての協議が整いましたので、本定例会に新ホールの建物買入れ議案をご提案させていただきました。


 また、12月8日には起工式を執り行う予定となっており、その後順次、本格的に工事に着手することとなっております。


 次に、「(仮称)新区民センター」について申し上げます。


 旧区民センターの解体工事も順調に進んでおり、現在、内装材、照明機器などを撤去、12月より建物本体の解体作業に入ります。今年度中には地上部分の解体が終了いたしますが、来年度には地下部分の解体と並行し、一部改築工事にも入る予定となっております。


 新区民センターは、秩父産の木材も使用する500人収容の多目的ホール、160人収容の小ホール、数多くの会議室等を備えた、区民の皆様に使っていただきやすい様々な活動拠点として、生活産業プラザと一体的に整備をいたします。


 とりわけ、2階と3階には、日本最大規模と申し上げてもよい大規模な女性トイレを中心に、パウダーコーナーやフィッティングスペースなど、女性にやさしい機能を計画しております。


 さらに、2階の一部には、授乳室やおむつ替えスペース、親子カフェスペース、小さなお子さんが安心して遊べるプレイスペースを備えた「パパママ☆すぽっと」を整備し、子育て世帯のお出かけをサポートいたします。このコーナーにも、秩父の木材を活かした、ぬくもりのある空間を造りたいと考えております。


 このように、新区民センターは、本区が掲げている「女性にやさしいまちづくり」のシンボル的な施設として位置付けておりまして、東京オリンピック・パラリンピックの前の年である平成31年9月の竣工に向け、着々と工事を進めてまいります。


 次に、旧庁舎跡地エリアのネーミング募集について申し上げます。


 旧庁舎跡地及び旧区民センター、中池袋公園などエリア一帯の開発は、「国際アート・カルチャー都市構想」のシンボルプロジェクトであり、新ホールを中心とした8つの劇場や、今まで池袋にはなかった高規格・高品質な大規模オフィスの建設により、他に類を見ないにぎわいを創出いたします。


 また、新区民センターおける、女性やお子さん連れの来街者にやさしいパブリックトイレや多言語対応のインフォメーションセンターの設置、そして周辺の道路・公園の一体的な整備などが行われ、この一帯は、変貌する豊島区を象徴するエリアとなるのであります。


 2020年に完成するこの開発が、池袋のイメージを牽引する新たなにぎわい拠点として存在感を放ち、世界から人を惹きつけられるか否かは、まちのブランド構築、情報発信、運営体制などの、ソフト面を中心とした総合的なプロデュースの成否にかかっていると言えます。


 そのため、オープン前の早い段階から、積極的に情報発信するなど戦略的取り組みを行なうことで認知度をアップさせ、ブランドイメージを発信していくことが重要であります。


 そこで、ブランディング戦略の第1弾として、旧庁舎跡地エリアの「ネーミング」に着手いたします。


 「誰もが主役」になれるという国際アート・カルチャー都市のシンボルにふさわしく、また、新たなまちの創造を予感させ、区民の皆様や来街者の方々に親しまれるネーミングを公募し、年度内に決定することを目標に手続きを進めてまいります。


 今後も2020年のオープンに向けて、庁舎跡地エリアのブランディングと情報発信を積極的に進めてまいりたいと思います。


 次に、「池袋ブランディング・シティ戦略」について申し上げます。


 去る10月12日、「池袋ブランディング・シティ戦略検討会」を開催いたしました。この検討会は、国際アート・カルチャー都市構想を推進し、国際競争力を強化するアクションプランとなる「シティ戦略」を策定することを目的としております。


 検討会のメンバーは、池袋で事業展開をする「アニメイト」や「良品計画」などの地元の企業、「理化学研究所」、「本田技術研究所」などの池袋沿線で研究開発を行う企業に加え、「西武鉄道」や「東武鉄道」などの鉄道事業者、「サンシャインシティ」、「三菱地所開発」などの事業者が参画しております。


 また、国際アート・カルチャー都市懇話会幹事会幹事長の太下義之さんや、マサチューセッツ工科大学メディアラボのスプツニ子!さんなど、著名な学識経験者の皆様にもご協力をいただいております。


