平成30年第1回区議会定例会招集あいさつ・所信表明

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 本日、ここに平成30年第一回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝申し上げます。


 今定例会の開会にあたりまして、平成30年度の区政運営に臨む私の所信の一端を申し上げます。


 昨年、平成29年は、まさに挑戦に次ぐ挑戦を重ねた、激動の年でありました。


 旧庁舎跡地に8つの劇場を整備する構想が現実となり、今、急ピッチで工事が進んでおります。愛称も「ハレザ池袋」と決まり、新ホールの骨組みも完成いたしました。


 8月には、本区が「東アジア文化都市」の国内候補都市に決定をいたしました。私は、この決定で豊島区が世界に向けて飛躍する大きなチャンスをいただいたものと思っております。なんとしても、この東アジア文化都市を、全力をあげて成功に導くという決意を今、新たにしております。


 待機児童ゼロは本区の悲願でありましたが、本区は超高密都市であり、土地もない、家賃も高いという難しい状況の中、民間保育所の積極的誘致、訪問型保育の充実など、努力に努力を重ね、昨年4月、1年前倒しで待機児童ゼロを達成いたしました。


 そして昨年末、これまでの努力がまさに実を結んだニュースが飛び込んでまいりました。民間調査で、本区が「共働き子育てしやすい街ランキング」で全国総合1位となったのであります。もちろん「待機児童ゼロ」が大きな要因ですが、全小学校で夜7時まで学童保育を実施し、共働き世帯の大きな支えとなっていることが大きく評価されました。学校内での学童クラブ運営が安全安心な放課後対策につながると信じ、これを進めてまいりました。今後も教育委員会と一体となって放課後対策を充実させてまいります。


 本年は、2019年の東アジア文化都市のオープニングと、新ホール・新区民センターのオープン、2020年のハレザ池袋グランドオープンなどを控え、豊島区が未来へ大きく飛躍するため、着実に準備を進めるべき年であり、また、区長就任5期目の総仕上げの年にしたいと考えております。


 子どもと女性にやさしいまちづくり、国際アート・カルチャー都市推進を中心に据えた予算編成で、住みたいまち、訪れたいまちを実現してまいりたいと思います。


1 平成30年度当初予算案


 それでは、まず、平成30年度当初予算案の概要について申し上げます。


 一般会計と三特別会計を合わせた平成30年度当初予算の規模は、前年度に比べ、18億7,200万円、率で1.0%増の1,833億8,000万円となり、28年度の1,845億8,700万円に次ぐ、過去2番目に大きい財政規模となりました。


 一般会計当初予算は、1,246億4,900万円であり、前年度と比べ、79億4,800万円、率で6.8%の増となり、過去最大の予算額となりました。


 一般会計の主な歳入では、特別区民税が、対前年度比10億2,200万円、3.7%のプラスとなる285億500万円と、7年連続でプラスとなり、過去最大額を見込んでいます。納税義務者数は、5年間で1万6千人も増えており、収納率も90.59%から95.81%と大きく伸びたことが要因です。一方で、この予算額には、「ふるさと納税」で、約8億円もの減収を見込んでおります。


 特別区財政調整交付金については、財調交付金の原資となる調整三税のうち、固定資産税の評価替えなどによる増収と景気が好転したことによる法人住民税の伸びなどから、対前年度比で16億円のプラスとなる307億円を計上しておりますが、一方で、法人住民税の国税化で、約19億円もの減収が見込まれます。


 地方消費税交付金については、国によって精算基準が一方的に見直され、本区においては12億円マイナスの61億4,600万円の計上となっております。


 以上申し上げたように、ふるさと納税、法人住民税国税化、地方消費税交付金の見直しで、本区では合計で39億円もの減収になります。とりわけ、法人住民税の一部国税化や地方消費税交付金の基準見直しなど、東京を狙い撃ちする不合理な動きは到底看過することはできませんので、東京都とも緊密に連携しつつ、今後も国に対し、強く申し入れを行ってまいります。


 特別区民税や財調交付金の増収が見込まれるものの、法人住民税の一部国税化等による減収を賄い切れず、特別区債は、対前年度比9億5,600万円増の、59億8,200万円の発行となり、起債依存度は0.5ポイント増となる、4.8%となっております。


 なお、平成30年度末の起債残高は、310億3,100万円となる見込みであります。以上が歳入であります。


 歳出につきましては、まず人件費は、226億9,600万円で、対前年度比9,600万円のマイナス、率で0.4%の微減となっております。


 事業費は、前年度と比べ7億100万円、0.9%のプラスとなる807億4,700万円となりました。特に、子育て支援にかける経費は、前年度より27億8,100万円多い、過去最大の257億8,400万円を計上するなど、区民生活のニーズに積極的に対応する予算となっています。


 投資的経費については、市街地再開発事業、区民センターの改築などにより、対前年度比73億4,400万円、53%の大幅なプラスとなる212億600万円となっております。


 平成30年度一般会計予算は、過去最大の予算規模となっておりますが、これは、持続発展都市の実現に向けて、区が大きく飛躍するこの時期をチャンスとして捉え、子育て関連事業や投資事業に積極的に予算を配分したことによるものであります。これらの事業は、30年度以降にも区が目指すまちづくりの礎となり、さらに魅力ある豊島区になるものと確信しております。


