平成30年第2回区議会定例会招集あいさつ

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 本日、ここに平成30年第二回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝申し上げます。


 さて、去る5月28日に開催されました、平成30年第一回豊島区議会臨時会におきまして、磯 一昭議長、根岸 光洋副議長による、区議会の新体制がスタートいたしました。お二人のリーダーシップによって、活発な議会活動が行われることを、ご期待申し上げます。


1 大阪北部地震


 まず冒頭に、一昨日の18日に大阪北部で発生した、震度6弱の地震による災害について申し上げます。


 この地震での人的な被害は、死者5名、負傷者は330名以上にのぼり、火災や広範なインフラ被害、さらに交通網の麻痺により多くの帰宅困難者が発生するなど、130万人以上に影響が及びました。現時点では、被害の全容が明らかになっていませんが、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。


 区では、東日本大震災の際に、区内の学校、公共施設、公園並びに道路沿いの全ての塀の安全確認を実施いたしました。しかし、今回の震災におけるブロック塀の倒壊事故を目の当たりにし、改めて、区立の小・中学校や公共施設周辺のブロック塀について緊急点検を指示したところであります。今朝も、昨日に続き対策会議を開き、状況を確認いたしました。今後、迅速かつ最優先で点検結果をとりまとめ、今会期中には議会にご報告するとともに、必要となる安全対策を実行してまいります。さらに、区内全域への点検範囲の拡大についても検討してまいります。


2 国際アート・カルチャー都市の推進


 次に、「国際アート・カルチャー都市」の推進について申し上げます。


 まず、池袋の音楽祭についてであります。


 これまで丸の内エリアで開催されていた、世界有数のクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」が、今年から池袋エリアでも開催され、5月3日から3日間、快晴の下、内外の著名なアーティストによる一流のクラシックの演奏が繰り広げられました。池袋エリア全体で、6万4千人の来場者を迎え、成功裏に終えることができました。


 地域が主催するイベントに目を移すと、5月19日と20日に開催された、「池袋ジャズフェスティバル」は、主催者の発表によれば、こちらも6万5千人もの来場がありました。この時期には、池袋西口周辺で「新池袋モンパルナス 西口まちかど回遊美術館」も開催されたため、まちを歩きながら、音楽とアートを一緒にお楽しみいただけたことと思います。


 他にも、フォーク&カントリーフェスティバルや東京フラ・フェスタなど、年間を通じて多様なイベントが池袋で開催されます。まちに定着したこれらイベントは、文化の風を漂わせる豊島区にとって、皆、なくてはならないものであります。


 また、6月1日には、東京都交響楽団による「Tokyo Met SaLaD Music Festival 2018(トーキョー・メット・サラダ・ミュージック・フェスティバル2018)」が、この秋、池袋において開催されるとの知らせが、東京都から届きました。


 このフェスティバルの「SaLaD(サラダ)」とは、シング・歌うこと、リッスン・聴くこと、ダンス・踊ることの頭文字を組み合わせた造語であり、ワークショップ等を通じて、参加する人たちが表現し体験できる新しい音楽祭として、池袋のまちが、華やかな音色で彩られることを期待しております。


 次に、「国際アート・カルチャー都市」と「東アジア文化都市」について申し上げます。


 「東アジア文化都市」は、日・中・韓三カ国が、それぞれの文化芸術による発展を目指す自国内の都市を1つ選定し、芸術、伝統、生活に関連する様々な文化イベントを、1年間に渡り開催するものであります。


 また、三カ国が連携して実施する、文化による国際交流は、まさに豊島区が推進する国際アート・カルチャー都市構想に合致するものであり、本区の魅力を内外に発信する絶好の機会と考えております。


 「東アジア文化都市2019」の開催は、東京オリンピック・パラリンピック大会開催後のまちづくりやレガシーにも繋がる、重要な契機になると認識しております。


 この開催に向けては、既に本区を代表する、文化、経済、観光分野などの関係者による準備委員会を立ち上げておりますが、開催都市としての正式決定後には、準備委員会を実行委員会へ改組し、国際アート・カルチャー都市プロデューサー、懇話会、特命大使を代表する方々にもご協力をいただきながら、オールとしまによる実施体制で取り組んでまいります。