 加えて、国からは、国土交通省、経済産業省、東京都からは、政策企画局、都市整備局にご参加いただき、民間企業と関係行政機関のオールキャストで池袋の国際競争力強化を検討してまいります。


 今年度、検討会を3回開催し、池袋の国際競争力を強化する方策を「シティ戦略」としてまとめ、国際アート・カルチャー都市構想実現の3つの戦略、「国際戦略」、「空間戦略」「文化戦略」を相互に連携し、文化とにぎわいの都市実現を展開してまいります。


 次に、「東京アニメ・アワード・フェスティバル」池袋開催について申し上げます。


 先日、11月16日に記者会見で発表いたしましたが、平成29年3月、池袋におきまして、一般社団法人日本動画協会等が主催する「東京アニメ・アワード・フェスティバル2017」が開催されます。豊島区は、このイベントに対しまして、全面協力することにいたしました。


 2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会後も後世に残る「有形のレガシー」の代表は、旧庁舎跡地及び周辺エリアの開発施設であります。


 一方、豊島区の「無形のレガシー」として未来に伝えるべきものは、長年区民の皆さんが育んできた様々な形の文化であります。


 特に、マンガの聖地トキワ荘のある本区は、「マンガ文化の発祥の地」であります。そして、マンガから生まれたアニメ文化は、今やクールジャパンの代表格として、世界に進出をしております。


 今回のフェスティバルは、アニメ作品の振興を目的とした国際的なアニメ映画祭であり、同フェスティバル実行委員会・一般社団法人日本動画協会が主催、東京都が共催となっております。昨年は、世界中から500作品以上の応募実績があったとのことで、池袋での開催は、世界でも数少ないアニメフェスティバルの一つとして、さらに大きく花開くことが期待されます。


 これまでの3回は、日本橋で開催されておりましたが、アニメ百周年を機に、池袋をメイン会場に移して開催したいとの打診があり、本区と協議を続けてまいりました。


 このたび実行委員会が池袋を開催地として選定した背景には、まず、多くの映画館を抱え、授賞式が行えるイベント会場を有し、交通の利便性が高く、かつまた、乙女ロード、アニメイトの存在など、アニメとの親しみが他都市に比べ最も高いという点にあったようでございます。


 それに加え、「まちの安全・安心」に関する改善状況にも着目し、池袋は将来的な展望も含め、安全・安心な地域であると高く評価していただきました。


 さらに、「シネマチ祭」などのアニメを中心にした映画祭の開催実績や、アニメイベント等に対して地元商工会・商店街の理解があることについても、開催に適した要件であるとのご判断をいただきました。


 そして何よりも、本区が国際アート・カルチャー都市として、マンガ・アニメ文化の国際的な発信に積極的である点や、新たなシネマ・コンプレックスや旧庁舎跡地エリアのホールなど、ここ数年内に確実に完成する具体的な施設建設計画があり、「地域の将来性が感じられる」という点が、今回の選定の決定打となったようであります。


 池袋は4回目の開催地となりますが、これまでで最大規模の開催が見込まれております。


 来年3月10日から13日までは、池袋駅周辺の映画館5館で国際的なアニメ作品が上映されるほか、区民ひろば朋有と区民ひろば南池袋では、無料で親子が楽しめるアニメ映画も上映されます。


 オープニングセレモニーは、メトロポリタンプラザ1階で華やかに幕を開けます。


 世界各国からの応募作品の審査会場を豊島区庁舎内に置き、授賞式は、としまセンタースクエアで執り行います。さらに、WACCAでは人形アニメ―ションのライブステージを行うなど、オール池袋でこのイベントを盛り上げてまいります。


 この期間は、まさに池袋全体がアニメ一色になります。日本中のアニメファンが池袋を訪れるとともに、外国からも多くのお客様が来られることでしょう。


 私は、先の区議会の招集あいさつにおきまして、2020年までに、マンガの聖地トキワ荘を復元すると申し上げました。


 アニメの原点はマンガであり、マンガの原点はトキワ荘であります。マンガ文化の原点となったトキワ荘を復元することは、まさに未来へのレガシーであり、マンガ文化の歴史を後世に伝えていくことが豊島区の使命であると確信をしております。この使命を果たすことができるのは、豊島区しかないと考えております。