 なお、平成30年度予算は、5年連続で財政調整基金の繰り入れなしで予算編成をすることができました。これは、これまで進めてきた子どもと女性にやさしいまちづくり、文化によるにぎわいを生むまちづくりの成果が納税義務者の増などによる税収増につながったことで、法人住民税の一部国税化等による減収の影響を最小限に抑え、実現できたのではないかと考えております。


 今後も気を緩めることなく、選択と集中により、最少の経費で最大の効果を生む持続可能な財政運営に取り組んでまいる所存であります。


 以下、平成30年度予算の主な事業を中心に、その概要について申し上げます。


2 子どもと女性にやさしいまちづくり


 まず、子どもと女性にやさしいまちづくりについて申し上げます。


 冒頭申し上げました「共働き子育てしやすい街」の評価項目のうち、最も重視したのが「保育園に入れるかどうか」「子育て・教育費」「学童保育は整備されているか」の3点であったとのことであります。中でも特に高く評価されたのが、本区が「保育需要の伸びに応じて今後も年間10園のペースで認可保育園を作っていく」と宣言した点です。表彰式における審査講評で、他の自治体には見られない特徴と、お褒めの言葉をいただきました。「待機児童をゼロにしただけで満足することなく、今後も強い決意で待機児童ゼロを継続していく」という豊島区の本気度が高く評価されたわけであります。


 今後も、豊島区は「待機児童ゼロ」、そして、「保育・子育て環境の質の向上・充実」にも全力で取り組んでまいります。


 そこで、「保育・子育て環境の質の向上・充実」に関連して、3点申し上げます。


 1点目に、「区立公園等の全面禁煙化」について申し上げます。


 公園・児童遊園は、地域の憩いの場として、地域行事の場として重要な役割を果たしております。また、区内の私立保育園等の8割に園庭がなく、園庭がある保育園でも毎日のように公園・児童遊園に散歩に行きます。このような園児にとって、また地域の小さなお子さんにとって、公園・児童遊園は、自然にふれることのできる貴重な遊びの空間であります。すでに児童遊園は全面禁煙としていますが、以前から、受動喫煙の心配や、砂場に吸殻が捨てられているなどの理由で、公園も全面禁煙にしてほしいとの区民の声が多く寄せられております。


 そこで、子どもを受動喫煙から守るため、そして、保育・子育て環境の質の向上のために、公園の全面禁煙化に取り組むことといたしました。原則として、平成30年10月1日から、公園についても全面禁煙にすることといたします。


 公園条例等の改正案につきましては、現在パブリックコメントを行っており、この結果を踏まえ、今定例会に議案を追加提案させていただきたいと存じます。


 議員の皆様を始め、区政連絡会や関係団体などにも丁寧に区の方針を説明し、ご理解いただけるよう最大限の努力をしてまいります。


 また、禁煙化と同時に、子どもと女性にやさしいまちづくりの重要課題として、現在、公園等のトイレの改修を進めております。区内133か所の公園・公衆トイレのうち、建替え・改修の必要のある85か所について、29年度から31年度までの3か年で改修いたします。


 私は、常々、「暗い、汚い」といった公衆トイレのイメージを、清潔で明るく、親しみやすいものに変えたいと思っておりました。そこで、ただトイレを改修するのではなく、「トイレアート・プロジェクト」と称し、地域で活躍する若手デザイナーを起用し、公園で遊ぶお子さんやお母さんも安心して入れるようなデザインのトイレにしていきます。1月30日にアートトイレ第1号として「池袋公園」のトイレ改修が完了し、地元でお披露目をいたしましたが、これまでの公園トイレの概念を変える、鮮やかな明るいデザインとなり、大変ご好評をいただきました。


 保育の質の向上として、2点目に「区立・私立保育園における使用済み紙おむつの処理」について申し上げます。


 本区ではいくつかの私立保育園を除き、使用済み紙おむつを持ち帰っていただく取扱いを長年行ってきました。これは、園児の健康状態などを保護者に直接確認してほしいという園側の希望があるものの、一方で、保育園帰りに買い物をする保護者が、汚物の入ったおむつを持って歩くのは大変であると思いますし、保育士も、持ち帰るおむつを個人別に仕分けする手間がかかります。


 そこで、区内の区立保育園、私立保育園及び地域型保育事業すべての認可保育施設で、使用済み紙おむつを区が責任を持って処分することといたしました。全国47都道府県及び20政令指定都市に確認したところ、公立私立問わず、自治体が責任を持って紙おむつを処分している例はありませんでしたので、おそらく、全国でもトップレベルの保育サービスと思います。


 3点目に、「訪問型病児保育利用料の助成限度額アップ」について申し上げます。


 共働き子育てしやすい街の条件として病児保育の充実は欠かせません。病気の時に大切なお子さんを保育園に預けられないとすれば、仕事や介護に支障が生じ、日常生活に重大な支障が生じます。