 また、現在、ロゴアンケートを実施しておりますが、7月中旬までには、事業概要や実施体制などをまとめた基本計画を策定する予定であります。


 舞台芸術、マンガ・アニメ、祭事・芸能の3つの事業分野を柱とし、既存の事業に日・中・韓交流、次世代交流の視点を加えながら、新しい事業も立ち上げ、多くの区民の皆さんにご参加いただきながら、準備を進めてまいります。


 このような「東アジア文化都市」の記念事業の一つとして改めて位置づけ、平成31年度末のオープンに向け、地域の皆さんとともに、トキワ荘再現施設「(仮称)マンガの聖地としまミュージアム」整備を進めてまいります。


 本年2月には、としまミュージアムの整備・運営費用に充てるため、「トキワ荘関連施設整備基金」を設置し、寄附金の募集を開始しました。6月19日時点で、発起人として366名の方からご賛同をいただき、また合せて1千万円を超える268件のご支援をいただいております。区内外の多くの方々からいただいたご協賛に対し、心から御礼を申し上げます。


 この寄附金は、目標額を1億円としており、法人向けに新たな寄附の仕組みを設け、7月から、私自らが、トキワ荘再現施設への協賛を呼びかけてまいります。


 さらに、この秋からは、マンガファンやトキワ荘を愛する皆様から、幅広く寄附をいただけるよう、インターネットを活用したキャンペーンも展開したいと考えております。


 次に、「池袋PRアニメ」の共同制作について申し上げます。


 豊島区と株式会社アニメイトは、2020年に向けたインバウンド・プロモーション強化のため、世界中のファンに「アニメの聖地・池袋」を発信する、池袋PRアニメの共同制作を進めております。


 制作にあたっては、ふくろうを擬人化したメインキャラクターを、公募により3月に決定しました。本年11月中のアニメ完成を目指し、現在、シナリオプランの検討を進めるとともに、プロのアニメーターが登場人物のデザインを描きおこしているところであります。


 こうした公民による本格的なPRアニメの共同制作は全国的にも例のない取り組みであります。さらに、完成したPRアニメは、海外も含め、約120にのぼるアニメイト各店舗で上映するほか、本年12月、金沢での「東アジア文化都市」クロージングイベントを皮切りに、また昨年10月に池袋で初開催されたジャパン・コンテンツ・ショーケース等の年間を通じて開催される様々なイベントにも、積極的に出展してまいりたいと考えております。


3 子どもと女性にやさしいまちづくり


 次に、「子どもと女性にやさしいまちづくり」について申し上げます。


 まず、待機児童、2年連続ゼロ達成について申し上げます。


 本区は、本年4月、昨年に続き、2年連続で待機児童ゼロを達成することができました。


 消滅可能性都市との指摘があって以来、私は、待機児童の対策に積極的に取り組み、認可保育園の誘致策を中心として、平成27年度から29年度までの3年間で約2千名の定員枠を増やしてきました。更に平成30年4月の入園選考に向けて、認可保育園13園の新設や既存保育園の定員枠の弾力化により、723名の定員枠を増やしました。


 しかしながら、2年続けて待機児童ゼロ宣言をしたことによって、子育て世帯が新たに転入し、保育を希望される世帯が増えることも想定されます。これからもゼロを維持していくためには、保育ニーズを迅速かつ正確に把握し、早めの対策を講じていくことが重要であります。


 本年3月から開始した保育ニーズの事前調査については、現在、データ検証を行っております。この分析結果を基に、具体的な需要を地域ごとに把握しながら、保育ニーズに応えてまいりたいと考えています。


 次に、今年度からスタートしました、区立・私立保育園における使用済み紙おむつの処理について申し上げます。


 4月より「子どもと女性にやさしいまちづくり」の一環として、保育園で出た使用済み紙おむつを園で処分する新たな取り組みを始めました。


 区立保育園だけではなく、私立を含めたすべての認可保育施設で、使用済み紙おむつを、行政が責任を持って処分することにしましたのは、本区が初めてであります。


 保護者の皆様からは感謝の言葉が寄せられ、思い切ってこの施策に取り組む判断をして良かったと思っております。


 また、保育園の現場からは、「業務の効率化などにもつながった」という声も届いております。保育士一人ひとりの負担軽減は、子どもと向き合う時間の増加、ひいては保育の質の向上につながっていくものと認識しております。


