平成31年第1回区議会定例会招集あいさつ

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 本日、ここに平成31年第一回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝申し上げます。


 まず冒頭に、先日発生した、職員の逮捕について申し上げます。


 去る2月4日、元幹部職員が、強制性交の疑いで、警視庁に逮捕されましたことについて、被害にあわれた方とそのご家族の皆様に、心からお詫び申し上げます。


 今回の事件は、13歳の未成年に対する卑劣な行為であり、消滅可能性都市の指摘を受けてから、女性や子どもにやさしいまちづくりに取り組み、「住みたい街・訪れたい街」として高く評価されるまでになった豊島区に対する信頼を裏切る、決して許されない行為です。


 私はこの度の不祥事を重大かつ深刻なこととして受け止めております。また、職員の模範となるべき管理職による不祥事である点についても、私は、衝撃を受け、強い怒りを禁じえません。


 2月4日の逮捕を知った直後から、私を本部長とする対策本部を設置し、その日のうちに、情報収集や今後の対応方針を検討し、区ホームページや報道各社あてに私のコメントを発表いたしました。


 翌日には、当該職員の広報課長の職を解き、懲戒処分を含め厳正に対処する方針を決定するとともに、区議会や区民の皆様への報告、事実確認のための本人への接見、再発防止策として全職員への非違行為の防止に関する依命通達の周知など、区としてできる対応を迅速に進めてまいりました。


 そして、区政に対する信頼を大きく揺るがす、極めて重大な事件であると判断し、逮捕から4日目である2月8日に開催した職員懲戒分限審査委員会の結果を踏まえ、2月12日付で、最も厳しい処分である懲戒免職といたしました。


 この間、私と全職員は、被害者とご家族のお気持ちを考え、想い、悩み、苦しんでまいりました。区議会議員の皆様をはじめ、区民の皆様に、ご心配と大変なご迷惑をおかけすることになり、区長として責任を痛感しております。


 事件の影響を鑑み、区政の最高責任者として、私の給料1か月分を5割削減、両副区長の給料1か月分を1割削減することとし、必要な条例案を今定例会に上程いたします。


 大変厳しい状況ではありますが、二度とこのような事件が起きないよう改めて職員の綱紀粛正を徹底し、区民の皆さんからの信頼回復に向けて、全力で取り組んでまいります。


 なお昨日、記者会見を行い、この件について公表し、NHKの放映をはじめとして、各社それぞれ報道がございました。改めて深くお詫び申し上げます。


 それでは、私の平成31年度予算編成の基本的な考え方を申し上げます。


 思い返せば、昨年、平成30年は、将来に向けた準備を着実に進めた年であり、また「持続発展都市」への転換に向けた総仕上げの年でもありました。


 平成26年度に消滅可能性を指摘された本区でありますが、区民の皆さんと共に先進的な取り組みを進めてきた結果、昨年7月5日には、40年ぶりに人口が29万人を突破いたしました。「消滅可能性都市」の指摘の原因となった、20歳から39歳までの女性の人口についても着実に増加しております。


 また、平成26年度以降、納税義務者が2万人以上増加し、平成31年度予算では区民税収入として過去最高の 300億円を見込むなど、豊島区は「消滅可能性都市」から脱却し、まさに「持続発展都市」へと変貌を遂げたのであります。


 去る2月1日には、豊島区86年の歴史に足跡を深く刻む、国家的な事業である「東アジア文化都市2019豊島」が、満を持して開幕いたしました。


 また東アジア文化都市記念事業として取り組んでまいりました、ハレザ池袋、4つの個性ある公園、(仮称)マンガの聖地としまミュージアムなど、次世代の子どもたちへのレガシーとなる22のリーディング・プロジェクトが、同時に進んでおります。


 これまで目指してきた都市像、「国際アート・カルチャー都市」の姿が、いよいよ手の届くところまで近づいてきたのです。


 本年は、東アジア文化都市事業の開催と、まちづくりへの集中投資によって、「としま新時代」へ飛躍する年と考えております。平成31年度の予算規模は過去最大となりますが、区民生活を支える行政サービスに必要な事業経費はしっかりと確保したうえで、持続的に発展していくまちづくりを区として推進してまいります。