 そこで、豊島区は、現行の訪問型病児保育の利用料助成を拡充し、1日当たりの限度額を1万2千円から2万円に引き上げるとともに、1年間の限度額も4万8千円から10万円に引き上げます。これにより補助水準は、23区ナンバーワンとなります。


 今後も「保育は豊島区が日本一」と言われるよう、時代に合わせた保育サービスを提供してまいります。


 次に、「子どものための禁煙外来治療費助成事業」について申し上げます。


 国の「たばこ白書」によりますと、妊婦の喫煙や出産後の子どもの受動喫煙は、乳幼児突然死症候群の原因となることが示されております。また、4月1日に施行される「東京都子どもを受動喫煙から守る条例」では、『子どもは自らの意思で受動喫煙を避けることが困難であり、保護の必要性が高く、全ての子どもが安心して暮らせる環境を整備することは社会全体の責務である』とうたわれております。


 そこで、受動喫煙による健康被害から胎児も含む子どもを守るため、公共空間だけでなく、家庭等も含めた受動喫煙対策が必要であると考え、平成30年度から、「子どものための禁煙治療費助成事業」を開始することといたしました。妊婦本人及び妊婦と18歳未満の子どもと同居する喫煙者等で、禁煙意思のある区民が禁煙外来を受診し、治療を完了した場合に、一定の助成を行います。


 次に、「ロタウイルスワクチン接種助成」について申し上げます。


 平成30年度から新たに、ロタウイルスワクチンの接種費用の一部を助成いたします。現在、この予防接種は任意接種となっており、医療機関にもよりますが、接種費用が、2回もしくは3回で合計3万円と高額であるため、保護者が接種を躊躇するひとつの大きな要因となっています。


 具体的な助成額は、一人あたりの接種費用について、合計12,000円を上限に助成するというものです。この事業を実施することで、乳児の胃腸炎の重症化や脳症などの重篤な合併症を予防し、保育園などでの集団感染を防止する効果のみならず、保護者の時間的・経済的負担の軽減にも大きく寄与するものと見込まれます。


 次に、「子ども若者総合相談窓口の設置」について申し上げます。


 たび重なる就職活動の失敗などが原因で、引きこもりになってしまった若者が増えていると言われています。こうした若者が親と同居している場合、親が生活困窮世帯に該当していれば相談窓口もあるわけですが、困窮世帯ではない引きこもりの若者については相談先がわからないという相談をいただきます。


 そこで、庁舎4階「子ども課」を「子ども若者課」に変更し、新たに、子ども若者に関する総合相談窓口を常設いたします。


 これまで、若者世代のひきこもりやニートなどの相談については、東京都の事業を紹介しておりましたが、来年度からは、豊島区が子ども若者やその家族からの多岐にわたる複雑な悩みをしっかりと受け止め、サポートしてまいります。


 豊島区は「子育てしやすいまちナンバーワン」であるとともに、これからはその先を見据えて、子どもから若者まで切れ目なくその成長を見守ることで、「子ども若者が育つまちナンバーワン」として発展させていきたいと考えております。


3 国際アート・カルチャー都市


 次に、国際アート・カルチャー都市の推進について申し上げます。


 まず、「東アジア文化都市」について申し上げます。


 2014年の横浜市から数えて6番目の国内候補都市に本区が決定してから、およそ半年が経ちました。本年は2019年の開幕に向けた重要な準備期間となる年であります。この春には、事業のコンセプトや概要をまとめた基本計画を発表いたします。ロゴの選定や、各分野を代表する多くの皆様のご意見をいただく機会を設けるとともに、プレイベントを開催するなど、2019年に向けて区民全員を巻き込んだムーブメントを起こしてまいります。


 東アジア文化都市の開催は、豊島区政始まって以来の国家的プロジェクトとも言える大規模なイベントであり、区民の皆さん、企業、大学など、まさにオールとしまの体制で取り組んでいくことが何より重要です。


 先月、区役所内でも「東アジア文化都市サポート職員」を募集いたしました。先日の職員説明会では、私が直接、この事業の意義について説明し、100名もの若手職員の参加者がありました。希望する職員については、2年間、東アジア文化都市担当として兼務させ、全庁体制で、この事業に臨みたいと考えております。


 東アジア文化都市の国内候補都市に決定した際、『なぜ豊島区が』という感想を多くの方からいただきました。それは、国家的プロジェクトをやるには余りにも小さな、消滅可能性都市と言われた自治体がなぜ、ということであると思いますが、2019年末には豊島区での開催は大成功であったと言われるよう、持てる力のすべてを注ぎ、東アジア文化都市イベントにふさわしいドラマを演じてまいります。


 次に、「池袋PRアニメ」の共同制作について、申し上げます。


 豊島区と株式会社アニメイトは、昨年12月、「アニメの聖地・池袋」を世界に発信するための、池袋PRアニメの共同制作を決定いたしました。このアニメは、世界中の女性アニメファンをターゲットにするもので、2020年に向け、インバウンドプロモーションの強化を図るとともに、池袋のブランド力を高めるものであります。


