本日、ここに平成29年第三回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝申し上げます。
冒頭に、「東アジア文化都市」決定について申し上げます。
去る8月1日付けで、宮田亮平文化庁長官より、本区が2019年の東アジア文化都市の国内候補都市に決定した旨の通知をいただきました。
横浜市、新潟市、奈良市、現在開催中の京都市、そして来年の金沢市に続き、豊島区が6番目の国内候補都市に決定したのであります。
日中韓3か国文化大臣会合での合意に基づいて2014年(平成26年)から始まりました東アジア文化都市事業は、3か国それぞれの国から選ばれた3つの開催都市が、文化・芸術イベント等を実施することで、東アジア地域内の相互理解と国際発信力の強化を図ることを目指すものであります。
本区では、2019年の東アジア文化都市に立候補すべく、昨年来、全庁を挙げて取り組み、本年1月には専任の担当課長を置くなど、選定取得に向けて努力をしてまいりましたが、そうしたことが実を結び、ここに本区の文化の歴史に新たな1ページが開かれることになるに違いありません。
もうすでに友好都市をはじめとして、区民の皆様からも、今までお世話になった関係者の方々など、たくさんの皆様から激励やお祝いのメッセージを頂戴しております。
今回の豊島区の開催都市の決定には、これまでと異なる意義が2つあると考えております。
1つは、東京が開催地となっているオリンピック・パラリンピックという世界最大の祭典との相乗効果が図れるということであります。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて最も機運の高まっている前年の2019年に、オリ・パラ文化プログラムと東アジア文化都市プログラムの2つの国家的文化事業が行われることで相乗効果が期待でき、豊島区の魅力を世界に向けて発信すると同時に、東アジア文化都市としての存在感を示し、本区の知名度を高めていくことができることにあります。
2つ目は、東アジア文化都市の開催地に規模要件はないものの、日本では、これまで政令指定市・中核市が開催地となってきた中で、一般市の豊島区、23特別区の1区が開催地となったことであります。これは、もとより申請の段階から都との連携を深めていく姿勢で開催地申請をし、都区の協力関係をアピールした結果であります。それにより、2019年においては、人口30万人規模の都市であっても、東アジア文化都市事業を開催できるという実例を示し、今後の開催地モデルにしてまいりたいと思っております。
8月26日には、京都市におきまして、これまでの日中韓3か国の開催都市と、2018年の開催都市に決まっている金沢市、中国のハルビン市と韓国のプサン広域市に、ASEAN文化圏都市を加えた17都市が一堂に会し、初めてとなる「東アジア文化都市サミット」が開催されました。宮田文化庁長官のあいさつに始まり、本区の国際アート・カルチャー都市懇話会会長でもある近藤誠一氏が議長を務められ、それぞれ開催都市の市長らが、事業の成果や今後の事業発展のための方策を発表されました。そして、サミットの最後には「東アジア文化都市サミット 京都宣言」が採択され、文化による都市のさらなる飛躍と東アジアの平和的発展を目指すことが確認されました。
京都でのサミットは、本区では経験したことのない、まさに国際会議そのものであり、また、東アジア文化都市事業が、日中韓3か国の枠を超え、東南アジア諸国にまで及ぶ文化芸術のネットワークを広げつつある、大きな意義ある国際的事業であることを改めて認識をいたしました。
これまでの開催都市が、都市それぞれの特色を生かしつつ担ってきた、この事業を豊島区が引き継ぎ、成功に導くためには、まさに「オールとしま」の体制で取り組んでいく必要があると考えます。さらに、申請の段階から強力なバックアップをしていただいた小池百合子東京都知事とは、一層連携を強め、二人三脚で進めてまいります。
開催まで1年3か月余り。まずは、多くの区民の皆さんにこの事業を知っていただくことが重要でありまして、来たる10月3日には、立教大学の吉岡知哉総長が東アジア文化都市事業の「全体統括責任者」として、スポークスマンや産官学の連携役をご快諾いただいておりますことから、立教大学のタッカーホールにおきまして、大規模な区民報告会を開催いたします。
私は、文化に対する熱意は誰にも負けないという思いを持ってまいりました。いずれの日か、本区の文化を歴史的に捉える日があり、2019年の東アジア文化都市事業の開催が本区の文化行政にとって正しい選択であり、本事業がより持続可能な未来へと繋がるイベントであったと評価いただけるよう、そのためにも知恵と工夫を重ね、汗をかいて、必ずや、成功に導いてまいる覚悟でございます。議員の皆様におかれましても、特段のお力添えを賜りますようお願い申し上げます。