 現在、保育の質の向上に向けたガイドラインを策定すべく、鋭意準備を進めているところであります。今後も、保育環境や保育内容の向上に力を注ぎ、区民の皆さんがさらに安心して子育てできるまちの実現に向け、これまでと同様に強い信念を持って取り組んでまいります。


 次に、子ども若者総合相談窓口の開設について申し上げます。


 本年7月1日より、庁舎4階に「子ども若者総合相談窓口」を開設いたします。愛称は、中高生センター「ジャンプ」利用者の投票により、「アシスとしま」に決定いたしました。「子どもと若者をアシストする拠点」の意味がこめられ、採用されたものであります。


 子どもや若者のひきこもり、非行や不登校、また学校や職場での人間関係の悩みなど、義務教育の終了後、どこに相談して良いかわからなかった悩みについて、本人やご家族に親身になって、相談を受けてまいります。


 「アシスとしま」は、庁舎内に常設される若者の相談窓口としては23区初となるもので、庁舎内にあることで、区民の方にわかりやすく、そして他の専門相談窓口ともすぐに連携が取れるようにしてまいります。


 次に、誰もが使いやすい公園の整備について申し上げます。


 保育園の多くが区内の公園を利用しており、また、子育て世代のニーズとして、公園の環境整備・改善が求められています。


 誰もが使いやすい公園としていくため、子どもや女性が使いやすい、清潔で明るいトイレをめざし、公園内のトイレ改修に併せて、一部の公園ではトイレをアートトイレにする取り組みを進めています。区内の若手アーティストをはじめ、保育園児や小学校の児童、地域の方々の協力により、昨年度は11か所のアートトイレが完成しました。


 また、今回のトイレ改修を契機に、現在、週に5日から6日行っているトイレ清掃の頻度を上げて、これを毎日行うこととし、利用状況によっては、1日に複数回、清掃することといたします。


 また、10月からは、公園の全面禁煙がスタートします。これに伴い、これまで、繁華街や駅周辺で実施していた路上喫煙・ポイ捨てパトロールを公園と公園周辺まで拡大します。更に、パトロールには、トイレの使用状況の確認を加えるなど、多様な連携を広げながら、清潔できれいな公園の維持・管理に取り組んで参ります。


 一方、区内に点在する数多くの小規模公園の多くが、区民に十分に利用されていない状況を受け、これらの公園を地域交流の場に再生していく「小規模公園プロジェクト」を開始したところです。今後、それぞれの公園の利用状況や立地状況を踏まえ、区民の憩いの場、地域の庭としての地域コミュニティの場に再生していくことを目指したいと考えています。


4 まちづくり


 次に、まちづくりについて申し上げます。


 本年5月、豊島区と国や都、そして池袋駅周辺の関係事業者が一堂に会する「池袋駅周辺地域再生委員会」において、「池袋駅周辺地域基盤整備方針2018」が策定されました。


 この基盤整備方針では、池袋駅東西の4つの公園とその周辺の民間施設とが連携することにより、公園が交流や表現、発信の舞台となり、それがやがてアート・カルチャー活動の拠点となるアート・カルチャー・ハブを育成していくことになるとしております。また、基盤整備方針では、本区が重点的に取り組んできた、東西デッキ、電気バス、ハレザ池袋も、その位置づけが改めて整理され、体系化されております。今後、この基盤整備方針に基づき、各施策の実現を更にスピード感をもって進めてまいりますが、ここではいくつかのトピックについて順次申し上げます。


 まず、「Hareza(ハレザ)池袋」について申し上げます。


 ハレザ池袋の整備は、2020年夏のグランドオープンに向けて順調に進んでおります。既に外からハッキリと形が見えている芸術文化劇場は2019年4月末竣工、11月からの杮落しに向けた準備が着々と進んでおります。としま区民センターは今年11月、オフィス棟は来年2月に骨組が組み上がる予定ですので、そのころにはハレザ池袋の全体像が見えてくることになります。


 また、ハレザ池袋のエリアロゴが、約1万2,000件の区民アンケートと隈 研吾先生を長とする審査委員会での協議によって決定しました。「まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市」にふさわしいロゴであります。


 さらに、ハレザ池袋の完成後のエリア全体の運営についての検討も進められております。


 将来に渡り8つの劇場が圧倒的なにぎわいを生み出すため、6月中に民間主体のエリア・マネジメント組織を立ち上げることが決定し、今後は公民連携したエリア全体の運営体制づくりを、積極的に構築して参ります。