 先日、2月9日には、アニメイトをはじめ、豊島区観光協会、インバウンド推進協力会、としまテレビ等々に参画をいただき、「池袋PRアニメ制作実行委員会」を立ち上げました。3月には公募したキャラクター原案の最優秀賞を発表し、その後、制作会社、脚本家、声優等を決定し、平成30年度中に完成試写会を実施する予定です。


 アニメは世界共通の文化であります。このPRアニメを世界に発信することで、国内外から豊島区が注目され、人々が訪れるきっかけになるものと確信をしております。


 次に、「トキワ荘関連施設整備基金の創設」について申し上げます。


 「(仮称)マンガの聖地としまミュージアム」を、日本のマンガ文化を象徴する施設として、多くの皆様に訪れていただく施設とするためには、日本のマンガ文化とトキワ荘を愛する皆様に大いに関心をもっていただき、事業を進めることが何よりも重要です。


 そこで、このたび「トキワ荘関連施設整備基金」を創設し、寄附金募集を開始いたします。そのための基金条例を本定例会に上程しております。いただいた寄附金をこの基金に積み立てるとともに、今後、施設整備や維持管理経費に計画的に活用します。基金創設により、2020年を目指してトキワ荘復元に取り組んでいることを国内外のマンガファンにアピールし、完成への期待感を盛り上げてまいります。


 2月17、18日に、センタースクエアで開催する「としまマンガ・アニメフェスタ」を皮切りに、寄附金募集キャンペーンを展開いたします。この寄附金は「ふるさと納税」と同じ寄附金ですが、返礼品で寄附を集めるのではなく、トキワ荘復元施設内または南長崎花咲公園内に、一定額以上の寄附をいただいた方のお名前を刻む銘板を設置することで、感謝の意を表したいと考えております。


 平成30年度以降は、インターネットによる寄附金募集も開始し、広く国内外のマンガファンからトキワ荘へのご支援をいただける工夫をしてまいります。


 また、あわせて、マンガ資料、特にトキワ荘に関する記録等の寄贈の受付を開始いたします。寄贈を受けたマンガ資料などについては区が責任を持って管理し、ミュージアムでの公開も検討したいと考えております。


 次に、「アフター・ザ・シアター」への取組みについて申し上げます。


 平成29年の「訪日外国人消費動向調査」によりますと、訪日外国人の消費額が初めて4兆円を突破するとともに、訪日外国人数も過去最高の2千9百万人となっております。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、「夜間における娯楽需要の対応」すなわち「ナイトタイムエコノミー」の議論が活発化しております。


 豊島区では、2020年にかけて「ハレザ池袋」や池袋西口公園を始めとする4つの特色ある公園整備などが次々と完成を迎え、東アジア文化都市やオリパラ文化プログラムなど、これまでにない国家的なプロジェクトが展開されます。


 この動きにあわせ、国際都市東京の発展の一翼を担う区として、訪れる方々に安全・安心に観劇後の余韻を楽しめる場を創出するため、国際戦略に掲げる「アート・カルチャー鑑賞後のサードプレイスの実現」を「アフター・ザ・シアター」と名づけ、検討を開始いたしました。昨年12月27日と先日2月2日には、自由学園明日館で、各分野の専門家の方々を招き「豊島区アフター・ザ・シアター懇談会」を開催いたしました。30年度以降も、様々な分野の方々からご意見・ご提言をいただきながら、より具体的な検討を進めてまいります。


 次に、国際アート・カルチャー都市構想のハード面の整備について申し上げます。国際アート・カルチャー都市構想は、豊島区の目指す都市像であり、街のデザインであります。豊島区というキャンバスに、ハレザ池袋、四つの公園、そして、電気バスが描かれることによって、豊島区の街のデザインが彩を増し、完成に近づいていくものと考えております。


 まず、「新ホール整備」について申し上げます。


 新ホールについては、現在ネーミングライツを検討しておりますが、条例上の名称としては「豊島区立芸術文化劇場」とし、今定例会で設置条例を上程しております。


 新ホール部分以外の運営は、それぞれの管理区分に応じ、株式会社ポニーキャニオン、株式会社ドワンゴと、我が国を代表する最先端企業が担うこととなっております。


 平成30年度には、これら事業者と新ホールの指定管理者が具体的な運営について内容を詰め、着実に準備を進めてまいります。


 そして、2019年10月から2020年9月まで1年間に及ぶこけら落し期間については、宝塚歌劇と歌舞伎を中心として、着実な公演準備を進めてまいります。


 次に、「池袋西口公園整備」について申し上げます。


 昨年の8月から、プロポーザルで選定された提案をもとに、基本計画を策定してまいりました。基本計画では、整備方針、施設の配置、概算事業費等を取りまとめてきました。今後、基本計画をもとに、基本設計、実施設計を行い、来年1月から10か月間で整備工事を行い、2019年秋、オープンの予定となっております。


 「4つの公園構想」の重要拠点である池袋西口公園は、池袋西口地域はもちろん、豊島区全体にとっても大変重要な施設であり、これまでも、ふくろ祭りや東京よさこいといった区を代表するイベントが行われています。