1 平成28年度決算について
さて、はじめに、平成28年度決算について申し上げます。
平成28年度決算の特徴について一言で申し上げますと、少子高齢化へ重点的に対応し、持続発展都市へ向けて施策を着実に推進し、成果を上げることができた決算であります。
保育施設の整備や居宅訪問型保育事業などにより「待機児童ゼロ」を1年前倒しで達成したことを始め、学校トイレの洋式化整備、池袋本町小中連携校及び池袋第三小学校の竣工、介護予防センター事業など数多くの施策を展開し、「住んでみたい、住み続けたい」まちづくりを着実に進め、成果が上がったものと確信しております。
それでは、決算概要を申し上げます。
まず、平成28年度各会計決算のうち、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。
平成28年度の一般会計歳入歳出決算額は、歳入が1,281億5,100万円で収入率は94.5%、歳出は1,255億4,900万円で執行率は92.6%となっております。
前年度と比較いたしますと、歳入は118億8,900万円の減で8.5%のマイナス、歳出は111億6,800万円の減で8.2%のマイナスとなっており、それぞれ昨年度より大幅に縮小しております。
歳入決算額から歳出決算額を差し引いた「形式収支」は、26億200万円となり、形式収支から翌年度への繰越額1億3,800万円を差し引いた「実質収支」は24億6,300万円の黒字でありますが、前年度の実質収支29億5,000万円と比較いたしますと、4億8,600万円の減となっております。
なお、歳入と歳出の決算額が、ともに前年度決算額より大幅な減となりましたのは、旧庁舎跡地一括前払い地代191億円などの歳入・歳出双方の特殊要因が、28年度決算ではなかったことや、歳入では一般財源収入が5年ぶりにマイナスになったことによるものであります。
次に、主な財政指標について申し上げます。
法により公表が義務付けられている「健全化判断比率」の中の財政指標について申し上げますと、まず、「実質公債費比率」については、過去に起債発行の抑制に努めてきたことなどにより、前年度から0.7ポイント改善して早期健全化基準のプラス25%を大きく下回るマイナス3.0%となり、23区の中では、暫定値ではありますが、上から12位と中位に位置しております。
また、公債費等の「将来負担比率」については、マイナス72.8%となり、早期健全化基準のプラス350%を大幅に下回っております。しかしながら、23区中では19位となっております。
さらに、財政構造の弾力性を示す「経常収支比率」については、77.8%となり、5年連続で23区の平均値を下回り、23区の中では10位と、いずれの指標も適正な範囲内に収まっておりまして、28年度の決算における主要な財政指標が示すとおり、本区の財政構造は、その体質が一層改善されたと捉えることができます。
次に一般財源の歳入について申し上げます。
平成28年度決算の一般財源歳入は、5年ぶりのマイナスとなりましたが、一般財源の中でも主要かつ最大の一般財源である特別区税は、納税義務者の増などによって、前年度より3億4,800万円の増、過去最高の314億6,800万円となっており、6年連続の増、この間の増は約41億円となっております。
こうした住民税の増、とりわけ納税義務者の増は、この5年間で16,000名となっており、このことは、ひとえに、「住みたいまち・住み続けたいまち」に向けて実施してきたハード・ソフトのあらゆる施策の、ひとつの成果でもあると考えております。
今後も、計画的かつ安定的な財政運営を行うことを念頭に行財政改革を推し進める姿勢を堅持するとともに、未来に向けた投資は、先を見据えて、チャンスとタイミングを活かし、しっかりと行ってまいりたいと考えております。これは当然、財政の将来への展望を持ったうえでのことであります。
2 国際アート・カルチャー都市の推進
次に、国際アート・カルチャー都市の推進について申し上げます。
まず、「ジャパン・コンテンツ・ショーケース2017」について申し上げます。
このイベントは、経済産業省や映像コンテンツ産業団体等が主催する、映像・音楽・アニメなどの国際的な見本市であります。昨年までは、お台場で開催しておりましたが、ヴェネツィアやベルリンなど、世界に並ぶアジア最大のマーケットに脱皮するために新たな会場を求めていたところ、国際アート・カルチャー都市 豊島区に目をとめていただき、今年から池袋で開催する運びとなったものです。10月にサンシャインシティなどで行われる予定となっております。