 なお、芸術文化劇場のネーミングライツにつきましては、募集要項の作成等の準備を現在進めており、ハレザ池袋の3つの建物の雄姿が表れる来年度に、魅力的な愛称を決定したいと思います。


 次に、「WE ROAD(ウイロード)改修」について申し上げます。


 山手線の環状運行に合わせて大正14年に建設されたとされる隧道ウイロードは、老朽化が著しく漏水が各所で見受けられることや、公共地下道特有の「暗い・汚い・怖い」イメージから、女性には敬遠されるといった課題がありました。


 今回の整備事業では、区と鉄道事業者が協力しながら漏水対策を行うとともに、美術作家の植田 志保氏に内壁の装飾デザインを依頼する事で、明るく、きれいで、女性が安心して通行できる歩行空間を創出してまいります。


 植田氏は「色のすること」という抽象的表現を、絵やことばに置き換え、平面のみにとらわれない方法で、これまで数々の作品を発表されています。その活動は国内にとどまらず、海外にも発展しており、書籍・雑誌・広告等へのイラスト提供や、空間装飾への作品提供、舞台のアートワークなど、活動は多岐に渡っています。


 植田氏による壁画制作は、来年3月から9月まで、誰もがその進行がわかるよう、公開形式で行うことを予定しております。制作期間は、「東アジア文化都市2019」の開催期間とちょうど重なりますので、トキワ荘再現施設と同様、「東アジア文化都市」の記念事業として位置付けたいと考えております。


 また、池袋駅周辺地域の都市再生と並行して、各地域のまちづくりも着々と進んでおります。


 まず、大塚駅周辺整備について申し上げます。


 大塚駅周辺は、8年前の平成22年に駅の南北をつなぐ自由通路が開通し、昨年5月には、南口駅前広場「TRAM(トラン)パル大塚」が完成しました


 そして、いよいよ今年度から北口の駅前整備に入ります。2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでの整備を目指し、地元のみなさんや関係機関と、現在、協議を続けていますが、北口駅前の歩行者空間の拡幅とともに、「光のファンタジー」のコンセプトの下に夜間照明を工夫し、今まで暗い暗いと言われておりました、夜のまちが映えるようにしてまいります。


 こうした駅前整備の動きに呼応して、大塚駅周辺の民間開発も活発になってきました。5月9日には、「星野リゾート OMO5(オモファイブ)東京大塚」が北口にオープンし、同じ日にオモファイブに隣接するエリアに、古民家10棟を丸ごとリノベーションした「東京大塚のれん街」がオープンし、大変な賑わいを呈しております。


 大塚が変わっていく様子は、連日のようにテレビでも報道されています。大塚のさらなる発展を目指して、ここでも公民連携によるまちづくりを推進してまいります。


 次に、巣鴨駅周辺のまちづくりについて申し上げます。


 巣鴨地区では、老朽化していた駅前トイレが旧中仙道沿いのトイレのイメージで改修され、リニューアルオープンしています。また巣鴨地域文化創造館、通称、中仙道待夢でも、トイレ不足をカバーするため、前庭にトイレを新設しました。


 様々なまちづくりが進む巣鴨地区では、新しい商店街のあり方や街並み整備の方向性について検討する「第一回巣鴨フォーラム」が4月25日に開催され、私も参加させていただきましたが、商店街の青年部や学生の方々を中心に、「ワークショップ形式で次世代を見据えた検討を行う」という話を伺い、大変頼もしく感じたところであります。


 今後、東京オリンピック・パラリンピック大会に向けた、商店街入り口前の歩道橋撤去とこれに替わる横断歩道の新設事業や、白山通りの拡幅工事について、東京都と連携しながら取り組んでまいります。また、地蔵通りの無電柱化によるアーチの改修事業、警察寮跡地の活用についても、フォーラムでまとまった提案内容を可能な限り取り入れ、新たなまちづくりを進めます。


 次に、目白地区のまちづくりについて申し上げます。


 目白地区では、昨年度、目白地域協議会で課題として取り上げられた、徳川黎明館の西側道路について、速度抑制を目的とした道路改修工事を行いました。


 また、学習院椿の坂では無電柱化工事が順調に進んでおり、来年度末を目途に工事が完了する見込みです。目白地域の避難場所に指定されている学習院大学と、目白駅を結ぶ歩行空間の電柱や電線を撤去することで、地域の防災性が大幅に向上するとともに、安全性や景観性についても改善されます。