 区としては、公園の果たすべき役割や、予定される池袋西口再開発事業との連携等を十分に考慮したうえ、老朽化した公園の単なる改修ではなく、新たな豊島区のシンボルとなる劇場公園を創るという考え方のもとに、この事業に取り組みます。西口公園に設置されるグローバルリングは、これも単なる公園の飾りではなく、西口エリアの街のシンボルとなるような躍動感あふれるモニュメントにしたいと考えています。海外でも、印象的なモニュメントは多くの来街者を呼び、街を活性化させています。私は、この西口公園の劇場化、そして、ここで開かれるラ・フォル・ジュルネなど多くの文化芸術イベントにより、国内外から多くの人が訪れ、豊島区が世界に認知される国際都市となることを確信しております。


 次に、「造幣局跡地の防災公園整備」について申し上げます。


 昨年9月より、公園整備の設計、施工、管理運営を一体的に進めていく「事業者コンソーシアム」といった新たな手法を取り入れて事業者の公募を行ってまいりました。この公募条件には、民間の資金を活用するパーク・PFIといった新たな公民連携制度が取り入れられております。この制度を活用して、売店やレストランを設置することで、区は整備費や維持管理費が軽減され、また事業者は、施設の設置期間や施設規模の規制等が緩和されることになります。


 このような最新の手法を取り入れながら公募を行い、このたび、株式会社日比谷アニメス、株式会社都市計画研究所、株木建設株式会社、NTT都市開発ビルサービス株式会社の4社の共同事業体が事業者として選定されました。提案された内容につきましては、後日、ご説明させていただきます。


 事業のスケジュールとしましては、今年中に設計を完成させ、2019年から工事を行い、2020年の春にオープンする予定です。広さは南池袋公園の2倍以上となり、豊島区では一番大きな公園になります。この広さを活かし、ヘリポートなどの防災機能の整備とあわせて、様々なイベント会場として活用する予定であります。


 これで、緑の芝生が輝く南池袋公園、ハレザ池袋と一体となってイベントが行われる中池袋公園、野外劇場として生まれ変わる池袋西口公園、そして、区内最大の防災拠点、また、イベント広場となる造幣局跡地公園と、「4つの公園」構想のイメージがすべて完成するわけでございます。「公園が街を変える」といったコンセプトをさらに推進し、今後も大胆に公園を活かしたまちづくりに取り組んでまいります。


 また、2023年には、造幣局跡地公園の隣に東京国際大学池袋キャンパスが開校し、東池袋はますます若者の街となっていきます。その頃には、有楽町線の東池袋駅の乗降客数も5万人を超えることが予想されますので、副都心線の東池袋新駅開設を目指し、鉄道事業者に働き掛けを行ってまいります。


 次に、「池袋副都心移動システム推進事業」、電気バスについて申し上げます。


 先月の副都心開発調査特別委員会でご報告をいたしましたが、電気バスについては、車両のみならず、バス停、チケット、制服に至るまでのトータルデザインを、JR九州ななつ星などを手掛けられたデザイナー、水戸岡鋭治氏にお願いしました。水戸岡氏のトータルデザインによる電気バスは国内初であり、他に類のないものとなります。


 平成30年度は、車両購入や停留所の整備を行ないます。車両は、環境に優しい電気を動力源とし、ゆっくりと、まちの景観を眺めながら、四季おりおりの風を感じながら走行します。池袋駅周辺の回遊コースだけでなく、土・日・祝日には特別臨時便として、南長崎のトキワ荘方面や巣鴨地蔵通り方面など、区内の様々な観光スポットをまわり、国内外からの来街者に豊島区の魅力を感じていただけるコースを設定したいと考えております。


 水戸岡氏は、鉄道車両のデザインで世界的に大変著名な方であります。その水戸岡氏がデザインした電気バスが豊島区内を走ることで、国内外から豊島区を訪れる方が大いに増えることは間違いありません。1月31日に水戸岡氏とともに記者会見をいたしましたが、NHKニュースで取り上げられるなど大きな反響があり、運行開始にご期待をいただきたいと思います。


 この電気バスの導入が、豊島区の価値を上げ、ますます地域の活性化に大きく貢献するものと確信しております。


 次に、「大塚駅北口整備」について申し上げます。


 昨年の5月に南口広場「トラムパル大塚」が完成した大塚駅では、現在、北口広場の整備検討に入っております。北口は一定の交通環境が整っているものの、枝葉を広げた高木の影響で見通しが悪く、夜間には十分な明るさが届かない一角があるなど、安全性や治安面で改善の余地があると考えていました。また、駅前の歩道は駐輪施設の影響により、幅員が十分に確保できていない箇所も見受けられます。そこで、本整備事業では、駅前のロータリー広場を中心とした周囲の公共用地を一体的にデザインすることで、地域におけるまちづくりのシンボル的な役割を駅前広場が担い、機能性や景観性に優れた整備、これこそ光のファンタジーによるまちづくりを進めてまいります。


4 福祉・保健・健康


 次に、福祉、保健、健康施策について申し上げます。


 まず、「選択的介護モデル事業」について申し上げます。


 選択的介護モデル事業の実施について様々な立場からご意見をいただくため、昨年6月に設置した有識者会議を12月までに4回開催し、モデル事業の目指す方向性や実施内容等について、活発にご議論いただきました。