 春の「東京アニメ・アワード・フェスティバル」、そして秋の「池袋オータム・カルチャー・フェスティバル」の開催により、豊島区は「アニメの聖地」となります。


 豊島区は、マンガ文化発祥の地としての地位を確立するとともに、日本一のアニメ文化の聖地として、さらにその魅力を国内外に向け発信してまいります


3 福祉と子育て


 次に、福祉と子育てについて申し上げます。


 まず、平成24年2月以来、5年余りにわたりと都区間で協議を進めてまいりました児童相談所の移管準備に関する施設の設置について申し上げます。


 豊島区では、この間、児童相談所、一時保護所の早期設置・開設に向け、積極的に準備を進めてまいりました。また、庁内の関係部課長が連携・調整を図り、都側と協議を行うとともに、適時検討状況等を区議会に報告してまいりましたが、このたび、その設置場所の候補地案がまとまりましたので、ご報告し、関係議案は29年第1回定例会に提出いたします。


 これまで長崎健康相談所につきましては、老朽化が進み、バリアフリー化にも対応していないため、大規模改修する計画がありましたが、今回の児童相談所等移管を契機に建て替えることといたしまして、新たな建物内に、児童相談所と一時保護所を設置したいと考えております。


 建て替えにより児童相談所等の機能が加わることで、「健康相談所」、「児童相談所」、「一時保護所」の三つの機能を有する、「子育てと健康を支援する複合施設」にしたいと考えております。


 なお、西部子ども家庭支援センターにつきましては、現在地で引き続き子育て支援の拠点施設として、業務を継続いたします。


 平成27年度の全国の児童相談所での児童虐待に関する相談対応件数は10万件を超え、痛ましい事件が連日のように報道されています。本区におきましても、保護を要する児童等に関する新規の相談通告件数が年々伸び、年間400件近くになっているのであります。


 こうした状況のもと、本区としましては、「豊島区の子ども達は、豊島区が守る」という強い決意のもと、子ども達が夢と希望を抱き、安心して健やかに成長していけるよう、地域の皆様のご理解とご協力を賜りながら、平成33年度中に児童相談所を設置できるよう準備を進めてまいります。


 次に、小学校の放課後対策の充実について、申し上げます。


 まず、すべての学童クラブで平成29年4月から終了時間を午後7時といたします。現在、仰高、清和など、5か所の小学校では、すでに午後7時としておりますが、17か所拡大し、22か所すべてで実施をするものです。また、延長受け入れ対象学年も、3年生まで拡大をいたします。


 現在、本区においては区内企業におけるワーク・ライフ・バランスの推進をお願いし、また、国においては「働き方改革実現会議」が設置されるなどの動きがありますが、現実問題として、スキップにお子さんを預けている保護者の方が午後6時までに帰宅することは非常に難しい状況にあると認識しております。このような実情を踏まえ、子どもが安全な放課後を過ごせるよう、そして、保護者の方々がなるべく安心して仕事をできるよう、すべての学童クラブの終了時間を1時間延長し、子育て世帯を応援したいと考えております。


 そして、放課後対策のさらなる充実を図るため、平成29年度に向けて、子どもスキップの管理と運営を教育委員会の所管とすることについて、移行は、区長部局から教育委員会への委任事務となるわけでありますが、検討を開始しました。


 平成16年に最初の「子どもスキップ」がオープンして12年が経過し、子どもたちの安全・安心な遊び場として、また学童クラブとして、保護者の方々をはじめ、地域の皆様から子どもスキップに寄せられる信頼や期待は、ますます大きくなっております。


 利用者数は年々増加し、学童クラブの登録者数が100名を超えるスキップも出てきており、スペースが不足している小学校につきましては、できるだけ早期に校内の新たな場所を確保する必要があり、また、子どもたちの増加に対応したプログラムの充実も必要であります。