これまで、このイベントでは、300以上にも及ぶ国内外の著名なコンテンツ関連の企業や団体などが出展し、監督、プロデューサー、そして、それらを扱おうとするバイヤーなど、40以上の国と地域から延べ2万人を超える映画、メディア関係者が訪れており、事業規模は年々拡大していると伺っております。
我が国のアニメ等のコンテンツの魅力を世界へアピールするとともに、他産業との連携を図りながら、コンテンツ産業全体の海外展開を促進することを目的とするもので、池袋を舞台にこのようなイベントが開かれることは、大変名誉なことであると考えております。
さらに、世界的な音楽祭が次々と池袋にやってまいります。
一つは、世界的なクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」の池袋開催についてであります。
ラ・フォル・ジュルネは、フランスの音楽プロデューサー、ルネ・マルタン氏の発案により、フランスのナントで開催されるクラシック音楽の祭典であります。
日本には、2005年に「熱狂の日音楽祭 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」として上陸し、今年で13回目を迎えました。毎年5月に有楽町の東京国際フォーラムを中心に開催され、延べ780万人の入場者数を記録し、今や世界最大級の音楽祭へと成長しました。
この世界的音楽イベントが、8月22日に開催された実行委員会において、2018年から池袋を新たな会場とすることが正式決定され、池袋と有楽町の2つの会場で同時に開催されることとなりました。東京メトロ有楽町線で20分という位置にある池袋と有楽町での国際イベントの同時開催は、文化の地域的な広がりにつながるものであり、街中にクラシック音楽があふれるような街づくりを進めることで、本区の文化都市としてのイメージがさらに向上するものと期待をしております。この世界的音楽イベントを池袋に定着させ、豊島区の魅力を世界に向けて発信していきたいと考えております。
もう一つは、「世界吹奏楽大会」の池袋開催であります。
イギリスで創設された世界吹奏楽協会によるこの大会は、2年に一度、世界各地で開催されており、今年は17回目を迎えます。これまでの大会には、1,000人以上の奏者、1万人以上の聴衆・吹奏楽ファンが集い、世界有数の吹奏楽のシンポジウムとなっております。
第18回となる2年後の2019年7月は、池袋での開催となりますが、この年には、東アジア文化都市事業の開催があり、まさに同時期に国際的大イベントが2つ、池袋で開催されることとなりました。
日本では、1995年の浜松市大会に次いで、2回目の開催となります。また、「東京国際バンドフェスティバル」も同時開催され、世界中の子どもから大人までの吹奏楽団が東京池袋に一堂に会し、各国の特色を活かした楽曲の披露、客演指揮者による指導勉強会等が行われる予定です。
さらに、本大会及びフェスティバルに出場した吹奏楽団と、本区の区立小中学校の金管バンドクラブとの交流も考えていきたいと思っております。世界超一流の楽団員と触れ合う体験が、子どもたちの未来を創造することにつながり、本区の音楽文化の裾野を広げていくものと大いに期待をしております。
3 池袋駅周辺まちづくり
次に、池袋駅周辺まちづくりについて申し上げます。
まず、「池袋西口公園の整備」について申し上げます。
本年第2回定例会でご説明いたしましたが、2019年の「ハレザ池袋」の新ホールオープンと同時完成を目標に、池袋西口公園を他に類のない劇場空間として整備することといたしました。
今年5月から、基本計画策定事業者の公募をプロポーザル方式により実施し、地元代表者の方にも審査に参画していただき、事業者を決定いたしました。
事業者は、「三菱地所設計」と、南池袋公園を設計した「ランドスケープ・プラス」の共同企業体であります。
提案内容には、かつてあった弦巻川の水源、「丸池」をデザインモチーフとしたリング状の屋根、裏表のない円形デザイン、また、多様なイベントが可能な2つのステージ、日常の憩いの空間などが描かれ、まさに国際アート・カルチャー都市にふさわしい、他に類を見ない斬新なデザインであります。
私は、選ばれたデザインを見て感動いたしました。日本にもない、世界でも類を見ないデザインで、議員の皆様をはじめ、多くの方々からも大いなる共感をいただきました。
また、災害時の活動拠点としての機能や将来的な維持管理も十分に考慮された提案となっており、池袋の顔、そして豊島区のシンボルとなり得るデザインであります。今後、この提案をベースとし、地元の皆さまとも十分に議論しながら公園の改修を進めてまいります。