 また、有識者会議と並行して、区民の皆さまや事業者との意見交換会等を50回以上開催した結果、モデル事業実施に向けての機運が高まってきています。


 来年度はまず、区民ニーズが高い訪問介護から実施することとし、介護が必要になっても自分らしく暮らせるまちづくりを推進するため、現在モデル事業を実施する事業者の公募を行っております。平成29年度中には参加事業者を決定し、30年度秋ごろからのモデル事業の実施に向けて事業者とともに取り組んでまいります。


 次に、「CSWの拡充」について申し上げます。


 本区においては、区内8か所の地域区民ひろばにコミュニティソーシャルワーカー、いわゆるCSWを配置し、全国の自治体からも高く評価される積極的な地域づくりを推進しています。


 現在、町会や商店会等による独自の見守り活動、民生委員や一般区民の皆様によるサロン活動など、区民主体の地域支え合い活動が実に120か所で行われており、そのほとんどにCSWが関わっています。これは、地域に密着してCSWを配置している本区だからこそできることであり、全国的にも注目されている所以であります。


 先月、1月18日に、加藤勝信厚生労働大臣に本区の福祉の取組みについてご視察いただきました。その際にもCSWによる地域資源の掘り起こしの意義について大臣に説明をし、地域福祉においてはこれまでの制度の枠組みでは対応しきれない複雑な案件が増えており、地域関係者の力を結集して課題を解決していこうとするCSWの役割は、今後ますます重要となっていることにご理解をいただきました。


 来年度以降、現在は8つの高齢者総合相談センターの圏域ごとに配置しているCSWを段階的に増員し、将来的には、12の旧出張所圏域ごとにきめ細かく配置してまいりたいと考えております。


 CSWと町会、民生児童委員等との連携をより一層強め、本区にふさわしい、地域共生社会の実現に邁進してまいります。


 次に、「都市計画道路補助173号線開通と健康ウォークラリー」について申し上げます。


 豊島区初の区施行都市計画道路として、平成12年度から17年間にもわたり事業を進めてきた補助173号線が、3月24日に開通します。本道路は、首都直下地震など大災害時に延焼遮断帯としての機能を有し、電線類の地中化、歩道のバリアフリー化、信号機の新設により、安全で快適な歩行空間となりました。


 新たに生まれ変わった道路には、地域の皆さんからのご要望で「みたけ通り」という通称名がつけられ、街路樹は「ハナミズキ」となりました。3月24日午前中には開通式を開催し、夕方前には交通開放を行う予定です。


 この「みたけ通り」の開通式と併せて開催いたしますのが、本年で第2回となります「健康ウォークラリー」であります。昨年度は、雑司ヶ谷鬼子母神堂の国の重要文化財登録を記念して、長崎富士塚・自由学園明日館と併せて「文化財をめぐる」というコンセプトでしたが、今年度は、「豊島区のこれまでと、今と、これからを巡る」というテーマといたしました。御嶽神社や氷川神社などの旧跡に加え、南池袋公園、イケビズ、この「みたけ通り」、池袋本町小中連携校、そして、しだいにその姿を現している「ハレザ池袋」など、豊島区の今とこれからを感じるポイントを歩くことで、区民の皆さんの健康を維持していただきたいと考えております。


 次に、「池袋保健所移転に伴う土地の処分方針」について、申し上げます。


 昨年の第4回区議会定例会におきまして、池袋保健所の移転計画をご報告いたしましたが、現在の保健所の土地・建物は、20年にわたり多くの皆さんに親しまれた区民の貴重な財産であります。


 したがいまして、移転後の跡地活用については、公平性を確保しながらも、区にとって最大の利益が得られるよう、公募プロポーザル方式により売却することとしたいと考えております。


 旧庁舎周辺においては、ハレザ池袋の開業を控えており、隣接地である保健所跡地を含め、国際アート・カルチャー都市にふさわしい、まちの一体性・連続性を確保することで、その相乗効果は何倍にもなるものと確信しております。


 売却の最低価格や条件等、詳細につきましては今後詰めてまいりますが、ハレザ池袋の開業時期や東京オリンピック・パラリンピックの開催時期等も十分に念頭に置き、移転後の跡地活用がすみやかに実現できるよう、また、将来にわたり池袋の発展に寄与する活用がなされるよう、積極的に取り組んでまいります。


5 安全・安心なまちづくり


 次に、安全・安心なまちづくりについて申し上げます。


 まず、「セーフコミュニティ再認証」について申し上げます。


 セーフコミュニティの活動は、区民の安全・安心を区政推進の基本に、多くの区民の皆さんによる活動、協力、連携を積み重ねることにより取り組んでまいりました。


 2月1日には、センタースクエアにおいて、再認証の式典を行いました。多くの区民の方が見守る中、合意書に署名し、国際認証を再び得て、安全・安心を追求する新たな5年間がスタートしました。