1 平成31年度当初予算案


 それでは、まず、平成31年度当初予算案の概要について申し上げます。


 一般会計と三特別会計を合わせた平成31年度当初予算の規模は、前年度に比べ、244億7,100万円、率で13.3%増の2,078億5,100万円と、初の2,000億円台となり、過去最大の予算規模となりました。


 一般会計当初予算は、前年度と比べて251億8,900万円、率にして20.2%増の1,498億3,800万円と、こちらも過去最大の予算規模となりました。


 一般会計の主な歳入では、特別区民税が対前年度比で15億400万円、5.3%の増となる300億1千万円と、8年連続でプラスとなっており、当初予算において、特別区民税の収入額が300億円台となったことは今回が初となります。なお、この高い税収となった要因には、先ほど申し上げた人口や納税義務者数の増加があげられます。


 一方で、この予算額には、いわゆる不合理な税制改正のひとつである「ふるさと納税」によって、約10億8千万円の減収を見込んでおり、深刻な状況となっております。


 特別区財政調整交付金は、財調交付金の原資となる市町村民税法人分が引き続き堅調に推移していることなどから、対前年度比で10億円のプラスとなる317億円を計上しておりますが、法人住民税の一部国税化の影響により、消費税率10%が平準化された際には、約31億円の減収が見込まれます。


 地方消費税交付金につきましても、大都市部が不利になるよう、国によって清算基準が段階的に見直されており、こちらも消費税率10%が平準化された際の影響額として、約16億円の減収が見込まれています。


 以上申し上げましたように、ふるさと納税、法人住民税の一部国税化、地方消費税交付金の清算基準の見直しにより、本区では合計で57億8千万円もの減収が見込まれています。とりわけ、法人住民税の一部国税化や地方消費税交付金の清算基準の見直しなど、東京を狙い撃ちとする不合理な動きは、到底看過することはできません。 特別区長会や東京都とも緊密に連携しつつ、引き続き、国に対して、強く申し入れを行ってまいります。


 なお、特別区債は、投資的経費の大幅増に伴い、対前年度比68億1,600万円、率にして113.9%の増となる127億9,800万円を見込んでおります。


 次に、歳出につきまして、まず人件費は、223億8,100万円で、対前年度比3億1,500万円、率で 1.4%の減となっております。


 事業費は、前年度と比べ、64億300万円、7.9%の増となる871億5,000万円となりました。扶助費は、19億1,600万円の増となっており、このうち、私立保育所に対する保育委託や助成経費といった待機児童対策に15億 4千万円、障害者自立支援に2億5千万円の増を計上するなど、区民生活のニーズに積極的に対応する予算となっています。


 投資的経費については、新ホールや区民センター、池袋西口公園のほか、巣鴨北中学校の竣工などにより、対前年度比で191億円、率にして90.1%の大幅な増となる403億700万円となっております。


 繰り返しとなりますが、平成31年度一般会計当初予算は、過去最大の予算規模となっております。これは、ひとえに区の将来に向けて、これまで計画的に進めてきた事業が一斉にピークを迎えるためであります。平成の最後となるこの一年は、持続発展都市の実現に向けて、大きく飛躍する最大のチャンスとして捉えております。


 なお、平成31年度当初予算は、投資的経費が191億円と大幅に増加しておりますが、これら投資事業の財源に活用する基金を計画的に確保してきたことから、6年連続で財政調整基金からの繰り入れをすることなく、予算を編成することができました。約1,500億円の規模となった平成31年度予算規模も、投資的経費のピークが過ぎることにより大きく低減し、平成32年度以降は1,300億円前後で推移するものと見込んでおります。


 また、平成31年度末の基金残高は327億円、起債残高は378億円となり、いわゆる「貯金」と「借金」のバランスは、平成31年度末にマイナス51億円になるものと見込んでおります。平成27年度以降、4年連続で「貯金」が「借金」を上回る状態を維持しておりましたが、平成31年度は、5年ぶりに「借金」超過となる見込みです。