今回の西口公園改修プランで、「4つの公園」構想のイメージがすべて完成します。まさに「公園が街を変える」というコンセプトで構想を推進してまいりましたが、今回の西口公園整備が池袋西口の再開発事業を先導し、そして「ハレザ池袋」とともに、国際アート・カルチャー都市のシンボルとして文化芸術の発信拠点となるよう全庁を挙げて取り組んでまいります。
次に、「造幣局跡地公園の整備」について申し上げます。
昨年の秋に移転しました造幣局は、既存の建物が全て撤去され、現在は更地の状態となっております。3.2ヘクタールという敷地の広さを改めて実感することができます。この敷地の都電側1.7ヘクタールに、区内で一番大きな公園となる「防災公園」を整備いたします。
そのスタートとなる事業者の公募が、9月15日から始まりました。今回の公募につきましては、設計から、施工、管理運営までを一体的な事業として、一括で処理できる事業者を公募するもので、これまでに他の自治体でも例のない取組みであります。公募の前に行いました説明会には、多くの企業にご参加いただきまして、改めて本事業に対する注目の高さを感じているところでございます。今回の公募で事業者が決定するのは、来年2月の予定となっております。その後、設計、施工を行い、公園のオープンは2020年の春を予定しております。
なお、今定例会の補正予算案に、100トンの「応急給水槽」の調査設計費を計上しております。この応急給水槽は、災害時の飲料水の確保を目的とした設備であり、公園の地下に、水道管直結の循環式の貯水タンクを設置する計画です。この設備で、約1万人の3日分の飲料水が常時ストックされることになります。
次に、「副都心移動システム」について申し上げます。
副都心移動システムとしての「EVバス」につきましては、2019年の新ホールのオープンや東アジア文化都市の開催に合わせるべく、当初の計画を前倒しして運行を開始できるよう事業を加速させてまいります。
これに伴い、計画とデザイン検討にかかる経費の補正予算を今回お願いしております。今回の補正予算により、本年度の当初予算による、事業化にあたっての諸課題の整理に加え、運行ルートや料金設定、必要となる車両台数など、事業化に向けた計画案を検討してまいります。
また、本システムのデザイン検討に当たりましては、JR九州の「ななつ星」をはじめ、多くの車両のデザインを手掛けている、工業デザイナーの水戸岡鋭治氏にお願いできればと考えております。
水戸岡氏には、平成27年に「デザインは公共のために」というテーマで、「としま文化フォーラム」でご講演をお願いしましたが、これまで鉄道車両はもちろんのこと、それに関連する駅舎などをトータル的にデザインされるとともに、バス車両では、バス停や案内マップ、チケット、制服に至るまで、幅広いデザイン実績をお持ちであります。水戸岡氏は、これからの池袋副都心の価値を高める乗り物にふさわしい、トータルデザインをお願いできる、日本でただ一人の工業デザイナーであると確信をしております。
そして、この計画には、最大限、民間の方々にも協力をお願いし、これこそ官民一体のエリアマネジメントの成果であることをお示しできればと考えております。
4 女性にやさしいまちづくり
次に、女性にやさしいまちづくりについて申し上げます。
まず、「待機児童ゼロと保育の質の向上を目指した取組み」について申し上げます。
今年度4月に、当初の目標年度よりも1年前倒しで「待機児童ゼロ」を達成しましたので、他の自治体からの問い合わせが多数あり、また、マスコミにも豊島区の保育政策が取り上げられました。
朝日新聞には「東京都内の区市町村の中で、豊島区は、認可保育施設への入園率が91.9%と第1位」という記事が掲載され、また、日本テレビの番組の中では、本区の居宅訪問型保育事業について、コメンテーターから絶賛されるなど、非常に好意的に取り上げられており、「子育てしやすいまち」として、豊島区が大きくクローズアップされております。
今年度の目標である認可保育所13園の設置も、現時点で、ほぼ目途がついておりまして、引き続き来年度以降も、待機児童ゼロを継続できるものと考えております。
一方、待機児童をゼロにするだけでなく、忘れてはならないのが「保育の質の向上」であります。保育の質といってもその意味は多様でありますが、本区としては、施設基準などの「保育環境」、職員の資質、保育サービス、保護者支援などの「保育内容」を総合的に維持向上させていくことが、保育の質の向上のうえで重要であると考えております。
このため、豊島区は、保育施設設置の段階であらゆる項目を審査し、一定水準以上にある、質の高い保育事業者のみを事業者として選定しております。そして、実際に開園してからも、認可保育園や小規模保育所等に対し、定期的な指導検査を行っており、保育内容、園の運営状況、会計等をしっかりチェックしております。