 さらに、今年の8月下旬から、目白駅西側の銀鈴の坂わきのエレベータ新設工事が始まります。銀鈴の坂周辺は、起伏に富んだ地形のため坂や階段が多く、高齢者やベビーカー利用者、車いすの方が駅を利用する際に大変不便な状況となっていました。本工事はその様な現状を踏まえ、目白古道整備事業の一環として、駅周辺のバリアフリー化を目的とし、銀鈴の坂に近接するJR用地にエレベータを新設するものです。完成は平成32年度末を予定しております。


 次に、長崎四丁目地区のまちづくりについて申し上げます。


 現在、東京都は、木造密集地域である長崎地区に延焼遮断帯を築くことで、防災面の改善が期待できる特定整備路線・補助172号線の整備を推進しております。


 この事業に伴い、古くから地域に根付いている商店街・長崎十字会が南北に分断されるため、商店街の再生や将来のコミュニティ形成をどう図るか、またそれが可能か懸念する声が上がっておりました。


 そこで、豊島区では、4年前から地域の課題をどのように解決していくか、地域の皆さんと話し合いを重ねてまいりました。


 この成果がこの程ようやくまとまり、5月21日、「長崎4丁目地区まちづくり協議会」の安齋 和敏会長さんから、地域の将来像を描いた「まちづくり提言」をいただきました。


 今後も、地域の皆さんの声に丁寧に耳を傾けるとともに、提言内容をまちづくり計画に反映できるよう、最大限努力してまいりたいと考えております。


 次に、「としまセーフシティ作戦」について申し上げます。


 繁華街での客引き、ポイ捨て、路上の違法看板等は、歩道を安心して通行する大きな障害となっており、その改善は常に急務の課題であります。


 このため、治安対策担当課、環境保全課、土木管理課の三課が連携し、警察署や地域の方々とも協力しながら、客引き、ポイ捨て、違法看板等を無くす活動を「としまセーフシティ作戦」と名付け、条例施行以来、取り組んでまいりました。


 今年度は、池袋東西口における路上看板の取締りを特に強化し、来年の「東アジア文化都市」開催までに、安全で安心できる快適な通行空間を確保します。


 また、大塚駅でも駅前を中心に南北の商店街を同様にパトロールしており、来年には巣鴨地区まで実施地域を拡げてまいります。


5 福祉・健康


 次に、福祉・健康について申し上げます。


 まず、「選択的介護モデル事業」について申し上げます。


 5月30日、国家戦略特別区域会議が虎ノ門ヒルズで開催され、私は、小池 百合子都知事と共に、会議に出席しました。当日は、豊島区が1年にわたる有識者会議で検討してきた選択的介護のモデル事業について報告をし、これが了承されました。その後、6月14日に開催された特区諮問会議において、国家戦略特区制度の成果として、選択的介護の事業化が正式に認められたところであります。


 豊島区と都が進めてきた選択的介護は、公的な介護保険制度のサービスと適用外の保険外サービスとを組み合わせるもので、利用者の利便性の向上、中小事業者のビジネスチャンスの拡大に寄与するものと考えております。


 そして、この取組みが、ヘルパー等介護職員の処遇改善につながり、人材難の解消にも広がることを期待しております。


 また、6月28日には、区内の9事業者と協定を結び、いよいよ8月1日から、モデル事業がスタートいたします。この第一歩が、持続可能な介護保険制度の礎となりますよう、今後、効果と課題を検証しながら、本格実施に移行できるよう、最大限の努力をしてまいります。


 次に、池袋保健所の移転について申し上げます。


 日本全体が本格的な少子高齢社会を迎える中、これからの保健所には、これまで以上に区民の健康と医療を支える拠点としての役割が求められてまいります。


 機能拡充を図るべき内容としては、母子保健、子育て支援、女性の健康支援、生活習慣病対策、そして健康危機管理などが重要であると考えております。


 平成10年に建設された現在の施設は、すでに20年が経過しており、設備の大規模改修を判断すべき局面を迎えていますが、改修には約20億円もの経費がかかる見込みとなっております。