 経済のグローバル化に加え、国による不合理な税制改正の影響など、区の歳入状況は、より複雑化、不透明度が増しております。将来に渡って、安定的、継続的な財政運営を行えるよう、できる限り早期に、「貯金」と「借金」のバランス改善を図る必要がございます。


 そのため、この「借金」超過状況を平成34年度には再度プラスに転じる、今後5年間の「予算の大枠」を定めたところであります。


 具体的には、平成32年度以降の新規発債額は、極力、抑制するとともに、事業効果の検証や執行方法の効率化などをさらに進めることで、将来、必要となる財源を計画的に基金に積み立てていきます。


 引き続き、事業の選択と集中を図り、同じ経費でも最大の効果を生む施策を積極的に展開することで、他に類を見ない特色のあるオンリーワンのまちづくりに取り組んでまいります。


 以下、平成31年度予算の主な事業を中心に、その概要について申し上げます。


2 東アジア文化都市


 まず、「東アジア文化都市」について申し上げます。


 2月1日の開幕式典には、東アジア文化都市を共同で主催いただきます、浮島智子文部科学副大臣、宮田亮平文化庁長官にご出席いただきました。


 また、2019年の東アジア文化都市開催都市として、西安市から、徐明非西安市政府副市長、仁川広域市から、朴俊夏副市長のご臨席のもと、ご来賓として、林芳正前文部科学大臣、山口那津男公明党代表、小池百合子東京都知事、程永華中華人民共和国大使館特命全権大使、黄星雲駐日韓国大使館韓国文化院院長、さらに、多くの国会議員、都議会議員の皆さま、特別区からは西川太一郎特別区長会会長、議長の皆さま、そして、久喜邦康秩父市長はじめ友好都市の首長、議長の皆さまなど、多くのご来賓の皆さまをお迎えして、華々しく開催されました。


 当日、会場となった2,000席の東京芸術劇場コンサートホールは満席で、席が空くのを待つ方の姿も見受けられました。


 現在、一万人で歌う「わたしは未来」プロジェクトとして、区内の公立小・中学校のすべての児童・生徒が、「わたしは未来」の練習に取り組んでいます。開幕式典のオープニングでは、子どもたちの代表として、公募による小学生など総勢150名が合唱し、会場内に感動を与えてくれました。そして、本区の名誉区民であり、人間国宝の野村萬氏による、迫力ある奏上が続きました。その後の3か国のパフォーマンスは、それぞれの国の文化の深みを感じさせる内容であり、また最後にスペシャルゲストとして登場した、アニメソング界の帝王、水木一郎氏の歌声で、会場の熱気は最高潮に達しました。


 東アジア文化都市の開幕は、同時に「としま新時代」の幕開けを告げるものでもあると考えております。11月24日の閉幕式典までの間、様々な文化プログラムを通じて中国・西安市、韓国・仁川広域市との交流を深め、この事業を必ずや成功に導いていく所存であります。


 次に、「池袋PRアニメ」について申し上げます。


 株式会社アニメイトと共同で制作を進めてまいりました「池袋PRアニメ」の本編が完成し、1月17日に完成披露発表を行うとともにインターネット配信をスタートいたしました。


 この間、制作に携わっていただいた多くのスタッフの皆様、実行委員会の皆様には心から感謝申し上げます。


 株式会社アニメイトの阪下實社長と行いました、完成披露の共同記者会見には、髙津幸央監督、キャラクター原案を制作した蒼茉ゆるさんにもご出席いただき、アニメや池袋についての思いをお話しいただきました。


 この「池袋PRアニメ」は、「誰もが主役になれる街・池袋」をテーマにしたストーリーです。インターネットでの配信、海外を含むアニメイト全店での上映のほか、1月19日から23日には、海外出展として、台北国際動漫節に出展しました。今後も、国際的なイベントに、積極的に出展していきたいと考えております。


 次に、「東アジア文化都市記念事業」の主な進捗状況について申し上げます。


 今月、33階のハレザタワーが上棟し、約160メートルのタワーは、池袋駅の西口や北口などからも見て取れるようになりました。池袋の新たなランドマークが、またひとつ誕生しつつあります。