また、定期的な指導検査以外にも、区立保育園の元園長が、主に新設の私立園を中心に訪問し、その場でいろいろアドバイスを行っております。
このほか、区立、私立とも、毎月の園長会、事務連絡会、研修などを合同で行うことで情報共有を図っているところです。今後も、区立・私立を問わず、広く豊島区全体の保育の質の維持・向上に力を入れてまいります。
次に、区内企業との「女性にやさしいまちづくり協定」について申し上げます。
本区では、女性や子育て世代、働く世代を対象に、「わたしらしく、暮らせるまち。」を基本コンセプトとして、事業者それぞれの強みを活かしたノウハウやリソースを活用し、様々な分野で連携・協働していく「FFパートナーシップ協定」を推進しております。
FFとは、フィーメイル・フレンドリー、すなわち「女性にやさしい」という意味ですが、本年3月には、西武池袋本店と第1号となるFF協定を締結し、育休明け女性を応援する「育休復帰セミナー」や、屋上庭園での「図書館司書のわくわくおはなし会」などを定期開催してまいりました。
8月には、東武百貨店池袋本店とFF協定を締結し、親子・ファミリー層をメインターゲットとして、子どもたちの健全な育成のため、デパートを、より質が高く変化に富んだ子どもの遊びと学びの場にする新たな事業展開を開始いたしました。
また先日、9月12日には、サンシャインシティとも協定を締結し、区と協働で、女性や子育て世代、働く世代の多様なライフスタイルを応援していくこととなりました。
今後も、さらに新たな事業者との連携により、女性や子どもにやさしいまちづくりに取り組んでまいります。
次に、公園などのパブリックトイレの改修について申し上げます。
区内の公園・児童遊園のトイレの数は、現在約130か所ございます。このうち、設置後30年以上経過しているものや、バリアフリーに対応していないものなど、何らかの改修が必要なトイレが85か所ございます。
これらのトイレにつきましては、2020年東京オリンピック・パラリンピックを控え、今後3年間で、女性や子どもが利用しやすい、清潔なパブリックトイレに改修してまいります。
今年度につきましては、現地調査を行い、改修計画の全体計画を策定するとともに、すでに5か所の改修を発注しております。また、さらに10か所を改修するための補正予算案を今定例会に上程させていただきました。
なお、当初予算時に、区議会からも公民連携事業の具体例として、高い評価をいただきました、公園内の自動販売機の設置とトイレの改修事業につきましては、保育園児など小さなお子さんが多く利用している小規模な公園が本区には多いことや、公園周辺の商店との関係などを考慮し、当面、公園等への自動販売機の設置は見送ることといたしました。
5 保健・福祉
次に、保健・福祉について申し上げます。
まず、「池袋保健所の移転計画」について申し上げます。
ハレザ池袋の新ホールと新区民センターは2019年秋に、翌年の2020年夏にはオフィスと商業施設がオープンいたします。このエリアは、8つの劇場をはじめ、国際アート・カルチャーの拠点として、年間1,000万人もの来街者が予想される、賑わいの一大拠点となります。現在においても、隣のアニメイト本店には、1日に約1万人、休日になりますと、若い女性を中心に2万人を超える来街者が訪れます。
一方で、池袋保健所には、現在、1日200人から300人の方が来所されます。施設の性格上、ベビーカーや車いすを利用される方の割合が多くなっており、また道路に来所者の自転車などがあふれている状況ですので、混雑する賑わいエリアの中で、来所される方々の安全・安心を確保していくことが重要な課題であると、認識をしているところであります。
また、新ホール・新区民センターとアニメイトに挟まれた、このような場所に保健所を置き続けることは、街づくりの観点、賑わいの連続性創出という点から、また、保健所を利用する皆様にとっても、大変不便をおかけすることになり、安全・安心のためにも、決して好ましいのものではないと思われます。
このようなことから、池袋保健所の移転可能性について、検討してまいりましたが、その考え方について、申し上げたいと存じます。
それは、現在本庁舎の目の前の「南池袋二丁目C地区」で再開発の計画が進められておりますが、そこで計画されている建物の一角に池袋保健所を移転するというものであります。
しかしながら、C地区の再開発事業の竣工は少し先のこととなります。そこで、池袋保健所を、いったん造幣局跡地の市街地南側部分の土地に仮移転し、C地区の再開発完成後に、再開発ビルに本移転するという考え方でございます。