 これまでも申し上げておりますが、認証の取得は、目的ではなく手段であります。セーフコミュニティでは、地域区民ひろばを活動拠点にしたことで、着実に地域に浸透し、さらなる活力が町全体に生まれています。「国際アート・カルチャー都市」は安全・安心なまちであることが大前提であり、これからも区民の皆様や関係機関と手を携え、セーフコミュニティ活動を継続してまいります。


 あわせて「インターナショナルセーフスクール」の取組みについて申し上げます。


 今年度、認証取得を目指していた池袋中学校、池袋第一小学校は、先日2月6日に認証式が執り行われ、地域の方々と一体となって、学校の安全・安心に向けた決意を新たにしたところです。


 また、インターナショナルセーフスクールの全校化を進める中で、新たに高南小学校と清和小学校で、来年度の認証取得を目指した取組みがスタートしております。現在、区内で認証を取得した学校は6校となり、これに続く高南小学校と清和小学校は、これまでの認証校での成果をもとに、それぞれの学校の特色と強みを発揮して、取組みを進めてまいります。


 インターナショナルセーフスクールは、区民ひろばを中心に、学校、保護者、地域が一体となって安全・安心な学校をつくり上げていくものであります。それが安全・安心なまちづくりへと繋がっていくものと確信しておりますし、今後も、大いにその取組みに期待をしております。


 次に、災害への備えについて2点申し上げます。


 1点目は「在宅避難者の飲料水確保のための給水コンテナセットの購入」についてです。首都直下地震発生時の被害想定によりますと、豊島区内の上水道の断水率は23.9%となっており、およそ区内の4分の1の地域で、断水が発生すると想定しています。また、発災時の給水対象者数が7万人余りと想定される中で、厳しい給水対応を迫られることが予想されます。


 そこで、本区では、詳細な給水シミュレーションに基づき、メーカーと検討を重ね、給水の所要時間等、区からの改良要望を実現する形で、軽量かつコンパクトな、折りたたみ式の給水コンテナを新たに開発いたしました。来年度、全国の自治体に先駆けてこれを40基購入し、首都直下地震発生時に、断水が発生した場合でも、自宅避難者に対して飲料水を配ることができる給水体制を整えます。


 2点目は、「災害時に必要となる燃料の事前確保」であります。現在、法令の規制により、ガソリン等の燃料を、大量に備蓄することはできないため、区では、防災資機材用に、少量の燃料のみ保有している状況です。首都直下地震が発生した場合には、区の所有車両をはじめ、関係機関や協定自治体、民間団体等からの支援車両など、多くの緊急車両の運行が必要になりますが、現在の体制では、車両運行に支障が出ることが懸念されています。


 そこで、石油燃料事業者と協定を締結し、災害時に、緊急車両等の燃料を確保いたします。平成30年度から、あらかじめ複数の石油燃料事業者からガソリン等の燃料を購入し、常に、一定量を保管・管理してもらうこととします。これにより、発災後でも燃料供給が滞ることがなくなり、緊急車両を含む災害対応を行う車両の運行を確保できるようにいたします。


6 教育都市としま


 次に、教育について申し上げます。


 まず、「新学習指導要領への対応準備」について申し上げます。


 昨年、教育課程の基準である学習指導要領が改訂されました。小学校は平成32年度、中学校は平成33年度から、新たな学習指導要領の完全実施にスムーズに対応するため、来年度予算案に必要な経費を計上しております。


 新学習指導要領では、子供たちが未来の社会を切り拓くための資質・能力を一層確実に育成するために、情報活用能力の育成が極めて重要であることが改めて示されています。


 本区では、すでに学習用タブレットパソコンを全ての区立小中学校に整備しており、文部科学省が示すICT環境の整備方針に基づき、児童生徒一人1台を目指し、タブレットパソコンの台数をさらに増やしてまいります。


 また、新学習指導要領では、小中学校に「道徳」が、小学校5年生から「英語教育」が、新たな教科として位置付けられます。


 本区では、平成17年度より、いち早く小学校1年生から外国語指導助手、いわゆるALTを配置して、児童生徒が英語に慣れ親しみ、コミュニケーション能力の向上を図ってまいりました。来年度は、ALTの時間数の増を図り、教科となる英語教育への準備を進めてまいります。将来、児童生徒が本区を訪れる外国人と、使える英語、話せる英語で、積極的にコミュニケーションを図る姿を期待しております。


 次に、区立小中学校の教員の働き方改革について申し上げます。


 新学習指導要領を確実に実施し、質の高い学校教育を持続・発展させるためには、教員のさらなる指導力、授業力の向上が求められる一方、教員の負担軽減を図る働き方改革への着手が喫緊の課題となっております。


 日本の学校教育は諸外国と異なり、教員が、学習指導のみならず、生活指導、部活動指導等を一体的に行い、一人一人の児童生徒の状況を総合的に把握して指導することで、成長段階での人格形成に大きな役割を果たし、国際的にも評価が高いと聞き及んでいます。


 本区では、これまでも、教員が使用する校務用パソコンを整備するなど教員の業務負担の軽減を図ってきておりますが、このたびの新学習指導要領の実施に合わせ、さらに教員が本来業務に集中できるよう、様々な視点から業務のあり方を見直し、支援策を検討してまいります。