 ハレザ池袋の整備は、建築のほか、中池袋公園の改修、近接した道路工事を同時に進行しております。周辺の方や歩行者の方々などに対して、安全・安心を念頭におきながら確実かつ万全の体制にて進めてまいります。


 次に、「4つの公園」について申し上げます。


 現在、「池袋西口公園」の仮囲いには、「東アジア文化都市の記念事業」や「池袋PRアニメ」、「わたしらしく、暮らせるまち」といった事業の紹介を、ラッピングにより掲示しております。2月1日の「東アジア文化都市」の開幕式典の際にも、沢山の来賓の方々に、区の取組みを紹介することが出来たと思います。


 公園の完成は今年の10月末で、11月16日にオープンする予定です。国際アート・カルチャー都市の実現に大きく寄与する事業として、工事が着実に進むよう取り組んでまいります。


 造幣局跡地の防災公園」につきましては、防火樹林やヘリポートとしての活用、救援物資の集配拠点等といった防災機能に加えて、明るく開放的なカフェやシンボルとなるイチョウ並木、様々なイベントが可能な6,000平米の芝生広場等を整備し、魅力的な公園となるよう計画を進めています。


 本年の4月から工事の着手を予定し、平成32年の春にはオープンを予定しています。


 次に、「真っ赤な電気バス」について申し上げます。


 このバスの愛称について、昨年12月に公募を行い、72名の方からいただいた応募作の中から、選定委員会で厳正な審査を行い、「イケバス」と決定いたしました。このバスのイメージに合って、わかりやすく、親しみのもてる愛称であると考えております。


 2月1日には、東アジア文化都市オープニング・イベントにおいて、水戸岡鋭二氏にデザインしていただいたロゴを入れた車両実物大の横断幕を掲示し、広くお知らせしたところです。豊島区の魅力と価値をさらに高めていく装置として、11月の導入に向けた準備を確実に進めてまいります。


 次に、「(仮称)マンガの聖地としまミュージアム」について申し上げます。


 ミュージアムの整備・運営費用に充てるため、昨年2月から開始したトキワ荘関連施設整備寄附金は、全国の多くの方からご支援をいただき、2月8日現在、714件、2億7,987万8,331円ものご寄附を頂いております。寄附は、皆さんのまちに対する「思い」や「心」を募る行為であります。今回の経験を活かしながら、本区に寄附の文化が定着するよう精力的に取り組んでまいります。


 また、ミュージアム整備については、平成32年3月22日のオープンを目指して、1月15日より建築工事に着手しました。


 次に、「大塚駅北口周辺のリニューアル」について申し上げます。


 昨年7月に基本計画を策定し、住民説明会を開催し意見を伺ってきました。多くの意見や要望のあった植栽計画を大幅に見直し、現状以上の高木を植栽することといたしました。北口のシンボルツリーであるヒマラヤスギも残します。


 現在、地域のみなさまのご要望の高い、トイレの再整備、都電とのアクセスを向上するためのコインロッカーの移設や屋根の設置についても関係機関と最終の詰めを行っております。


3 総合的な高齢社会対策と健康づくり


 まず、「総合高齢社会対策プロジェクト」について申し上げます。


 交通至便で生活利便性の高い豊島区は、75歳以上の高齢者に占める一人暮らしの割合が、人口の少ない町村等を除けば日本一です。


 一人暮らしが決して悪いわけではございませんが、一人暮らしは「社会的孤立」を生みやすく、社会的孤立は不健康や消費者被害、生活の質の低下につながります。


 そこで、本区は、これまでの「文化」や「子育て」での成功をステップに、福祉・保健、健康づくり、コミュニティづくり、生涯学習、災害対策、交通安全対策などの、各部局にまたがる取り組みを総動員し、総合的な対策を講じることにより、「社会的孤立」の解消を図るとともに、高齢者が活き活きと暮らせる社会づくりを目指してまいります。


 来年度は、「オールとしま」による推進協議会を設置し、生涯元気で暮らしていくための健康寿命の延伸に寄与する施策などを展開しつつ、エイジフレンドリーシティに向けた行動計画を策定するなど、プロジェクトの具体化を図ってまいります。