 また、現在、駐輪スペース等の不足や障害者等の駐車場利用に関する支障が発生しておりますが、今後、ハレザ池袋のグランドオープンに向け、周辺道路における歩行者交通量の増加、混雑が見込まれております。


 将来に向けて保健所機能の充実を図るためには、現在の施設を、まず造幣局跡地に仮移転し、その後、区役所本庁舎に隣接し、市街地再開発事業が進められている「南池袋二丁目C地区」に本移転するという、二段階の計画を進めることが最善の策であると考えております。


 次に、住宅宿泊事業法の施行について申し上げます。


 今月15日に住宅宿泊事業法が施行され、いわゆる「民泊」事業がスタートしました。


 本区では、6月15日現在で、制度概要や手続き方法、ゴミ出しのルールなど、延べ1,500件を超える問合せを受けており、届出の受付が134件、そのうち受理したものが52件となっております。この52件の内訳としては、集合住宅が37件、戸建てが15件であります。


 また、旅館業法の改正に伴い、無許可営業者に対する報告徴収と立ち入り検査、さらに営業停止命令の権限も豊島区に付与されました。


 区としては、衛生監視員2名を増員し、12名体制で対応にあたるとともに、区内3警察署との緊密な連携のもと、違法民泊の取締りに取り組んでまいります。


6 教育


 次に、教育について申し上げます。


 まず、「豊島区教育大綱2018」について申し上げます。


 教育大綱は、区長部局と教育委員会が計画的に教育事業を推進する上で極めて重要な役割を担っており、6月14日の第一回総合教育会議において、「豊島区教育大綱2018」を策定いたしました。


 主な内容として、「教員の働き方改革への対応」を重点施策に加え、幼児教育施策の横断的な展開、多文化共生の取り組み、子どもスキップ事業の充実、タブレットパソコン1,500台の追加とICTを活用した情報教育の充実等、「教育都市としま」の一層の飛躍を支援する特筆すべき事業展開となっております。


 次に、「教員の働き方改革」について申しあげます。


 本区は、これまで全庁的な働き方改革の一環として、全小中学校に校務支援システムを導入し、東京都と共に2名の副校長配置モデル事業を展開する等、教員の長時間勤務軽減にも取り組んでまいりました。


 一方、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」では、学校の組織運営体制のあり方や時間外勤務抑制に向けた制度のあり方等について、検討が進んでおります。平成29年度の東京都公立学校教員勤務実態調査では、在校時間が過労死ラインと言われる週60時間を超える教員の割合が、小学校が37.4%、中学校が68.2%となっており、本区におきましても、教員の働き方改革は喫緊の課題であります。


 教育委員会からは、本年度、外部有識者を交えて検討を加え、新教育ビジョン2020に位置付けて行くとの報告を受けております。


 次に、並木ハウス・砂金家長屋の文化財登録について申し上げます。


 先月、5月10日付で雑司が谷の並木ハウス及び砂金家長屋が、国の有形文化財として登録されました。私は、豊島区民を代表してお祝いを申し上げる次第です。


 この並木ハウスは、漫画家の手塚 治虫氏や写真家の二川 幸夫氏らの芸術家が長く暮らされ、多くの方々の思い入れ深い建物となっています。また、砂金家長屋は、昭和7年頃の建築で、長屋建ての店舗兼住宅となっており、現在は雑司が谷案内処がお世話になっております。


 今回の登録で、雑司が谷には国の指定・登録文化財が3棟となります。雑司が谷地域一帯がさらに多くの注目を集めることを期待するものです。区といたしましても雑司が谷未来遺産推進事業の展開に、できる限りの支援を行ってまいります。


 次に、新たに策定する「教育ビジョン2020」について申し上げます。


 豊島区教育ビジョン2015は、豊島区教育振興計画の後期部分の計画として策定され、着実に実施してきたところです。しかしながら、本計画期間中に、新学習指導要領に、新たな教科・道徳や小学校英語教育が規定されてきたこと等から、当初の計画を1年前倒しして、本年度から策定作業を始めるとの報告を受けております。


7 内部統制


 最後に、内部統制の改善・強化について、2点申し上げます。


 まず、個人情報保護の強化について申し上げます。


 先月28日の区議会臨時会の議員協議会において、中間的なご報告をいたしましたが、区民の個人情報が、職員や受託事業者の事務処理研修の参考事例等に使用されるなど、個人情報の目的外利用にあたる行為が、区民部総合窓口課において、新庁舎移転以前から行われていたことが判明しました。