7 その他


 その他の項目について、2点申し上げます。


 まず、「住宅宿泊事業法への対応」、いわゆる民泊新法について申し上げます。


 住宅宿泊事業法が、平成30年6月15日に施行されます。この法律により、全国一律に「住宅」での民泊が可能となります。他自治体では、住居専用地域で曜日を定めて住宅宿泊事業を制限する等の規制を条例化しているところもございます。


 しかし、本区は、住宅地と商業地の面積割合がほぼ半々で、商業地のすぐ近くに住宅地が接しているエリアがほとんどであり、実際に、民泊に関する苦情も、その6割が商業地となっております。また、東アジア文化都市、東京オリンピック・パラリンピックを控え、国内外から豊島区を訪れる方々の安全・安心な宿泊場所を確保する必要があります。


 このような本区の状況、及び、昨年12月末に出された国のガイドラインも踏まえますと、区域・期間制限は設けず、豊島区全域に条例の網をかけることで住宅宿泊事業の適正な運営を確保し、安全・安心な住宅宿泊事業の実施を目指していくことが正しい方向ではないかという結論に至りました。


 国としても、専用サイトによる物件ごとの管理システム構築、民泊専用のコールセンター設置のほか、民泊仲介事業者に対し違法民泊のサイトへの掲載中止を求めるなど、準備体制を整えつつあるとのことで、安全・安心な住宅宿泊事業の実施態勢に本腰を入れていることがうかがわれます。


 本区としても、届出前の事前準備と近隣住民への周知、民泊標識の掲示、営業日数の遵守など、住宅宿泊事業者や管理業者への指導を徹底するとともに、国、東京都、警察・消防などの関係機関、そして地域の皆様とタッグを組んで、安全・安心・健全な住宅宿泊事業を育てていきたいと考えております。


 次に、「町会活動の活性化の推進に関する条例」について、申し上げます。


 わが国では、東日本大震災などの大災害が発生するたびに、地域のつながりや絆の重要性が再認識されてきました。そして近年、絆づくりの中心的存在である町会の活性化が重要視されるようになり、平成23年に横浜市で町会活性化に関する条例が制定されると各地で同様の動きが広がり、23区では平成28年に品川区が、29年に渋谷区が条例を制定しています。本区においては、平成28年度に町会連合会から条例制定に関する強い要望が出されたことを受けて、検討を本格化してまいりました。


 町会は、リサイクル・清掃、防犯・防災、様々な交流行事などの公共的な活動を行い、暮らしやすいまちづくりのために重要な役割を果たしていますが、残念ながらその活動や意義は、住民の皆さんに十分に伝わっていません。そのため、加入率の低下、役員の担い手不足などの重い課題に苦慮している町会が数多くあります。


 そこで本条例案では、町会を「区と協働して安全で安心な住みよいまちづくりを推進する団体と認め、地域の自治の極めて重要な担い手として位置づける」ことといたしました。本条例の制定を機に、住民の皆さんの町会活動に関する理解が深まり、町会を中心とした地域コミュニティが活性化されるよう区としても積極的な支援を行ってまいります。


おわりに


 おわりに、一言申し上げます。


 『夢は目指した時から、目標に変わる。』


 これは、47歳の若さで日本将棋界史上初の永世七冠を達成し、昨日、国民栄誉賞を受賞した、羽生 善治 竜王の言葉であります。


 私は昭和58年、決して若くはありませんでしたが、46歳の時に豊島区議会議員に初当選し、以降、区議会議員を2期6年、都議会議員を3期10年務めました。そして、区長として5期19年、今年で20年目の節目の年となり、平成30年度は、まさに集大成の年と考えております。


 豊島区に生まれ、豊島区で育ち、家業を継いでいた私が政治家を志したのは、まさに『豊島区を日本一の街にする』という夢があったからであります。


 私はこの夢を実現すべく、区長就任以降、文化によるまちづくり、その基盤となる安全・安心のまちづくりを進め、一つひとつ目標を達成してきました。それが、平成21年の文化芸術創造都市表彰であり、平成24年のセーフコミュニティ国際認証取得であり、そして、今回の東アジア文化都市国内候補都市決定であります。


 東アジア文化都市は、文化によるまちづくり、国際アート・カルチャー都市の集大成であり、何としても成功に導かなければなりません。


 2020年の東京オリンピック・パラリンピック、そしてその先も見据え、平成30年度は非常に大切な準備の年になります。


 『消滅可能性都市』から『共働き子育てしやすい街』へ見事に変貌を遂げた豊島区が、さらに文化で世界から注目され、世界から人が訪れる『国際アート・カルチャー都市』として完成するために、私は水火も辞せず、全力で取り組んでまいる決意であります。


 議員の皆様におかれましては、引き続き最大限のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。


 本日、ご提案申し上げる案件は、予算4件、補正予算1件、条例27件、その他8件、合わせ40件であります。


 各案件につきましては、後ほど、日程に従いまして、水島副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご協賛賜わりますようお願い申し上げます。


 以上をもちまして、私の招集あいさつ及び所信表明といたします。