 一方、教育委員会では、文部科学省の補助事業「放課後子ども教室」を子どもスキップで展開しており、放課後対策のあり方の先進事例として文部科学省や厚生労働省から高い評価を得ておりますが、子どもスキップと放課後対策は、いわば同じ舟に乗っているのであります。


 したがって、今後、部局の横断的連携と、地域の方々との強い結びつきの下で、豊島区の小学校は、子どもたちの「学び」も「遊び」もより豊かになる場として、放課後対策について全国のモデルとなるような放課後の子どもの居場所づくりを行なってまいりたいと考えます。


 次に、特別養護老人ホーム「養浩荘」の建替えについて、申し上げます。


 「養浩荘」は、昭和56年に区内で最初に開設された特別養護老人ホームであります。しかし、建築後36年が経過し、老朽化が著しいことから、池袋本町への移転による建替え計画を本年度から進めているところであります。


 移転先予定地は、周囲の土地より約1.5メートル高くなっており、東側には擁壁も設置されております。


 区道を挟む隣接地には、池袋本町地区小・中連携校が本年9月に開校し、まちの風景が一新いたしました。その理由は、新校舎の建設もさることながら、連携校の敷地も、かつては特養整備予定地と同様に、周囲の土地より高くなっておりましたが、校舎建設時に土地を切り崩し、フラットな地面にしたことから、周辺と一体的な外観に生まれ変わり、景観上も極めて良好な状況が生まれております。


 このため将来を見据えた街づくりの観点から、特養整備予定地につきましても土地を掘り下げ、地域と調和した魅力的な施設となるよう計画の一部見直しを決断したところであります。また、定員につきましても見直しを図り、増員を検討しております。


 計画変更に伴い、完成時期は若干延びますが、地元の皆様の期待が大きい池袋本町地区で初めてとなる特別養護老人ホームは、小・中連携校とともに、地域の新たなシンボルとして、当地区のまちづくりに大きく寄与するものと考えております。


 次に、障害者差別解消への取組みについて、申し上げます。


 今年4月の障害者差別解消法の施行から約8か月が経ちました。


 本年10月、NHKは、障害者差別に関する自治体アンケート調査結果を公表いたしました。これによりますと、調査対象の全国121の自治体のうち、98の自治体に対し、障害者やそのご家族などから相談が寄せられており、相談件数の総数は、1,000件を超えているそうであります。このうち、37の自治体で74件の助言・指導が実施されました。


 本区におきましても、4月からこれまでに8件の相談が寄せられておりまして、うち2件について助言・指導を行なったところでございます。具体的には、盲導犬同伴の視覚障害者の方が区内の飲食店を利用した際、次回の利用を制限されたという相談がございましたので、当該飲食店に対しまして、障害者差別解消法の内容及び盲導犬の同伴について、理解を求めたところであります。


 障害者差別解消対策については手探りの自治体が多い中、豊島区では視覚障害者のご要望にお応えして、窓口関係課が連携・協力し、区からの郵便物をご自身で確認できるよう、封筒や文書への点字シールの貼付を進めております。このように全庁的に窓口関係課が連携し取り組むのは「23区初」であり、NHKの「おはよう日本」でも取り上げられたところでございます。


 また、10月から学識経験者、障害者、事業者などで構成される「障害者権利擁護協議会」を設置し、権利擁護に関する仕組みづくりや事例検討などを行なっております。


 さらに、職員対応要領を補完するための詳細なマニュアルを作成し、職員へ配布いたしました。


 今後も、障害者権利条約のシンボルマークであるイエローリボンを使った普及啓発活動を進め、障害の有無にかかわらず皆が共に暮らす、共生社会の実現に向けて取組みをさらに強化してまいります。


4 安全・安心なまちづくり


 次に、帰宅困難者対策の強化について申し上げます。


 先日11月17日に、池袋駅周辺などで帰宅困難者対策訓練を実施いたしました。


 今回の訓練においては、昨年不十分であった事項を改善するとともに、新たな取組みを行ないました。


 その新たな訓練として、本区では、練馬区との区境にある、日本通運江古田倉庫に約5万人分の帰宅困難者用備蓄物資を委託・管理しておりますが、その備蓄物資のうち、2千人分を実際に池袋西口公園へ輸送し、公園内に集積するという初の実践的訓練を行ないました。