 この度の事態を招いた根本は、区職員及び窓口業務の受託事業者の個人情報保護に対する認識が不十分であったことにあります。いくら私の就任前から継続してやって来たとは言え、これを重く受け止め、区政の責任者として、区民の皆様に対し、改めて深くお詫びを申し上げます。申し訳ありません。


 それ以降、受託事業者に対しては、契約上の対応や指導・監督の強化、職員に対しては、個人情報保護に対する意識改革や個人情報を扱う業務へのチェック体制の強化など、内部統制機能を充実させ、二度とこのようなことが起こらぬよう、再発防止策を検討しているところです。今会期中には、全庁的な再発防止策を取りまとめ、改めて区議会並びに区民の皆様へご報告いたします。


 次に、公文書の適正な管理のあり方について申し上げます。


 本年4月、有識者が参画する「豊島区公文書管理のあり方検討委員会」を設置いたしました。これまでに、2回の検討会が終了しましたが、この間、公文書管理の理念や基本的な考え方について議論がなされたところです。


 今後は、さらに具体的な、公文書の作成・保存・廃棄の方法や、歴史的公文書の考え方などについてまとめ、平成30年度内に、23区で初となる、公文書管理条例を制定したいと考えております。


 また、条例制定と併せて、導入から10年を経過する文書管理システムの見直しや職員研修などを進めてまいります。


8 おわりに


 今年は、区内の多くの団体や学校などにとっては永い歴史の区切れ、節目となる年であります。


 豊島区町会連合会が創立60周年、東京商工会議所豊島支部が創立50周年、豊島区立中学校PTA連合会が結成60周年、雑誌「赤い鳥」が創刊100周年、城西学園が開校100周年、豊昭学園が開校90周年、そして立教大学池袋キャンパス100周年など、この場ですべての団体を挙げることはできませんが、その他にも多くの団体が記念すべき年を迎えております。


 振り返れば豊島区は、常に地域、学校と共にその歩みを進めてまいりました。この強い絆によって23区の一つである豊島区が、先進的な施策を幅広く展開し、全国からこれだけ注目を集めるまちになりました。


 「1人の百歩より100人の一歩が大事。チームワークである」。これは、東レの名誉会長 故前田 勝之助氏の言葉であります。


 豊島区は厳しい財政状況から立ち直り、消滅可能性都市の指摘に対しても真正面から向き合い、対策に取り組んでまいりました。ピンチを乗り越え、2019年の「東アジア文化都市」、そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ、次なる目的地がはっきりと視界に捉えられるようになってきました。


 これまで、目標として掲げてきた「国際アート・カルチャー都市」が、いよいよ現実のものとして、私たちの前にその姿をあらわそうとしています。


 誰もが主役となれる劇場都市のシンボル「ハレザ池袋」、四季をとおして個性あるイベントが実施される「4つの公園」、回遊から新たな出会いが生まれる「深紅の電気バス」、過去・現在・未来を表現した色彩で生まれ変わる「WE ROAD(ウイロード)」、さらには、豊島区からクールジャパンを世界に発信する「マンガの聖地としまミュージアム」など、平成31年度中の完成に向け、いま、区内各地域で多くのプロジェクトが、同時に力強く進んでいます。


 これらは、「東アジア文化都市2019」の記念事業であり、2020年「東京オリンピック・パラリンピック」の開催後にも、未来の世代に有形・無形の価値を伝える“レガシー”でもあるのです。


 私たちはいま、100年に一度というようなチャンスの前に立っています。


 国際都市東京の文化をリードし、未来につながる価値ある“レガシー”を生み出すべく、区民の皆さんとともに、「国際アート・カルチャー都市」に向けた挑戦を続けてまいります。


 議員各位におかれましては、引き続き最大限のご理解とご協力を賜りますよう切にお願い申し上げます。


 本日、ご提案申し上げる案件は、条例11件、補正予算2件、その他9件、合わせて22件であります。


 各案件につきましては、後ほど、日程に従いまして、齊藤副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご協賛賜わりますようお願い申し上げます。


 以上をもちまして、私の招集あいさつといたします。