 次に、「フレイル対策センター」について申し上げます。


 フレイルとは、「健康」と「要介護状態」との中間的な状態を示すものです。こころや体の動きが低下している状態ですが、適切に対応すれば「元気な状態」に回復することも可能であると言われております。


 区はこれまでも、健康寿命の延伸をめざし、介護予防を推進してまいりました。


 さらに今後は、栄養・口腔機能、体力・運動機能の維持、社会参加など、フレイル予防に着目した取り組みを進めることが健康寿命の延伸には重要であると考えております。そこで、新年度に向けて、フレイル予防を効果的に推進する拠点として、


 旧東池袋豊寿園跡地に「フレイル対策センター」を開設すべく準備を進めております。


 このセンターは、介護予防機能や相談機能のほか、高齢者の居場所や気づきの場としての機能も備えるなど、多くの機能を持つ予定です。また高齢者が担い手としても活躍することができる施設をめざします。


 次に、「ポリファーマシー対策」について申し上げます。


 高齢者は、加齢に伴い体の状態も変化していき、複数の疾患を同時に患う可能性も高くなります。複数の医療機関を受診する場合、同様の効果の薬がそれぞれで処方されることによる、副作用のリスクが高まります。


 このような状況を踏まえ、6種類以上の薬を処方されている、70歳から74歳の国民健康保険の被保険者の方の中から、データ分析により抽出した過剰摂取の可能性がある方などにお知らせを通知し、専門家への相談を促すことによって、多剤併用や過剰服薬等による健康被害の予防に取り組んでまいります。


 次に、「特別養護老人ホームの整備」について申し上げます。


 昨年度より、池袋本町への移転工事が進められてきました特別養護老人ホーム「養浩荘」ですが、本年3月に竣工し、6月には「池袋ほんちょうの郷」と名称を変え開設の予定となっております。


 入所定員は移転前の50名から60名へと10名分増え、これで本区の特別養護老人ホームの入所定員は762名となります。


 整備に当たりましては、整備法人である社会福祉法人フロンティアと調整し、外観等を隣接する池袋本町地区小・中連携校と調和のとれたものとしていただきました。池袋本町地区の新たなシンボルとして、当地区のまちづくりに寄与していくものと期待しているところであります。


 また、旧朝日中学校跡地での整備を検討している新しい特別養護老人ホームにつきましては、併設する機能について、地元の意見を踏まえつつ、検討を進めております。現時点では、近隣保育園の園児の遊び場として活用できるようなオープンスペースの優先度が高いと考えておりますが、3月中には区としての一定の方向をまとめ、地元の皆様の意向を伺った上で、最終的に決定してまいります。


 次に、「保健所の新たな機能」について申し上げます。


 保健所の移転につきましては、現在、造幣局跡地に建設する仮施設の設計が終わり、3月より本格的工事に着手する予定となっております。


 さらに、平成36年度の南池袋C地区への本移転を見据え、昨年12月に「池袋保健所機能拡充検討会議」を立ち上げ、平成31年6月を目途とした検討を開始しております。その中で得られた知見を基に、「母子保健」や「子育て支援」、「女性の健康支援」などを充実させ、これまで以上に「子育て世代」や「女性」の活躍を支援してまいります。


 これに加えて、これまでも力を入れてきた「生活習慣病対策」や「がん対策」など、現役世代から高齢者まで、広い世代を対象にした健康増進施策のさらなる充実を図りつつ、自然災害や新型インフルエンザに対処するための健康危機管理機能の充実など、広く、多岐にわたる課題に正面から立ち向かっていけるよう、池袋保健所の機能の拡充を図ってまいります。


4 子どもと女性にやさしいまちづくり


 次に、「子どもと女性にやさしいまちづくり」について申し上げます。


 まず、「待機児童」について申し上げます。


 本区は、昨年4月、待機児童2年連続ゼロを達成したところです。その評判が定着し、入園相談にお越しになる方が、4月から12月末までの9か月間で、昨年度より1,200人も多い約1万人となっており、窓口にお越しの多くの方が「保育園への入りやすさ」で本区への転入を決めたとおっしゃっています。


 待機児童3年連続のゼロへの取り組みとして、今年度10園600名の定員拡充を目標として準備を進めてまいりましたので、現時点では、3年連続で待機児童ゼロが達成できる見込みです。