 私は、本庁舎5階の災害対策本部において、トラックの到着・物資の荷卸しの様子をテレビ会議システムにより確認し、現場の状況をリアルタイムに把握をいたしました。


 その後は、物資の集積地となった池袋西口公園に足を運び、現地の様子を視察いたしました。


 公園内に積み上げられた備蓄物資を見て、近い将来、現実にこのような対応をしなければならない日が来なければいいと思う一方、巨大ターミナル駅である池袋駅の間近に、このような大量の備蓄物資が確実に輸送され、集積されている現実に、とても頼もしさを感じたところであります。


 そのほか、としまセンタースクエアでの災害弱者の受入れや、一時滞在施設であるホテルにおける外国人の受入れ訓練も実施いたしました。


 外国人受入れ訓練では、国の社会実証実験に協力する形で、スマートフォンのアプリを用いた多言語音声翻訳システムを活用して意思の疎通を図る訓練を行うなど、より実践的かつ本格的な訓練ができたと考えております。


 また、昨年7月に池袋駅周辺地域が「特定都市再生緊急整備地域」に指定されたことから、駅周辺滞在者等の安全の確保を図るための基本方針、「都市再生安全確保計画」を、来月12月下旬に策定する予定であります。


 この計画には、災害に強い街づくりのために、定期的かつ実践的な訓練の実施などソフト面の対策が盛り込まれるとともに、一時滞在施設の整備や、退避経路の確保など、都市機能の更新に合わせたハード面の対策についても盛り込む予定であります。


 今後、訓練などのソフト対策の充実とともに、再開発等に合わせたハード対策の充実というソフト・ハード両面から、駅周辺の帰宅困難者対策を今まで以上に強化し、池袋駅周辺の安全性を高め、誰もが安心して訪れることのできる池袋を実現してまいります。


5 教育都市としま


 次に、教育について申し上げます。


 まず、池袋第三小学校の改築について申し上げます。


 平成26年度から始まりました池袋第三小学校の改築工事は、いよいよ完成に近づき、12月20日に竣工、3学期の始まる来年1月10日から開校する運びとなりました。


 池袋第三小学校は、敷地が狭いうえに、住宅地に囲まれ周辺道路が狭く、工事を進めるためには多くの課題を抱えておりました。そこで、「池袋第三小の建替え等を考える会」をはじめ、地域の方々の様々な思いを受け止め、設計に反映させ、環境・地域と調和した、コンパクトで機能的な学校として改築を行なってまいりました。


 立教大学周辺のレンガ調を地域カラーと捉え、校舎全体に風合いのあるレンガ調のタイルを採用することにより、周辺環境と調和するとともに、地域の伝統を取り入れた、シンボル性のある学校となっております。


 地域の「池三小みどりの会」が学校管理に協力してくださることになり、また、「ふくろうの樹を創る会」が寄贈してくださった、子供たちの交通安全・健全育成を願う「慈母ふくろう像」を校門に配置するなど、地域に見守られる学校として表現しております。


 また、手狭な敷地を有効活用するための工夫も随所に取り入れております。校舎を敷地北側に集約して4階建てとし、プールを屋上に設置することで、約5千600平方メートルの敷地に対し、従前より広く、形の良い校庭を整備することができました。


 さらに、校舎2階の運動場側には、教室間の仕切りのない開放的なバルコニーを設置いたしました。このバルコニーは、運動会等の際に、保護者の観覧席として活用することができ、校庭の運動スペースを目いっぱいに取ることができる画期的な設計となっております。


 「学校づくりは街づくり」という理念を池袋第三小学校でも継承し、地域と一体となった学校づくりを推進すると共に、防災の拠点として救援センター機能も強化し、住宅街の中にある学びと地域の拠点として、周辺環境と調和し、コンパクトで好感度の高い校舎の姿が完成間近であり、大いに期待しております。