仮移転の敷地は、区が地元のまちづくり協議会とともに、造幣局南地区再開発を計画している区域の一部でありますので、この再開発の検討をしている間、暫定的に活用したいと考えております。
今後、医師会や歯科医師会をはじめとする関係団体や地域の皆様に対し、丁寧な説明を行うとともに、造幣局跡地の市街地南部分を取得するUR都市機構、さらには南池袋二丁目C地区の再開発準備組合とも、池袋保健所移転実現に向けた協議を精力的に行ってまいりますが、ハレザ池袋の開設時には、池袋保健所の移転ができないかと考えておりますので、次回の定例会までには成案を取りまとめ、区議会に説明してまいりたいと考えております。
次に、特別養護老人ホーム等の整備について申し上げます。
池袋本町に移転整備を進めている「養浩荘」につきましては、8月26日に地鎮祭を終え、いよいよ本格的に建築工事が始まりました。
また、同じ8月26日には、区内3か所目の介護老人保健施設となる「南池袋アバンセ」の竣工祝賀会も開催され、今月からオープンいたしました。区内の老健総定員はこれまでの206名から356名へと拡大し、区民の在宅生活の推進に大きく貢献できるものと期待しております。
一方、新たな特別養護老人ホームの区内整備を推進するため、今年度予算に調査経費を計上し、様々な検討をしてまいりましたが、現在、西巣鴨地域での整備について、案をまとめているところであります。これから様々な関係者との協議・調整を行う必要もございますので、できるだけ早期に諸課題を整理したうえで、この件も次回の定例会までには成案を取りまとめ、区議会にもご説明してまいりたいと考えております。
6 空き家対策
次に、「空き家対策」について申し上げます。
平成25年の総務省の住宅・土地統計調査によりますと、本区の空き家率は、15.8%と、都内で最も高い割合となっております。
昨年度、区内全域を対象に実施した空き家実態調査においては、その外観から明らかに空き家と判断できるものが、戸建て、民間賃貸住宅、分譲マンションを含めますと、約6,200戸存在しております。空き家の所有者は高齢者が多く、賃貸住宅の入居者募集を積極的に行っていないなど、空き家解消のための取組みが不十分なものが相当数ございました。
また、今後の利活用の意向に関するアンケートでは、「活用するつもりがない」との回答が戸建て住宅で5割弱を占めるなど、空き家が適正に管理されず放置されることが懸念されます。
こうした背景から、本区において総合的な空き家対策を講じることが喫緊の課題となっておりました。
そこで「再生可能な空き家の利活用」と、「適正に維持管理をされていない空き家に対する指導」の二つの対策を講じることといたしました。
まず、再生可能な空き家の利活用策として「(仮称)空家活用条例」を制定いたします。
空き家の維持管理は、所有者の自己責任が大原則ですが、活用せず放置しますと、老朽化が進み、防災・防犯・衛生面など地域への悪影響を与える恐れがあります。そこで、空き家の活用を促進させ、区民の安全・安心なまちづくり及び区民の多様なライフスタイルの実現に寄与することを目的とした「(仮称)空家活用条例」の制定につきまして、準備を進めているところでございます。
条例の内容としましては、空き家の所有者等が活用に向けて物件を登録するとともに、活用する事業者の登録制度を設け、マッチングする仕組みを構築するなど、空き家の利活用を促進させることを主目的としております。こうした条例は、全国的にも例がなく、おそらく本区の条例が、全国初の試みとなると思っております。
また、適正に維持管理をされていない建物等に対する指導強化策として、「建物等の適正な維持管理を推進する条例」の一部を改正いたします。
当該条例は、施行後3年が経過したところでありますが、「建物」については修繕や解体へ誘導することはできるものの、「空き地」の管理不全や、土地に定着する「樹木」の繁茂、放置されている「ごみ」問題などには、十分な対応ができない状況にあります。
そこで、条例で指導できる対象物の範囲の拡大や、所有者に対し、新たに強制力を持った規定を設けることで、より一層、実効性の高い条例としたいと考えております。
いずれの条例につきましても、第4回区議会定例会に提案できるよう、準備を進めてまいります。
7 安全・安心まちづくり
次に、安全・安心まちづくりについて申し上げます。
まず、「セーフコミュニティ」について申し上げます。
セーフコミュニティの取組みにおいて重要なことは、活動の継続にあります。区では、平成24年度の認証取得後、「豊島区自治の推進に関する基本条例」の中に、セーフコミュニティ活動をまちづくりの長期的な規範と位置づけ、多様な組織や団体との協働による取組みを継続することで、安全・安心の輪が着実に広がってまいりました。