 次に、「保育の質の向上」に向けた取り組みについて申し上げます。


 区内には、本年4月に開園する施設を含めると、110の保育施設があります。


 多様な保育事業者がいる中、それぞれの「保育の質」をさらに向上させていくため、年度内に、「豊島区保育の質ガイドライン」を策定いたします。このガイドラインは、保育者と子どもの関わりや子ども同士の関わり、保育の取り組みや保育者の専門性の向上のポイントなどを示しており、保育の現場で活かすことができるものとしていきます。


 その他、区の取り組みとして、小学校の校庭利用、私立保育園の職員を対象とする研修プログラムの充実、保育園の適正な運営状況を点検する実地検査、園長経験のあるベテラン職員による巡回指導などの事業を通じて、総合的な視点から保育の質向上に努めてまいります。


 さらに、これまでも、地域支援の一環として、区立園では、育児講座や離乳食講習会、園庭開放など在宅子育て向けに様々な事業を行っていますが、来年度から「マイ保育園」と称し、かかりつけのお医者さんと同様、身近な区立保育園を育児相談などで気軽に利用していただけるよう体制を整備してまいります。また、来年度から一時保育の実施園を2園増やすなど、保育園に通っていないお子さんや保護者等に向けたサービスの拡充も、併せて図ってまいります。


 次に、「児童相談所の開設時期」について申し上げます。


 昨年、6月15日の第2回改築工事説明会において、近隣住民の方々から、施設の安全対策など様々なご指摘をいただきました。


 区としては、こうしたご指摘を真摯に受け止め、住民の方々と丁寧な対話を行ってまいりました。


 この協議に基づき、建物周辺の空地を広く取るなど、住民要望にできる限り沿った形でのプランに変更するため、児童相談所の開設時期を平成34年1月から平成34年冬頃とすることといたしました。


 また、児童相談所の開設に向けた課題といたしまして人材の確保及び育成がございます。児童相談所の開設時期の延期を踏まえ、児童相談所等への研修派遣を積極的に拡充するなど人材育成の強化を図りながら、開設に向けた準備を行ってまいります。


 次に、「小さな公園活用プロジェクト」について申し上げます。


 現在、区内に点在する数多くの小規模公園の多くが、区民に十分に利用されていない状況を受け、これらの公園を地域交流の場に再生していく「小さな公園活用プロジェクト」を開始したところです。今後、それぞれの公園の利用状況や立地状況を踏まえ、区民の憩いの場、地域の庭としての地域コミュニティの場に再生していくことを目指したいと考えています。


 特に株式会社「良品計画」との協働プロジェクトでは、上り屋敷公園と西巣鴨二丁目公園で休憩できるデッキや花壇を再整備し、イベントに活用できるテントやテーブルやイスなどを設け、地域コミュニティの場として再生していきたいと考えております。


 次に、「公園トイレ改修、アートトイレ」について申し上げます。


 保育園の多くが区内の公園を利用していることから、子育て世代の視点に立った公園の環境整備・改善が求められています。


 誰もが使いやすい公園としていくため、子どもや女性が使いやすい、清潔で明るいトイレをめざし、85か所の公園・児童遊園のトイレの改修を昨年度から3ヶ年で取り組み、来年度は最終年となります


 また、公園内のトイレ改修に併せて、一部の公園ではトイレをアートトイレにする取り組みを進めています。区内の若手アーティストをはじめ、保育園児や小学校の児童、地域の方々の協力により、昨年度は11か所が完成し地域の方々に大変喜ばれております。今年度は11か所のアートトイレが施工中で、来年度は3もしくは4か所を予定しております。


 次に、「公園禁煙化の取り組み状況」について申し上げます。


 昨年10月1日より、一部の公園を除く35か所の区立公園で禁煙化を実施いたしました。子どもを受動喫煙から守り、子育て環境を向上させる目的で、多くの喫煙者の方々に、ルールを守っていただき、子育て世代の方を含む多くの区民の方に受け入れられていると考えております。