 次に、仰高小学校、池袋本町小学校のインターナショナルセーフスクール認証取得について申し上げます。


 先週の11月17日、仰高小学校と池袋本町小学校におきまして、インターナショナルセーフスクールの認証審査が行われました。


 秋晴れの素晴らしい天気に恵まれ、子供たちは、日ごろの安全・安心に対する取り組みを堂々と審査員に披露することができました。そして、両校ともに、区民ひろばを中心とした地域対策委員会、地域の方々の温かいご支援をいただきながら、見事に新規認証を取得いたしました。


 来年2月9日には、それぞれの学校において、認証式を執り行う予定です。


 また、来年度の新規取得に向け、池袋第一小学校、池袋中学校が着々と準備を進めていると伺っております。


 今後も、区内小中学校全校でインターナショナルセーフスクール認証取得へ向けて取り組んでいけるよう支援してまいります。


6 この1年を振り返って


 今議会は、今年最後の区議会でありますので、改めて、今年1年を振り返ってみますと、まさに挑戦に次ぐ挑戦の1年でありました。そして、区政における時代の大きな変わり目の年であったと感慨深く感じております。


 遠い昔のことのように思われますが、バブル経済崩壊による厳しい財政状況の中、「進むも地獄、退くも地獄」と苦しい胸の内、心情を率直に述べられたと側聞しておりますが、前区長の悲願の一つでもあった新庁舎建設が大願成就したのが昨年であります。


 庁舎建設を私の手、自分の手でどうにかしたいという想いが、区民の皆様、区議会の皆様のご理解・ご協力があって実現したのでありますが、今年は「国際アート・カルチャー都市」実現のための諸課題に真正面から挑戦し、大きな成果を出し、最も充実した、区民の皆様にも喜んでいただける将来の目標をもって、区政の展開ができたのではないかと考えております。


 平成28年は、まず1月に国際アート・カルチャー特命大使の認証式で幕が開けました。その後、南池袋公園の開設、池袋本町小・中連携校の開校、雑司ヶ谷鬼子母神堂の国重要文化財の指定、アジア・ヘッド・クォーター特区の指定、新庁舎を活用した様々なイベント、その間に、参議院議員選挙、東京都知事選挙、衆議院東京第10区補欠選挙があるなど、息つく暇もなく走りに走った1年でありました。


 とりわけ、南池袋公園の完成は、四季を感じる都会のアオシスとして、池袋の明るい将来を予感させる民間の力も借りたダイナミックなデザインなど、私たちの予想以上の高い評価をいただき、これからの都心の中心公園のモデルになるのではないかと思います。


 今後、池袋駅周辺の他の公園整備を進め、「4つの公園と8つの劇場」構想によって、さらなる成長のチャンスを生み出してまいりたいと考えております。


 来年は、先ほども申し上げましたが、この12月8日に起工式が行われる旧庁舎跡地エリアの建設工事が進み、少しずつその姿を現してまいります。一方、アニメ・アワード・フェスティバルの開催、東アジア文化都市への立候補準備など、ソフト面での賑わい戦略も展開してまいります。国際アート・カルチャー都市構想の目指す都市像である「まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市」の実現へ向け、着々と布石を打っていきたいと考えております。


7 おわりに


 マンガの神様 手塚治虫先生は、対談の中でこう言っています。


 『三十年たって振り返りもされない建築はまずいと思う。漫画も三十年たって読まれなければ本物じゃない。』


 レガシーとはすなわち、後世に残すべきシンボルのことであり、そして時代が流れても、変わらないものであります。


 まさに今、ここに生まれ、また、これから生まれようとしている数々の豊島区のレガシーは、何十年経っても語り継がれていくものなのです。


 また、手塚先生はこうも言っています。


 『物語はここから始まるのだ』


 今まで、豊島新時代へのレガシーを語り継ぐために、私たちは様々な努力を積み重ね、走り続けてまいりました。


 そしてこれからも、気を引き締め、区民の皆さん、区議会の皆さん、職員の皆さんとともに、全力で走りに走り続けていく所存です。


 区議会の議員各位におかれましても、最大限のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。


 本日、ご提案申し上げる案件は、補正予算3件、条例15件、その他12件、合わせて30件であります。


 各案件につきましては、後ほど、日程に従いまして、水島副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご協賛賜わりますようお願い申し上げます。


 以上をもちまして、私の招集あいさつといたします。