来る11月6日から8日には、いよいよ海外審査員を迎えて、再認証の本審査が実施されます。豊島区のこれまでの取組みを積極的にアピールしていけば、必ずや再認証を取得できると確信をしております。
また、インターナショナル・セーフスクールにつきましては、区内の小学校では5校目となる池袋第一小学校と、区内の中学校では初となる池袋中学校が、12月の本審査に向けて、取組みを行っております。これにより、今年2月に認証を取得した池袋本町小学校をあわせた、池袋中学校ブロックの3校すべてが、セーフスクール活動に取り組むこととなりました。今後も、セーフコミュニティ活動と連携することで、地域の安全・安心をさらに高めてまいります。
このような池袋本町地区の取組みを先鞭として、区内全域に安全・安心まちづくりを波及させてまいりたいと考えております。
次に、「感震ブレーカーの設置助成」について申し上げます。
平成7年に発生した阪神・淡路大震災では、原因が特定できた火災のうち、6割が電気に起因したものでした。
強い地震が発生した際には、停電復旧時に発生する通電火災が発端となり、大きな火災被害に繋がってしまう危険性が指摘されており、首都直下地震の被害想定でも、都内での死者1万3,000人のうち、半数以上が火災によるものと予測されております。
こうした通電火災への対策として、この9月から、感震ブレーカー設置助成制度がスタートしております。地震発生時に自動的に電気の供給を遮断する感震ブレーカーを、火災危険度の高い地域を中心に普及させ、木造密集地域が区内の4割を占める本区の通電火災リスクを下げ、地震発生時の火災被害を抑制してまいります。
次に、「テロ対策訓練」について申し上げます。
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、増加する外国人対応も含めたテロ対策を強化するため、9月8日、巣鴨・池袋・目白警察署との合同テロ対策訓練を初めて実施いたしました。
訓練は、豊島区本庁舎に爆発物が仕掛けられたとの想定のもと、区職員による不審物の探索やボランティア通訳による外国人来庁者の避難誘導、警察による爆発物処理など、区職員30名、警察署50名、見学者110名の合計190名が参加した大規模なものとなりました。
今回の訓練を通じて、庁内各部局の連携や役割分担、警察との連絡体制などを確認するとともに、既存の計画やマニュアルの見直し等につなげていくことで、本庁舎の危機管理体制を強化し、来庁者や職員の安全を確保してまいります。
また今後、民間事業者等との連携も含めたテロ対策を推進し、豊島区の安全・安心創造都市としてのブランド力を高めていきたいと考えております。
次に、災害対策「図上訓練」の実施について申し上げます。
9月14日、首都直下地震発生を想定し、職員が災害に対しどう行動すべきかをシミュレーションする「図上訓練」を実施いたしました。
この訓練は、区の全部局に加え、東京都や警察、消防、自衛隊といった関係機関、ライフライン事業者も参加し、昨年以上に実践的な訓練となりました。
さらに、本訓練で得ることができた様々な教訓を、地域防災計画の修正や今後の防災施策に反映させていきたいと考えております。
今後も、このような訓練を継続していくことで、区及び職員の災害対応力を向上させ、災害に強いまちづくりを目指してまいります。
8 教育都市としまの推進
次に、教育について申し上げます。
まず、「安心して区立小中学校に入学できる施策」について申し上げます。
9月2日、区役所1階のセンタースクエアで、区立小学校入学相談会が開催され、700人を超える参加と、250件を超える入学相談が寄せられました。9月2日から16日までは、区立中学校入学説明会も各中学校で開催され、昨年度と比べ3倍を超える参加者がありました。小中学校のいずれも家族連れが目立ち、大変盛況だったと聞いております。また8月下旬に、平成29年度「全国学力テスト」の都道府県、政令指定都市の結果が公表され、本区の結果を当てはめますと、小学校第6学年、中学校第3学年が「秋田県や福井県に迫るトップクラス」という状況でありました。今回の「全国学力テスト」結果につきまして、保護者の皆さんに対し、すぐお知らせしたことも追い風になって、区立小中学校では「学ばせたい、通わせたい」学校の実現に向け、旺盛な取組みが展開されております。
近年の区立学校への入学状況を見ますと、小学校の入学率は、平成20年度の85%から今年度は94%と急激に伸び、ほとんどのお子さんが区立小学校で学んでいます。待機児童ゼロを達成した本区が、子育て環境の整備や、教育施策の充実などによって、「安心して子どもを産み育てられるまち」として、認知されてきたことの表れであると、心強く感じております。