 しかしながら、公園周辺のポイ捨て調査では、ポイ捨てが増えた公園もあることから、引き続き、喫煙ルールの周知啓発に力を入れるとともに、パトロールの際の指導を続けることで、喫煙ルールの徹底とマナー向上に努めてまいります。


5 安全・安心


 次に、「安全・安心」について申し上げます。


 まず、インターナショナルセーフスクールの取り組みについて申し上げます。


 昨年、本区はセーフコミュニティの再認証を取得し、安全・安心なまちづくりを一層充実させていくことを内外に宣言してまいりました。インターナショナルセーフスクールの取り組みは、セーフコミュニティ実現の重点施策の一つであります。


 去る1月30日、31日の両日、朋有、富士見台、高南の各小学校の認証授与式が盛大に行われました。「チーム学校」として、地域と一体となって安全・安心な学校づくりを継続させてきた努力が認証をもたらしたと、3校の皆さんを心から祝福したいと思います。 


 本区は、教育委員会と連携して、6中学校ブロック・7校の安全・安心ネットワークを構築してまいりました。平成31年度中には、清和小学校が認証取得に挑戦し、残る2中学校ブロックからもセーフスクール取り組み宣言が予定されております。


 今後、セーフスクールの全校化と併せて、学校と各地域の区民ひろばとの連携をさらに強化することで、セーフコミュニティを一層推進してまいります。


 次に、「区立小中学校体育館等26か所の冷暖房化」について申し上げます。


 体育館冷暖房設置事業は、子どもたちや区民の皆さんの命を守る喫緊の事業であります。


 本区は、他区に先駆け、「小中学校体育館等26か所の冷暖房化」の導入をいち早く宣言しました。それ以降、迅速かつ効果的な整備手法であるリース方式を採用することによって、全体的な整備期間をさらに短縮するよう、鋭意準備を進めております。


 具体的には、既存事例の導入方式に加えて最先端の事例も取り入れながら、体感温度やランニングコストの面からも効果的なものとなるよう、最終的な詰めを行っております。


 防災の観点から、救援センターとしての環境向上のためにも、年内の整備に向けて、スピード感を持って取り組んでまいる所存です。


6 おわりに


 今定例会は、議員の皆さまにおかれましては、任期満了を迎える直前の定例会ともなります。


 任期満了に臨み、吉村辰明議員、中島義春議員、大谷洋子議員、村上典子議員、石川大我議員が、ご勇退されるとの意向を表明されておられます。


 ご勇退される5名の皆様の区議会で歩んでこられた輝かしい足跡に思いを馳せるとき、誠に惜別の情を禁じ得ません。


 長きにわたる豊島区政へのご尽力・ご貢献に対しまして、深甚なる敬意を表しますとともに、区民を代表し、衷心より感謝を申し上げます。


 そして、今定例会は、私にとりましても、大きな節目を迎えることとなります。


 豊島区が大都市東京の中で発展を続け、存在感を発揮し、輝きを放っていくのか。それとも他の都市の発展に遅れを取り、埋没し、5年前の指摘のように本当に消滅する道をたどるのか。


 様々なプロジェクトが同時並行で進んでおり、100年に一度という大きな転換点を迎えている今、豊島区がこれまで以上に輝きを放っていけるような予算を編成いたしました。


 終わりにあたり、私はいま、『論語』のこの言葉を、改めて胸に刻んでいるところであります。


 『吾日に吾が身を三省す。』 


 何度となく自分の言行を謙虚に振り返り、間違いはなかったか。区民の幸せを考えて心を尽くしているか。誠実であるか。このことを改めて肝に銘じ、わが人生を歩んでまいる所存でございます。


 繰り返しになりますが、今回ご退任される委員の皆さまに、心から心から重ねてお礼申し上げます。


 本当に長い間、ありがとうございました。


 議員の皆様におかれましては、引き続きご理解とご協力を賜りますよう、切にお願い申し上げます。


 本日、ご提案申し上げる案件は、予算4件、補正予算2件、条例20件、その他7件、合わせて33件であります。


 各案件につきましては、後ほど、日程に従いまして、齊藤副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご協賛賜わりますようお願い申し上げます。


 以上をもちまして、私の招集あいさつといたします。