一方、区立中学校の入学率に目を転じますと、交通の利便性などから、区内外の私立中学校へ進学する例が多く、10年前の64%から今年度59.5%へと、「公立離れ」が進んでいる状況です。
そこで今年は、学力向上や情報教育、学校施設の整備など、私立にも負けない、他区にはない、豊島区立中学校の努力や強みを広くお知らせし、進学先として区立中学校を選んでいただけるよう、紹介ビデオを作成いたしました。これまで中学校の入学説明会は、一つの会場で一斉に実施しておりましたが、このビデオを活用し、私立志向の始まる小学校第3学年以上をターゲットにした、中学校ごとの説明会を開催する方式に大きく転換をいたしました。生徒自ら母校を紹介するビデオを入学説明会で活用するだけでなく、学区域の小学校でも積極的に活用し、地元中学校のPRを展開しております。
さて、就学前幼児や小学生の増加傾向が、保育や学童クラブ、スキップの需要増を顕在化させている状況がございます。こうした理由から、各学校の普通教室やスキップのスペースの確保が厳しい小学校も出現しておりまして、来年度の需要に対応するため、小学校14校で大幅な工事や改修、増築が必要となる見通しです。
そのため、今定例会におきまして、補正予算として、普通教室を整備するための経費を追加計上したいと考えております。
区民の皆様が、安心して地元の区立小中学校に入学できるよう、こうした課題につきまして、9月1日に開催した今年度の「第2回総合教育会議」の場で、教育委員会と一体となって取り組んでいくよう協議しましたことを併せて報告をいたします。
次に、「池袋中学校運動場整備工事の竣工」について申し上げます。
去る8月28日に、待ちに待った池袋中学校の新運動場が完成し、池袋本町地区小・中連携校の校舎・運動場がすべて完成いたしました。
1万平方メートルを超える面積を誇る、区立学校最大の運動場は、新時代の学校にふさわしい規模や設備、最新の地域防災拠点としての機能を備えた、素晴らしい運動場となりました。本校が、地域と学校とが互いに見守り、支え合い、小中学校と地域が繋がる交流の拠点として、さらに発展していくことを確信するものです。同時に、この運動場を存分に活用し、生き生きと活動する子供たちが、やがてオリンピック・パラリンピックで活躍するような選手へと、大きく育っていくことを心から期待したいと思います。
9 その他
その他の事項として、「子ども受動喫煙防止条例」の上程見送りについて申し上げます。
この条例案につきましては、今回の定例会に上程し、ご審査をいただく予定でおりましたが、趣旨を同じくする条例が、都議会の第3回定例会で審査に付されるとのことでございます。
このため、本区における第3回定例会への上程は、これを見送り、都条例の内容や審査でのご意見を見極めたうえで、改めて、子どもを受動喫煙の影響からいかに守るかについて、慎重に検討してまいります。
おわりに
おわりに、一言申し上げます。
「ひとりで見る夢は、それは夢にしか過ぎない。しかし、みんなで見る夢は現実となる。」
これは、エドゥアルド・ガレアーノという、ウルグアイのジャーナリストの言葉であります。
私は、区長就任以来、厳しい財政状況下においても、終始一貫して「文化によるまちづくり」を進めてまいりました。当初、2名だった文化政策担当職員も、今や、財団も含めると108名となりました。
なにより、1,300名を超える、国際アート・カルチャー特命大使が、豊島区の文化政策を支える強力な応援団となっております。私一人ではなく、区民の皆さんと一体となって文化事業を進めてきたことが評価され、30万人に満たない豊島区にとって、想像もできなかった「東アジア文化都市」の開催が、現実のものとなったのであります。
池袋西口公園の劇場化、造幣局跡地の防災公園、ハレザ池袋、街を回遊するEVバス、そして、東アジア文化都市と、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、皆さんと共に描く夢は続きます。
私は、ホップ・ステップ・ジャンプと、着実にこれらの夢を現実とするべく、区民の皆さんと一緒になって、魅力あるまちづくりを進めていく決意であります。
議員の皆様におかれましても、より一層のご協力を賜りますようお願い申し上げます。
本日、ご提案申し上げる案件は、決算認定4件、補正予算4件、条例4件、その他8件、合わせて20件であります。
各案件につきましては、後ほど、日程に従いまして、水島副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご協賛賜わりますようお願い申し上げます。
以上をもちまして、私の招集あいさつといたします。